- KADOKAWA (2024年3月26日発売)
本棚登録 : 496人
感想 : 27件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784041147931
作品紹介・あらすじ
任官七年目の裁判官、安堂清春(あんどうきよはる)は、東京からY地裁に赴任して半年。幼い頃、発達障害と診断され、主治医のアドバイスを受け、自身の特性と向き合ってきた。
市長候補が襲われた詐欺未遂と傷害事件、ほほ笑みながら夫殺害を告白する女性教師、「娘は誰かに殺された」と主張する父親……。さまざまな事件と人との出会いを通じて、安堂は裁判官として、そしてひとりの人間として成長していく。
感想・レビュー・書評
-
法廷を舞台にした、連作ミステリィ。良作。主人公に非定型発達者を据えるのも、最近では珍しくなくなった。能力の凸凹は人それぞれだし、それをうまく組み合わせる社会であってほしいものです。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
裁判官7年目の安堂清春は、小学生の頃に発達障害と診断されてからASDと ADHDを自覚しながら生きている。
自らの特性と格闘しながら事件に挑む姿に凄さを感じる。
違う角度から被告人を見たり、過去の記憶から何かに気づいたりするのも彼だからかもしれないと感じた。
3つの連作短編集となっているが、どの事件にも彼が見つける少しの気づきで解決する。
喫茶店「パロマ」に通い、ナポリタンとコーヒーを頼むことや小野崎弁護士との関係も気になる。
-
ちょっと毛色の変わった法廷ミステリー
いやぁ面白い!
自閉症スペクトラムとADHDを併せ持つ裁判官安堂
生きにくさや苦しさや偏見が作品の前面に押し出されてたら読むのやめようと思ってましたが、そんなことなかった
安堂の生活は生きにくいものではあるのだろうけど、安堂のいわばその特性が目の前の審理を正しい方向に導いていく
安堂の特性を排除せず、「変わったことやる人」くらいに思いながら共に法廷に向き合う周囲の人たち
そのまなざしにちょっと泣けてくる場面もあります
ナポリタン食べたくなった
シリーズ化しないかな
図書館本 -
なかなか良かった一冊。
読み進めるほどに良さを感じた法廷ミステリ。
そわそわ、むずむずと日々対峙する裁判官の安堂は、いわゆる発達障害。
その彼の持つ"特性"に重点を置いて、そこを活かして真相へと描いているのが良かった。
殺人や詐欺未遂等、事件に向き合いながら自分の脳とも向き合う苦しみには時にせつなさも感じるほど。
定着発達者とちがう、そう彼の心をサポートする医師の存在の大きさも良かった。
日々、自分と闘い努力する彼の姿は裁判官として以上に一人の青年として応援したくなる。
ラストは深呼吸したくなるほど清々しさでいっぱい。 -
※
毛色の変わった法廷もの。
主人公は人とは違う特性を持つゆえに、
事件情報の中でも普通の人は気にしないような
部分に違和感を抱き、気づいた不可解な点から
真相に近づいて事件の謎を解明してしまう。
メインテーマが法廷ものでありたかったのか、
特性を持つ人の生きづらさやままならなさを
描きたかったのか判断に悩みました。
-
発達障害の裁判官と事件、、、専門医のアドバイスも。
-
発達障がいを乗り越えながら
与えられた仕事を頑張っている主人公。
症状と上手に付き合いながら前に進んでいく様子を暖かく見守りたいです。
-
Amazonの紹介より
任官七年目の裁判官、安堂清春(あんどうきよはる)は、東京からY地裁に赴任して半年。幼い頃、発達障害と診断され、主治医のアドバイスを受け、自身の特性と向き合ってきた。
市長候補が襲われた詐欺未遂と傷害事件、ほほ笑みながら夫殺害を告白する女性教師、「娘は誰かに殺された」と主張する父親……。さまざまな事件と人との出会いを通じて、安堂は裁判官として、そしてひとりの人間として成長していく。
この作品で特徴的なのが、主人公が裁判官で、それも発達障害を抱えているということです。
裁判中でも、「自分」が抑えられないということで、周囲には迷惑をかけまいと、色々自分自身を抑えようと努力している描写があり、大変さが窺えました。
自分と向き合いながらも、事件を解決していくスタイルは、今迄になく新鮮でした。
重厚感といった張りつめた裁判の雰囲気とは違い、何とも言えないシュールさもあって、楽しめました。
3つの短編集なのですが、そこから見る主人公は、色んな意味での凄さがありました。
発達障害だからといって、障害を前面に押し出しているわけではなく、一人の人間、一人の裁判官として向き合っているので、そんなに重く受け止めるわけでなく、特性を生かしながら、解決へと導いていくので、ちょっとした終わったという清々しさがありました。 -
直島作品のこれまでの最高傑作と言っておこう。ADHD・ASDの裁判官(特例判事補)の活躍を描く、今までにないひと味違ったリーガル小説。法曹関係者が読むと違和感ある箇所はあると思うが、そんなことは気にならないぐらいよく練られたプロットと、ADHD・ASDの特性が事細かに綴られていて、その特性ゆえに苦労しつつ、その特性を活かして事件を解決していく様がとっても新鮮かつ快い。安堂清春主人公でもう一冊書いてもらいたい。できればシリーズにもしてほしいぐらい。絶対読んで損しない一冊。。
-
-
安堂裁判官は自閉症と注意欠如多動症の定型発達者である。安堂さんの思考や行動、衝動がどのように襲ってくるのか、また、いかに気をつけて生活しなければならないのかが、とてもよく伝わった。自分と他人の見えている景色は違うというが、ここまで違うのだなと知れて良かったと思う。本で扱ってる地域は私の地元だったこともあり、景色がありありと目に浮かんで、楽しめた。しかし、裁判官でありながら刑事の様な行動など、裁判の緊張感みたいなのがあまり読んでいて感じられなかったなと思った。
-
当たり屋の男の切ない事情。
夫をメトロノームで撲殺した妻。
弁護士小野崎の事務所に「娘が殺された」と訴える男の事件。
裁判官の安堂清春が3つの事件を審判する物語。
人の気持ちを読み取るのが苦手な自閉スペクトラム症で注意欠如多動症の裁判官が、どのように裁判を運営していくのか?
少々緩い判事の行動ではあるが、「カレンダーボーイ」の事件の裏側を明かすテンポが良かった。
「恋ってどんなものかしら」における結末は含みがあって好みだ。
軽い法廷小説の妙手なりの読み易い小説だった。 -
連作短編3篇
ASDとADHDを自覚し折り合いながら裁判官として生きる安堂清春。山口市へ赴任し周囲から不思議キャラと思われながら、事件を解決、判決していく。切り口が珍しくそこから事件の真相に迫るところが面白かった。思わずナポリタンが食べたくなりました。 -
発達障害と向き合いながら裁判官としての仕事をまっとうしていく主人公のリーガルミステリー。
その独特の感性で事件の謎に気付いていきます。相棒ともよべる弁護士との結末はほんのりと温かい。
2編目の”恋ってどんなものかしら”は、他と違った結末が怖い。 -
社会に交わり、 ままならぬ心身と向き合い、 罪を裁く。
任官七年目の裁判官、安堂清春(あんどうきよはる)は、東京からY地裁に赴任して半年。幼い頃、発達障害と診断され、主治医のアドバイスを受け、自身の特性と向き合ってきた。
市長候補が襲われた詐欺未遂と傷害事件、ほほ笑みながら夫殺害を告白する女性教師、「娘は誰かに殺された」と主張する父親……。さまざまな事件と人との出会いを通じて、安堂は裁判官として、そしてひとりの人間として成長していく。
発達障害を持つ裁判官が、いろんな人と出会って事件を見ていく話。なかなか面白かった。小さい頃に、いい医者に会えて、療育をして、今もテレビ電話で困ったら相談するいい関係になっている。発達障害の衝動的な動作が出てしまうときの対処や思考をどうにしかして追い出して、仕事に勤しむ安堂は本当にすごいなと思った。
特に、集中しないといけないときに思考が散漫になってしまう現象のことを「小鳥さんの時間」と呼んでるのは可愛かったし、なるほどなぁと思った。
事件は、現市長が副市長だったときの傷害事件や妻が夫を殺した事件、そして大規模強盗事件の3つ。これがすごかったなぁと思った。意外な真相を安堂が解いていくけど、安堂だけの力ではなく、検察官の古川や弁護士の小野崎と力を合わせていくかんじが良かった。
そして、安堂は自分を「土星人」と称して、周りの人を「地球人」として、「あぁ、こういうとき地球人はこうなんだ」と勉強していくかんじがすごく良かったなぁと思ったりした。自分の障害と向き合っているのいいなぁ。
しかし、2話目の「恋ってどんなものかしら」の最後が怖かった。ゾッとした。彼女の気持ちを考えると可哀想な気もするんだけど、まさかな結末だった。
安堂と小野崎の仲も気になるし、古川との戦いというか裁判へ向けてのタッグももう一度みたいなぁ。続編とかないのかなと思ったりした。
2025.5.3 読了 -
発達障害の特性を持つ裁判官、安堂清春。
彼の視点からストーリーが進むため、ASDやADHDを持つ人の見え方や日常の困りごとがよくわかる。
特性ゆえ「ちょっと変わった奴」である安堂だが彼のストイックなまでの自分の律し方や定型発達社会に溶け込む努力は頭が下がるし
何より彼の誠実さが読んでいて心地よい。
ほんの小さな、見過ごしてしまいそうなヒントを
その特性をもあって見逃さない。
今までにないタイプのリーガルミステリー。
ラストはほんわか。
安堂&小野崎の法曹カップルのその後も見てみたい。
-
主人公の設定の割にすらっと読める。ただ、読んでる自分もムズムズ、そわそわしてくるような掻痒感が…
-
相当な努力があって今の職があるのだろう。真面目な主人公に好感。裁判員の話も興味深かった。
直島翔の作品
