愛の疾走 (角川文庫)

  • 角川書店 (2010年11月25日発売)
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感想 : 23
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  • 本 ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212172

作品紹介・あらすじ

半農半漁の村で、漁を営む青年・修一と、湖岸の工場に勤める美代。この二人に恋をさせ、自分の小説のモデルにしようとたくらむ素人作家、大島。策略と駆け引きの果ての恋の行方は。劇中劇も巧みな恋愛長編。

感想・レビュー・書評

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  • こちらも初々しい恋愛もの。
    構成がちょっと変わっている。
    「お嬢さん」や「永すぎた春」と違うのは舞台が東京でなく、
    地方(まあ田舎)であるところ。
    だけど、これも安心して愉しく読める。

  • ただの恋愛小説になりそうなところを第三者の夫婦をいれることによって2層構造になってその上我々読み手が、更に俯瞰的に眺めているような3層構造の様に感じた。凄いなぁ〜三島由紀夫氏

  • でも男の人って、ともかく私には謎だわ。女みたいに謎めかした謎じゃなくて、一番あけっぴろげで単純で、それでいて一番解きにくい謎だわ。お腹の底では女をばかにしながら、そのばかにしているものを欲しがってじたばたしている。何となく憂鬱そうな、知性的な人だと思って惹かれると、その人が思いもかけない散文的なケチな男で、ラーメン一つ喰べるのにもワリカンにしようといいだしたり、朗らかなスポーツマン・タイプだと思うと、実は陰険で神経質で、ひどいやきもちやきだったりする。気持のやさしそうな人だと思えば、心の中へ入れば氷のように冷酷だったり、洒落じゃ冗談が上手でいい遊び友達だと思えば、伯父さんの又伯父さんが元厚生大臣だなんていうことを大へんな自慢の種子にしていたり、勉強家だと思うとノイローゼだったり、詩人肌だと思うと招き猫を机に飾っていたり、……本当に何が何だかわかりやしない。それでいて、みんなどこかドスンと抜けていて、どこか単純で、平気で尻尾を出して歩いているようにみえるんだから、始末がわるいわ

  • 小説の題材にするために男女の2人を出合わせる。現代の小説にはなさそうな設定が良い。

  • 仕掛けられた恋のお話。ただ、文中の「本当に愛し合っている同士は「すれちがい」どころか、却って、ふしぎな糸に引かれて偶然の出会をするもので」という文章に、なるほどー…と思いながら読了。

  • 良さがわからないのだが、やはり日本文学史上の美文と言われるだけあり表現はとても、美しい
    この、物語については考察を色々読みたいと思う

  • なんてことない若者の恋愛小説かと思ったら、最後の一文でぞっとした。
    自分もそのなんてことなさを幸せで良かったと思うのと同時に少し退屈だと思ってしまう感覚があって、そこを見事に突かれた気がした。

  • 嫌い。でも読んでしまう魅力。

  • 角川文庫と新潮文庫の何やら決定的な差異を見たような気分

  • 三島由紀夫の書く文章が好き。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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