レモネードに彗星

  • KADOKAWA (2025年7月1日発売)
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感想 : 5
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784041163641

作品紹介・あらすじ

「あなたが今思ったよりも、全然すごいよ」 円城 塔(作家)
新時代の才能、発掘! 円城塔賞受賞作「レモネードに彗星」を含む 少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!
美しい叔母とは大きな窓ごしにしか対面できない。もう15年も。私が死んでからの15年。「レモネードに彗星」/世界への軽蔑を共有することで結ばれた二人の、数奇な運命。「純粋個性批判」/触れることのできない、破滅的に美しい彼女との予測不能な愛の物語。「新しい孤独の様式」など7篇収録
「安心して。私だって千年も生きるわけじゃない」

感想・レビュー・書評

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  • レモネードに彗星(灰谷魚) - カクヨム
    https://kakuyomu.jp/works/16817330667733885854

    灰谷魚|note
    https://note.com/haitani

    「レモネードに彗星」灰谷魚 [文芸書] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322503000311/

  • 超超超良かった……。全部良かった。全部!!!「かいぶつ が あらわれた」「宇宙人がいる!」表題作の「レモネードに彗星」、いちばん長かった「新しい孤独の様式」も最高だった。ほんとに全部良かった……。知らない理論が当たり前みたいに日常で繋がるのもいい

    会話の流れが軽くて読みやすいのもいいし、物語として特に好きなのは「新しい孤独の様式」、終わり方がとても好きなのは「かいぶつ が あらわれた」「レモネードに彗星」で、「火星と飴玉」はじれったさと名前の羅列がワクワクして良かった。このSFHPとかいうハイパーポップ、読めて良かったです。

  • 分かり合えなさが愛おしいのはなんでなんだろう。と考える。理解しようともがくみじめさが、断絶に打ちひしがれる後ろ姿が美しいと感じるからだろうか。
    どうだろう、もっと切実なものなんじゃないか。

    私たちは互いを全て理解することは決してできない。だって自分自身の欲求すら理解できていないのに、相手に真に寄り添うことなんてどうしたら可能なんだろう。
    だから、ひとりでぼんやりとしているよりも、誰かと一緒にいる時の方が寂しい気持ちになる。
    それでも、あなたとこうして向き合っていたい。
    そんな孤独を、あまりにも瑞々しい文章で、あらゆる角度で書き出しているのがこの短編集だ。
    痛みも苦しさも後悔も、その鮮烈さを保ったままで洗われるような瑞々しさがある。つけられた傷すらたまらなく愛おしくなる。

    かいぶつ が あらわれた
    終末はゆるやかに、隣人のようにやってくる。きっといろんなことを忘れている私が、世界の終わりよりもずっと受け入れられない彼女とのさようならを再会という祈りに変換しているのが苦しい。きっと他の人から見たら怪物も彼女も同じような存在なのだ。

    純粋個性批判
    ああよかったな、と思った。手紙を破り捨てたこと。きっと今度は素敵な小説が書ける。他ならぬまりえちゃん自身にとって。

    宇宙人がいる!
    笹井のことを馬鹿がつくくらいの真面目人間のままだと思っていることと、なんで山田に振られたのか全然見当もつかないことはきっと同じことで、でもそれでいいんだよな、そういうもんだよなって思うことができる。人間は下等だから何にも分からないけど、別にわかんなくたっていいんだよな。

    火星と飴玉
    どうして失言って言った瞬間にそうだと気づくことができるのに、口から出ていくことを止められないんだろうな。っていう時の気持ちが生々しくてこわくなる。自分と全然違う、どうやって距離を縮めたらいいかなんて皆目見当もつかない相手との会話って、こんな感じだ。
    ああこの人は自分とはどう頑張ったって人生が交わることはないんだって突きつけられる絶望と、それでもきっと大切な宝物になるだろう会話のかけらを抱きしめる。確かな幸せの輪郭がある。

    新しい孤独の様式
    これは愛だ、としか言いようがない。戸川ハルオはこれから先もずっと傷つき続ける。一瞬たりとも本当に望むものが手に入らないことに苦しみ続ける。だけど、それを全部ねじ曲げることができるかもしれない解決法を自分でぶち壊して壁のこちら側に止まることを選んだ。律動に従って生きることを望むような人間が!側にいることで鮮明に、深まっていく孤独を前にそれを呑む決意ができることが、愛じゃないわけがないんだよな。

    レモネードに彗星
    「後悔」の表現がすごい。後悔の感情、可視化された情景、それでも抑えることのできない衝動。早く全てを置き去りにしてしまいたいのに、それもできずに亡霊に囚われ続けている。のに、亡霊は、その全てを美しいと思う。甘さよりも苦味が主張する、炭酸入りのレモネード。自身を燃やしながら飛ぶ彗星を孕んだ液体は、それでも忘れたくない感情の塊なのかもしれないと思った。

    スカートの揺れ方
    たった一言だってそんなことは言っていないけれど、それでもわかる。これは恋ですね。600ユーロのスカートが青い炎とともに跡形もなく消えた後も続く関係。その距離感。煌めくようで、ほんのちょっぴり寂しくて。
    恋の話だ、致命的なほどに。

  • ごめんなさい〜、個人的には可もなく不可もなしだった。各お話の世界観の作り方も、言葉のセンスも、個性的でいいなと思ったんだけどなあ…。ふつうにさらさらっと読み終わったかんじ。すべての本が自分に合うわけじゃないよな、と、じぶんに言い聞かせている…。

  • マジのガチで傑作。青春の煌めきと童貞と断絶とシスターフッドとSFと…。ちょっと凄すぎる。文体が良すぎる。
    今すぐ読んで!!私は読めて良かった。

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