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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784041146576
作品紹介・あらすじ
鎌倉時代、都でつつましく暮らす老侍。その正体は、かつて都中の人々に恐れられた大盗賊・小殿だった。足を洗った彼に興味を持ち、話を聞きに来た下級貴族の橘成季と仏師運慶、少年僧侶明けの明星の三人に、小殿はかつてある貴族の屋敷から真珠を盗んだ話を語る。客人三人は不可能と思える盗みを成功させた手口の謎解きに挑むのだが……。後鳥羽院、慈円、大姫ら鎌倉時代の重要人物たちが彩る、伝説の大盗賊をめぐる歴史ミステリ。
みんなの感想まとめ
鎌倉時代を舞台にしたこの作品は、伝説の大盗賊が語る過去とその謎を中心に展開します。物語は、老侍として静かに暮らす小殿が、興味を持った三人の客人に盗みの手口を語る形で進行し、各章が読みやすくまとまってい...
感想・レビュー・書評
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最近お気に入りの作家さんの新刊。
これまで平清盛の異母弟・平頼盛、歌人・藤原定家を探偵役として謎解きに挑む形式の作品が続いてきたが、今回は趣向を変えてある。
主人公はかつて伝説の盗賊・小殿(ことの)と呼ばれ、今は検非違使の奉公人となった老人。
彼が盗賊時代のエピソードを客人である橘成季、明けの明星と呼ばれる訳ありの若き僧侶らに語りながら、謎かけをする。
貴族の家から身体検査を潜り抜けいかにして真珠を盗み出したのか。
刃物を持たぬ悪僧が、どうやって仲間の僧の喉を切り裂いたのか。
船の中で次々仲間たちを殺していくのは敵対する海賊なのか、それとも船の中にいる仲間の誰かなのか。
書庫に閉じ込められるという窮地に陥りながら、いかにして源氏物語全巻を盗み脱出したのか。
そして盗賊になるきっかけとなった叔父殺しはどのようにして成し遂げたのか。
聞き手が運慶、栄西、慈円、後鳥羽上皇に、かつての探偵役まで登場して楽しい。
ただ何となく明けの明星はあの人なのかな、と思いつつ読んでいたら、最後の話がまさしくあの歴史的事件を彷彿とさせる話だったのでやはりそうかと思ってしまった。
小殿はかつての自分の所業を深く悔やみ、武勇伝としてではなく悪行悪果として語っているのだが、周囲の人々、特に明けの明星にとってはそのようには受け止めてはいないようだ。
毎回謎かけを楽しみに聞いているし、結局は解けないのだけれどああでもないこうでもないと考えることを楽しんでいるようだ。
一人上皇はいくつかの考えを披露し、近いところまで行っているが真実を言い当てるところまでには行かない。
小殿がどのように自分の悪行を悔やみ、自ら検非違使の元に名乗り出ることにしたのかは明かされていない。
だがそれなりのきっかけがあったのだろうとは思われる。
通りすがりの女性が心配し優しくかけた言葉が小殿を盗賊にし、その悪行を悔やんで検非違使に名乗り出れば、罰せられることなく許され、検非違使の元で穏やかに暮らしている。
だがそのことで小殿は余計に苦しみ、そのエピソードを語ることで悪行が何かしらの善果になれば良いと願っている。
だが結局それは違う方向に行ってしまう。
何とも不思議な読後感の物語だった。
その中でもかつての探偵役が年を取ってもそのままのキャラクターでいてくれて、彼らしい罰を小殿に与えたのは少し救いだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか面白かった。
あまりミステリでは描かれない時代を書いてなおかつミステリ的面白さを出す。
いいですね。
2884冊
今年112冊目
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ラストまで味わうと明星が小殿から何を受け継いだのかがわかり切ない
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伝説の盗賊が語る過去と謎かけの話。
1章ごとにすっきりまとまっていて読みやすく、小殿の語りと聞いている側のやりとりもテンポが良くてとても面白かった。
最初から最後まで「因果は巡る」。思わず唸ってしまった。 -
鎌倉時代、かつて名うての盗賊であった小殿は穏やかな隠居生活を送っていた。そこに訪れる様々な人たちに小殿が語るかつての悪行と、それにまつわる不可解な謎解き。読みやすくしかし読みごたえもある連作歴史ミステリです。
謎解きの魅力はもちろん、小殿の話を聞きに来る歴史的有名人たちのキャラクターも面白いです。特に上皇さまのお茶目さがツボでした。そして「明けの明星」もまたきっと有名な誰かなのだろう、と思っていたら……!
お気に入りは「?倒」。かつて救われた少女に恩を返すため、正倉院に盗みに入った小殿。そこで出くわした殺人事件の謎を描いた本作ですが、しかしその後明かされた別の謎が何とも切なくて印象的でした。
「妖異瀬戸内海」は、海賊船の上で仲間が一人ずつ殺されていく、というサスペンスフルな物語でもあります。犯人当てとしての出来も見事だけれど、そこからさらに一歩踏み込んだ真相もまた見事。そして「雪因果」からラストにかけての物語があまりにも……まさしくこれは因果なのでしょうか。 -
推理小説の舞台が
鎌倉時代の不思議な小説。
面白く読めたが、謎解きのための
伏線がくどく感じられるところも。 -
舞台は歴史小説には珍しく鎌倉初期。鎌倉殿と言われた頼朝のむすめ大姫が登場したりする。
年老いた天下の大泥棒が昔語りを所望され語る相手はいずれも時代を代表する大物たち。その語りには謎が仕掛けられており、語り手の元大泥棒がみずから種明かしをしていく。いろいろな趣向があってなかなか楽しかったが一番の驚きは最後の1行だった。 -
鎌倉時代、暗躍した盗賊が過去の盗みの話をする。客は橘成季、慈円、運慶、後鳥羽上皇ら。
面白かった。高価な真珠を盗んだり、正倉院に忍び込んだり、瀬戸内海で海賊に襲われたり、まさに波乱万丈。 -
鎌倉時代の大泥棒.小殿が、若き頃の犯罪を後悔し検非違使別当に許され、好好爺となりかつての悪行の話を貴族や仏師、上皇にまで語る物語。
元盗賊小殿の様々な悪行の顛末を面白がり、推理を伴った話にしてそれらを集まった人々が解き明かしていくが…。
今が後悔して正しい人間になっているから、過去の悪事を肯定してしまう、そんなおかしな状況なのだが、殺人も含まれた悪事に正当性まで与えてしまう話の運びが面白い。
時代の正義側にいる人々と悪事に染まりきった大盗賊の対話の妙味は、これまで読んだ事のない世界を見せられ面白く斬新な時代小説だった。
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