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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041148662
作品紹介・あらすじ
大学病院での医療事故に関わり、世間から「偽医者」とバッシングを受け職場を追われた産科医の阿比留一馬は、逃げるように北へと向かっていた。途中、雪の中で産気づいた妊婦に出会い、小さな産院に同行する。そこは村唯一の分娩施設・竹下診療所だった。院長の相良の言葉で診療所で働き始めた一馬は、限界集落の産院の実情を目の当たりにする。さらに、彼の医療事故を世間に広めた女性記者が診療所を訪れて……。現役医師が描く、命に向き合う感動の医療小説。
感想・レビュー・書評
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限界集落で産院をどうするのかという話。自分のお産を思い出した。入院騒動もあったし、今日元気に生きていられることに心から感謝。
そしてネットは怖いと改めて思った。意図したことと全く違う解釈ばかりが拡散されていく。最後に平安を見付けた場所があまりにも遠くて呆然。
産科といえば、漫画のコウノドリはオススメ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私たちの忘れられない大野病院が少し触れられていました。
こんな良心の残った記者がいないものとして、また警察や議員たちもこんなもんだ、としてビクビクしながら我々は救急医療を日々続けてます。
少しだけ、あかりをくれた作品でした。 -
医療事故、ネットでの執拗な誹謗中傷を受けた産科医阿比留一馬がたどり着いたのは限界集落で身を削って働く産科医、助産師がいる診療所。
失意の一馬は、この診療所で何を感じるのか。
タイトルの偽医者なんかどこにもいない。
本物の医者が全力を尽くす物語。
命に向き合うというのは勇気が必要だが、感動も大きい。
緊迫感のある出産のシーン、本当に胸が熱くなる。
ラストまで一気読みでした。 -
産科医療における訴訟リスクの問題と、衰退する集落における医療施設の存続問題。そんな問題に鋭く、それでいて優しく踏み込んでいる小説。色々考えさせられる。よくわからない正義感から炎上に加担してしまうような人には特に読んでみてほしい作品。でもまぁ、そういう人は読まないよね。
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残り50ページ律子のお産は緊迫する、相当緊迫する。相良先生がなんでもお見通しする技術も経験も凄い人間力でした。救急車に2人乗せてさよならするとかカッコ良すぎる、絹代さんのカバンの中を けっ!はじんわりき過ぎ。最初の朝ごはんシーンも質問もだし自分の患者の経過も見ずに逃げるのか?ココ一なんだよなぁ、ドロっとした瞳とか表現も含めて上手だと思う。美希が乗り込んで来たとき2人は交差をどうやってするのかと思ったら以外に場面が訪れるのは これも相良先生の力だなぁ。この病院に残るのが運命と言うのに見当違いの罪滅ぼしする場所と断言した相良先生はどこにいるのだろうか、一馬のアフリカもなるほどでした。難しい専門用語もありつつ頭に入りましたし桜木の腹立たしさも気にならない読了
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医療ミスをしたとして記事にも書かれ
いくつもの職場を追われた 産科医の阿比留一馬が
限界集落にある小さな産婦人科に出会うお話。
いやあ〜〜〜!とても疾走感があって
ページをめくる手が止まりませんでした!
村で小さな産婦人科を医師ひとりで切り盛りする
相良先生がとても素敵で言葉一つ一つが
心に響きました。
医療ミスをした過去を抱える一馬と
相良先生にもとある過去もみれてとても感動した。
子どもが産まれることって本当に奇跡で
神秘的なことでお母さんもそれに携わる人たちも
言葉では言い表せないぐらいすごいなと思った。
医療ミステリは好きで色んな作品を
読んでいるけれど
実際に産科医をしている作家さんの
作品を呼んだのは今回が初めてでした!
とても面白かったです!!
他の作品も出ているので
読んでみたいと思いました!
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緊迫した出産シーンに思わず涙したのが美容室で、美容師さんを心配させてしまった。
それは医療ミスか不可抗力か…。
産科医のみならず、医療に携わるということは総じて自分ではない誰かの命に向き合っているということ。
その中でも、とりわけ妊娠出産というダイレクトに命を預かる産科医の重圧は計り知れない。
センシティブな題材なので、安易に良い悪いは言えない。
どんなに力を尽くしても、経験を重ねても、素人には理解できない経緯の果てに哀しい結果をもたらすことはあるのだと思う。
それをどんなに丁寧に真摯に説明を受けたとしても「はい、そうですか」と簡単に納得できるはずもない。
どちらも傷付いている。
医療現場から去ることを余儀なくされた医師の苦悩と再生。
自らの書いた記事により、ひとりの産科医の未来を奪ってしまったことに苦悩する記者。
長きに渡り、たったひとりで限界集落の妊産婦を支えてきた年老いた産科医。
過疎化が進む小さなコミュニティで大きな力に翻弄されてゆく診療所と町の人々。
それぞれに正義があり、それぞれに葛藤がある。
今この瞬間にもどこかで小さな命が産声をあげ、同じように小さな診療所が静かに姿を消している現実。
これは産科医にとどまらず、全ての医療現場が抱える問題だ。
人口減少、医者不足、過疎化…未来への不安は拭えそうにない。
深く考えさせられる一冊でした。
今年の13冊目 -
一気読みでした。医療事故の真相を追うサスペンスなのかな?と思ってたのだけど いい意味で裏切られた感じ。真実はひとつ、だからこそ 切り取り方一つでどうにでも変形するんだな、の恐ろしさを感じた。医療の現場、疲弊する地方、今日もどこかでこういうことが 起きているんじゃないかと、現実とシンクロしてしまう。ラストが個人的には あ、そうなんだ、こうなっちゃうんだ 、がちょっとなぁ〜だった。けど勉強になったし おもしろかった。
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医師という仕事、人を救うという仕事…
ネタバレになるから書けないけど、
274ページから275ページの相良の言葉が重く…深い
涙が出る -
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医療事故を起こし限界集落へ。医療はリスクを伴うが,特に産婦人科は医療訴訟が多い。一馬にとって北別の診療所は漸く見つけた償いの場所。人生観が変わる貴重な体験をする。大切なのは最善を尽くし前を向く事。
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終盤のスピード感のある展開にひきこまれた。限界集落の産院をテーマにした医療小説。
救えなかった命に対する償いを、他の患者の「ありがとう」と言う言葉で贖おうとすることは、本質的にな償いにはならない。
それでも前を向いて、償いのためにではなく、自分がやりたいことをやっていく。
自分に対する戒めにもなった。 -
医療小説は今まで何冊か読んだけど、今までのものとは少し違った。
医療ミス?から病院を追われたうえに記事がでたことにより、SNSでの誹謗中傷。追い詰められ逃げ出してしまう。
一方で記事を書いたジャーナリストも自分の記事で1人の医師の運命を狂わせてしまったと記事が書けなくなっていた。
そんな2人が村の産院で過ごすうちに自分を取り戻して行くお話。
産院だけに出産シーンは詳しく書いてあり、いつ何が起こるかも分からない現場の中で最善を尽くしてくれる医療従事者の方には尊敬と感謝しかない。
ただ、人柱となり病院を守ってきた相良先生の言葉ありがとうは麻薬みたいなものだ
は考えさせられた。言われたら嬉しいから人にも言うと思っていたけど、人を縛りつけてしまうこともあるんだと…
阿比留先生の
文字でも人は死にますよ
とのセリフは実際、今の社会問題でみんなが考えていかないといけないことだと思う。 -
旅のおともに新幹線でクライマックス前までイッキ読み、最後は自宅で噛みしめるように読了、とても考えさせられる小説でした。
社会問題に切り込み、綺麗事だけではない現実もあり、辛い場面もありますが、登場人物(特に診療所の面々)が人間味にあふれ暖かいことが、クスリと笑えるような場面も引き出してくれます。
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お医者さんが書いた小説、オーソドックスというかセオリー通りというかでもやっぱりこういう話好きだわ。ってなるやつですね。産婦人科医ってほんまキツいよなあ。命ってほんと尊いよなあ。院長、相良の達観した人間性に脱帽です。怖いくらいかっちょえー。
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産科医療の様々な問題が出てくる医療小説、テーマの割には重たすぎず読みやすいがその分先が少し予想出来てしまうとこがある。
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相変わらず読みやすい作家さんで好きです。
辺鄙な村の産科のお話。
若いドクターが結果村の小さな産科をついでハッピーエンドかと思いきや、そうはならない。ただ最低限の人員でなんとかぎりぎり背負っているものを継続させるという単純な考えでは支えていけないよなと思い知らされる。 -
初めて読んだ作者さん。冒頭から一気に惹き込まれました。医療過疎地の産科医療の実態、問題提起、意義深い作品。診療所の面々の人情深さにも心温まります。違う作品も読んでみたい!
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誰かの命が自分の腕一本にかかっていたら
どれほどの重圧だろう
医療に携わる人たちは日々そういう責任を担っていることを痛感する
これは作者が産婦人科医ということで
リアルな出産シーンや医療事故の様子、若き産婦人科医の苦悩が描かれている
それでも医師は命を救うことができるし
産婦人科医ならば、新しい命を誕生させることもできる
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