夜会服 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 349
感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212134

作品紹介・あらすじ

何不自由ないものに思われた新婚生活だったが、ふと覗かせる夫・俊夫の素顔は絢子を不安にさせる。見合いを勧めたはずの姑の態度もおかしい。親子、嫁姑、夫婦それぞれの心境から、結婚がもたらす確執を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫らしい旧華族や上流階級の描写と、人間が垣間見せる嫌らしさの表現に溢れた小説。

    章末の解説によると、最後に宮様に救われるストーリーは、天皇からの救済を望んだ三島の願望が映されているらしい。なるほど。

    三島由紀夫、享年45歳。
    もっと生きて書いてほしかった。

  • 主人の義母である滝川夫人の屈折した愛情と虚勢が、近代化していく日本の姿と重なってさすが風刺が効いている。当時の社会や情勢が土台にはなっているが、登場人物たちの人間関係は現代にも通ずるものがあってなかなか楽しめた。

  • 面白かった
    「夜会服」は三島由紀夫作品の中でも娯楽小説とされているからかとても読みやすかった
    表現で時代を感じる部分が少しあったけれどそこはあえて修正せずに原文のままにしたそう
    現代仮名遣いには改訂したそうなので一層読みやすかった
    物語は現代が舞台と言っても通じる様な生き生きとした軽やかさが感じられ古さを全く感じない
    三島由紀夫ってこういう軽妙洒脱な文章も書くのだと驚いた

    タイトルになっている「夜会服」は現実社会に蔓延る欺瞞や虚飾の暗喩のように思える
    夜会服を纏い社交会で自身の虚栄を満たす事に生き甲斐を感じている滝川夫人
    滝川夫人の一人息子でありそんな母親から離れたいともがく俊男
    滝川夫人に見染められ俊男の婚約者から妻になった絢子
    物語は絢子視点でこの奇妙で虚無感の漂う母子の抱える闇が少しずつ明かされていく
    敏男が子供の頃作ったという何でも出来るロボットの話が俊男の姿に重なり物悲しい
    上辺だけの飾られた嘘の世界で身に付けた教養と社交術は現実の一般社会では不必要だと感じる俊男にとって、その類い稀な能力は足枷のように俊男を縛り続ける

    絢子の純粋でおおらかで裏表のない素直な明るい性格が俊男の心と人生に母親の呪縛から離れるきっかけを与えたのだろう
    愛せる伴侶を得て強さを得たのだ

    最後に離婚を滝川夫人に突きつけられた絢子と俊男は2人の問題と内に抱える感情をやっと互いに曝け出し話し合い共に機転を利かせて解決に導く様は鮮やかだ

    絢子に心の内の孤独を吐露し許し合った滝川夫人の最後のセリフが人間のエゴってそうだよね、すぐには変わらないよねと思わせて笑わせてくれる

  • まったりとした感じ。三島氏はこんな小説も書くのね。何が面白いか自分でも良く分からないけど、気になって読んでしまう。(2019/10/15)

    読了。面白かった。
    滝川のお母さんの寂しさについての独白が、印象的。
    あんな風に思うのかな?
    どんな人にも、生活にも寂しさはあるから、それとどう向き合うかだけど。

    そんな事は置いておいても、面白い小説だった。
    なんだか良く分からないけど、気になって読み進む、といのは、本当に優れた小説なのではないか?と思う。
    やっぱり読み継がれる物は、時代を感じさせないな。
    (2019/10/17)

  • 三島由紀夫の小説としては,あっさりとした娯楽小説。
    文章にも,内容にも,暗く,重い感じはなく,お話を楽しめる。
    もっとも,その分,上っ面な軽い印象は否めないのが残念なところ。
    但し,三島らしく濃厚な一文も多々あって,十分に楽しめた。
    主人公の婚約者(後に夫)俊男が,何の裏もなく,全く見たままの人物でちょっと拍子抜け?

  • 2015.2.7 読了

  • 絢子が素直で賢くて、料理上手で、イケメンで博識でスポーツもできてお金持ちの男性と結婚して、うらやましい限りの設定。

    ハワイ旅行でのフランス人男性の言葉と最後の方の滝川婦人のコーヒーの味の話が印象に残った。
    前者は俊夫に向けて、後者は絢子に向けて、あなたもいずれ分かるでしょう、と言っている。
    自分もまた、時間をあけて読んだら感じることが違うかな、と思いながら読んだ。

  • ドロドロ展開かと思いきや、
    最後良い感じで爽やかに終わる。

    姑と夫の間で揺れる妻という主軸がはっきりしているせいか
    読みやすいと感じた。
    結婚後の相手の親との関係ってなかなか難しい。

  • #bookoff

  • 三島由紀夫の小説といえば文学性の高いものが多いけど、この小説はエンターテイメント性の高い娯楽小説です。
    基本的には嫁と姑の問題を面白おかしく描いている。しかし、三島由紀夫らしい純粋な人物造形がとても魅力的であり、文章の端々に美しい響きが散りばめられている。
    ヒロインの絢子が俊雄から激しい接吻をうけるシーンでは
    「世界か万華鏡のように色硝子の破片の組み合わせを刻々と変えてゆくのを見るような、ぼんやりした気分にひたっていた」
    といった具合。
    三島由紀夫の小説は基本的にはハズレなしだと思う。

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著者プロフィール

三島由紀夫

一九二五(大正一四)年東京に生まれる。本名、平岡公威。学習院高等科を経て東京大学法学部を卒業。在学中の四四(昭和一九)年に処女創作集『花ざかりの森』を刊行。戦後四七年大蔵省に入り翌年退官。四九年に刊行した『仮面の告白』で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する。『潮騒』にて新潮社文学賞、『白蟻の巣』にて岸田演劇賞、『金閣寺』にて読売文学賞、『絹と明察』にて毎日芸術賞、『サド侯爵夫人』にて芸術祭賞などを受賞した。六八年、「楯の会」を結成し、七〇(昭和四五)年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。

「2020年 『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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