真田軍記 (角川文庫クラシックス)

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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041216088

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに、井上靖の小説を読みました。

    真田家にまつわる「真田軍記」に四編。同時代の他四編。

    いずれも、史料に登場する戦国時代の実在の人物を軸に繰り広げられるものがたり。史料にほんの数行記されている程度の人物から、著者がつくりあげたものらしい。
    真田家の人びとの人間力が、とてもいい。

    白兵戦から銃撃戦に変わっていく転換期、織田の軍勢がもたらした衝撃を一人の武田の兵士の視点で描いた「篝火」もよかったし、「森蘭丸」も、生き生きと描かれている蘭丸がなんだか男らしくて、新鮮でした。

    京都の本能寺にある、本能寺の変で亡くなった人びとの名前が記された立て札には、当然、森蘭丸の名前があります。万城目学の「ホルモー六景」の『長持ちの恋』を読んで以来、あの立て札の前で大鍋小鍋の名前を見たら涙が出てきてしまうのですが、今度は森蘭丸の名前を見てもグッときてしまいそうです。

  • 1958年(のち改版) 戦国小説集。5編(8編にも数える)、「あとがき」収録。59

  • 真田家の物語が周囲の人々が主人公になることで語られている。本多忠勝の娘はよかった。昌幸の人間味と姫の正直さ。

  • 本棚整理のため再読。
    ()内は著者あとがきより、依拠した文書です。

    『真田軍記』
     海野能登守自刃 (羽尾記)
     本田忠勝の女 (鶴丸夜話、真武内伝)
     むしろの差物 (武功聞書)
     真田影武者 (真武内伝追加、落穂雑談一言集、慶長見聞書)
    『篝火』 (常山紀談、甲斐国志)
    『高嶺の花』 (熊谷家伝記)
    『犬坊狂乱』 (関伝記、熊谷家伝記)
    『森蘭丸』

    あとがきによると、ほとんどは元ネタとなる文書に数行の記述しかないものだそうです。そこから作品に出来るのか、と驚きました。

    以下は、感想というより自分のためのメモです。


    『真田軍記』のうち『むしろの差物』
    関が原の戦いの際、二手に分かれた主家のために、父祖代々仕えてきた城を攻めた間嶋杢と、籠城した杉角兵衛。落城後に二人とも脱走。大坂夏の陣の際、旧主幸村の陣中見舞いに行き、そのまま守り方として戦に巻き込まれる。大車輪の働きをした後、幸村の最期を攻め方の信之に伝えて行方をくらます。
    ”幸村は杢と角兵衛という日本一の百姓を知人に持って倖せだったと思う”

    『真田軍記』のうち『真田影武者』
    諸説ある幸村の嫡子幸綱の最期。幸綱の影武者を騙った男の正体は、最後まで分からないまま。

    『篝火』
    長篠の戦で、歴戦の武将たちが三段構えの鉄砲隊に蹂躙されるのを目の当たりにして、呆然としたまま織田方にとらわれた多田新蔵。「暇だったから山県昌景を狙撃した」とのたまう織田方の雑兵に、たった一人で斬りかかる。全編通して彼の慟哭が痛い。
     ”今日はいったい何が行われたというのだ!”
     ”あのようにして、騎馬長槍をもって鳴る武田の全軍が潰え去っていいものか”
     ”あそこで行われたものは一体何なのだ? あれは何であったか?”
     ”俺がなぜ裸になったか、貴様は知っているか”
     ”ばからしいのだ。こんな合戦は裸でたくさんなのだ”

    『森蘭丸』
    甲州遠征直前~本能寺まで。合戦に出たがる蘭丸、光秀の愛人との出会い。

  • 井上靖氏の真田物の8つの短編集。動乱の時代の人間の悲劇と戦国時代独特の人間の個性が描かれる。

  • 2016年2月再読。

  • しっかりとした筆致で読みごたえがある。真田ものが、殆ど資料のない中で語り継がれているのは、初めて知った。2015.12.12

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    「戦国時代ほど人々の運命があらわに見える時代はない。月光に照らし出された一本の川筋のように」と著者はいう。著者のもつ史観と詩論、つまり井上文学の全貌を簡潔に言い現している。

    【キーワード】
    文庫・時代小説・短編集・戦国時代

  • 1989 読了

  • 井上靖さんの戦国物です。
    この本を読むまで、井上さんが戦国時代を書かれていたとは知りませんでした。
    私にとっては、とても珍しかったので、手にとって見ました。
    有名の周りにいる無名に焦点を当てていて、ストーリーはフッと沸いてフワっと消える感じの、”昭和な”感じの小説でした。
    本多忠勝の娘と森蘭丸は、とても良かったです。

    以上です。

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著者プロフィール

井上 靖(いのうえ やすし)
1907年5月6日 - 1991年1月29日
北海道旭川で生まれ、天城湯ヶ島、三島・沼津で18歳まで過ごす。その時代までのことは『しろばんば』をはじめとした「自伝的小説三部作」に詳しい。金沢の第四高等学校(現・金沢大学)で詩作を始め、京都帝国大学を卒業後大阪毎日新聞社に入社。
小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950年デビュー。現代小説、歴史小説、エッセイ、自伝的小説、シルクロード西域関連の作品、詩集など創作範囲は多岐に及ぶ。主な代表作に、『風林火山』『氷壁』『天平の甍』『おろしや国酔夢譚』などがある。
1964年日本芸術院会員に。同年『風濤』で第15回読売文学賞、1980年菊池寛賞、1985年朝日賞などをそれぞれ受賞。1976年には文化勲章も受章しており、多数の受賞歴がある。

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