キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン (3) (角川文庫)
- KADOKAWA (2024年12月24日発売)
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感想 : 124件
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041155011
作品紹介・あらすじ
チェーンレストラン「シリウス」を運営する株式会社オオイヌに入社したかなめは、店舗でやりがいのある日々を送るも、数年後に製菓部への異動を告げられる。製菓部は製菓工場内にあり、どこか閉鎖的な部署だ。頭の固い製菓部長のもと、早く仕事を覚えて戦力になりたいと思うものの空回りする日々。偶然再会した幼なじみの柊太はカフェで楽しそうに働き、しっかり自分の夢を持っていた。異動願いを出すべきか踏ん張るべきか、30歳を前にして焦りが増していく。ある日、デザートの打ち合わせに神保町の本社を訪れたかなめは、新田つぐみと出会い、「キッチン常夜灯」を教えてもらう。シェフたちとの交流と丁寧な料理を通じて、仕事のやりがいや働く環境、そして自分自身にじっくり向き合うようになる。
感想・レビュー・書評
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「キッチン常夜灯」の3冊目。
今回の主人公は、店長を目指していながら意に沿わぬ異動によって製菓部で勤務する森久保かなめ。買収されてチェーンレストラン「シリウス」の一部門となった製菓工場では、元の会社からいた部長や先輩社員、様々な年齢層のパート社員に囲まれて、いつまでたってもアウェイの気分。
そうしたかなめが、デザートの打合せで訪れた本社で出会ったつぐみに連れられて「キッチン常夜灯」に行き着くところは、これまでと同じ流れ。働く女性の姿や思い、悩みを描いてよい話だし、シェフの料理は相変わらずおいしそうなのだが、前半はちょっとマンネリ化してきたかなと感じたところもあり。
だが、今回もそこからぐんぐんとよい話に。いや、頭の固い製造部長が最後にはよい人になる流れは予測できることだが、そこにパートさんたちが絡んできたのには良い意味で期待を裏切られた。
なるほど、働く女性はみもざやつぐみやかなめたちだけではなく、彼女らもそれぞれの事情と思いとやりがいを持って仕事に取り組んでいたことを改めて思わせたところがgood。少々うまく行き過ぎと思いながらも、牧野部長に喝を入れていく言葉にウルウルする。
シェフの親子の話でダメ押しされて締められた話は、とても温かい気持ちで読み終えることができた。
カリフラワーのポタージュ、マッシュルームのポタージュ、エンドウ豆のポタージュ、春キャベツとアサリのナージュ。色々な料理が出てきたが、『注文に迷ったらスープがお勧めよ』と言われるだけあって、シェフのスープはどれもを口にしてみたいなと思わされる。 -
3.6
シリーズ第3弾。ファミレス 「シリウス」の仕事で悩み多き女性社員が深夜営業のビストロ、「キッチン常夜灯」での人達との交流を通じて成長していく、心温まるシリーズ。今回の主人公は製菓部のかなめ。
サクサクと読め、思わず食べてみたくなる数々のバスク地方の料理が出てきます。前作の主人公のつぐみも準主役として登場。主人公が「キッチン常夜灯」で1回の食事で支払う金額が気になります。 -
シリーズ3作目。
好きな仕事に就いたのに、異動で思わぬ部署に配属になって…というのは私も経験があるので、共感しながら読んだ。
製菓工場長やパートさんとの人間関係の難しさも、あるあるだなと。
途中、話があまり動かず中弛みしてしまったけど、後半は一気に盛り上がった印象。
結局、トラブルから立ち直っていく王道ストーリーが好きなのかも。
常夜灯のお料理は、今回ももちろん美味しそうだった。 -
今作の主人公は、飲食店大好きで入社するも、工場併設の製菓部に異動して3年、空回りばかりのかなめ。
プロジェクトで知り合ったつぐみに「キッチン常夜灯」を教えてもらう。
訪れる人を温かく包み込み、美味しそうな料理の数々に今回もたっぷり癒された。
仕事への姿勢も見つめ直せる。人は様々だけれど、決めつけてシャットダウンせず、よく見ること、踏ん張る忍耐力を身につけたい。
率直に話せる先輩・同僚の存在も大きいな。
常夜灯はもちろん、シリウスにも行きたくなった。
よーく食べて、コツコツ進む。その繰り返ししかないのよね。 -
今回の主人公はファミリーグリル シリウス豊洲店から製菓部に異動してきた森久保かなめ
小さい頃からお菓子作りが、好きだった彼女は
シリウスのデザート製造に携われるかもと期待に胸を膨らませるが、製菓部は経営が破綻したカモメ製菓を買収してシリウスの製菓工場とした場所。
カモメ製菓時代からの従業員たちの結束は固く
かなめの居場所はない。
製菓用語なども分からず、かなめは発注のとりまとめなど事務作業に追われていく。
シリウスの店舗で働いている時は
分かりやすい目に見えるやりがいがあった。
でも今はお客様の顔が見られないため、喜びや美味しいという顔も見えない。
そんなとき、本社営業部との合同プロジェクトに携わり、前回の主人公「つぐみ」と出会う。
そして、「キッチン常夜灯」とも出会う。
小さな嫌なことの積み重なりがのし掛かっているかなめ。
「こういう言い方をするこの人が私は嫌い」
「この人のことは嫌いだけど、嫌われたくはない」など、社会人なら誰もが経験する大したことのない嫌なことが積み重なり、やる気を失っていく。
そんな心をキッチン常夜灯の料理が、シェフと堤さんが、常連客が、癒し溶かしていく。
日常を忘れ、美味しいということに没頭出来る時間と場所に出会い、かなめも仕事に向き合っていく。
人を攻める前に、自分の出来ることを出来る場所で。
大好きなシリーズ第3段
仕事の悩みが、身近に感じるとともに
置かれた場所で咲こうとするかなめと、大切な空間としてさりげなく寄り添うキッチン常夜灯という場所がとても良い関係で描かれていた。
優しい言葉と美味しい料理で彩られたこの作品。
私は大好きです。 -
スイーツは季節毎に変わる気候と材料に合わせて色、味、五感以外の気持ちを満たしてくれる癒しの食べ物だと思う。シリウスの製菓工場が主な舞台となる。しかし甘味の製品と相反して働く人たちは苦汁を舐めている。そのギャップに悩むテラーのつぐみさん。自身も希望とは差異が大きな職場に苦悩中。
職人を目指し苦労を修行として積み上げた努力の末に身につけた腕前は立場が変わるとあっという間に素人になる。職人工場長が従える者からは見下されるのも無理はない。そんなギャップに気付けるのは活躍を期待され悩める女性の有志たち。頼りなさは些細なヒントで頼りがいに変わる。
前を向く頼れる中堅世代は自然とレジリエンスを教えてくれた。ベテランの域を通過すると変えられない意固地が変化を拒むものだが、変わった先の喜びを知るのは難しい。再燃の兆しを見出した職人は改心と共に創出にやり甲斐を添えて皆の拠り所に。
きっかけは、やはりシェフの思いやりメニュー。 -
シリーズ第三弾。今回も主人公はファミレス『シリウス』の女子社員。製菓部に配属され、そこでストレスをかかえていた。『キッチン常夜灯』で癒され、上手く回りだす。お決まり的展開になりつつあるが、決して嫌いではない。『シリウス』をやめて、自分の店を開くことまで考えているのは予想外だった。
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シリーズ3作目。
今作は、「ファミリー・グリル シリウス」のデザートを一手に引き受ける製菓部門が舞台の話。
主人公はシリウスの店舗から異動になった森久保かなめ。
今作もどちらかと言えばお仕事小説の色が濃いように感じました。
人間関係は色々と難しいですね。仕事関係となるとプライベートとは違う関係性になるので、お互いが気を遣ってしまう。
そういう人間関係がギクシャクしている職場で、なんとか自分の居場所を見つけて、次のステップへ踏み出していこうとしている様子は、物語なのに主人公からの『がんばるパワー』が感じられます。
そして、前作と前々作の登場人物も出てきてこれは嬉しかったし、キッチン常夜灯のお料理は相変わらず美味しそうでした。 -
キッチン常夜灯シリーズ3巻。
チェーン飲食店シリウスが舞台&行き詰まっている女性主人公を料理で解きほぐしていく展開は共通。今回は製菓部がメイン。
前作もそうだけど、大筋が大体一緒なので自分のように1〜3巻まで一気読みしちゃうと少しマンネリ感がでるかも。勿論料理はいつも美味しそうなんですが。
今作については、転機となるパートさん達のボイコットにイマイチ共感できないというか、上手くいったのはたまたまで、アレで欠品生じていたら会社全体の評判に関わるからなぁ、と引っかかってしまった。
次回以降があるなら、違ったベクトルの話も読んでみたいです。 -
『キッチン常夜灯』シリーズ第3巻。今回は店長を目指して入社したのに、工場併設の製菓部に異動させられた森久保 かなめが主人公。
今の職場に色々な不平不満があり、本社の新田 つぐみと出会い、キッチン常夜灯に誘われて様々な人達と巡り会うことで、かなめ自身が前向きに成長していく、お仕事系グルメ小説❗️
前2作の主人公の南雲 みもざや新田 つぐみが絡んでいて、彼女達が以前よりも成長して頼もしい存在になっているのが、とても印象深いです❗️
好きな話しは、『第四話 満ち足りた夜に パテ・アンクルート』です。職場のギスギスした雰囲気や昔堅気の製菓部の部長とどう折り合いをつけていくのか⁉️ちょっと心配になりましたが、うまくまとまってお腹も心も満たされる優しくてとても温かい作品でした❗️
今月発売される予定の第4巻が非常に楽しみです♪ -
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キッチン常夜灯シリーズ3作目
2作目から大分月日が経ってからの読書でした。
1作目2作目と違い主人公の職場が製菓工場だからか、スイーツが沢山でてきて、読んでいながら甘い匂いがするような気がしました。
料理の表現が毎回とても丁寧で、知らない料理でも想像しやすく、かつ美味しそうと毎回思ってしまう。
タイトルにもあるタルトタタンと、お話の中に登場するパテ・アンクルートが中でも食べたくなった。 -
常夜灯に行きたい。とにかく行きたい!と熱望しつつ、「いやまて、常夜灯で食事したら一体いくら掛かるのか…」とスンッと真顔になって、でも常夜灯に行きたくて。そんな感情が行ったり来たりしながら読みました。
人を分かろうとすること、思いやろうとすること、そして自分のやりたいことに向かっていく原動力。その真ん中にあるのが、心のこもったお料理。改めて食事を大事にしよう、食べ物は心も体も動かすエネルギーだと、とてとありがたいものだと思い直せました。そして、料理に注がれる愛情。あぁ、やっぱり常夜灯に行きたい! -
長月天音さんの「キッチン常夜灯」の第3弾、「キッチン常夜灯 ーほろ酔いのタルトタタン」読了。
ファミリーレストラン「シリウス」を展開する会社オオイヌに勤めている女性たちが主人公のこの小説。
第3弾の今回は、オオイヌの製菓工場に異動になった女性が主人公。工場を取り仕切る部長とも、他の社員とも、パートさんたちとも距離を置かれていて、やりがいを見出せないでいた彼女が、「シリウス」のデザートを拡充するというプロジェクトを任されることになって、いろいろ奮闘して、少しずつ成果が出る、というストーリー。
で、もちろん出てくるのは、夜中まで営業しているビストロ「キッチン常夜灯」。
第2弾までの主人公や、常連客や、シェフの城崎さんや、ソムリエの堤さん。ほっとできるお店である「常夜灯」で、さまざまな出会いやアイデアに出会う。
そしてもちろん、美味しそうな料理の話がたっぷり!
行ってみたいなぁ、「キッチン常夜灯」
第4弾、でるのかな。たのしみー。 -
シリウスの製菓工場で働くかなめちゃんが主人公。1箇所ほろっと来るところがありました。
美味しそうな料理は相変わらず。私も常夜灯のような行きつけのお店が欲しい。 -
常夜灯3冊目。
このシリーズに出てくる登場人物たちの心温まる性格が本当に好き。
それはきっと同業者として酸いも甘いも噛み分けるからこそ、気持ちを理解してくれるからなんだろうか。
今回の主人公・かなめも、心を閉ざした牧野部長とパートさんたちと挟まれながら、製菓部をどうすれば一緒に楽しく働けるようになるか、お互いの溝を埋めるにもどんどん広がってしまうのだけど。
そこでつぐみやみもざと出会い、そして常夜灯にも出会い…。
多方面からアドバイスを頂いていくうちに仕事・職場に対するモチベーションも徐々に上がっていってるのには、つぐみが言ってた「シェルターみたいなもの」というのに納得が行く。
あぁ…こういうお店がリアルにあればなぁ。きっと現代人のシェルターになって、お客さんが絶えないなぁなんて思いました。
そして各話に出てくる、おいしいごはん、ごちそうさまでした(笑)
次回はどんなストーリーが待っているんだろうと、今からワクワクしてます。 -
今回のヒロイン、森久保かなめも 日々の仕事に頑張っている女性。 彼女もまた「キッチン常夜灯」に自分の居場所を見つけます。 その気持ちを表現している文章が好きです。どう言っているかというと、「仕事から離れる。誰かと話をする。 心の中に違う風を運んでくれてやる気を起こさせてくれる。」良いですね。私もそういう場所見つけたいなぁ。
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今度の舞台は店舗にお菓子を納入する製菓工場…一癖有る上司や社員は合併した元会社の社員…そんな中に不本意な異動をした主人公が奮闘するお話でした。
奮闘して疲れた体と心を癒すキッチン常夜灯…そんなお店を自分も見つけたいです。 -
自分のやりたい仕事ができていない。職場の雰囲気もギスギスしてる。
そんな状況にモヤモヤしていたかなめだが、つぐみの紹介で知った「キッチン常夜灯」に通ううちに、少しずつ前向きに考えることができるようになっていく。
このシリーズのお馴染みの展開パターンだが、それが良い!
美味しい料理は、大切な人への想いでできている。だから、食べたら元気になれる。
今回も、かなめを通して、私も元気をもらえた。
過去作の主人公であるみもざ、つぐみのその後の活躍っぷりを見ることができたのも嬉しかった。
長月天音の作品

この3作目だけ、まだ読んでないのです。
さすがにそろそろマンネリ化してくるかなーなんて勝手に決めつけて、手が出せず...
この3作目だけ、まだ読んでないのです。
さすがにそろそろマンネリ化してくるかなーなんて勝手に決めつけて、手が出せずにおりました。
でもニセさんのレビューを拝読して不安感は払拭!
3作目も良さそうですね、近々読んでみようと思いました。
それに常夜灯のメニューが相変わらず美味しそう♪
お久し振りにコメントありがとうございました。
私、こういう話に弱いので多少評価は甘めと思いますが、読んでいただけると良い...
お久し振りにコメントありがとうございました。
私、こういう話に弱いので多少評価は甘めと思いますが、読んでいただけると良いと思います。