責任

  • KADOKAWA (2024年9月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041153840

作品紹介・あらすじ

雪の深夜の当直中、刑事の松野徹は不審車両に遭遇し職務質問する。運転手の藤池光彦は急発進、徹は追跡するが車は交差点に突っ込み、光彦と通りかかった車の家族四人が死亡する大惨事となる。警察への批判が強まりかけたとき、光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたと判明、非難は遺族に集中した。冤罪を疑う光彦の両親から再捜査を嘆願された徹は、自責の念に誘われるように引き受けてしまう。新事実など出てきようがない、はずだったが――。

みんなの感想まとめ

テーマは、自責の念と真実の追求であり、主人公の刑事が過去の事件に向き合う姿が描かれています。松野徹は、職務質問中の事故で家族を失った遺族の苦悩を背負い、再捜査を決意します。彼の葛藤や、真実を掘り起こす...

感想・レビュー・書評

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  • 過去の罪の念に苛まれる刑事が、責任感から再び調査を行うが… 刑事の職人気質を描いた警察小説 #責任

    ■あらすじ
    刑事である徹は、かつて不審車両の職務質問をしている際に逃げられ、その結果大事故が発生してしまった。その後逃げた光彦は、直前に強盗傷害事件をおこしていたことが判明する。

    徹は自らの過失のせいで光彦や巻き込まれた家族が亡くなってしまったと思い、自責の念に苛まれていた。ある日、光彦の家族から事件の再調査を依頼され…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    刑事の職人気質が描かれた痺れる警察小説です。

    事件の被害者、加害者、刑事、関係する家族など、ひとりひとりに焦点を当てながら物語は進行していく。ほんの少しの歪みによって影響が増していき、不幸がどんどん広がっていって、やるせない気持ちでいっぱいになります。

    主人公の刑事、徹の葛藤が痛いほどわかる… 警察官も警察である前に、ひとりの人間ですよ。たぶん真面目な人ほど、こんな心境になってしまうんだよなぁ。私なんか小ずるいから、こんなにも真っ直ぐには生きられない。しかし正義ってのは、どちらの方向から見るかで変わってくるものだし、どこまで貫いていいかの基準も難しいんですよね。

    加害者家族の悲痛な叫びも胸の奥に突き刺さってくる、きっと当事者にならないとわからない感覚なんすよ。自分の一番大切な人を守るためには、まずは自分自身が責任ある行動をしなければなりませんね。

    さて本書、後半から少し展開が変わってくる。この警察小説の物語のなかで、さらに人間関係が深まって描かれるんです。タイトルの通り「責任」の取り方に対しても、どの方向から見れば筋が通っているのか分からなくなる。私は自分が一番大切な人に対して責任を取りたいと思うけど、それだとやっぱり卑怯者なのでしょうか。

    入り組んだプロットを丁寧に綴られているし、特に人間の心情が力強く描けている作品です。これからの作品にも期待しています!

    ■私とこの物語の対話
    警察官、学校の先生、お医者さんなど、他人の人生に直接的に関わるような職業って、ホント大変だと思うんすよ。時には人には触れられたくない部分にも、土足で足を踏み入れなければならない。どれだけ心を無にして職務にあたっても、過去の痣がずっと残り続けることもあるでしょう。

    冷静でありながらも、責任感と職人魂は忘れない。 やり甲斐のある職業だとは思いつつ、とてもじゃないが自分には全うする自信がないなぁ

  • 刑事の松野徹が、2010年不審車両に遭遇し、職務質問中に運転手の藤池が急発進した後、家族4人が乗る車と衝突し死亡する大事故となった。
    追跡した警察への批判が強まりかけたとき、藤池が強盗致傷事件を起こしていたと判明するが…。

    それから2022年の現在、藤池の墓碑の前に居た松野が、藤池の父の稔と会う。
    藤池の両親から再捜査を懇願される松野は、自責の念に誘われるように引き受けるが…。

    新事実など出てくるはずもないと一人で動いたていた松野が、暴きだした真相とは…。

    松野の抱える葛藤と真実を知ろうとする行動にページを捲る手が止まらなくなる。
    警察内での様子も隠蔽か…と思ったが、松野の娘・莉帆の強さと父を思う気持ちが真実まで辿りついたのかもしれない。


  • ひたすら暗かった一冊。

    生きていれば幾つもの後悔はつきもの。
    それが誰かの人生を左右するものだったら…たちまち自責の念という重い十字架に変わる。

    その苦しみを丁寧に描いた作品。

    自分が関わった過去の事件の真相を刑事としてよりも、一個人として再捜査していく主人公。

    ずっと埋められていたかのような真実を掘りおこす過程、葛藤する姿、そして思いもよらぬ展開は暗さしかないけれどリーダビリティにやられる。

    ほんのり頭に浮かんだ数々のもしかして…が目の前に晒された瞬間は憤りとやるせなさ。

    誰かの犠牲なくしての真実は無い、改めて思う。

  • 選考委員のどなたかが書いていましたが、私も特に前半が引き込まれて没頭されられました。後半も殺人教唆や主人公の殺害は他に決着方法はなかったのかなとも思いましたが、よく考えると被害者の複雑な心理や犯罪者の悪質さを表すためには必要だったと思います。新人の方の小説とは思えないすごい完成度だと思います。冒頭から引き込まれて最後まで一気に読んでしまいました。また追いかけなければならない作家の方を見つけられてとっても良かったです。

  • 2001年生まれの新人作家で横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。新人作家さんにしては構成も良く読みやすかったと思うが、ストーリーが淡々と進んでいき印象に残りにくい気がした。今後の活躍に期待したい!

  • この作品はなんと東大法学部在学中の作者が執筆されたのだと知り、とても興味深く手に取った。
    冒頭からとてもスリリングで、先が気になり読む手が止まらず、、、

    お話は想像していた方向とは違う展開、驚きの結末。面白く読み進められました。

    警察官を身内に持つのは大変だろうな〜とかそんな人とは余程の覚悟がないと結婚できないな〜とか作品とは関係ないことを思ってしまった。
    くどいようだが、この作者が法学部の学生でありながらの執筆に感動。また専門的な用語を多用使するでもなく、凡人の私にさえ楽しめてしまうこんな力作、今後にかなり期待する!

  • Amazonの紹介より
    雪の深夜の当直中、刑事の松野徹は不審車両に遭遇し職務質問する。運転手の藤池光彦は急発進、徹は追跡するが車は交差点に突っ込み、光彦と通りかかった車の家族四人が死亡する大惨事となる。警察への批判が強まりかけたとき、光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたと判明、非難は遺族に集中した。冤罪を疑う光彦の両親から再捜査を嘆願された徹は、自責の念に誘われるように引き受けてしまう。新事実など出てきようがない、はずだったが――。


    横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作!

    あらすじを読む限り、絶対なにか裏があると思ってしまったのですが、やっぱりでした。
    といっても、物語の主軸となるのが、光彦が起こした交通事故ではなく、それに至るまでに起こった一つの強盗致傷事件です。

    強盗致傷事件が果たして、光彦の犯行だったのか?を深掘りしていきます。目撃証言から光彦が犯人だと断定されたのですが、再捜査していくうちに、意外な繋がりや隠された真実を知ることになります。

    終始重めな空気が流れ込んでいる雰囲気だったので、メリハリといいましょうか、大きな変化はなかったのですが、その分、「責任」という重みや痛みを丁寧に描いているなと思いました。このような出来事を引き起こしてしまったという責任が、色んな登場人物を通じて、多く散らばっているのですが、「そこまでするの⁉」という思いが個人的にはありました。

    再捜査もそうですが、事件の発端となる出来事やその後の展開に、ある意味驚くことばかりでした。
    一つの事故から始まる複数の悲劇。執念の捜査に、いつの間にか惹きこまれて、どんな展開になるんだろうと気になるばかりでした。

    これで事件解決かと思いきや、更なる衝撃に言葉を失いました。そこまでしなくても・・という思いはあったのですが、それによって、事件が明るみになったことに複雑な気持ちにもなりました。

    2時間サスペンスのような構成でありつつ、「責任」という重圧が、読者に訴えるものもあって、空気としては重めでしたが、心に響くものがありました。
    ホラーさはなく、ミステリーに重点をおいた作品で楽しめました。

  • 不審車両を職務質問中に逃走され、逃げた男と通りかかった車の家族4人が死亡する事故が交通事故が起きた。
    過去のそんな事件から話は進んでいく。
    なんだか文章に抑揚がなくて、ずっと平坦な道を歩いているような感じ。
    もっと山や谷がある文章の方が好みだなー。

  • 新人作家さんとは思えない破綻のない展開で一気に読んだ。巻末の選考委員の先生方がいろいろ書いてるけど、デビュー作だし、単なるミステリーと違った気持ちのこもった次作に期待です。まあ整理したら200ページくらいにまとまったと思いますが。

  • 第44回横溝正史ミステリーホラー大賞優秀賞受賞作。

    雪の夜、職務質問から逃げた不審者の乗る車を追跡した結果他の車両を巻き込む大事故に発展、5人を死なせてしまった刑事の松野徹。警察への批判が高まる中、逃げた男・藤池光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたことが判明し風向きが変わる。
    12年後、光彦の冤罪を疑う家族から再調査を依頼された松野は、いまだに抱える自責の念から引き受けてしまう。
    冤罪はあり得ず、新事実など何も出てきようがない、はずだった……


    面白かった。
    ホラーの要素は一切なく、ミステリ要素のみ。文章は端正で読みやすく、主人公の造形もよく、読み出すとどっぷりはまった。
    光彦は冤罪なのか、そうで無いとしたら何故また罪を犯したのか、と掴みはバッチリ。組織の論理に潰されそうになりながらの調査、そして明らかになる事件の裏にあった真相。

    後半はガラリと目線が変わり、どうなった?と思う間もなく突然の展開。ここでこうなるか?と思いながらその後さらに明らかになる真実の姿。もう、二転三転でした。
    ただ、真実の展開は意外で、ここは好き嫌いが分かれるところ。ただ、一つの事件の周辺で起こる関係者へのいわれのない差別や中傷への作者の思いを描くために必然の展開だったのかもと理解した。
    タイトルの「責任」は、「責」だったのを改題したというが、責任に加えて自責の念、他者からの責めという意味も含めて「責(せめ)」の方が良かったのではと感じた。

    それにしても、この作品に限らず刑事がよく正式な捜査でなく一人で動くことがまかり通っているけど、現実でそんなことはできるんだろうか。そんなに暇じゃないと思うんだけど…

  • 多少の粗さはあるものの、読ませる警察小説。作者の描きたかったことは充分伝わったが、話の筋自体は単純。登場人物のキャラが立っているとは思えず、その分淡々と話が進んでいく。
    始まりと終わりをオーバーラップさせる持っていき方はなかなか上手いと思う。この作者の警察小説の第二弾に期待。

  • ミステリを含んだ警察小説で有りまして、これまた素晴らしい作品でした。
    ある刑事が重荷を背負っており、過去の事件を洗い直すことになり、事件の真相に辿り着く過程が非常に綺麗で凄く良かったです。

  • 2024.12.16読了。

  • 話題になっていて手に取った本。

    まさかの主人公である徹が死ぬ展開。
    ただ“現行法では”とあるように、わざと自分が殺されることで安念の罪を明らかにして、法律を改正させようとしたのだろうな。
    罰のない“加害者みたいな被害者”でいるのが辛いから死ぬことで責任を果たそうと。

    それにしても娘の莉帆が追おうとしなければ闇に葬られたような気がするのだが、追うことすら計画のうちだったというのならご都合主義感は否めない。

    賞を受賞した本の巻末に載っている選評を読むのが何気に楽しみだったりする。

    ✍追記
    1番モヤモヤしたのは、性的被害にあっている妹に対して、完全犯罪を成し遂げるために“まだ準備ができてないから、今回だけは我慢してくれ”なんて言うか?
    イチかバチかで捕まってもいいから強行しようもしないあたり、結局更生しきっておらず性根は腐ったままなんじゃないだろうか。
    むしろ反省したフリをしている分、余計にたちが悪い。

  • 横溝正史ミステリー&ホラー大賞だけあり、大変内容が濃く読みやすく思いがけない展開に惹きつけられた。

    前半での思いがけない結末に、この後この物語が何処に行ってしまうのか?
    そんな思いで後半を読み進めたが、軽率な娘の行動かと思ったところこれが事件を大きく展開させる。
    松野徹刑事にとって12年前の事件の責任を、あまりに真摯に向き合う姿に思わず落涙してしまった。
    心に沁みる小説だった。

  • 警察ものなので読み飽きることはなく、最後まで面白かったと思うが、真相がそれかという感じで、今一つ弱かったかな…

  • 横溝正史ミステリー&ホラー大賞優秀賞受賞作です。
    刑事の松野が追いかけた逃走車が事故を起こし巻き込まれた車の四人が命を落とした。 自責の念に駆られる松野の前に、容疑者の遺族が現れ再調査を懇願される。現役東大生作家の作品で新人の方の小説とは思えないすごい完成度だと思う。冒頭から引き込まれて最後まで一気に読んでしまいました。2部構成の1部目で事件や謎のほとんどが解き明かされたように思えるので、どのようになるのかと思ったら、予想外の盛り上げ方でした。

  • 何か今一つ物足りない。だから横溝正史賞も大賞ではなく優秀賞止まりだったんだろうなあ。登場人物の魅力も警察組織の描き方もプロットも、面白くないわけではなく、途中で読むのを止めたくなるわけでもないが、すべて今一つの印象。

  • 不可解な事件、疑わしい犯人、真実を辿り着いた時悲しい気持ちになる。スラスラと読みやすい本でした。

  • 刑事の徹は12年間ずっと気に病んでいることがあった。職質した不審車両が逃亡の末、家族4人を巻き込み事故死したのだ。逃亡した男は近くの家で強盗をした帰りだった。
    12年後、その男の家族から息子の事件をもういちど調べてほしいと依頼を受ける。

    真相が明らかになったことで新たな犯罪者が出てきてしまうのだが、徹をふくめ、多くの人の苦しみに一段落ついたのかと思うと、これで良かったんだと素直に思える。
    とくに光彦への心象は180度変わった。


    この作品には加害者家族の苦しみ、そして事故を起こしてしまった警察や刑事たちの苦しみは描かれているが、なぜか巻き込まれて死んだ家族の話はほぼ出てこない。そのせいで徹の罪悪感がすべて加害者家族に向いているように感じてしまうのだが、これはうまい誘導だと思う。

    徹へは最初から最後まで嫌悪感しかなかった。
    依頼を受けたのは自分なのにグチグチ言い訳ばかり。「お前は悪くない」と言われるためだけに愚痴ってるのがまる分かり。
    事故があった当初も、同乗していた水脇は現実を見てあれこれ気を回していたのに、徹は12年前も現在も自分のことしか考えていない。
    ずっとイライラしっぱなしだったから、青柿さんがガツンと言ってくれたときは、めちゃくちゃスッキリした。青柿さんマジでかっこいいです!

    終始たんたんとした語り口だったので、心情に訴えかけるような文章だったらもっと良かったのにと思う。

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著者プロフィール

2001年、東京都生まれ。東京大学法学部三年。「殺人犯」(「テミスの逡巡」と改題)で東大生ミステリ小説コンテスト大賞を受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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