インドラネット (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2024年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784041143209

作品紹介・あらすじ

平凡な顔、運動神経は鈍く、勉強も得意ではない――何の取り柄もないことに強いコンプレックスを抱いて生きてきた八目晃は、非正規雇用で給与も安く、ゲームしか夢中になれない無為な生活を送っていた。唯一の誇りは、高校の同級生で、カリスマ性を持つ野々宮空知と、美貌の姉妹と親しく付き合ったこと。だがその空知が、カンボジアで消息を絶ったという。空知の行方を追い、東南アジアの混沌の中に飛び込んだ晃。そこで待っていたのは、美貌の三きょうだいの凄絶な過去だった……

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは、平凡な主人公が行方不明の高校の親友を探すためにカンボジアへ旅立つことから始まる。彼の無為な生活やコンプレックスが描かれ、海外での経験が彼をどう変えるのかが見どころだ。物語は予測不能な展開を迎...

感想・レビュー・書評

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  • 桐野夏生『インドラネット』角川文庫。

    タイトルの『インドラネット』とはインドラの網ということで、物語が急展開する後半で説明がある。全く予備知識も無く読み始めたのだが、予測不能の展開と驚愕の結末に一気読みだった。読み終えてみれば、物凄く練られた小説だと非常に感心した。

    東南アジア独特の熱量、海外ならではの平和ボケした日本人が遭遇する危険的状況が桐野夏生の手により、見事に描かれている。


    年収260万円で働く非正規雇用の25歳になる八目晃はゲーム三昧の無為な生活を行なっていた。

    ある日、晃は実家の母親から近所に住む仲の良かった同級生の野々宮空知の父親が亡くなったという連絡があり、葬儀に顔を出す。空知はモデルのような風貌とカリスマ性を合わせ持ち、何故か平凡でクラスでも不人気な晃だけを特別扱いしてくれたのだ。

    晃はその葬儀に息子の空知と空知の妹の美貌の2人の姉妹の姿が無かったことに驚く。聞けば、空知も2人の姉妹も東南アジアに向かい、消息不明になっているらしい。

    晃は葬儀に出席していた安井と名乗る男から資金を出すので、カンボジアで消息を絶った空知と2人の姉妹の行方を探して欲しいと頼まれる。非正規雇用に嫌気を感じていた晃は仕事を辞め、カンボジアへと向かう。

    海外旅行は初めてで右も左も解らない晃に吉見というバックパッカーの女性が近付き、格安のドミトリーを紹介すると言われ、連れて行かれたドミトリーハウスで初日の晩に30万円を盗まれ、途方に暮れる。

    晃はカンボジアで同級生の空知と2人の姉妹を見付け出すことが出来るのか。3人がカンボジアに留まり、帰国しない理由は一体何だったのか。

    本体価格860円
    ★★★★★

  • 桐野夏生さん、文庫が出たらだいたい読んでます。
    本作は文庫の裏書に、「何のとりえもない非正規雇用の男性」が主人公と書いてあったので、社会的弱者を描き、問題提起するような作品かと思ったら、もっと壮大でした。
    主人公の八目晃が、高校時代に親しくしていた「空知」の父親の葬儀に行き、「カンボジアまで空知を探しに行ってほしい」という依頼を受ける。
    ダメ男、晃が実際にカンボジアに旅立つまでもけっこうイライラさせられ、依頼してきた男たちにも怪しいところがあり、ドキドキする展開。やっとカンボジアに着いたと思ったら、親切な人に助けてもらったりもするのだが、それもまた罠だった?と思うことになったり、大金をあっというまに盗まれたりして恐ろしい。
    カンボジアの建設業で成功した男に助けられたりもするが、その手下は日本の闇バイトとつながっているようでもある。
    闇バイト(振り込め詐欺)の拠点が東南アジアにあった…というニュースをここ数年で目にするようになったが、こういうことなのか?と興味深かった。(ある程度は取材して書いているはず)。
    晃とかかわる人たちの、誰を信じてよいのか全く分からない怖さがある。
    そして、追ってきた空知の正体がわかってくる。

    いわゆる民主化運動のカリスマ的存在だった人物の息子で、現政権にとって邪魔な存在であり、命を狙われていた…ということだった。
    政情不安定な国に暮らすということがどういうことなのか、政治的リーダーというのはときに、自分の意思でなるものではなく、周りから祀り上げれ、逃げ出せなくなるものなのか、など色々興味深かった。
    空知の行方を追ってついに、個人が所有しているという謎の島にたどり着いた晃。
    え?え?このあとどうなるの~!?と、最後どうなるか全く予測がつかないまま、残りのページ数が少なくなってドキドキした。終わり方が衝撃的だった…。


    ↓ネタバレ注意
    戦いの象徴に祀り上げれた?空知は、テロ?か何かで顔(眼球)も、手足も吹き飛ばされ、生きた屍のようになって、麻薬づけになって生きていた。はるばる会いに来た晃と心を通わせ、最後には「おれを殺してくれ」と頼む。
    晃はそんなの無理だ…ともちろん言うのだが、不自由な体の空知を胸に抱きしめたあと、「あ!」という間に崖に放り投げてしまうのだ。読んでいて「わ!」と言ってしまった(笑)。潔すぎる終わり方だった…。
    そして部屋に残った晃が、次の「象徴」になる?という気持ち悪ーい終わり方だった…。
    解説によると、コンラッドの「闇の奥」のリスペクト作品なのではないかと。怖いです。

  • 梲が上がらない現代的な男子がカンボジアで大人に成長する話。

    40代の私には全く理解できない主人公の価値観の展開に、文章の読み易さも相俟って、子供を心配する親のようにソワソワしながらイッキ読みしていた。

    ノンフィクション作家の高野秀行さんの解説に、小説の世界では「信頼できない語り手」という手法があるらしく、カズオ・イシグロ「日の名残」やコンラッド「闇の奥」などがその例と紹介されていた。「闇の奥」を読んでまたソワソワしたいと思った。

  • 【どんくさい主人公とはしる】

    テンポがよく、よどみなく読み進められて、気づいたら1日で読了していた。
    どことなく“どんくさい”主人公が、高校時代の親友(行方不明)を探しにカンボジアへ向かう。
    この主人公のどんくささと性格の悪さが絶妙で、なぜか応援したくなる笑

    物語が進むにつれて彼が少しずつふてぶてしく、たくましくなっていく姿がなかなか良い。

    ただ単に成長して結果よかったねで終わらない。
    その先にある後味が、想像をこえるダークだった。

  • 頼りない主人公が危ない旅に巻き込まれていく様子がとてもハラハラさせられて一気に読んだ。理解できそうに思えてやっぱり全然共感できない主人公の考え方。
    ダメ人間だった主人公も旅で色んなことを経験してラスト親友に会う頃にはしっかりした人間になって感動の展開かと思いきや、やっぱり相手の言動にすぐ流されて自暴自棄なまま変わってなかったのか…それとも親友の思いを汲んであげたということなのか。空知は“お前が次のソルになれ”とか言ってたけど重要人物の空知消えたら主人公殺されないのか?
    主人公はカンボジアのばあちゃんとか空知のことばかり気にかけて本当に心配してくれている日本の母親には金を無心するだけでろくに連絡もしないってとことん何かが偏ってる
    ラストだけゲームで唐突なバッドエンドになったときくらい急に幕が閉じられてしまった感はある。でも帯には「最後の1ページまで希望と絶望が反転し続ける」と書いてあったのでまさにその通りだった。
    総じてすごく楽しめました。めちゃくちゃ後味は悪いけどね

    これ語り合いたいけど、周りで誰も読んでくれそうな人いないかなしみ

  • 桐野さん作品初めてでしたが、旅行したことがあるカンボジアが舞台ということもあり、だいぶ引き込まれてグイグイ読み進めてしまった。終始、主人公に対しては「なんだこいつ」という感が拭えなかったけど、それでも世界の暗い部分、闇の魅力に抗えず、読み進めるとそれでもずっと不穏で、ハッピーエンドじゃないんだろうなと思わされつつもどういう終わりを見せてくれるんだろう…!っていうワクワクが増していった感じ。そして期待を裏切らない終わりだった。
    日本で少し退屈だけど、平穏な日々を暮らしていく人もいれば、それだけじゃ飽き足りなくて違う世界に飛び出していく人もいる。今平穏に暮らしていることは決して当たり前でなくて、一度踏みたがえれば全く違う世界があることを、普段見てみぬふりをしていたり、平穏に飼い慣らされてしまっていたりするけれど、結局全部自分次第なんだよなぁと思ったりする。。
    色々考えてしまうけど、とても面白かった。桐野作品また読みます。

  • 人に流されて生きてきたような主人公が旅を経験して強くなるのかと思っていたけど、最後まで流されていく生き方は変わらないんだな
    日本での生活もカンボジアでの生活もお金と暇があれば全く同じ生活になっていくところが笑える
    そういう生温い生き方が、周りの人達に騙される結果へと繋がるのか、、。

    それでもストーリーはすごく面白い!
    先が読めない面白さ
    果たして探し人には会えるのか
    そして衝撃のラスト

    全くハッピーエンドではないけれど読んでよかった

  • 一気に読んだ。続きが気になって仕方なく、なかなか止められなかった。

    カンボジア、ポル・ポト。
    国内も落ち着き、観光に関しては大きな問題もなくできる国になったと思っていた。
    やはり世界一治安の安定した日本に生まれ育って住んでいる自分は甘い。

    これ、本当に小説なんだろうか。
    桐野夏生氏の筆力を使ったドキュメンタリーではないんだろうか。

    悲しく、考えさせられるラストだが、余計に《あるかも》という気になり現実と物語の境界線がボヤける。

    途中、アジアの発展途上の国の美しい海と逞しい現地の人、複雑な政情、植民地時代の名残りを、作品を読みながら並行してスマホで検索していた。

    バックパックも自分の読書スタイルも、経済と政情が安定した恵まれた国に生まれた幸運があるからこそだ。

    バックパッカーって、時代は変わっても、どんなに慣れていても危険と隣り合わせだと実感した。
    そりゃそうか。みんな《特権》だと分かってやってるのか。

    《1番怖いのは人間の悪意》
    そこに異国の人か知人かは関係ない。
    むしろ分かりやすく悪意を向けてくる人は、こちらも対応を考えることができるのでそれほど思い悩むことではないのだ。

    1番怖いのは潜む悪意を表に出さず、親切で仲のいい隣人のフリをしてくる人。


    桐野夏生さん、すごいです!

  • めちゃくちゃに面白い…!!
    カンボジアが舞台であるが、神秘性や人間の闇についてもドラマティックに描かれていた

  • 202408/理由等も描かれてはいるけど、それでもこういう性格・能力の主人公がそれだけで海外に人探しに行くかなあとか、ここまで力がある黒幕達がわざわざとる手段や行かせる言い訳として用意してた設定がこれ(オペラだの結婚だの)って…とか、ちょっと納得いかない部分はあったけど、結局続きが気になるし面白くて一気読み。展開もラストもなかなか衝撃的。バックパッカーやブロガー達の描写も秀逸で、こういうサブキャラ達の外見や言動が、より物語を息づかせている。

  • ついつい小説を読む時、主人公はまともな人間であると読み進めてしまいがちだ。でも、こいつはグズである。金をもらって海外に行く約束なのになかなか行かない。暴力的だとかサイコパスだとかではなく、同じ世界にいそうなグズだからヤキモキする。

  • 冴えない男性が、かつて慕情を抱くほど憧れており、消息を絶った親友を探しにカンボジアへ旅立つ。
    入れ替り立ち替りに示される手掛かりに(これは…どこに連れて行かれるんだ…?)とハラハラしました。
    「スリリングな旅物語が好き!」て人におすすめです。読み応えありますがスルスル読めます。

    中盤に衝撃の事実が判明し「待って!まだ作品半分あるよ!?!?」となり、終盤の展開に「待って!もうあと数ページで終わるんだけど!?!?」となりました。笑
    劇的な着地でしたが決して物語が破綻してるわけではないのがすごい…

    ネタバレせずに一言で感想を纏めるなら「旅は人を……変えますね………(???)」

  • こんなに悲しいことってない。
    カンボジアまで探しに来た親友を、自分の手で最期を迎えさせなければならないなんて。
    これまでの晃の人探し旅は、こんな形で終わるのが正解だったのか。親友だからなのか。

  • 野々宮父の死/シェムリアップの夜の闇/
    ニェットさんの青唐辛子粥/さらば青春/
    冷たい石の下には/インドラの網

    晃くんに届いた知らせから
    思いもよらない彼の旅が始まる
    行き当たりばったりで
    いい加減で
    ある意味 格好悪い 旅が
    いい加減帰ったら?と何度思ったことか
    思いがけず粘るのだ彼は、弱気ながら

    行きついた場所でズルズルと過ごして行くのかな、彼なら

  • 24.8.25〜26  福岡から帰る飛行機と通勤電車で
    「女性蔑視弱者男性主人公。きらいだわー。」と思いながら、卑屈で逃げ癖があり怠惰、自分のだめな部分と重なるところを見せられるたびにすごい嫌悪感を感じつつも物語がどう動いていくのか気になって気になってページを捲る手が止まらなかった。
    誰も味方はいない。最初からすべて嵌められている。外国で日本人や日本語を解する人に親切にされたらそりゃ心開いてしまうよね。お婆ちゃんにも騙されていたことは相当にショックだったけど、あんな苦境を生き抜いたお婆ちゃんからしたら何の苦労も知らない怠け者なんていらついて痛い目見て当然くらいに思ってしまうかもな。
    ラストはすごく悲しいし、想像だにしなかった結末だけど晃の空知への愛はひたむきでとてもよかった。
    空知はどうして高校時代晃と仲良くしてたのかな。

  • 主人公が危なっかしいというか、結構ハラハラドキドキさせられた。初めての海外一人旅で危機感ないのが怖かった!笑

  • 一気に読めた
    展開が適度に速くてとても面白かった
    ハッピーエンド!ではなく薄暗い終わり方

  • 高校時代、唯一と言って良い親友且つ家族ぐるみに仲良しだった美男子「空知」が、大学生になって突然日本から出国し、そのまま行方不明に

    空知には姉妹が2人いて、その2人とも超美人

    その後、主人公の八目晃は社会人になるも冴えない契約社員になり、冴えない日々を送っている最中

    ある日母親から、空知の父親が亡くなったと連絡が入って、お通夜に参列

    そこで出会った怪しい男から、空知の行方を探しにカンボジアへの渡航を打診され…

    八目晃のダメっぷりが際立つ内容なのですが、カンボジアで捜索を進める中で逞しさは増して行きます。でも、選択する手段がことごとく的確ではなくて、でも偶然すぎるくらいうまいこと行って、うまいこといくのにも理由があって、どんどん深い闇にハマって行って、最後はまさかの展開でした

    絶えず、疑心暗鬼になりながら最後まで読め通す感じの内容でした。読んでいて少し疲れるし、出来過ぎでは?と思う展開の連続なのですが、最後にその理由も明らかになったりして、展開としては納得感あり、面白かったです

    どこまで真実かわかりませんが、カンボジアの描写も妙にリアルでした

  • いやぁー面白かった。
    平凡でうだつの上がらない契約社員の晃。高校時代に親しくしていた野々宮兄弟の父親の葬式に参列したことから空知を探す旅に誘われカンボジアに向かう。
    カンボジアで起きる出会い、再会。それは仕組まれたものなのか、また空知に会うことはできるのか最後の衝撃の展開に瞬読した。

  • 一気に読めた。
    カンボジアの描写が秀逸で情景が容易に思い浮かんだ。
    ダークでロードムービー的な側面は個人的に村上龍の歌うクジラを思い出した。

    物語の後半、三流私立大学卒業の派遣社員風情がカンボジア現地人や欧米人とよく会話するのだが、そんな都合よく英語?で会話できる?と思ってしまうのは野暮なのか

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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