本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784041140871
作品紹介・あらすじ
「私のことステラって呼んでね」初めて会った日、彼女はそう言った。つくり話のような自慢をする都会的なステラに、田舎から東京に出てきたフミコは憧れと嫉妬を抱きつつ、彼女と一緒に暮らし始めるが……。
みんなの感想まとめ
理想と現実の狭間で揺れる心情を描いた本作は、主人公フミコが都会的な魅力を持つステラとの出会いを通じて、憧れや嫉妬、自己認識の葛藤を体験する物語です。昭和のキラキラ感と若さゆえのヒリヒリした感覚が懐かし...
感想・レビュー・書評
-
いつもの図書館の新刊コーナーにあったので、新作かと思ったら、林真理子さんの初小説の改版だと知り、ちょっと気になって読んでみました。
元は1986年に発表された、この作品には、表題作と「だいだい色の海」、二つの中編が収録されており、内容は全く異なるものの共通したものとして、どちらも二十歳という、青春を引き摺りながらも、大人への過剰な意識的反応を示す、そんな微妙な年頃に於いて、まだ自分自身という不安定な容れ物を持て余している感じに、ほろりとさせられるものがあった。
「星影のステラ」は、東京で鳴かず飛ばずの仕事をしていた、「フミコ」が胸に描く憧れそのものの姿で登場した、4つ年上の「ステラ」との出会いがきっかけとなり、自分自身を何とか理想像に持っていこうとする、その必死さがとても切ない上に、それが中々、上手くいかないことに対する焦りを感じ始めると、今度はフミコが持つ数少ない、ステラに負けないものを誇示してみせることで、彼女のアイデンティティを保とうとするが・・・といった、若いときの、やりたいことを早急にどんどんやって、その結果に一喜一憂する姿には、思わずハッとさせられる方もいらっしゃるのではないかと思われた、その末路に訪れた自己嫌悪や喪失感も切ない、青春の一ページ。
ちなみに、物語でも実際に登場するタイトル名、「Stella By Starlight(星影のステラ)」は、1944年の映画「呪いの家」の為に、ヴィクター・ヤングが作曲したジャズのスタンダードで、ビル・エヴァンス・トリオの演奏でも有名です。
「だいだい色の海」は、一転して、仕事も女も精力的に取り組む、その時代の資産家の象徴性とも捉えられそうな父親の元で、毎日を自堕落に過ごす、「利彦」の青春時代の葛藤を生々しく描いており、最初こそ『出来の悪い次男という悪役』を演じることで保っていた、彼自身のアイデンティティに、外部から様々な揺さぶりを掛けてくることによって、彼自身の心が次第に折れそうになっていく様が、これまた切ない上に、その限られた交友関係の中でしか自己の居場所を見つけられない、悲しさや孤独感の末に行った行為が、倫理的に問題のある非道なものであったにも関わらず、それすら、あっさりと打ち消されてしまった現実社会の裏の顔たるや、二十歳の若者にしたら、絶望感しか抱くことが出来なかったのかもしれない。
しかし、そんな彼にもあった、父の別荘で初めてやろうと決心した一人暮らしの中の、心穏やかな『ただ海を見ているのがやたらおもしろかった』日々で、彼が一番好きだった、陽が落ちてからも、もう一度新しい時が始まるような華やかさに満ちている、夏の夕暮れを詩的に表現した、彼だけが持つであろうもう一つの特権を、ぜひ思い出して、また顔を上げてほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙が素敵だったのと、
ちょうど日大のニュースでテレビに出ていらっしゃり、
なんか気になっていたときに新刊棚で手に取りました。
-------------------------
特別じゃないと気づいていた。
でも、なれると信じたかった。
ある日出会ったステラと名乗る女は、
なりたい自分が具現化したような存在だった。
あなたがいつか感じが気持ちが、ここにある。
-------------------------
本作、林真理子さんの初小説の改版だったのですね!
短編が2作品です。
表題作の「星影のステラ」と「だいだい色の海」。
まったく改版と知らずに読んでいて、
なんか時代感じる…と思ってました。苦笑
「星影のステラ」は勝手なイメージですが、
林さんぽい感じがしました。
理想と現実と憧れと閉塞感、そして嫉妬。
読んでいて面白かったのは「だいだい色の海」でしたが、こちらは主人公がクズすぎて好きではなかったです。苦笑
なんだろう、この作品は新しい表紙のためにある感じです。
好きです、表紙のイラスト。 -
カチナツミさんのカバーイラストに一目惚れ。そして、解説が田辺聖子さんということもあり迷わず購入。
「星影のステラ」昭和のキラキラ感と若さゆえのヒリヒリ感が懐かしい。爪先ギリギリまで背伸びする感じ、誰にでも覚えがあるのではないだろうか。カバーイラストが作品世界を忠実に表現していて、お見事。
「だいだい色の海」迷える二十代という点では表題作と共通してるけど、また違う手触りで、今更ながら「こんな初期からしっかり林真理子だったのか」と恐れおののいている(いい意味で)。田辺さんが解説で「この小説は、林さんの『悲しみよこんにちは』だと言ったらご不興を買うだろうか」と述べているが、ご不興なんてとんでもない、私も確かにサガンっぽさを感じました。
初期作品だし、ずいぶん前の小説だから、ついていけなかったりするかもと思っていたが、杞憂でした!一気に読み終わり、読了後は「うわぁ…」という言語化できない余韻。打ちのめされたというか。林さんの初期作品、他にも読みたくなってきた。
様々にカバー絵を変えながら読み継がれていく作品。どれもテイストは違うのに、その時代にふさわしく、作品世界に寄り添っている。今回改版発売されて本当によかった。田辺さん言うところの「混迷の青春」を描いた名作。-
メイプルマフィンさん、初めまして。
ただと申します。
本書へのいいねや、フォローをして下さり、ありがとうございます。
林真理子さんは、本書...メイプルマフィンさん、初めまして。
ただと申します。
本書へのいいねや、フォローをして下さり、ありがとうございます。
林真理子さんは、本書が初読みだったのですが、最初の小説とは思えない、若い頃は特に意識させられる、光と影との対照性が、テイストはそれぞれ異なりますが、二作ともリアルなタッチで丁寧に描かれていたのが、とても印象的で、他の作品も読んでみたいと思いました。
それから、フォローさせていただいたのは、林真理子さん以外にも、気になる作品が多くあったからでして、また本棚にお邪魔するかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします(^-^)
突然のコメント、失礼致しました。2024/03/17 -
たださん:はじめまして、コメントありがとうございます!とても嬉しいです。
「星影のステラ」予想以上によくて、今も脳が痺れているような感じです...たださん:はじめまして、コメントありがとうございます!とても嬉しいです。
「星影のステラ」予想以上によくて、今も脳が痺れているような感じです。林作品はこれまでもポツポツとは読んできたけれど、改めて色々と読んでみたいと今回思いました。昔読んだものも再読したいし。
私も児童書好きなので、たださんの本棚のラインナップに惹かれております。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いしますね!2024/03/17
-
-
登場人物の名前、ファッション、職業などバブリーな香り。上を向いて憧れる感じ、生きづらいだろうな。
-
子どもの頃の自分を思い出すようだった。
特別になりたいけど、そうなりたいと焦がれるほど自分が特別じゃないとわからされる日々とか
自分にはないものを持つ人と、友達とか恋人とか名前のつく関係になることで、自分が満たされていく気がする感覚とか
ある日をきっかけに、急に夢から醒めたように全てが無駄に思えてしまうこととか。 -
誰しもが一度は経験しそうな若い頃の(とはいっても10代ではなくそれを過ぎた頃の)くすぶった感情や苦い記憶が思い返されるような物語。「星影のステラ」も「だいだい色の海」もタイトルがきれいな響きであるがゆえになおさら…。
-
憧れは理解から最も遠い感情だよ
-
2つの短編がまとめられた本。
1つ目の「星影のステラ」が記憶に残った。
田舎から都会に来て、初めて見る都会の人間を
崇拝し、時を経るごとに普通の人だったことに気付く感じ
小学校1年の時に、6年生の男の子に公園で
遊んでもらった時のこと思い出した。
当時は年上の人と遊んでいることが誇らしかったけど
6年生になった時、1年生と遊ぶ彼を思い出して
変わった人だったんだと気付いた時と同じ感覚 -
タイトルに惹かれるものがあり手に取ったけど、2つ目の短編のほうが印象的だったかも。
サガン読んでみたくなったな -
本書は短編2篇によって構成されており、とくに表題の「星影のステラ」にはめちゃくちゃ納得させられました。
この星影のステラは、一人の女性の精神性の向上を
グロテスクなまでに描いていて「大人になるってこうだよな」と現実を突きつけてきます。
ぼく自身の経験でいうと、あれだけ学生の時に仲が良かった友人といつの間にか疎遠になってしまっている。みたいな感じかな…。
成長と決別は表裏一体であり避けられないなと本書をよんで、改めて考えさせられました。
成長と別れは切っても切り離せない。だからこそ尊くて大切なんだなと。
コピーライターでもあり、エッセイストでもあり作家でもある林真理子さんの渾身のデビュー作。ぜひ見てほしい1冊です。
-
2編収録
『星影のステラ』は、女性が1度は感じる『オーラがある人に憧れる、仲良くなりたい』を出会い〜終までを描いた作品。
私も昔会ったなと懐かしくなりました。
描写もレトロでエモカッタ、、、
『だいだい色の海』は、
男性視点の話だったので、個人的にはあまり入り込めなかったけど、大人になる前の葛藤がよく描かれてました! -
良くも悪くも昭和に描かれた作品であることを強く感じる作品でした。表紙に惹かれて購入したものの、ちょっとイメージと違っていました。
-
青春の曖昧な心情を書くのが上手いと思った。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
林真理子の作品
本棚登録 :
感想 :
