ペネロピアド 女たちのオデュッセイア (角川文庫)

  • KADOKAWA (2025年5月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041162699

作品紹介・あらすじ

ホメロスによるギリシア英雄譚『オデュッセイア』。男性的な叙事詩の中で、女たちの声は語られてこなかった。
オデュッセウスの帰還を待つ20年、妻ペネロペイアは国を守るため、噂話に耳をふさぎ、無鉄砲な息子を育て、財産狙いの求婚者らを追い払う。
その内心はいかなるものだったのか。12人の女中たちはなぜ殺されたのか――。
『侍女の物語』『誓願』の巨匠アトウッドが想像と語りの才を発揮した、新たなる傑作!
解説・小川公代

★2025年6月 NHK Eテレ『100分de名著』(M・アトウッド『侍女の物語』『誓願』) 指南役:鴻巣友季子

みんなの感想まとめ

女性たちの視点から描かれる新たな英雄譚が魅力的で、古典的な『オデュッセイア』の裏側に潜む物語が鮮やかに浮かび上がります。ペネロペイアはただ待つ存在ではなく、彼女自身の内面や葛藤が深く掘り下げられ、読者...

感想・レビュー・書評

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  • 大昔読んだオデュッセイアは当たり前にオデュッセウスの冒険が描かれていて、ペネロペイアはひたすら夫の帰りを待っているだけの存在だった。
    正直、12人の女中が殺されたくだりがあったかどうかも覚えていない。
    英雄の物語の裏で、女たちにはこういうことがあったのかもしれない。新しい視点でおもしろかった。

  • 面白かった。アトウッド自身SF = Speculative Fictionと呼びたいと言われているのも納得。でもやはり自分にはまだまだ歴史的・文学的教養は全然足りないことも思い知らされる。

    タイトルがイリアス(イリアド)に絡めてペネロペイア→ペネロピアドになっているという点や、古典の舞台を思わせる幕間などやはり自分自身がもっと古典を知っていればもっと面白さも伝わるのだろうなともどかしくも思った。

  • Review: The Penelopiad by Margaret Atwood — Kell-Read
    https://www.kellread.com/blog-avenue/review-the-penelopiad-by-margaret-atwood

    Review: The Penelopiad by Margaret Atwood – Book Murmuration
    https://bookmurmuration.wordpress.com/2018/08/03/review-the-penelopiad-by-margaret-atwood/

    【インタビュー前半】マーガレット・アトウッド 聞き手・翻訳/鴻巣友季子 「閉じこめられること」と「解放されること」、そして「復讐」と「赦し」を巡る物語|集英社文芸・公式 2020年9月4日
    https://note.com/shueisha_bungei/n/nf32e375f387c

    Margaret Atwood -
    https://margaretatwood.ca/

    狙った言葉と無縁の世界 鴻巣友季子|講談社 群像 公式サイト(2009)
    https://gunzou.kodansha.co.jp/3838/8988.html

    鴻巣 友季子の書評/解説/選評一覧 | 書評家 | ALL REVIEWS
    https://allreviews.jp/reviewer/42/review

    「ペネロピアド 女たちのオデュッセイア」マーガレット・アトウッド [角川文庫(海外)] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322502000716/
    (単行本)
    https://www.kadokawa.co.jp/product/200507000197/

  • 初めて読んだアウトウッドの著作。

    英雄譚というものは古来より男性視点で語られており、英雄譚の中の女性は戦利品で、家の財産で、奴隷で弱者で声なき者である。ペネロペイアは『賢く貞淑なオデュッセウスの妻』という評判だからこそリアルな女性として声を上げる様を私は想像したことすらなかった。この本では彼女らの生き生きとした姿がよみがえる。

    話が進むに従って、互いの言い分が食い違うペネロペイアと12人の女中たちのコーラスにゾッとした。ペネロペイアも嘘をついたり素知らぬ顔をできるこの仕掛けが気に入った。

  • p.165〜170が出色。
    家父長制やら父権制やらの生皮をベリベリ引っぺがす爽快感が素晴らしい。
    これが四半世紀前に書かれた作品だとは。
    アトウッドの炯眼に驚くばかり。

    巻末に古典劇や神話のなかで沈黙させられてきた女性たちが語る作品群が列挙されていて、そちらも興味深い。ぜひ、読んでみたい。

  • オデュッセウス王の冒険を妻ペネロペイアの目線から描く物語。ペネロペイアの語りに12人の女中たちがコーラスを添えるが、コーラスは次第に語りを裏切っていく。

    『オデュッセイア』についてはもちろん皆さまご存知、という前提で書かれているため、事前に読んでおく、少なくとも把握しておく必要がある。そしてそれをどう読んだかで、本書の感想は大きく異なってくると思われる。10歳からのオデュッセウス推し、と言う立場で読んでみた。

    読み始めるなりいろいろ悟らざるを得ない。かの英雄譚がどこまでも男性目線で美化されたものであること。女性の目線のない物語がどこかおめでたさをはらむこと。そして自分が、まるで無批判に読んできたこと‥。神殿が目の前で廃墟と化していくような気持ちになった。
    その廃墟から立ち上がってくるのは、「なぜ12人の女中たちは殺されたのか」という問いである。相矛盾する主張や憶測、暴露に考察が入り乱れ、一見、真相は藪の中。しかしその経緯はどうあれ、オデュッセウスが彼女たちを殺した理由はたった一つであるし、それはきわめて不当な理由だった。それが数千年見過ごされてきたということは、現代に至るまでその不当さがある程度当たり前とされてきたということだ。女中たちは死後の世界で、苛烈にオデュッセウスを告発する。圧殺されてきた声によるその告発、普遍的な不当性に対する告発こそが、本書を特別なものにしているのだと思う。
    マーガレット・アトウッドを読むのはこれが初めてだが、他の著作を読んだらまた違う感想が出てきそうな気がする。あときわめて個人的な感想であるが、オデュッセウスの生まれ変わりリストに真田昌幸も加えられるべきだろう。

  • 興味はある分野なんでもうちょい勉強しよかな。

  • 詳細は、あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート をご覧ください。
     → https://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-2304.html

    ギリシア英雄譚「オデュッセイア」
    男性的な叙事詩が、女性の視点で語られます。


     

  • 非常に読みやすい口語体で書かれ、翻訳されている。ミュージカルのように途中途中に歌や詩などが交じり場面転換のような動きが入る。通常の小説とは異なる趣向、この手の書き方はもしかしたら原本のギリシャ神話がそうなっているパターンかもしれない。ギリシャ神話を分かっていれば、もっと楽しめるんじゃないかと思う。

  • 楽しい、楽しい、楽しいー、と、ニヤニヤしながらページをめくり、そして、昔読んだ「イリアム(ダン・シモンズ)」を再読するぞ、心に決めたのでした。

  • 『オデュッセイア』を、夫を20年待ち続けた賢妻ペネロペイアの視点で⁉なんて、アトウッドにしかできまいよ。死後の世界で前世を振り返るペネロペイアの独白、不実と殺された12人の奴隷女たちによる恨みのコロス(ブロードウェイ風になっていたりしてオモシロ)から、衣食住の詳細も豊かに浮かび上がる現代の女性像との対比。いや~本質はそんなに変わっていないのかも…。
    たまたま飛行機で見た映画が、レイフ・ファインズ&ジュリエット・ビノシュがこの夫妻を演じる『The Return』だったりして、それぞれの解釈の違いも楽しく、薄い本なのに実に読みごたえがありました。

  • ホメロスのギイシャ神話「オデュッセイア」を、女性登場人物の視点で描く。
    オデュッセイアに20年放置された妻ペネロペイアと、オデュッセイアが帰還した際になぜか殺された12人の女中たちが、
    神話では語られなかったオデュッセイアが冒険に出かけていた間の20年を語る。

    ジェイムズ・ジョイス の「ユリシーズ」を読む前にこれを読んでいたら、「ユリシーズ」の感想は違ったものになっていた気がする。

    「オデュッセイア」を知らなくても楽しく読めるが、「オデュセイア」を知ってから読むと、パロディもの(?)二次創作もの(?)としても楽しめるんじゃないかな。

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著者プロフィール

マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood):1939年カナダ生まれ、トロント大学卒業。66年にデビュー作『サークル・ゲーム』(詩集)でカナダ総督文学賞受賞ののち、69年に『食べられる女』(小説)を発表。87年に『侍女の物語』でアーサー・C・クラーク賞及び再度カナダ総督文学賞、96年に『またの名をグレイス』でギラー賞、2000年に『昏き目の暗殺者』でブッカー賞及びハメット賞、19年に『誓願』で再度ブッカー賞を受賞。ほか著作・受賞歴多数。

「2022年 『青ひげの卵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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