本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784041146378
作品紹介・あらすじ
超長期睡眠を使い、遥か先の未来を記録し続ける職業「未来経過観測員」。借金返済のため、未来経過観測員となったモリタは、百年ごとに一度目覚めて人類史を観測することになる。希望に満ちた未来を期待していたモリタだったが、あるとき目覚めた未来で人類絶滅の危機に遭遇してしまう。進化したAIとバイオテクノロジーが生み出した不死身の怪物が地球上を埋め尽くしていたのだ。モリタは球体型のポストヒューマン・ロエイと共に地球を離れ、未来の観測を続けながら宇宙に安住の場所を探すことになるのだが……(「未来経過観測員」)。表題作ほか全二作を収録。
みんなの感想まとめ
未来を旅する職業「未来経過観測員」をテーマにしたこの作品は、次々と変わる未来の情景と人類の存続をかけた冒険が描かれています。主人公モリタは、借金返済のために未来を観測する職業に就き、希望に満ちた未来を...
感想・レビュー・書評
-
web小説サイトカクヨム掲載未来経過観測員(長編)、書き下ろしボディーアーマーと夏目漱石(短編)の2編を2024年3月角川書店刊。三体世界をも凌駕する時空世界での謎と冒険は衝撃的でハイレベル。文句なしの良く出来た楽しい作品です。短編の方はあまり面白くなかったです。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昨年3月の発売を待って購入したものの、なぜか積読コーナーへの配属が決まる。たぶん本書以外に読みたかった書籍があったのだろう。それから9カ月後、あるSFのコラムで本書を紹介していたのが目に留まる。あらすじを読むと掴みは意外とバッチリだったので、面白くなって読み進めた・・・待てよ、このままでいくとあらすじだけ読んで本書を読んだ気になって、本書は読まれないまま永遠に眠ってしまうのではないかと考えた。いかんいかん、ここは心を鬼にして、あらすじを読むのを強制終了した。そして早速1月の読書計画に最優先でねじ込んだ結果、めでたく今年のSF小説読了第1号となった。
まずは、簡単に序盤のあらすじのみを紹介しておく。
超長期睡眠を使い未来を記録し続ける職業「未来経過観測員」。借金返済のため、未来経過観測員となったモリタは、100年ごとに目覚めて人類史を観測・記録する。ところが300年後、人類絶滅の危機に遭遇してしまう。AIとBiotechnologyとが絡み合った(融合した)怪物BAI体が地球上を埋め尽くしていた。さて、モリタとアシスタントの球体型ポストヒューマン・ロエイはこのディストピア社会にどう立ち向かっていくのか?
実に読み易い。最初からストーリーが頭に入って来る。まあ、序盤のあらすじを既に読んだ影響かもしれないが、ハイペースでページが捲られていく。ところが、怪物BAI体があまりにも強すぎで、モリタ達は太陽系外に敗走する。でも、未来を記録することは継続する、なぜならそれが仕事だから。そんなことやっている場合ではないのに。そしてこの頃からストーリーが場当たり的になり、ストーリー構成が一気に崩れてしまう。斬新なアイテムを次々とつぎ込むものの、それらの結びつきがいまいち弱い。語り口も急に平易なものになり、文章の緊張感が一気に低下してしまった。最後に無理やり辻褄を合わせて体裁を取り繕うものの、大騒ぎをした割には、とてもとても感動的な結末とはならなかった。
残念ながら、各アイテムを最大限生かしきれなかったが、このまま埋もれてしまったのでは実にもったいないので特別に抜き出しておきたい。
〇 怪物BAI体に対抗すべく開発されたのが、全てAIが生み出したBX(ブラックボックス)テクノロジー。後に、ポストヒューマンのロエイがこのBXテクノロジーによって生まれたことが仇となってしまう。
〇 移住先は、プロキシマ・ケンタウリの第二惑星b。懐かしい、この名前を見たのは数十年ぶりだ。この星は実在しており、とても親しみを感じる。
〇 時間巻き戻し植物
〇 生臭い口臭を撒き散らす大口の本当の名前はトスカニーニだって。指揮者か!
〇 怪物BAI体を難なくやっつけたのは上さん(「かみさん」、ではなく「うえさん」)。神様(かみさま)のようなもの。
〇 上さんの素晴らしいワームホール情報・物質転送技術
〇 地中のダイヤモンドは発見されなければ存在しないのと同じ。おいおい、そんなこと言ったら、今の現実社会だって本当に存在しているか判らないぞ。私の周りにある景色は北朝鮮のように全て張りぼてで、私の周りにいる人は大人数の私専用の劇団員かもしれない。更に言えば地動説は真っ赤な嘘で、本当はこの世は天動説の世界かもしれない。
〇 AIがある宇宙は悪い宇宙。
〇 「モリタ君、悪いが君は・・・ただの人間だ」 こんなこと言われたら、私だったら「うるせぇ!いいかげんにしろ!」と怒鳴り散らしそう。
〇 AI(デジタル)に対抗できる唯一の武器がアナロギアン(アナログ)
う~~ん、あらすじ全部読んでおけば良かった。
最後に、30ページ弱の書き下ろし短編集「ボディーアーマーと夏目漱石」が添えられているが、実に引き締まった文章で、長編よりは格段に優れていると思う。基本的にこの作品ではアイテムがボディーアーマーの一つだけである。この様なスタイルの中・短編を沢山書いていく方が作者にとっては良いのかもしれない。主人公二人の本への感情移入も良く書けているし、ラストの主人公の心理的描写も卓越したものを感じる。
著者は有名大学の理系出身の漫画家。最近小説を書き始めたようだ。理系ならではのアイディアが豊富で、一つの作品に複数の、数多くのアイディアを詰め込むのは実にもったいない。湯水のごとく溢れ出すアイディアを有効的に活用するのであれば、長編より中・短編の方が合っているかもしれない。また、もう少し文章の構成力を磨けば、大化けする可能性を秘めている。作者は漫画家でもあるので、作品中にイラストを散りばめれば、もう少し作品全体を楽しめそうな気がする一方、もしかしたら敢えて文章だけで勝負したかったのではと推察もできる。今後、本書のコミックスを出す予定はあるのだろうか。もしそうであれば、必ず購入することをここに宣言する。 -
次々と移り変わる未来、行き着く先が見えないストーリー、これぞSFという面白さに満ちた長編小説。未来を予測したSFは半ば当たり前ですがその面白さを詰め込んだ構成となっています。分かりやすく読みやすい構成とテンポの良さも魅力。多くの人に読んで欲しい佳作。一気読み必至。
-
最後にオマケで付いてた短編「ボディーアーマーと夏目漱石」も面白かった
-
ストーリー全体としてはつまらなくはなかったです。AIの力で便利道具がすぐ出てくる、そして食料や動力源に困らないご都合設定に魅力を感じませんでした。ほとんど寝てた人がバディだとか言い出すのも唐突で感情移入できませんでした。
-
ネタは悪くないが小説になれてないような。この人の漫画も漫画原作作品も好きだが、それらとは違う技術が必要な、違う長所をもつ、物語を紡ぐ形式であるという事を掴んで生かしているようには感じられなかった。残念。「文字で書いて連ねれば済む」訳じゃないんだ。描写力も構成力もいるんだ。
-
【読書メモ】
国の未来を観測する未来経過観測員になったモリタがコールドスリープを駆使し5万年の定点観測に従事するが……という話
とにかく不思議な話でAIモチーフは正直安心感はあるが、観測と存存とをうまくからめる展開は面白かった
ただ、結局人は一人では生きられないっていう結論は安易に感じるかな
未来に行って元に戻る(笑)というのは予想外というか驚愕というか
なお、「可算できない無限」と「1+1=2が宇宙不変の原則」についてはかなり疑問
【以下再読のための備忘】
・「つまり、ロエイはある意味今も時計台なわけだ。だからこうやって、仕事初日の参拝をしたわけさ」 -
関係性ができた中盤からが読みやすかった。ある意味SFのファストフードみたいな作品。
「ボディアーマーと夏目漱石」の死生観の爽やかさは良かった。 -
カクヨム初の本らしい。
-
第141回天満橋ビブリオバトル テーマ「自己」で紹介した本です。
2024.11.20 -
傑作! 未来経過観測員に立候補した主人公が,観測装置ではなく人間がコールドスリープを繰り返すことで[n*100]年後の世界を記録していく話。
人間は,地球は,宇宙は,世界はどうなっていくのか。
どんどん壮大になっていくSFの醍醐味が小気味の良いテンポで味わえる傑作!
巻末には終末を描く本編とは別の短編も。
タテの国の漫画もすごかったけど,ぜひこれからも田中先生のSF小説読みたいです! -
2024.07.19 社内読書部で紹介を受ける。冷凍睡眠で100年後に行く。
-
楽しそうなあらすじと良い評判につられて読んだが、自分には合わなかった。主人公モリタが意志薄弱でロエイに少女のアバターがついてからがっつき出したように見えてあまり愉快ではなかった。その他の登場人物もSF的な説明もハッタリが効いておらず都合の良い舞台装置になってしまっている印象。もう一つの短編も都合の良いボーイミーツガールでそういう作風なんだなと思った。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
田中空の作品
本棚登録 :
感想 :
