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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784041212103
作品紹介・あらすじ
村松恒彦は勤務先の銀行の創立者の娘である13歳年下の妻・郁子と不自由なく暮らしている。恒彦の友人・楠は一目で郁子の美しさに心を奪われ、郁子もまた楠に惹かれていく。二人の恋は思いも寄らぬ方向へ。
みんなの感想まとめ
テーマは、若き才能が描く人間の複雑な感情と関係性です。作品は、主人公の恒彦とその妻・郁子、友人の楠との間に生まれる微妙な三角関係を通じて、愛や嫉妬、苦悩を繊細に描写しています。特に、三島由紀夫の作品と...
感想・レビュー・書評
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小池真理子の解説がよかった
三島由紀夫を「思想的な死」から理解するのは間違っていると言い切る清々しさ
「あの死をもって、彼が演出した自身の悲劇の幕が下ろされた」とする理解も、本書のような表現豊かな文章を若干25歳にして書き上げてしまう才能に触れた直後には、すとんと腹に落ちる思いだ
確かにこの小難しい文章を書く作家は自分の命の終焉も自身の作品の一部に捉えていたのかなあと小池真理子の解説を読みながら不思議と納得してしまった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
25歳の時の作品かぁ〜。狂気を文学に昇華させた印象の「金閣寺」もそうだけど、クライマックスが唐突にやってきて衝撃。それにしても、沢田のセリフで終わるラストは秀逸と思う
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これが三島25歳の時の作品とはつくづく才能とは恐ろしい。
「楠は悩める男としての別様の形姿をあらわした。どんな女にも、苦悩に対する共感の趣味があるものだが、それは苦悩というものが本来男性的な能力だからである。」妙に心に残る一節だった。 -
この小説は、「婦人公論」に連載(1950年1月~10月)されていたもの。時に三島由紀夫25歳。物語の主要な舞台は、戦後復興がまだ十分になされてはいない東京。主な登場人物は36歳の男が2人(恒彦と楠)と女が1人(恒彦の妻・郁子)。3人の心理(恒彦のそれはあまり詳らかに書かれてはいないが)の綾が物語を織りなしていくのだが、郁子のそれはまことにわかりにくい。おそらくは郁子自身にさえわからなかっただろう。エンディングは、半ばは予想がつくものの極めて劇的だ。なお小池真理子の解説は、この小説と三島の本質を衝いて見事。
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想い合ってるのに、互いに張り合うプライドが素直になることを許さない。沢田との過ちを機に、より一層強い愛憎に歪んだ二人だったが、皮肉にもプラトニックな関係のままピリオドが打たれる。
自分の矜持を守りたいが故に″どちらがより多く相手を苦しめることができるか″などという苦しめ合いは、悲劇的結末を前にしては愚かで無意味な行為でしかない。
良人へかけた最期の電話に、郁子という女の本音を垣間見た気がして、なんだか哀れだった。 -
三島由紀夫は初めてでしたが、文章が美しくて痺れました。
現代では出せない美しさでしょうね。
装丁も素敵です。 -
20230720再読
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沢田ァ!!という気持ち 楠もしっかりしてくれ 13も年下の女の子だぞ
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俗に言う『ダブル不倫』のお話です。
楠は、大学時代の同級生・村松恒彦の、13歳年下の妻・郁子に一目惚れしてしまいます。楠から手紙を渡された郁子も、次第に楠に惹かれていくが……。
自尊心が邪魔をして素直になれない男女の機微が上手に描かれていました。
一度でも2人が過ちを犯していれば、最悪の状態にはならなかったのかなあと思ってしまいます。
恒彦には年齢の割には老けているというか余裕・落ち着いた印象を感じ、逆に郁子は実年齢より幼く感じました。いずれにしても、三島由紀夫が25歳のときに書いた作品だというから驚きでした。 -
小池真理子さんの紹介や解説がとても良い。細かな心理描写はなるほど巧いと思い納得した。25歳のときの作品として持ち上げられるようだが、やはり若さゆえか後の作品に比べると読みづらいところが多くある。気張った感じというか。「不倫」と言われればそれまでだが、その表現がまったくしっくりこないほど、三島流に織り上げられた男女関係だ。ぎこちなさはありながらも、やはり挑戦的な態度や美しさと醜さ、強さと弱さの巧みな表現は読み終わって満足感を与える。題名もさることながら、美しさが脳内に共鳴する(錯覚がおこる)。悪くない作品。
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作者が25歳のときに初めて書いた、戦後すぐの上流階級を舞台にした長編小説です。
箱入りだった娘さんが13歳年上のオジサンと結婚して、その同級生(ってことは、こっちもオジサンでかつ既婚者。)に言い寄られて、うまくかわすつもりがいろいろと世間知らずだからメンタル的に負けちゃって、最後は青酸カリを飲んで死んじゃったってお話でした。
太宰治さんが描く女性は本当にいそうな気がするけれど、三島さんが描く女性はハイソな世界には現存していたのかしら…ってくらい作りモノっぽいんだよね。
らじ的には、三島さんが描く女性が主人公の物語は面白くないです。
それでも女心を描いた作品が多いのは、当時の読者からは支持されていたってことなのかな?
む~ん…。
寅さんと同じで「こういう女性がいたらいいなぁ~♪」って男性目線の願望なのかな。 -
郁子の心情のわかりづらさは彼女が”貞操”に重きを置いているからじゃないかと思われる。その言葉の裏に隠されたものを読み取らないと理解できない。
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「高貴な不倫」という感じなのだろうか。
楠はともかく郁子の行動がいまいち理解できなかった。
そんなせめぎ合いをしているようにはとれず、
恋の駆け引きの様には見えなかった。
時代が違うせいなのだろうか。
彼の言葉を借りるなら、
現在は当時以上に不感症な時代になったのかもしれない。 -
ストーリー自体は戦後の上流階級のセレブ人妻の不倫話なので俗っぽいといえば俗っぽい。それを俗っぽくなく読ませるのが三島の力量。
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ここまで繊細な人物描写はほかの作家にみたことがない、あらためてすごいとおもった。たいした展開はない、蜘蛛の糸が風にふかれているような細かい心理描写がずっと続く。本当にすごいなあ。連載だったらしいので、終わり方が唐突だけれど、面白かった。
読み終えて、25歳の作品ときいて鳥肌がたった。 -
とてもとても若いころの三島由紀夫の連載小説。
ストーリーもありきたりだし、そのオチはちょっとないわーと思ったけど
やっぱり心情描写と情景描写は上手だな。
駆け引きとか、それに翻弄されまいとしながらも翻弄されてしまう心のゆらめきとか。
思わず苦しくなってしまうくらいリアル。
エゴイストとエゴイストの不倫のはなし。 -
硬質な文章(難解ということではありません)の恋愛小説。
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