中原中也全詩集 (角川ソフィア文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • KADOKAWA (2007年10月25日発売)
4.23
  • (59)
  • (23)
  • (27)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 807
感想 : 50
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (804ページ) / ISBN・EAN: 9784041171042

作品紹介・あらすじ

昭和12年(1937)、友人の小林秀雄に詩集『在りし日の歌』の原稿を託し、30歳で夭折した中原中也。喪失の悲しみに耐え、詩と人生に衝突するように時代を駆け抜けていった希有な詩人の魂の軌跡を一冊に収録。歌集『末黒野』、第一詩集『山羊の歌』、没後刊行の第二詩集『在りし日の歌』、生前発表詩篇、草稿・ノート類に残された未発表詩篇を全て網羅した決定版全詩集。巻末に大岡昇平「中原中也伝――揺籃」を収録。

みんなの感想まとめ

感情の深い渦と美しい言葉が織りなす作品で、孤独や喪失感を抱えた詩人の心の旅を感じることができます。中原中也の詩は、春の日の夕暮れやサーカスの風景、さらには汚れた悲しみといったテーマを通じて、彼自身の内...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • トタンがセンベイ食べて
    春の日の夕暮は静かです
    アンダースローされた灰が蒼ざめて
    春の日の夕暮は静かです

    吁!案山子はないかーあるまい
    馬嘶くかー嘶きもしまい
    ただただ月の光のヌメランとするままに
    従順なのは 春の日の夕暮か
        (「春の日の夕暮」より)

    幾時代かがありまして
      茶色い戦争ありました

    幾時代かがありまして
      冬は疾風吹きました

    幾時代かがありまして
     今夜此処での一とさかり
      今夜此処での一とさかり

    サーカス小屋は高い梁
      そこに一つのブランコだ
    見えるともないブランコだ

    面倒さに手を垂れて
     汚れ木綿の屋根のもと

     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

    それの近くの白い灯が
     安いリボンと息を吐き
          (「サーカス」より)

    汚れちまった悲しみに
    今日も小雪のふりかかる
    汚れちまった悲しみに
    今日も風邪さへ吹きすぎる

    汚れちまった悲しみは
    たとえば狐の革衣
    汚れちまった悲しみは
    小雪のかかってちぢこまる
      (「汚れちまった悲しみに…」より)

    菜の花畑で眠っているのは…
    菜の花畑で吹かれているのは…
    赤ン坊ではないでせうか?

    いいえ、空で鳴るのは、電線です電線です
    ひねもす、空で鳴るのは、あれは電線です
    菜の花畑に眠っているのは、赤ン坊ですけど
      (「春と赤ン坊」より)

     高校の国語で出会った中原中也。
    悲しい青春の歌。喪失の歌。美しい日本語。リズム。大正モダン。やっぱりいいです。
     最近よく聴くブルーハーツのギタリストで歌詞も半分くらい書いていた真島昌利さんが中原中也を好きと知って、詩集を読んでみました。

  • 多少の意味がわからない部分があっても、詩の言葉一つひとつを五感で受け止め、感覚的に胸に響く詩がいくつか見つかった。著者の孤独と寂しさと、自分自身を怠惰と蔑むあたり、自分と重なる部分に共感を覚えた。30歳と若きに死した、その短い時間の中でも、感情(ネガティブなものが多かったが)が迸るのを感じた。

  • 「生い立ちの歌」がイチバン好きです


    幼年時
    私の上に降る雪は
    真綿のようでありました

    少年時
    私の上に降る雪は
    霙のようでありました

    十七〜十九
    私の上に降る雪は
    霰のように散りました

    二十〜二十二
    私の上に降る雪は
    雹であるかと思われた

    二十三
    私の上に降る雪は
    ひどい吹雪とみえました

    二十四
    私の上に降る雪は
    いとしめやかになりました


    私の上に降る雪は
    花びらのように降ってきます
    薪の燃える音もして
    凍るみ空の黝む頃

    私の上に降る雪は
    いとなよびかになつかしく
    手を差伸べて降りました

    私の上に降る雪は
    熱い額に落ちもくる
    涙のようでありました

    私の上に降る雪に
    いとねんごろに感謝して、神様に
    長生したいと祈りました
    私の上に降る雪は
    いと貞潔でありました



    ※パブリックドメイン(public domain)

  • 62冊目『中原中也全詩集』(中原中也 著、2007年10月、角川学芸出版)
    30歳という若さで夭折した天才詩人・中原中也の全詩集。
    約800ページという非常にボリュームのある文庫本だが、1ページあたりの文字数は少ないので割とサラサラと読み進めることが出来た。
    爽やかかつロマンチックでありながら、全てに唾するような無頼さも感じられる。どちらも彼の本質であり、それこそが中原中也の魅力なのだろう。

    「ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けませう、波はヒタヒタ打つでせう、風も少しはあるでせう。」

  • /◆/昔のほのかな想ひに…/◆/





    中也氏のこの詩集…
    昔、好きだった一つ年下の方が
    愛読されていたのを思いだした。


    汚れちまった 悲しみに
    今日も 小雪の降りかかる…


    どことなく中也氏と
    面差しまでもが近しく、
    孤独の似合ったその方…
    今は いずこにあられるのだろう。


    そんな想ひに浸りたき今宵…
    この一冊を
    わたくしも手元に置きたくなりて候う。

  • 悲しみと生きるために

    バイトの休憩中にちびちびと読んできた、中也の詩。全詩集。
    悲しみはどこにでも、何しても、消えてくれるものじゃないから、それならば、私はそれと手を繋ごう。
    中也の悲しみを一緒に感じて、あなたの悲しみは心地よいから。私はずっと、救われているよ。

    いつかまた会いに行ける世界になったら、あいにいく。

  • 『現代詩文庫 中原中也詩集』(思潮社)だけど代用

    読んでる時は、バリエーションに富んだ詩を読む人だな、くらいの印象だったが、

    本人の"小詩論"、"芸術論覚え書"
    秋山駿と鮎川信夫の解説を読んで初めて、詩人としての生き様を見れた感じでした。

    踏まえてもう一度読んでもまた印象変わるかも

  •  サイズこそは文庫本だが、『全詩集』とだけあってかなり分厚い(全797ページ)。詩の大半は、生前未発表のもの。

     怒られる覚悟で言わせてもらうが、詩人には「なんとなく言いたいことはわかる」タイプと、「ちょっとなに言ってるかわからない」タイプの方がいらっしゃる。中原氏は思いっきり後者。途中から脳がついて行けなくなり、結果、読み終えるまで一年を要してしまった。

     彼の思考は、どこか夢遊病患者のような感じがする。神とか仏とか、そういう領域から世界を見ているような。そんな虚しさや無常さを表した詩が多いなあと。

  • 350篇もの全詩集です。
    長かった!...けど読みやすかったです。
    中原中也の詩は先ずテンポが良いのが一つの魅力だと思います。
    読む音楽みたいなと言ったら変かもしれませんが、それくらいリズミカルなのが心地良いです。
    中原中也という人となりと、言葉や漢字の裏に隠された意味を理解出来ると嬉しくなる一冊です。
    お気に入りの詩は勿論たくさん見つけましたが、やはりサーカスが一番好きかな。
    ゆあーんゆよーんは何だか可愛らしい表現だと思います。

  • 中也の詩は悲しい。
    彼の悲しみは詩。

  • 持っている本は角川文庫の旧版。
    これは青春の愛読書だ。

    中原中也を知ったのは、高校の現代文の教科書に載っていた<ひとつのメルヘン>だった。
    図書館で<サーカス>を読んで、「ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよーん」のオノマトペに衝撃を受け、中原中也の世界にハマり込んだ。
    口ずさめるまで読み込んだ詩も多数。
    <朝の歌>を読むと、ジョン•レノンの気怠い「I’m so tired」と歌う声が聞こえてきた。

    小林秀雄を翻弄し、詩人になろうとしていた小林の野望を打ち砕いた本物の詩人(そのおかげで我々は日本で初めて批評家を持つことになったのだが。。)
    昭和初期に一瞬の光芒を放って去っていった詩人だが、その光芒はいよいよ輝いている。
    「風が立ち
     波が騒ぎ
     無限の前に腕を振る」

    女優長谷川泰子との歴史的三角関係を通じて、小林秀雄は日本史上初の批評家となり、中原中也は日本文壇にも稀なる真の詩人となった。
    漱石が三角関係を重要テーマとしたように、日本文学は三角関係によって、二人の天才を産み落とした。
    後年、同じく三角関係からひとりの詩人•思想家を生み出している。言うまでもなく吉本隆明だ。
    中原の詩を初期詩篇から読んでいくと、三角関係を経て、本当の詩人になるのが分かってスリリングだ。
    命の危機ともいうべき真剣な三角関係が、日本文学の二人の巨人を作り出したとしたら、ミューズとしての長谷川泰子の役割は甚大なものと言わなければならない。

    詩は、本で読むものではなく、暗誦するものだと理解させてくれたのが中原中也だ。
    ふとした時に口をつくリズミカルでリリックな中也の詩は人生を彩りに満ちたものにしてくれる

  • 「月夜の浜辺」月夜の晩にボタンがひとつ浜辺に落ちていた
           捨てられないもの
    中也の詩があってうれしい

  • 東京に、雪が降った。街に光に照らされて、雪が落ちて行く。
    そんな時に、ふと思い出すのが、「今日も小雪の降りかかる 汚れちまった悲しみに」というフレーズだった。そして、本棚から、この詩集を取り出す。それで、読んでみる。その詩の最後のフレーズ「なすところもなく日は暮れる」という終わり方に、雪は心の中にも降りしきるようだ。
    この詩集は、不思議なことに、買ったときからずっと持っている。50年以上前の詩集で、紙は日焼けしている。存在感がある。中原中也に憧れた時期がある。悲劇のような喜劇のような詩人である。
    京都から恋人の年上の女優になりたい女と一緒に東京に行き、そして小林秀雄と仲良くなって、小林秀雄にその女を取られる。一緒に住んでいた荷物を、小林秀雄の家に持って行ってやるのだ。
    寝取られた上に、優しさを発揮する。「汚れた悲しみ」に雪が降って、何事もなかったような白い世界となる。朝になると雪が溶けて、汚れてしまった悲しみがあらわになる。「私はかたくなで、子どの模様にわがままだった。私はおまへの優しさを思ひ、また毒づいた人を思ひ出す。今朝はもはや私がくだらない奴だと、みずからを信じる」と歌う。どこに怒りをぶつけたらいいのか。その自分の不甲斐なさ。酒屋で飲んだくれて、人に絡みついた。悲劇を喜劇のように演じて、詩人は、言葉を磨き続ける。敗者としてのとぎすまされた言葉を磨く。その恋人は、結果として小林秀雄さえも捨ててしまうのだが。
    小学校からの友人が、中学生の頃に高村光太郎の「さびしき道」と中原中也の「月夜の浜辺」を教えてくれた。波打ち際のボタンが落ちていて、それを拾ったら、どうする?と言われた。
    彼は、海に向かって思い切り遠くまで、投げてやると言った。彼は、野球選手だった。用のないボタンは、もういらないのだと。スッキリしているのだ。私は、やはりポケットの中に入れると思った。
    彼はもう地球上にはいない。
    30歳で人生を閉じた中原中也。昭和12年。戦争が本格的に始まる頃だ。ピカソがゲルニカを描いた頃。中原中也は、1冊の詩集しか出版していなかった。2冊目を作って、小林秀雄に託して死んだ。
    サーカスのブランコは、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」とゆれる。
    そして、「私の上に降る雪は真綿のやうでありました。私の上に降る雪はいとしめやかになりました。私の上に降る雪に いとねんごろに感謝して、神様に 長生きしたいと祈りました」
    夜の東京で、雪が降ると 雪を歌った詩人のことを思い出す。

  • 大正から昭和にかけて活躍した詩人、中原中也の全詩集です。文庫版ですが、読みやすくて良いです。中原中也と聞くとイメージされるのは、「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる…」と始まる「汚れつちまつた悲しみに……」が一番でしょうか?他にも美しい自然を描いたものや人生の苦悩を絞り出したものなど、たくさんの詩を残しています。作品から想像できませんが、だいぶ破天荒な人生を送っていたらしく、大岡昇平や太宰治とのエピソードは有名です。全詩集なので、気になる詩やグッとくる詩を探しながら読むのは楽しいですよ。

  • 彼の詩には絶望が見えるが、どこか前向きに感じる。だからか辛い時に読むと吹っ切れる心地がする。

  •  うつくしさと力強さを兼ね備えた言葉達だと思った。
     単語選びのきれいさを見ると、消えそうな言葉と感じてしまってもいいと思うのに、絶対に消えないで、しぶとく残る印象。きれいなのに力強い、よりは力強いのにきれい、の方が表現として合っているかもしれない。

    「朝の歌」「失せし希望」「一つのメルヘン」「ひからびた心」「月夜の浜辺」が好き。

  • 2012/02/10読了

    若くして亡くなった中原中也の全詩集。797ページのこの本に、中也の喜びや苦悩の全てが詰まっているとも言えるだろう。大学の講義にて、彼のバックグラウンドを知識として得ることができたので、それを踏まえた上で詩を読むと、より一層中也の思いに近づけるように思う。
    彼の詩には様々なものがある。一様に詩の形式を固定せず、多方面にチャレンジしたとも言えるだろう。だが歌うようなリズミカルな作品が多い。音楽性を感じ取ることができる。
    とはいえ、もともと楽曲の作詞をしていたことから、そこから彼の歌うような世界観があるのかもしれない。
    親に最後までべったりだったし、愛する存在を次々に失って、狂ってしまったことすらあった。それでも友人には恵まれた、詩に対する情熱は人一倍だった。それこそ狂うほどだったと彼は詩に記している。
    数々の作品を残し、亡くなった中也。
    その生き方を再度味わうには、やはり彼の作品を鑑賞するのが一番いい。


    以下、お気に入りの詩を挙げる(数字は本書でのページ数)

    朝の歌p28 少年時p64 汚れつちまつた悲しみにp88
    雪の宵p110 いのちの声p130 夏の夜p160
    この小児p164 冬の日の記憶p166 湖上p176
    骨p183 残暑p212 一つのメルヘンp230
    春日狂想p256 春の日p277 暗い天候p284
    夏と私p292 寒い!p297 詩人は辛いp306
    タバコとマントの恋p357 初夏p374
    (名詞の扱ひに)p387 雪が降つてゐるp467
    湖上p483 (七銭でバットを買って)p525
    別離p641 十二月の幻想p683 桑名の駅p689
    道修山夜曲p717 雨が降るぞえp724

  • 全部は読んでいない。代表作、気になったものなどをつまみ読み。「サーカス」「帰郷」「失せし希望」「汚れつちまつた悲しみに」「幼獣の歌」「こぞの雪いづこ」「雨が降るぞえ」。

  • 詩をこんなにも浴びたのは初めて。
    だけれど、これっぽっちも理解も出来なかった。
    もっと憂鬱なのは、俺の感性に振るいが立たなかったことだ。俺は真島にも中原にもなれないのか。
    俺の興味は中原では無かったことと信じたい。

  • 長らく積ん読だった中原中也を初読。予想通りの孤独感と独特な感性。言葉のサステインが特に際立っている。音読したい詩。

全44件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

詩人・歌人・翻訳家。旧姓は柏村(かしむら)。代々開業医である名家の長男として生まれ、跡取りとして医者になることを期待されていた。小学校時代は学業成績もよく神童とも呼ばれたが、8歳の時、弟が脳膜炎により病死したことで文学に目覚めた。中也は30歳の若さで死去したが、生涯で350篇以上の詩を残した。その一部は、結婚の翌年刊行した第1詩集『山羊の歌』および中也の死の翌年出版された第2詩集『在りし日の歌』に収録されている。訳詩では『ランボオ詩集』や、数は少ないがアンドレ・ジイドの作品などフランス人小説家の翻訳もしている。日本大学予科、中央大学予科などを経て東京外国語学校(現在の東京外国語大学)専修科仏語部修了。

「2025年 『女声合唱とピアノのための 中原中也の詩による3つの歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中原中也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×