お嬢さん (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 571
感想 : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212141

作品紹介・あらすじ

大海電気取締役の長女・藤沢かすみは20歳の女子大生、健全で幸福な家庭のお嬢さま。休日になると藤沢家を訪れる父の部下の青年たちは花婿候補だ。かすみはその中の一人、沢井に興味を抱く。が、彼はなかなかのプレイボーイで、そんな裏の顔を知り、ますます沢井を意識する。かすみは「何一つ隠し立てしないこと」を条件に、沢井と結婚するが…。結婚をめぐる騒動を描く、三島由紀夫エンターテインメントの真骨頂、初文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫の作品の幅の広さに、ただただびっくりした。
    命売りますの様に、エンタメ色が強く、読みやすくて話も面白かった。
    かすみは最初から沢井が好きで、沢井も恐らくかすみのことが好きだったんだろう。
    途中、ある一言がきっかけで、幸せな新婚生活の雲行きが怪しくなるのだけど……でも、ある人物の言葉で、最後は思わぬハッピーエンド。
    本当に、仮面の告白書いた人と同じ人の作品なの?と、良い意味で思った。

    顔中にあなたの写真が貼り付けてあるって言うのは、とても素敵な表現ではないだろうか。
    それ程までに、彼はあなたのことが好きだと、表情で言っているのよ、というね。
    かすみは、本当に"お嬢さん"だな。

  • 大海電気取締役の長女として生まれ、健全で裕福に、そして幸せになるべく育てられたお嬢さまである20歳のかすみ。表向きの好青年さとは裏腹にプレイボーイな面を持つ沢井を意識してから、かすみの中の良くも悪くも“女性”の部分がむくむくと湧き上がっていきます。
    「何一つ隠し立てしないこと」と約束しお互いを想い合って結ばれた夫婦であっても、第三者の何気ない一言で自分の心を疑い、心から愛していたはずの相手が急に敵に思え、かつての愉快な思い出も疑惑の種に見えてしまう。そんな人間の脆さや不安や葛藤は、いつの時代も人を苦しめ普遍的です。

    とはいえ“三島由紀夫エンターテインメント”と謳った本作。“お嬢さん”であるかすみが少女から女性へと変化していく様子は軽やかで、随所に昭和を生きる女性の内に秘めた苦悩と涼やかな強さが描かれ、読後も爽やか。
    これほど魅力的な女性たちと、的を射た女性心理を三島由紀夫が描いたなんて!と楽しい発見でした。

  • 面白かった。三島由紀夫の作風の幅には驚かされる。”お嬢さん”どうなってしまうの、とハラハラしながら読んだが、ラストが思わぬハッピーエンドで素敵だった。

  • かつて読んだ三島作品とは違い読みやすい。
    お嬢さん。ですね。かすみは。
    でも、かわいらしいかな、妄想。
    浅子、素敵な女性でした。

    • 9nanokaさん
      妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
      三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。
      妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
      三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。
      2015/04/23
  • 三島由紀夫にわか(三作目)だけど三島由紀夫が書く女はみんななんか強いんだよな、って思う。芯がある?というのだろうか。その強さのなかにある不安とか心の揺れとかを書くのがうまいんだと感じた。普通のそこらにいる女とは違う、といっておきつつ、芯の強さが揺らいでいく描写、その芯の強さによって周りを巻き込んで最後はスッキリ終わるっていうのがうまい。この作品もそんな感じ。かすみの行動にイライラしないのは心理描写がしっかりしているから。三作しか読んでないにわかの感想。

  • とても読みやすかった。三島由紀夫の他の作品を全部読んだわけではないが、今のところはこの作品が一番好みだった。なにより本当に読みやすく、面白い。一気に読み終えてしまった。思いの外、ハッピーエンドなところも良いと思った。
    とくに前半部分の、恋愛描写にもかかわらず気持ち悪さのない感じは、読んでいて心地が良かった。こちらまで楽しくなってしまう。

  • なんかなんとなくの不安があって、それはかすみの不安とは全然種類が違うんだけど、すごく重なって
    最後にすっと消化してくれて、今の自分にカタッとはまるような話だった

  • 昔読んだ本を久々に読み返した。

    美しい描写や繊細な表現がとても艶かしかった。
    そして、美しかった。

    公園での描写はすごく好きだった。
    そして、浅子さんは強く、情熱にあふれていた。
    一度、死のうとするまでに本気で生きた女性の美しさが、とても活きていた。

  • 三島由紀夫は昔「金閣寺」で挫折したのでちょっと構えていたんだけど、びっくりするほど読みやすくて拍子抜け。さらさら読めるけれど軽薄な印象は与えない文体が素敵。登場人物の心理に即する情景描写は、今読んでも新しく感じられ、散在するそのセンスに「三島由紀夫」という文筆家の力の片鱗を見ます。

    内容自体は他愛もない、世間知らずで定型的な幸福を嫌悪する裕福な女子大生が、軽率に不幸の影に憧れて女癖の悪い男と結婚し、本当の苦しみを知る話。最後に浅子が再登場して、魔法みたいにハッピーエンドに導いたことを除けば、ほぼほぼ予想通りの展開で真新しさはない。ただ、体験していないからこそ想像の及ばない他人の苦しみへの酷薄さや、ほとんど自業自得のうえ自ら創り出した疑心に溺れて孤独に喘ぐ愚かさ、それでも父母には頼るまいと意地を張る気の強さ、子供っぽさ、がまさに"等身大の女子大生"風で、まるごとかすみを、そして物語を魅力的にしている。一人で勝手に拗れに拗れてどこへ向かうのかと思っていたら、浅子がパパッと解決してくれたので、安心したやら拍子抜けしたやら、、、でもだらだら長くなる、もしくは意味もなく後味が悪いよりは良いかなと思った。

    ところで、真夜中の冷蔵庫の描写が何故かとても刺さりました。すごく好き。今度はエンターテイメント色の薄い、ライトさのない三島由紀夫作品に挑戦してみようと思わされました。

  • -母のひたすらなつつましさを強い線でなぞって別の趣きに変えたような顔-


    これは主人公のかすみを形容した文なんだけど

    三島のこういう絵画的な描写が好き。

    軽いタッチで書かれた文章の中に

    私好みの綺麗な言葉がたくさん散りばめられている。

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著者プロフィール

三島由紀夫

一九二五(大正一四)年東京に生まれる。本名、平岡公威。学習院高等科を経て東京大学法学部を卒業。在学中の四四(昭和一九)年に処女創作集『花ざかりの森』を刊行。戦後四七年大蔵省に入り翌年退官。四九年に刊行した『仮面の告白』で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する。『潮騒』にて新潮社文学賞、『白蟻の巣』にて岸田演劇賞、『金閣寺』にて読売文学賞、『絹と明察』にて毎日芸術賞、『サド侯爵夫人』にて芸術祭賞などを受賞した。六八年、「楯の会」を結成し、七〇(昭和四五)年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。

「2020年 『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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