ゴッホの手紙 改版 (角川文庫 リバイバル・コレクション K 35)

著者 :
  • KADOKAWA
3.50
  • (2)
  • (0)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 51
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041141069

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 評論ですが、弟テオ宛の膨大な手紙からの引用が本文の大半を占めます。
    ゴッホが何を思い絵を描いたのか。
    狂気の合間に送られた手紙に書かれた、冷静な自己分析に驚かされる一方で、晩年のゴッホの絵から伝わってくるそっくりそのままの、恐ろしい不安と危機迫る情熱を読みとることができます。
    彼は手紙の中で「成功や自信の有無は慰安にすぎない」と語ります。
    私は趣味で絵を描くのですが、下手だ、ということを言い訳にしがちです。
    でも上手いとか下手だとかいうのは、良い絵、とは全く異なる方向性の話でしょう。
    ゴッホは技巧的に優れた画家ではありませんし、生前に一枚の絵も売れなかったというのは有名な話です。
    世間に認められずとも、自分の画力の不足と向き合いながら描き続ける。
    その覚悟と真摯な姿勢に心打たれ、また絵を描きたくなります。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

小林秀雄
一九〇二(明治三五)年、東京生まれ。文芸評論家。東京帝国大学仏文科卒業。二九(昭和四)年、雑誌『改造』の懸賞評論に「様々なる意匠」が二席入選し、批評活動に入る。第二次大戦中は古典に関する随想を執筆。七七年、大作『本居宣長』(日本文学大賞)を刊行。その他の著書に『無常といふ事』『モオツァルト』『ゴッホの手紙』『近代絵画』(野間文芸賞)など。六七年、文化勲章受章。八三(昭和五八)年、死去。

「2022年 『戦争について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小林秀雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×