- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041212141
作品紹介・あらすじ
大海電気取締役の長女・藤沢かすみは20歳の女子大生、健全で幸福な家庭のお嬢さま。休日になると藤沢家を訪れる父の部下の青年たちは花婿候補だ。かすみはその中の一人、沢井に興味を抱く。が、彼はなかなかのプレイボーイで、そんな裏の顔を知り、ますます沢井を意識する。かすみは「何一つ隠し立てしないこと」を条件に、沢井と結婚するが…。結婚をめぐる騒動を描く、三島由紀夫エンターテインメントの真骨頂、初文庫化。
感想・レビュー・書評
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大海電気取締役の長女として生まれ、健全で裕福に、そして幸せになるべく育てられたお嬢さまである20歳のかすみ。表向きの好青年さとは裏腹にプレイボーイな面を持つ沢井を意識してから、かすみの中の良くも悪くも“女性”の部分がむくむくと湧き上がっていきます。
「何一つ隠し立てしないこと」と約束しお互いを想い合って結ばれた夫婦であっても、第三者の何気ない一言で自分の心を疑い、心から愛していたはずの相手が急に敵に思え、かつての愉快な思い出も疑惑の種に見えてしまう。そんな人間の脆さや不安や葛藤は、いつの時代も人を苦しめ普遍的です。
とはいえ“三島由紀夫エンターテインメント”と謳った本作。“お嬢さん”であるかすみが少女から女性へと変化していく様子は軽やかで、随所に昭和を生きる女性の内に秘めた苦悩と涼やかな強さが描かれ、読後も爽やか。
これほど魅力的な女性たちと、的を射た女性心理を三島由紀夫が描いたなんて!と楽しい発見でした。 -
面白かった。三島由紀夫の作風の幅には驚かされる。”お嬢さん”どうなってしまうの、とハラハラしながら読んだが、ラストが思わぬハッピーエンドで素敵だった。
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まず、作者がこんな作品を残していること、幅広い作風を持った人と驚きます。大筋は、割と他愛なく、驚くほどにひねりもないストーで、前半は自由奔放なお嬢さん、後半は視野の狭い嫉妬に囚われたお嬢さんといったところ。また、全編を通して1960年頃を体験できる楽しさがあり、また作者の凝った文体も楽しいです。
後半のかすみお嬢さんの妄想がやや退屈ではありましたが。 -
かつて読んだ三島作品とは違い読みやすい。
お嬢さん。ですね。かすみは。
でも、かわいらしいかな、妄想。
浅子、素敵な女性でした。-
妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。2015/04/23
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1960年に雑誌で連載されてたという作品。大企業重役の父を持つ20歳の女性かすみの心理が面白い。妄想力というか想像力というかとても豊か。けど自分の精神と周りの人がとても疲弊してしまうような感じだから、自分が沢井の立場だったら辛いかも。
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沢井が絶妙なラインのモテる男という感じで普通に感心してしまった。この男がモテるのわかる…!モテる男を書くのがうまい…。
かすみちゃんの賢く、でも世間知らずで妙なプライドの高さゆえに苦しんでいく心の揺れも、多かれ少なかれ共感できる乙女心という感じでよかった。ラストの「あなたお嬢さんなのよ」というかつての恋敵がばっさりと言うシーンも好きでした。
そしてとても読みやすくてよかったです。 -
なんかなんとなくの不安があって、それはかすみの不安とは全然種類が違うんだけど、すごく重なって
最後にすっと消化してくれて、今の自分にカタッとはまるような話だった
著者プロフィール
三島由紀夫の作品






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