流浪地球 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2024年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041145579

作品紹介・あらすじ

●ぼくが生まれた時、地球の自転はストップしていた。人類は太陽系で生き続けることはできない。唯一の道は、べつの星系に移住すること。連合政府は地球エンジンを構築、太陽系脱出計画を立案、実行に移す。こうして、悠久の旅が始まった。それがどんな結末を迎えるのか、ぼくには知る由もなかった。「流浪地球」
●恒星探査に旅立った宇宙飛行士は先駆者と呼ばれた。帰還した先駆者が目にしたのは、死に絶えた地球と文明の消滅だった!? 「ミクロ紀元」
●世代宇宙船「呑食者」が、太陽系に迫っている。国連に現れた宇宙船の使者は、人類にこう告げた。「偉大なる呑食帝国は、地球を捕食する。この未来は不可避だ」。「呑食者」
●歴史上もっとも成功したコンピュータ・ウイルス「呪い」は進化を遂げた。酔っ払った作家がパラメータを書き換えた「呪い」は、またたく間に市民の運命を変えてしまう――。「呪い5・0」
●高層ビルの窓ガラス清掃員と、固体物理学の博士号を持ち、ナノミラーフィルムを独自開発した男。二人はともに人工太陽プロジェクトに従事するが。「中国太陽」
●異星船の接近で突如隆起した海面、その高さ9100メートル。かつての登山家は、単身水の山に挑むことを決意。頂上で、異星船とコミュニケーションを始めるが。「山」

みんなの感想まとめ

多様な短編が収められたこの作品は、SFの枠を超えた深いテーマを探求しています。特に「流浪地球」では、地球を脱出するための壮大な計画が描かれ、非日常的な状況がもたらす感動と人類の歴史への思索が絡み合いま...

感想・レビュー・書評

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  • 奇想天外な設定、壮大で予想不可能なストーリー、そしてシュールな結末……
    劉慈欣老師の描くスケールの大きな世界はやっぱり面白い。

    なんというか、他の作家が描けばふざけているとしか思えないようなとんでもない設定でも、劉老師の手にかかると一変する、みたいな。
    チープに転びかねない荒唐無稽な要素がスケールの大きなわくわくするドラマチックな物語になってしまうのだ。それだけではない。ちっぽけで愚かな人間たちへの愛しさや哀しさもにじみ出る、ロマンあふれる作品へと昇華されていく。

    巻末の“SFと「科幻」――劉慈欣文学の魅力”に書かれていた解釈には深く頷くものがあった。
    「科幻」系の国々では、“SFといえども、現実の自国政府とは無縁な「幻想」つまり浮き世離れしたファンタジーでなければならない。”
    “科幻は、現実社会との間合いに対する深謀遠慮を余儀なくされる反面、想像力の面では幻想の特権をフルにいかすことができる。”
    “そもそも、およそ三千年の歴史をもつ中国文学の歴史において、歴代の知識人や作者は、国家権力の統制の網の目をくぐるクレバーさと、現実をのみこむ気宇壮大な想像力をあわせもってきた。”

    私は中国文学といえば主に中華BLを読むのだけれど、読めば読むほど「中国だからこそ」生まれた独特の世界観に圧倒され、作家の方々のクレバーさや想像力の豊かさに感嘆し、気づけば中毒になっている。

    中国SF界では劉慈欣文学がその究極形のような存在だと思う。
    誰にも思いつかないような想像力と人間の未来・現在・過去を見つめる聡明な視点には、ただただ感服するばかりだった。

    「流浪地球」
    地球にエンジンをつけて動かすという……絵で描くと笑ってしまいそうになるのだけれど、結末はなんともシュール。
    「ミクロ紀元」
    2万5千年の時を経て、ついに懐かしの地球に帰還した小型探査船のクルーを出迎えた想像もしなかった人……?
    「呑食者」
    地球文明が家畜化の危機にさらされる。「偉大なる呑食帝国は、地球を捕食する。この未来は不可避だ」。
    「呪い5.0」
    無害なはずのコンピューターウィルス「呪い」が進化を遂げ、ついには市民の運命を変えてしまう。
    一番馬鹿らしくて面白かった終末SF。
    「中国太陽」
    人間ってなんかすごいなぁと感動した。
    中国の社会問題(都市部と農村の格差)が描かれ、大都会で夢をつかんだ“盲流”が、やがて中国の宇宙開発を支える“鏡面農夫”となる夢と希望に満ちた未来。
    「山」
    “泳いで”山に登る……かつての登山家。

  • 『三体」の作者劉慈欣氏の短編集。読み応えありました。
    「山」という作品が私は一番好きです。続いて「呑食者」「呪い5・0」も好きだなぁ。
    思考の枠を外してくれるようなお話が好きな人はぜひ一読を。

  • なんというか、懐かしい読後感。
    SFにちょっとはまりはじめた頃に
    読んでワクワクした「非日常」な感じの。

    普通に考えてありえないもんね。
    地球に推進装置つけて太陽系脱出するとか。
    それが出来てしまえるように思える
    この押し切り方!
    いいわ。
    でもポイントはガジェットじゃなくて
    それに関わる「人類史」のウェットさ。
    わかっているのに涙腺を刺激する。

    という表題短編『流浪地球』の他
    地球が家畜牧場化されそうになる『呑食者』や
    宇宙開拓物語『中国太陽』のノスタルジー
    『ミクロ紀元』は、ちょっとピ○ミン想像し(笑)

    『三体』読む前の助走として良かったかも。

  • ・感想
    読み終わるのに時間がかかってしまって既に若干内容を忘れてしまっているものもあるけど、特に面白かったのはミクロ起源、呑食者、呪い5.0、中国太陽。
    山が設定の羅列みたいな感じでイマイチノリきれず読み終わるのに時間かかってしまった…。

    どの作品もやっぱり作者らしい寂寞の感?というか失いつつ諦めつつ無くしつつも続いていく、そして終わって、また始まっていく…という作風。
    特にラストでいうと呑食者と中国太陽が最高だった。こういうの好き。

  • 「三体」のような奇想天外なハードSFの様相を見せながら(飛躍しすぎて、文章を頭の中で映像化できなかった泣)も、筒井康隆を思い出させるような、ばかばかしさとユーモアがあった。
    硬軟どちらもいけるのが劉慈欣なんですね。
    「中国太陽」のアメリカンドリームなストーリーが一番良かった(中国製アメリカンドリーム)

  • 稀代のハードSF作家の短編集。呪い5.0が断トツに良かった。筒井康隆っぽいシニカルとドタバタあり、阿部和重っぽい視点のミクロにもマクロにも動ける機動力があり、めちゃくちゃ好きだった。他のも普通に作者の作者たる部分が出ててよかった。

  • 目次
    ・流浪地球
    ・ミクロ紀元
    ・呑食者
    ・呪い5・0
    ・中国太陽
    ・山

    『三体』シリーズで壮大な世界を見せてくれた劉慈欣の短編集。
    『三体』のなかでも、歴史小説風、ゲームの世界風、恋愛小説風等、様々なテイストがありましたが、短篇集はそれをもっと純度を高くしたような感じでした。

    『流浪地球』は、ぜひ萩尾望都のマンガでも読みたい。繊細な心理描写と、茫漠たる世界。
    断片的だけど萩尾望都の絵が脳内に浮かんでくるの。

    『ミクロ紀元』は、フレドリック・ブラウンをマンガ化した波津彰子かなあ、坂田靖子かなあ。
    現実を淡々と受け入れるか、飄々と受け入れるかで、読者の受け取り方も変わってきそう。

    『呑食者』の、こういう展開は初めて読んだような気がする。
    そうか、こう来るのか。
    『ミクロ紀元』といい、これからの世界は、小さいことはいいことだ(省エネだ)になりそうだ。

    もしかするとユーモアSFなのかもしれないけれど、一番怖かったのは『呪い5.0』。
    世界中がインターネットで繋がれ、データがクラウド上に置かれ、AIがプログラムを自動生成できる時代…って今じゃん!
    悪意を持った誰かが巧妙にその悪意をプログラミングすれば、あとは自動的に悪夢が増殖していく。
    怖すぎる。

    ”いまの車はすべて自動運転で、インターネットが運転手だ。乗客はタクシーに乗るときにクレジットカードを読み取らせる。このとき、「呪い」2.0の新機能は、クレジットカードから乗客の名前を読み取る。(中略)殺す方法は枚挙にいとまがない。もっとも簡単なのは、タクシーを建物に衝突させたり、橋から転落させたりすることだ。”
    これで2.0。

    4.0になると、医療データを改ざんして、違う薬を(何なら毒を)処方する。
    または治療しない。
    メンタルを刺激して、自ら命を絶つ後押しをする。
    そして5.0は…怖い!
    逃げ場なしです。

    『中国太陽』は、『三体』のエピソードに組み込まれてもおかしくないね。
    中国の片田舎で、ろくに学校にも行けなかった青年が、徐々に活躍する場を広げていく話。

    人生の目標その1――まずくない水を飲み、金を稼ぐ
    人生の目標その2――もっと明るく、もっと水がうまい街に行って、もっと金を稼ぐ
    人生の目標その3――もっと大きな街に行き、もっと大きな世界を見て、もっと金を稼ぐ
    人生の目標その4――北京人になる
    人生の目標その5――宇宙に飛んで太陽を拭く
    人生の目標その6――星海を航行し、人類の目を再び深宇宙に向けさせる

    主人公の水蛙(シュイワー)と一緒に、わくわくしながら世界の広がりを楽しんだ。
    この話、好きだなあ。

    『山』は、一番SFの魂を持った作品と思いました。
    高みを目指すことなく、発展はない、と言われると、高所恐怖症の私としては人類の皆さんに「ごめんなさい」というしかないけど。
    でも、「知りたい」「見てみたい」という欲が、科学や技術や文明を進歩させてきたということには同感です。
    だからといって、山には登りません。

  • おもしろいなあ。短編集ですが、どの話もギッチリと世界観とキャラクターが練られていて、ちゃんとSFなのに分かりやすくて読みやすい。

    ■流浪地球
    地球にエンジンをつけて太陽に飲み込まれる前に太陽系外に脱出しようというお話。50ページくらいのお話にこれだけ壮大な世界観を盛り込めることがスゴイ。何世代にも亘る永い時間軸の物語。

    ■ミクロ起源
    流浪地球の続き?と思うようなお話。遥かな時間の後に地球に帰還した飛行士が見た地球は、一見壊滅しているように見えたが、実はミクロ化した省エネ文明が栄えていた。物理スケールは小さいけど、お話のスケールは大きい。

    ■呑食者
    惑星を食べてペッと吐き出す「呑食者」にとりつかれてしまった。一発逆転なるかという展開がアツイ。

    ■呪い5.0
    おバカSF?作者さんの遊び心に溢れた呪いのSF

    ■中国太陽
    衛星軌道上に鏡面マシンをおいて人工太陽とするお話。鏡面の清掃や物理調整が重要で、その役わ担ったのはスパイダーマンと呼ばれる高層ビル窓拭きの男たちだった。
    学歴や出身地による格差問題を織り交ぜつつ、ホーキング博士まで登場して、だんだんスケールが大きくなっていく様がアツイ。

  • 別の短編集である「円」と比べるとコミカルな作品が多かった印象だった。
    本当に「地火」や「栄光と夢」と同じ作者か疑いたくなる。
    「呪い5.0」のばかばかしさが最高だった。

  • 我らが大劉こと劉慈欣、バカSF炸裂。
    いやもう、読みながら「バリントン・J・ベイリーみたいだな・・・」と、我ながらちょっと極端だなぁと思える感想を抱きながら読んだんですけど、あとがきで大森望氏が正にその通りのことを書いていて、決して極端な感想ではなかったのだな、と安堵しましたヽ( ´ー`)ノ

    とにかく針の振り切れまくった作品ばかりで、その振り切れ具合に大笑いさせられつつも、根底に重厚なハードSFの骨格があり、そのどこかに豊かな詩情とペーソスを感じるのが、さすがの大劉節です。
    ・・・とまとめたいのに、それを妨げる「呪い5.0」の破壊力といったら(笑)作中に「SF作家の劉慈欣」が登場してSF超大作「三千体」を刊行する、という、どこからどう突っ込んでいいのかわからなくなるほどのはっちゃけっぷり。でも、ちゃんとSFしてるんですよー皆さん。置いていかれないように注意しましょうねー。

    「三体」シリーズとは別の意味で、ぶっ飛ばしてる短編集です。同時に角川文庫で発売された「老神介護」も超楽しみ!

  • これぞSFというような作品で、どれも面白かった。根っからの文系人間なので物理のことは詳しくないのだけれど、それでも科学の偉大さと恐ろしさを感じた。現実離れしているけれど、物理的には突拍子もない話というわけではないのだろうと思った。それがとても面白い。
    特に最後の『山』の設定はとても面白かった。ただの空間として惑星を定義して、宇宙を固体とする概念は、天文学や物理学的には有名なものなのだろうか?初めて知った自分には衝撃的な考えで、さらに空間至上世界に起こるだろう問題や戦闘など、想像力の限界の外側からぶん殴られるような衝撃を受けた。

  • それぞれの話の発想にまず感心しつつ読み始め、そんなことを忘れて熱中していると巧みな結末に改めて感心させられてしまう。

    難しい科学的背景を感じるが、それが読むのを邪魔することなく、むしろ楽しみを増すスパイスになっているのもいい。

  • 第11回ビブリオバトル全国大会inいこま予選③オンラインで発表された本です。
    2026.2.1

  • お気に入りは『呪い5.0』と『中国太陽』

    『呪い5.0』
    なんかこれだけギャグでおもしろい
    ラストシーン脳内で映像化するとめちゃくちゃ笑える

    『中国太陽』
    親子ものに弱いので泣いちゃった

  • 『呑食者』が良かった
    ハラハラドキドキの侵略者との宇宙戦争、勝ったか、と思わせてからの
    エピローグ 帰還 の展開に震える、そんな終わり方をするのかと
    最後の一節の情景の美しさに涙が出ました
    「その静けさの中で、地球は蘇った。」

  • ミクロ紀元 良かった

  • 「三体」で知られる劉慈欣の短編集。どの作品も壮大でスケール感あふれるアイデアが詰まっていて非常に読み応えがあった。

    宇宙人の襲来や太陽の爆発といった多様なシナリオで地球が滅亡の危機に瀕し、登場人物たちが極限状況の中で揺れ動く心理がリアルに描かれている。

    全体を通して外れのない充実した内容だが、中でも作者自身が登場する異色のコメディSF「呪い5.0」は、独特のユーモアが際立っており、印象深かった。

  • 面白い。ロマンを追い求める作品が多かった。特に山なんかは知的生命体が知的生命体である所以として知的好奇心を華々しく描いており、なかなかに胸に来るものかある。また、中国太陽は農村出身の窓ガラス清掃員があろうことか宇宙空間にまで行くという壮大なストーリーであり、夢を忘れないことの大切さを教えてくれる。おおむねこのような評価ができる良い作品軍。呪い5.0は微妙。


  • 船の進む描写がよい

  • 「三体」、「円」(短編集)ともにとても面白かったので、新年最初に手に取った本
    面白かった!
    この本でも、ミクロ視点とマクロ視点の切り替えが毎回実に鮮やか
    ホラーが苦手なので、タイトルからしておどろおどろしい「呪い5.0」は読み始めるのに心構えが必要だったんだけど、ホラーどころかコメディ…?で面白かった!…と書きたいけど書けないような…
    突然の九州シリーズ創始者のひとりがモデルになってる登場人物とか、やっぱり面白いといえば面白いかな
    (九州シリーズは、ドラマ「九州縹緲録」と「斛珠夫人」視聴済)
    1番好きなのはこれ!って即答できないくらいどれも面白かったけど、あえて選ぶなら中国太陽…いやミクロ紀元…やっぱり選べない!

    解説もとても良かった

    次は「老神介護」を読む
    こちらも楽しみ

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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