魔法を描くひと

  • KADOKAWA (2025年2月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041153314

作品紹介・あらすじ

「私の人生の主は私。何ものにも、簡単に委ねてやるもんか」
20世紀初頭にアメリカで創業し、世界中から愛されるアニメーション会社となったスタジオ・ウォレス社。1937年、レベッカは類稀な画力でウォレス社に入社を認められたものの男性ばかりの社内で実力を評価されない日々が続く。それでも仲間と協力し作品創りに励むが、第2次大戦の影が忍び寄ってくる……。
時を隔てた現在、ウォレス日本支社で働く契約社員の真琴は、偶然見つけたデザイン画から、素晴らしい才能を持ちながら歴史から忘れ去られた「彼女」たちの人生を知る――。

みんなの感想まとめ

逆境の中で自らの信念を貫く女性たちの物語が描かれています。1940年代のアメリカ、性差別や労使対立に直面しながらも、アニメーション制作に情熱を注ぐ女性アニメーターたちの姿が鮮烈に描かれています。彼女た...

感想・レビュー・書評

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  • 戦争、性差別、労使の反発といった逆境の中で、自分たちの意思が伝わる映像作品を作るという信念だけは貫いた、1940年代のアメリカの女性アニメーターたち4人のストーリー。
    性差別により、実力に反して自分たちの発言力もない中で追い討ちをかけるように労使対立によるリストラの陰が彼女たちを待ち受ける。それを乗り越え、自分たちが思い描いたプロジェクトがようやく認められつつある中で、戦争により制作会社は政府からの戦争プロパガンダに基づいた作品作りしかできなくなり、お蔵入りとなってしまう。

    そのような中であるきっかけで、約50年後の日本で、当該のアメリカ制作会社にあこがれを持つ女性アニメーターが、彼女たちが表立って発表はできなくとも、誰かに届くように倉庫に隠していた彼女たちの作品を見つけ出し、ようやく日の目を見ることとなる。

    どのような逆境下でも、自分が信じることを貫き通せば、それが世間からすぐには認められなくとも、簡単に心が折れずに進んでいけるという勇気をもらえた。

  • 1940年代のアメリカで性差別と戦い乍ら、自分たちの作品を手がける女性アニメーター。伝説の彼女らに憧れる派遣のアニメーター真琴。
    過去と現代の二つのストーリーをディズニーで働くアニメーターの目を通して描いている。アメリカの物語が凄く良かった。

  • 読み終えてから感情の行き場に困るような、読んでいる時は苦しいけど、読んで良かったと思える物語だった。
    「女性だから、採用しない。採用しないから、女性が増えない。女性は無能だから女性が増えないと思われる。女性の意見に耳を貸してもらえなくなる。」悲しいループ。女性だからと抑圧され、女性だからと厳しい目にさらされ、四人で作ろうとした作品さえも、生きている時は日の目が見ることはなかった。
    現代に生きる真琴も、「子なし独身女vs妊娠子連れ女」「非正規雇用vs正規雇用」の構図に頭を悩ませる。
    今は、逆に「多様性」と言いすぎて、「女性率を上げないと」と、企業に登用されたり、大学にも女性枠があったりと女性優位の世の中になってきていると言われる。そんな意見に対して、「男性が今まで履いていた下駄を脱いだだけ」という女性側の意見も見られる。このご時世に、考えざるを得ない命題だ。

  • 著者紹介でウォルト・ディズニーでお仕事されていた事を知り、納得しました。
    ディズニーアニメ好きな方なら、より楽しめると思います。
    読了後に装丁をじっくり見て、更に楽しめます。

  • 今までの白尾さんとガラッと作風が違うことについていけなかった。ウォルトディズニージャパンで働かれてたことがあるんですね。。
    単に好みの問題で、私には馴染めなかった

  • 初めての作家さんだったけど、他の作品も読んでみたくなった
    時代と場所を超えた壮大な物語、でも軸にあるものは同じで変わらないことがもどかしくもあり、だからこそ生まれたストーリーでもある
    どこかでシスターフッド小説として紹介されていて図書館予約した記憶があるけど、ちょっとそのカテゴリーには収まりきれないくらいの熱量だった
    グランマと呼ばれるようになったベッカが生き生きと描いている姿が見られて良かった
    いくつになっても「自分の物語の主(あるじ)であれ」そうありたいね

  • 素晴らしくよかった。二つの時代をつなぐ、お仕事もの、シスターフッド、女性のライフスタイル。最後にかけての盛り上がりに爽快感すら。

  • 一応別名にしているが、ディズニーで働く女性たちの2つの時間軸の物語。

    一つは20世紀初頭、ディズニー勃興期にアニメータやイラストレイターとして働いたレベッカとその仲間達が、女性ゆえの地位的差別や、世界恐慌第二次世界大戦などの激動の中で働き生きた物語。

    もう一つはコロナ期つまり現代日本の契約社員真琴が、展覧会の企画に携わる中でディズニー勃興期に活躍した女性たち(つまり一つ目の物語)を知ることになり、その世界を探る物語。

    いつ仕事がなくなるか、いつ首になるか、分からないなか、男性や正社員より安い給料で単純労働を優先的にさせられる、能力ある女性たちの苦闘。男である俺が読んでも本当の辛さは分かったものではないのだろうけど。

    才能と努力でのし上がっていく姿は美しく正しい。それが大いに分かっているのに、何故が調子のよさとか口先三寸とかで成功したり、親の七光りでなんとかなっているヤツらもいて、そういう連中の居所を作るために才能と努力のヤツが座る席が足りなくなる。

    普通によくある話…で済ませていたから、席には無能しかいなくなって、どうにもこうにも暮らしにくい世の中になってしまった…今の日本は、いやアメリカもロシアもイスラエルも、世界中が劣化して行ってる原因の一つはそういうことなのかも知れないな。

    白雪姫の肌を日焼けさせるとか、そんな事じゃないと思うよ、多分。

  • 男女差別、正社員と非正規社員の格差、戦時中の人種差別など、色々詰め込まれていて、途中で話が長いなと感じた。同じ女性でも、立場が違うと何もかもが違う。性別に関係なく、頑張って成果を上げた人が正しく評価される社会になってほしい。

  • あまり考えた事なかったけれど、アメリカでは戦時中にもアニメーション映画って作られてたんだ。男尊女卑は国境関係ないね。スタンドバイミーの映画製作会社版な印象。女から生まれて女を見下すって変な話。その発言も男に対する差別なんだけど。
    戦争は誰のためにもならない。終戦の喜びが原爆投下の絶望を上回る程に。
    ファンダジーな内容を想像して読み始めたけど、かなりリアル世界。時代が前後しながらも読みやすい構成だった。

  • 良い、読後感。
    装丁が素敵で、絵本のワンシーンみたい。
    表も裏表紙も読みながら、じっくりと眺めてまた読み耽る…を繰り返して。

    自由の国アメリカ

  • レベッカも真琴も性別や時代に影響を受けて生きづらい人生だけど、信頼できる人たちに会えて、それが財産だなと思う。
    女性だからすごいじゃなくて、属性に捉われず生み出されたものがすごいって評価されるべきって件に同意。
    でも結局「未来を切り開いた女性たちがいた」って括られちゃうんだよね。それが悪いとも思わないけど、少し居心地の悪さは感じる。

  • ふむ

  • 20世紀初頭に創業した世界的なアニメーション会社であるスタジオ・ウォレス社。60年前に日本で開催した展覧会の展示品が発見され、新しい展覧会が行われることが決まった。日本支社の契約社員の西真琴は展示品の希望リストを作成するためアーカイブを確認していて魅力的なデザイン画を見つける。そこにはM.S.HERSEAのサインがあり…。
    1930年代後半から40年代に活躍したスタジオ・ウォレスの名もなき女性アニメーターたち。現代の真琴の視点と、激動の時代を生きるレベッカの視点でM.S.HERSEAの正体、人生が明かされていく。

    よく内容を知らずに手に取ったので女性アニメーターを描いた本だと読み始めて知った。ディズニーがモデルなのは間違いなく、著者も実際ディズニージャパンで働いていた人らしい。私はそこで詳しいわけではないのでどの作品がモデルなのかなとかはあまりわからなかったが、好きな人だとそういう視点でも楽しめるのかもしれない。
    女性蔑視、ストライキ、第一次世界大戦と激動の時代と周囲に翻弄されながらも理想のアニメーションを作りたいと描き続けるレベッカたち。名前が残ることもなく、やりたくもないプロパガンダ作品を作らされ、戦後は仕事を奪われる。いつ仕事がなくなるか怯える不安定な契約社員である真琴の状況と、この時代の女性の苦境がそれぞれ描かれている。リストラに怯えつつ、抗うこともできない真琴がM.S.HERSEAを発見し人生を知ることで、上司や社員の女性と理解し合い、抗おうと変わっていく姿もよかった。

  • 4人のミューズが醸しだした物がたり。ふたつの地、ふたつの時を越えて描き続けた人びとに心を揺すぶられた。

  • ウォルトディズニーの会社になぞらえた、架空の会社、架空の人々、戦前戦中戦後を生きたアニメーションに携わる女子4人。第二次世界大戦、ストライキ、赤狩りに翻弄される時代を生き抜いた4人。僅かな痕跡しかない4人の業績を現代の同じ会社女子が解き明かしていく過程が面白い。大変な時代だったなと思うと同時に女性の地位がとてつもなく低くて不安定だった時代。
    ディズニー映画好きだから、たいへん興味深く読めました。
    映画題名も微妙に変えてあるから、これは白雪姫、これはバンビのことか?これはファンタジアだな?と想像するのも楽しい。
    ただ漫画映画の素晴らしさを文字にするのはホントに難しいんだなとは思いました。ちょっと前に「ピアノマン」を読んで音楽描写の素晴らしさに感心したところだったので余計に。
    バンビもファンタジアもピノキオも見てるから言いたい事は判りますけれども。そこだけ残念。でもそれ以外は感動できます!

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著者プロフィール

神奈川県生。米国の大学を卒業後帰国、映画関連会社勤務等を経てフリーのデジタルコンテンツ・プロデューサー、マーケター。17年R-18文学賞大賞&読者賞受賞、18年『いまは、空しか見えない』でデビュー。

「2022年 『サード・キッチン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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