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Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784041159521
作品紹介・あらすじ
生命を賭して著者が紡いだ、読者へのラストメッセージ
ずっと前に早世した妹といま余命宣告を受けた自分をつなぐことで見えてくる人間の孤独、湧きあがる思い、粉雪のように静かに舞い降りる記憶――。著者が闘病中に最後の作品と心定めて書き上げた絶筆「リヴァプールのパレット」。上質なセンチメンタリズムが内包された「僕たちの星」「彼女が悲しみを置く棚」。声帯を摘出したことを明かし、夫人が代読した藤井聡太王位の就位式祝辞――「声なき祝辞」の完全版を収録。
感想・レビュー・書評
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好きな作家さんだった。
まさか、亡くなっていたなんて・・・
たまたま手に取った本が、最後の作品だったなんて・・・
心にしみるような文体の流れが、好きだった。
言葉の使い方が丁寧で、表現がとても豊かだった。
とても、切ない・・・
以前の作品をまた読みたくなった。
ビートルズの歌が脳内に反響しながら、
北海道の雄大な景色を浮かべつつ、
ストーリーにのめり込み、涙が止まらなかった。
あちらの世界でも、書き続けてほしい。
ご冥福を祈ります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
余命宣告された主人公が病床で、過去の思い出をビートルズの曲と共に語る表題作。高校時代の部活の先輩との思い出、大学時代の恋人との別れ、其々が静謐の中で描かれている。命を繋ぐ絹糸の様な強さと儚さが悲しいけど美しくて、今更ながらに、亡くなられた大崎氏のご冥福をお祈りせずにはいられない。
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藤井聡太王位への「声なき祝辞」と絶筆収めた遺稿集を発売 作家・大崎善生さんが闘病中に見つけた幸せは:東京新聞デジタル 2025年4月28日 ...藤井聡太王位への「声なき祝辞」と絶筆収めた遺稿集を発売 作家・大崎善生さんが闘病中に見つけた幸せは:東京新聞デジタル 2025年4月28日 有料会員限定記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/400960?rct=book2025/05/08
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ベテランならではの文体と文章が印象に残る。説明し過ぎない良い後味。作者の病気と人生の振り返り。なかなか良い時間でした。
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切なくてとても繊細な文章だなと思う。
あっという間に読み終わってしまうボリュームだけど、余韻は残る。 -
3つの短篇小説と藤井聡太氏への『声なき祝辞』を収録。淑やかで透明感のある文章が胸を打つ。『リヴァプールのパレット』に落涙。著者の作品をもっと読みたかった。優しい作品をありがとうございました。合掌。
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思い出を振り返るタイミングって、やっぱり死を強く意識したときなんでしょうね。
さて、私はその時に、思い出を思い出すのでしょうか? 今から楽しみです。
恋愛に関係したものだったら嬉しいな。 -
「聖の青春」「将棋の子」で泣かせてくれた大崎善生さん。大好きな作家さんだが、まさか亡くなっていたなんて…。この作品は、私小説のように思える。実際に大崎さんの身に本作のようなことがあったかどうかはわからないが、大崎さんが闘病中の苦しみの中で、己の人生を書き残すことを生きる支えとして本作を書き上げたような気がしてならない。
大崎さんの作品は自分の心に響く部分が多く、非常に波長の合う作家さんだった。もう新作に出会うことはできないが、まだ読んでいない作品が多く残っている。まだまだ大崎さんの心に触れることができるのは、読者の喜びてある。ご冥福をお祈りします。 -
札幌の青春時代が懐かしい
ピュアな主人公ばかり -
これが最後だと思うと、ちょっと寂しいかな。出会えてよかった。
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声なき祝辞は3回も読み返しました。
切ないね〜〜
患者の病気を治せない医者って何者なんだろう。
「できる限りの努力を重ねて技術を磨きそれを持って人のために奉仕する。」
この言葉で将棋の本質を解明することに向かおうとする羽生先生の姿がわかります。 -
心に沁みた。ビートルズが聴きたくなった。
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大崎善生遺稿集
この人の小説は、現実と空想の境目が曖昧で
一体どんなふうに世界の景色が見えているんだろうと不思議だった
表題作は特にその傾向が顕著で
身を削りながら物語を綴っている様が思い浮かんで鬼気迫るものがある
声なき祝辞は涙なくしては読めない -
故人の書き残した私小説的短編集と言える内容かと思いました。じっくり読ませるような静謐な文体に好印象のまま読了。
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大崎善生は最後まで大崎善生だったのだ。
美しい本。 -
遺作
リヴァプール
ビートルズ
将棋
どれもが
亡くなった兄とかぶる
ガンになってしまうところまで
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久しぶりの著者本。エモーショナルなところから遠ざけ静謐さを保つような筆致に何度か気持ちを揺さぶれたことがよみがえる。リアルさを感じられずうまく受け止められないこともどきどきあった。この本は「聖の青春」後の初期?の著作で感じた選び抜かれ研ぎ澄まされた形容やことばで語られたものでこちらにちゃんと届いたのだ。
上梓できて妹さんといろいろと話しができたかな。 -
癌闘病の中で書かれた作品
幼い妹との思い出
いつも2歳違いの兄の後をついて
同じことをやりたがった元気な子
不治の病で入院し
兄と同じ中学校に行きたいと
泣いた妹の為に医師である父親に
抵抗しついに通えるようになる
その間兄は毎日車椅子の妹に付き合う
再入院した時も毎日見舞いに行く
何だか切ない
姉からプレゼントされたビートルズ
妹にも聞かせて
彼女もファンになり
習いたての英語で訳詞を試みる
作家となり
イギリスの取材旅行を終え思い立って
リバプールへ向かう
セントピーターズ教会で思いがけない
エリナ・リグビーの墓を見つける
札幌で育った著者の感性が育まれた
風景が絡んで
過去を思い出して心がざわつく
そんな作品
生きているといろんな過ちを侵すけれど そうやって生きていくんだよね
そしていつかは逝くんだ
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余命宣告されるくらいの癌の闘病をしながらの執筆。まもなく死ぬ、という認識下では思いや表現はとても違うのだろうか。
著者プロフィール
大崎善生の作品
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