夜会服 (角川文庫 み 2-5)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212134

作品紹介・あらすじ

何不自由ないものに思われた新婚生活だったが、ふと覗かせる夫・俊夫の素顔は絢子を不安にさせる。見合いを勧めたはずの姑の態度もおかしい。親子、嫁姑、夫婦それぞれの心境から、結婚がもたらす確執を描く。

感想・レビュー・書評

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  • エンターテイメントとして創られた作品らしく、話自体は難しくなく、各登場人物の心情も理解出来る範囲にはあった。
    その容易さがエンターテイメントなんだろうなと思う。
    絢子の純真さが夫人の働きかけによりゆっくりと、疑心にすり替わっていく様は嘆かわしくもあり、快感でもあった。俊夫の万能ぷりはさることながら、何だかんだマザコンなのでは?という姿は自分の悪い面を見ているようで、気を付けようと身が引き締まる思いだった。流れは嫁と姑との争いであるが、テーマは、世間での孤独と嘆きに対してどう向き合うべきか、他人と自己との折り合いをどう付けるかといった感じ。
    最後の夫人の孤独に対する話は、比喩や心の機微、究極の自問自答により、己の身に起こった激情を文字として的確かつ美しく表現しきっているのは、著者は天才じゃったか!状態!!!
    ホント三島由紀夫は、日本人の凛とした代表的作家だと思った。
    あとは、母親にこれの最後だけでも読ませておきたいと思った。

  • 20230611再読

  • 三島はジェイン・オースティンだった!?
    いやー、見事な人間模様喜劇短編で、こんなのも書いてるなんて恐るべしと思いました。着るものや食べるもので人の性格やその場の状況を描き出す手腕、「こんな人いるいる」と思わせる多彩な人物造形、知恵でもって閉じる顛末など、ホントにオースティンを読んでる楽しさでしたよ。まあ、底流にもっとどす黒いものが流れてるのは感じるけど、そこも魅力。拾い物だった。

  • 三島由紀夫らしい旧華族や上流階級の描写と、人間が垣間見せる嫌らしさの表現に溢れた小説。

    章末の解説によると、最後に宮様に救われるストーリーは、天皇からの救済を望んだ三島の願望が映されているらしい。なるほど。

    三島由紀夫、享年45歳。
    もっと生きて書いてほしかった。

  • 主人の義母である滝川夫人の屈折した愛情と虚勢が、近代化していく日本の姿と重なってさすが風刺が効いている。当時の社会や情勢が土台にはなっているが、登場人物たちの人間関係は現代にも通ずるものがあってなかなか楽しめた。

  • 面白かった
    「夜会服」は三島由紀夫作品の中でも娯楽小説とされているからかとても読みやすかった
    表現で時代を感じる部分が少しあったけれどそこはあえて修正せずに原文のままにしたそう
    現代仮名遣いには改訂したそうなので一層読みやすかった
    物語は現代が舞台と言っても通じる様な生き生きとした軽やかさが感じられ古さを全く感じない
    三島由紀夫ってこういう軽妙洒脱な文章も書くのだと驚いた

    タイトルになっている「夜会服」は現実社会に蔓延る欺瞞や虚飾の暗喩のように思える
    夜会服を纏い社交会で自身の虚栄を満たす事に生き甲斐を感じている滝川夫人
    滝川夫人の一人息子でありそんな母親から離れたいともがく俊男
    滝川夫人に見染められ俊男の婚約者から妻になった絢子
    物語は絢子視点でこの奇妙で虚無感の漂う母子の抱える闇が少しずつ明かされていく
    敏男が子供の頃作ったという何でも出来るロボットの話が俊男の姿に重なり物悲しい
    上辺だけの飾られた嘘の世界で身に付けた教養と社交術は現実の一般社会では不必要だと感じる俊男にとって、その類い稀な能力は足枷のように俊男を縛り続ける

    絢子の純粋でおおらかで裏表のない素直な明るい性格が俊男の心と人生に母親の呪縛から離れるきっかけを与えたのだろう
    愛せる伴侶を得て強さを得たのだ

    最後に離婚を滝川夫人に突きつけられた絢子と俊男は2人の問題と内に抱える感情をやっと互いに曝け出し話し合い共に機転を利かせて解決に導く様は鮮やかだ

    絢子に心の内の孤独を吐露し許し合った滝川夫人の最後のセリフが人間のエゴってそうだよね、すぐには変わらないよねと思わせて笑わせてくれる

  • まったりとした感じ。三島氏はこんな小説も書くのね。何が面白いか自分でも良く分からないけど、気になって読んでしまう。(2019/10/15)

    読了。面白かった。
    滝川のお母さんの寂しさについての独白が、印象的。
    あんな風に思うのかな?
    どんな人にも、生活にも寂しさはあるから、それとどう向き合うかだけど。

    そんな事は置いておいても、面白い小説だった。
    なんだか良く分からないけど、気になって読み進む、といのは、本当に優れた小説なのではないか?と思う。
    やっぱり読み継がれる物は、時代を感じさせないな。
    (2019/10/17)

  • 三島由紀夫の小説としては,あっさりとした娯楽小説。
    文章にも,内容にも,暗く,重い感じはなく,お話を楽しめる。
    もっとも,その分,上っ面な軽い印象は否めないのが残念なところ。
    但し,三島らしく濃厚な一文も多々あって,十分に楽しめた。
    主人公の婚約者(後に夫)俊男が,何の裏もなく,全く見たままの人物でちょっと拍子抜け?

  • 軽めではあるが、心の揺れ動きがよく感じられる。新婚旅行先で出会う奇妙なアメリカ軍人夫婦など、不穏な感じ、違和感が具現化したようなエピソードを積み重ねるのが秀逸。
    最終的にハッピーエンド?になるのは珍しい気がする。
    こんな姑だったら嫌だなぁ

  • 絢子が素直で賢くて、料理上手で、イケメンで博識でスポーツもできてお金持ちの男性と結婚して、うらやましい限りの設定。

    ハワイ旅行でのフランス人男性の言葉と最後の方の滝川婦人のコーヒーの味の話が印象に残った。
    前者は俊夫に向けて、後者は絢子に向けて、あなたもいずれ分かるでしょう、と言っている。
    自分もまた、時間をあけて読んだら感じることが違うかな、と思いながら読んだ。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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