- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041154519
作品紹介・あらすじ
怪談師を生業としている三咲は、体験した人が本当に死ぬ怪談を探している。相棒は「呪いか祟りで死にたい」というカナちゃんだ。新たな怪談が見つかると、死ねるかどうか確かめてくれる。そうして”本物”を見つけたら、あの男に復讐ができる。
ある日、カナちゃんが「釣ると死ぬ魚」の噂を聞きつける。静岡県のある川の河口付近で見たこともない魚を釣った人が、数日のうちに死んでしまったというのだ。類似する怪談を知らなかった三咲は、噂の発生源を辿って取材を始める。すると、その川沿いには不思議なほどに共通点を持った怪談が伝わっていることが分かってきた。これは偶然か、それとも狗竜川には怪異の原因が隠されているのだろうか。もしや、この怪談を追えば、ついに”本物”に辿り着けるのではないか?
“本物”の怪談の気配を感じ、三咲は調査にのめりこんでいく。しかし、うまくいくということは、カナちゃんが死んでしまうということだ。自分はそれを望んでいるのだろうか――?
第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞、圧巻の〈大賞〉受賞作!
解説:小野不由美 カバーイラスト:遠田志帆
感想・レビュー・書評
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『本当に死ぬ怪談』を探す怪談師の三咲と同居人のカナが『釣ると死ぬ魚』について取材するホラーミステリーで、形を変えて伝播する『釣ると死ぬ魚』の奇妙さや随所で挟まれる怪談の不気味さがありつつ人間の脆さ、身勝手さもしっかり描写されていて一気読みだった。ラストは…
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不思議な魅力のある作品。なぜ、ホラー文庫でなく一般の文庫に入ったのかと思いましたが、小野不由美氏の解説にある理由なのかな。
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怒涛のラスト
感情が追いつかない。
読んだ後に何が残るのか。
僕に残ったのは『虚』という、なんともいえない感じだった。
この本は評価が二分すると思う。
高評価がある反面、低評価もあり得る。
何を信じるかで、あなたの心に残るものが変わるはず。 -
この川を辿った先に虚ろを満たすなにかがあるのだろうか。
すごく出来の良い長編怪談を読ませてもらって大満足です!
ホラー×ミステリ、というより、ミステリの手法で書かれた怪談噺と呼びたい印象。川を辿って震源を探す設定がワクワクを誘い、あいだに入る各怪談も"らしく"て実話怪談好きとしても満たされる。
怪談、登場人物が無駄なく繋がっていく気持ちよさはミステリの快感であり、このふたつのジャンルの相性の良さを再確認した。
三咲とカナちゃんのキャラクターが特によく、幸せにはならなくても、この先も良い関係を結んでいけたらと願う。
怪談語りするのも好きなので、作中で怪談シーンが来るとそこだけ朗読で読んでみたりしました。