夏子の冒険 (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.67
  • (46)
  • (86)
  • (94)
  • (15)
  • (1)
本棚登録 : 820
レビュー : 118
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212110

作品紹介・あらすじ

芸術家志望の若者も、大学の助手も、社長の御曹司も、誰一人夏子を満足させるだけの情熱を持っていなかった。若者たちの退屈さに愛想をつかし、函館の修道院に入ると言い出した夏子。嘆き悲しむ家族を尻目に涼しい顔だったが、函館に向かう列車の中で見知らぬ青年・毅の目に情熱的な輝きを見つけ、一転、彼について行こうと決める。魅力的なわがまま娘が北海道に展開する、奇想天外な冒険物語!文字の読みやすい新装版で登場。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 平穏無事で過保護気味な家庭で育った夏子が、刺激を求めて修道女を目指し、果ては道中出会った男の熊退治に同行するという自由奔放な冒険小説。
    なんだか既視感があると思っていたのですが、
    特別危険な事に挑戦する訳ではないけれど、例えば旅先でナビを無視して小道へ態と入って「何か面白い事があったらいいな」と刺激を求める感覚や、
    ハマった小説を一気読みする時の高揚感と勢いを思い出しました。
    ただ我儘で自己中心的なのではなく、暖かい家庭で平和に育てられた夏子だからこその好奇心に駆られた冒険なのだろうと思いました。
    三島由紀夫は女性美の描写が卓越していると常々思っていましたが、心配性で小煩い母、叔母、祖母の3人の忙しなく生き生きした描写もコミカルで面白かったです。
    くどくどしいロマンスでもなくさっぱりと一瞬で駆け抜ける夏子の冒険話は爽快で、また読みたいと思いました。

  • 何じゃこりゃー!(笑)
    もー、三島の文章じゃなかったら読まないよ!
    ふざけた話なのだけど、文章が上手すぎてそこの面白さで読んでしまった。
    人物描写はちょっと意地悪くリアル。
    ラストは良かったなー。

  • 純文学を読みたくて手に取った本ですが、とても読み易かったです。
    主人公の夏子のキャラクターがとても魅力的。何となく、ラストの展開は、そうじゃないかなぁと思ってました(笑)。
    エンターテイメントです。
    アニメとかになったら、面白そうだなぁ。と思います。実写よりはアニメの方が、夏子の親戚女性たちとか、良いキャラになりそう(笑)。

  • 「あたくし修道院へ入る」
    世間知らずな良家のお嬢様・夏子のひと夏の情熱的冒険!

    自分が美人で周りの男達が自分を放っておかないことが分かっていて、計算高く、我が儘放題で一度言ったら後には引かない。
    そんな夏子は自分の周りに情熱を宿している男が一人もいないことに絶望し、突如修道院入りを宣言。

    しかし夏子の前に一人の情熱的な男が現れた!
    四本指の凶暴な熊を追う毅の情熱に打たれた夏子は、毅に無理矢理付いて行き、その夏子の後を追うこれまた世間ずれした夏子の母、祖母、伯母…ともうメチャクチャ。

    物語全体がテンポ良くコミカルで、最後のオチの付け方も夏子らしくて好き。
    新鮮で刺激に満ち、一度味わったら引き返せない…そんな冒険に憧れる夢見る夏子。
    夏子の冒険はきっと永遠に終わることはないだろう。
    読めば読むほど魅力的に思えてくる、本当に不思議な女性だ。
    読み手にマジックをかけてしまった三島由紀夫のテクに脱帽の一冊。

  • 初 三島 由紀夫。
    勝気で美しく、超おモテになるお嬢さま夏子が
    熊狩りに挑む野生的な紳士に惚れこむ話。

    三島が26歳のときの作品だそうな。才能ってすごい。

    イマイチ入り込めなかった。副題が透けて見えたからか。
    「女は見た目と若さが九割」

  • 軽やかでアイロニー。文章うまいなぁ。
    解説の文藝ガーリッシュという表現がよく似合う。

  • 美しく、情熱を持て余した令嬢夏子は、わがままで、言い出したら決して人の話を聞き入れない。
    そんな夏子が、修道院に入る、と言い出したところで、物語の幕が開く。

    札幌の修道院に行く途上で、美しく、心に情熱を秘めた青年に出会う。
    夏子は見送りの母親・叔母・祖母の有閑マダムトリオを置き去りに、彼と行動を共にすることにする。

    美男美女カップルのコミカルなラブ・ストーリーかと思っていたが、最後が痛快。
    さすが夏子。

    北海道が妙にエキゾチックに描かれていたのは…やはり50年前はこんなイメージだったんだろうか。
    端正な文体のせいか、印象が強かった。

  • 夏子の、情熱を求める一貫した態度が好きだった。
    夏子の幸せは、夏子がいちばん分かっている。

  • 進め、進め、お嬢さん。その情熱のかぎりに。

    三島由紀夫の中でもかなりユーモラスな話なのでは。どんな男性も夏子を満足させる情熱を備えていない。修道院に入ろうとした夏子が、函館へ向かう途中で見つけた青年は、その瞳に求めていた情熱を宿していた。仇の熊を撃とうとする彼の情熱に、夏子は付いていくことを決め、家族や北海道の新聞社、猟友会、アイヌたちを巻き込んだ騒動が始まる。夏子の母、伯母、祖母の三人組がいいコメディリリーフ。夏子は、今で言うならば、森見のヒロインのような、何を考えているのかわからないけれど、魅力的なザ・お嬢さん。振り回される毅は二枚目だろうけど、どうしてもありきたりな造形を感じる。女三人組も、毅も、毅の友人・野口も、そう思ってみれば典型的なキャラクターなのだけど、だからか、この話はさらっと面白く読めた。熊を仕留めた毅に対する夏子の行動が見事なオチ。

  • 初めての三島由紀夫の本です。夏子が羨ましいほど潔く清々しい。激情家で周りの人は終始翻弄される。

全118件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夏子の冒険 (角川文庫)のその他の作品

三島由紀夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
三島 由紀夫
三島 由紀夫
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

夏子の冒険 (角川文庫)に関連する談話室の質問

夏子の冒険 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする