最後の晩ごはん 優しい犬とカレーライス (20) (角川文庫)
- KADOKAWA (2024年7月25日発売)
本棚登録 : 447人
感想 : 32件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041141410
作品紹介・あらすじ
芦屋の定食屋・ばんめし屋で働く元俳優の海里は、
休みの日に作家・淡海五朗の家で朗読の練習に励んでいる。
演じることの楽しさに気付き、淡海の創る物語を表現するため懸命だ。
しかしその帰り、淡海と屋敷の前で大きな黒い犬に出会う。
犬はまるで海里たちを導くようにある家へと向かい、
海里たちはそこで悲しい現実に直面する。
そして「マヤ」と名付けられた犬の周りで不思議な出来事が……。
犬も主役の記念すべき第20弾!
感想・レビュー・書評
-
最後の晩ごはんシリーズ第20作!
何と20作まで来た。こんなに長いシリーズになるとは思っても見なかった。なのに海里の道はまだ半ば。彼が役者として再び成功する日が来るのは一体何作目になるのか。
シリーズ本来の設定として、舞台となる定食屋〈ばんめし屋〉へこの世に未練を残した霊が現れて、最後の晩ごはんを食べて成仏していく…というものだったのが、このところは少しそうした設定から離れて海里自身の成長や後輩・李英の試練などが描かれてきた。
今回は小説家・淡海先生の家に突然現れた黒い大きな雌犬が、淡海先生と、一緒にいた海里を突然亡くなってしまった高齢の飼い主の元へと導く。
犬を引き取り『マヤ』と名付け可愛がる淡海だが、不思議な現象が起こりだし、それは海里にも…。
となれば、当然その原因はマヤの元飼い主かと思っていたのだが、真相は別のところにあった。
プロローグで淡海先生が書き下ろした短編を海里が朗読し、その練習した動画を李英に送るシーンがあるのだが、これがこういう形で繋がるとは。
今回の作品のキーとなるマヤは勿論、正体はメガネのロイドのように人間ならざるものにも心はある。
淡海先生が描く短編も新しい視点だが、物語の方も新鮮な描き方で興味深かった。
日本古来の、万物に神が宿るという考え方に繋がるような気がして、様々なものを優しい気持ちで見つめたくなるような、そんな物語だった。
次回は李英に良い兆候が描かれると嬉しい。
※シリーズ全作レビュー投稿あり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう20巻でしたか〜。読み終わると次はまだかなぁと首を長くして待っている作品。子育てで手一杯で読書しなくなって少し余裕が出て来た頃に出会った作品で読むたびに温かな涙と温かな余韻が残ります。そしてこの作品のおかげで物にもたまに声かけてしまう自分が…いつか私の元にもロイドの様な付喪神が側にを願っています。
-
芦屋の定食屋ばんめし屋で働く元俳優の海里の物語です。
今回は犬が主役という事で楽しみに読みました。
作家の淡海五朗と犬のマヤちゃんとの出会いは、互いに大切な人を失ってしまった2人(?)への神様からの最高のプレゼントだったのではないでしょうか(*´꒳`*)
今回もあたたかい気持ちで読了しました。 -
プロローグ/継ぐ者たち/話せたらいいのに/小説家と犬/
物言わぬ目/見つめるもの
[優しい犬とカレーライス]
犬とカレーライス??
優しい人たちに加わるのは犬なの?どんな犬?
ドキドキの出会いから見えて来るものが有る
人の想いを大切に
この世にあるものへの最後のごはんが
次の世での支えになれば良いなぁ -
前回との間がいつもより開いたせいか、これまでの出来事や登場人物の説明がやや詳しいような気がする。親切。
海里の朗読のクオリティも、少しずつ成長している。「雨垂れ石を穿つ」いや、そんなゆっくりでもないのだけど、芸能人として成長したいというのとは違うところを目指している彼には、そういう成長でもいいのかもしれない。
人によって時間の流れは違ってもいい。それが、人とは寿命の異なる生き物ならなおさらである。
今回、淡海が書いて海里が朗読する作品は『街路樹の独白』。
もっともっと長生きするはずだった木の寿命は、人間の都合で二日後に伐採されることになっていた。寿命を全うした老人ではないだろう。望まぬ夭折だろうか?
海里は街路樹の気持ちを探る。
生きていたら、人間でなくてもさまざまな感情はあるのではないか。
あれ?犬、関係無いんじゃない?
いやいやいや・・・
街路樹の最後の述懐は、なんだか宮沢賢治っぽい。
死ぬ時に誰かの幸せを願えるなら、それはきっと、幸せな幕切れなのだろうと思う。 -
今回の晩ごはんは特に切なく、見送る見送られる、大切な人がいるからこその別れで「寂しいけれど幸せ」という言葉が心に響いた。
-
淡海先生がご近所で見つけた孤独死の老人と
その飼い犬だった黒い老犬。
夏バテ気味だった淡海は
一時保護したその犬のおかげで
生活のリズムを取り戻したが
その犬に絡んで少し不思議なことが起きる。
記念すべき20巻目、ということですが
何か特別な事件があるわけでもなく
通常営業な感じですね〜。
まぁ、このシリーズはそれが心地よいんで。 -
海里の中に日々の経験が降り積もる。
降り積もったものがいろいろな人の温かさで
少しずつ解けていく。
そんなことが繰り返されて
海里も知らぬ間に
海里の朗読は人の心の奥まで届く
優しい力を手に入れる。
これまでも、そうしてこれからも
海里は内側から変わり続けるのだろう。
そうしてロイドは…やはり素敵だ。
-
-
久しぶりに海里たちに会えて嬉しかった。
大きな黒い犬に導かれた先で悲しい出来事が。
人ならぬ物?の思いが切ない。
いろいろな経験を経て、海里がまたひとつ成長していくのも良い。 -
芦屋の定食屋「ばんめし屋」で働く元俳優・海里は、
ある日、大きな黒い犬に出会う。犬はまるで海里を
導くようにある家へと向かう。海里はそこで悲しい
現実に直面し、そして犬の周りで不思議な出来事が…。 -
記念すべきシリーズ20冊目。ちょうど作中の季節が夏だったのもあって、すごく入り込んで楽しめました。
芸も食も、自分の内に取り入れていくものとしてすごく大切に描かれているような気がする。今回のお客様がとても可愛くてすきでした。 -
今回は犬を追って死体を発見するという、意外にミステリー風な話の始まり。ただ、亡くなった方のなぞときではなく、いつも通りの穏やかな、ばんめしやのメンバーと作家のストーリーだった。主人公の成長もゆっくり進む。
今回登場する幽霊は今までとは違う感じだが、ホラーではない。 -
今回は、夏神さんの出番少なめ。もちろん、重要キャラの地位は、変わらない。
ついに、人ではないものの、心残りまで救っちゃった。
意地悪な人が出てこない優しい世界。大好き! -
淡海先生と海里くんが出逢った黒い犬とのお話。
犬と飼い主さんを見守って来た存在もあり。
1冊通してストーリーが続いていて、読み応えありました!
ロイドさんも夏神さんも、いつもながらにいい関わりしてて。別れは悲しいけど、悔いなく別れられるって大事なことだな、と思いました! -
図書館にリクエストして、やっと届いた本。一気に読みました。面白いですね。
海里が、淡海先生の家で、朗読の練習をしている。夏で、淡海先生の食欲が落ちているので、夏神がサンドイッチを持たせてくれた。
そんな日の帰り、黒い大きな犬がやって来て、2人をある屋敷に誘う。そこには、犬の飼い主が…。
結局、淡海が犬を飼うことになり…
少し、不思議な現象が起こる。
犬の飼い主なのか?と思いきや…なんと、松の木。
犬と一緒に食事をしてみたいと希望して、実現して、成仏する。 -
皆良い人ばかりで海里も凄く努力しているのでニコニコしながら読める。海里が愛されてるなぁと思う描写も多くて嬉しい。
-
聴了。
20巻はまさかのわんこ回でした。今回もやっぱり切なくて暖かなお話です。新しい家族をお迎えした淡海先生は、健康的な生活を送ることになりそうです。続きはまだかなぁ。
著者プロフィール
椹野道流の作品
