お嬢さん (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.49
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本棚登録 : 427
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212141

作品紹介・あらすじ

大海電気取締役の長女・藤沢かすみは20歳の女子大生、健全で幸福な家庭のお嬢さま。休日になると藤沢家を訪れる父の部下の青年たちは花婿候補だ。かすみはその中の一人、沢井に興味を抱く。が、彼はなかなかのプレイボーイで、そんな裏の顔を知り、ますます沢井を意識する。かすみは「何一つ隠し立てしないこと」を条件に、沢井と結婚するが…。結婚をめぐる騒動を描く、三島由紀夫エンターテインメントの真骨頂、初文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 大海電気取締役の長女として生まれ、健全で裕福に、そして幸せになるべく育てられたお嬢さまである20歳のかすみ。表向きの好青年さとは裏腹にプレイボーイな面を持つ沢井を意識してから、かすみの中の良くも悪くも“女性”の部分がむくむくと湧き上がっていきます。
    「何一つ隠し立てしないこと」と約束しお互いを想い合って結ばれた夫婦であっても、第三者の何気ない一言で自分の心を疑い、心から愛していたはずの相手が急に敵に思え、かつての愉快な思い出も疑惑の種に見えてしまう。そんな人間の脆さや不安や葛藤は、いつの時代も人を苦しめ普遍的です。

    とはいえ“三島由紀夫エンターテインメント”と謳った本作。“お嬢さん”であるかすみが少女から女性へと変化していく様子は軽やかで、随所に昭和を生きる女性の内に秘めた苦悩と涼やかな強さが描かれ、読後も爽やか。
    これほど魅力的な女性たちと、的を射た女性心理を三島由紀夫が描いたなんて!と楽しい発見でした。

  • かつて読んだ三島作品とは違い読みやすい。
    お嬢さん。ですね。かすみは。
    でも、かわいらしいかな、妄想。
    浅子、素敵な女性でした。

    • 9nanokaさん
      妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
      三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。
      妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
      三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。
      2015/04/23
  • -母のひたすらなつつましさを強い線でなぞって別の趣きに変えたような顔-


    これは主人公のかすみを形容した文なんだけど

    三島のこういう絵画的な描写が好き。

    軽いタッチで書かれた文章の中に

    私好みの綺麗な言葉がたくさん散りばめられている。

  • ★3.5
    初めての三島由紀夫。映画「お嬢さん(1961年)」はコメディ色が強かったけれど、原作のかすみはなかなか深刻な嫉妬に苛まれる。そんな後半のかすみは、不幸を願うサディスティックさが見え隠れする前半のかすみとは、全くもって雲泥の差。が、些細なことで疑心暗鬼になり、泥沼に嵌っていく気持ちは分からなくもない。そして、幸福に反発するために不幸を欲する浅はかさも、結局はお嬢さんゆえ、うぶさゆえで何だか可愛らしい。それにしても、かすみの妄想にガツンと喝を入れてくれた浅子さんが素敵すぎ、浅子姐さんと呼びたい。

  • 三島由紀夫 著「お嬢さん」、1960年雑誌「若い女性」に掲載されたものだそうです。2010.4文庫化。タイトルから源氏鶏太さんの本かとw。読み終わって、やはり源氏さんの路線だと思いました。でもこの種の物語では、源氏さんに一日の長が感じられます!結婚をめぐるうぶな女子大生の心の揺れが描かれています。

  • 三島由紀夫という硬派な作家の看板とはかけ離れた、エンタメ色の強い作品。
    健全で裕福な家庭で育った女子大生かよこが、恋愛から結婚、新婚生活での、明るく健全で、ある意味能天気な心の内を描いた、気楽に読める一冊。
    育ちの良い屈託のないお嬢さんの、健全な嫉妬や妄想は、「んなわけ~!」と思え、日本の高度成長期のいい時代が描かれている。

  • わかるなぁ。でも時々、わかんないなぁ。主人公 かすみの心理は複雑にこじれてる。
    美人で裕福なお嬢さんのめんどくさ~い不幸願望を、最後までかわいらしくハイテンポに読ませる技巧がすごい。
    訳あり風な男女の表情を「人間の心の樹氷のようだ」と言ったり、コーヒー茶碗の底を「小さな汀」に見立てたり、かっこいい比喩がたくさん出てきて楽しかった。
    恋敵の浅子がいきなりいい女になってビックリ。終わりよければ全てよし、かな?

  • 2015.2.27 読了

  • 三島由紀夫には漢(おとこ)っていう印象を持っていたが、純白の夜や夏子の冒険にしてもそうだが案外こんな女を主人公にしたものも書くんだなぁという感じ。
    で、この作品は特に何とも…

  • 【本の内容】
    大海電気取締役の長女・藤沢かすみは20歳の女子大生、健全で幸福な家庭のお嬢さま。

    休日になると藤沢家を訪れる父の部下の青年たちは花婿候補だ。

    かすみはその中の一人、沢井に興味を抱く。

    が、彼はなかなかのプレイボーイで、そんな裏の顔を知り、ますます沢井を意識する。

    かすみは「何一つ隠し立てしないこと」を条件に、沢井と結婚するが…。

    結婚をめぐる騒動を描く、三島由紀夫エンターテインメントの真骨頂、初文庫化。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    昭和の年号と共に年を重ねた三島由紀夫が自決したのは昭和45年(1970年)。

    『仮面の告白』『金閣寺』など純文学で知られる作家は、華麗な言葉で女性の心理を描くエンターテインメントも残した。

    女性誌連載の『永すぎた春』『純白の夜』『音楽』はその代表作で、文学的野心がない分、とても伸びやかだ。

    三島が結婚してまもない昭和35年、講談社の雑誌「若い女性」に連載した本作は、大手電機会社取締役の長女の婚活、結婚騒動を描いた長編で、没後40年の今年、初めて文庫化された。

    純情で誇り高く、大人のフリして背伸びするかすみは、父親の部下でプレイボーイの沢井と結婚する。

    が、ある“事件”をきっかけに嫉妬の鬼と化し、夫にしつこい愛情表現を求める女性になってしまう。

    とはいえ、そこはお嬢さん。

    妄想と嫉妬に身を焦がす素顔の上にスッポリ幸福な新婚さんの仮面をかぶっている――。

    その心理と葛藤を描く筆致は執拗かつ怜悧。

    まるで名医のメスさばきを見ているようだ。

    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    [ 参考となる書評 ]

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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