真田軍記 (角川文庫 緑 216-8)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041216088

感想・レビュー・書評

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  • 真田昌幸と子息を周囲の人々の物語を書くことで浮かび上がらせる表題作と戦国時代の小説4作を収録。
    真田軍記では侍を辞して農民になった二人が大坂城の真田幸村のもとへ陣中見舞いへ赴き、そのまま夏の陣の戦乱に巻き込まれる『むしろの差物』が特に心に残りました。
    『森蘭丸』以外はすべて依拠した資料がありますが作品によってはわずか数行程度のものもあるとあとがきを読んでおどろきました。その数行を膨らませる作家の仕事、力のすごさをあらためて感じます。

  • 久しぶりに、井上靖の小説を読みました。

    真田家にまつわる「真田軍記」に四編。同時代の他四編。

    いずれも、史料に登場する戦国時代の実在の人物を軸に繰り広げられるものがたり。史料にほんの数行記されている程度の人物から、著者がつくりあげたものらしい。
    真田家の人びとの人間力が、とてもいい。

    白兵戦から銃撃戦に変わっていく転換期、織田の軍勢がもたらした衝撃を一人の武田の兵士の視点で描いた「篝火」もよかったし、「森蘭丸」も、生き生きと描かれている蘭丸がなんだか男らしくて、新鮮でした。

    京都の本能寺にある、本能寺の変で亡くなった人びとの名前が記された立て札には、当然、森蘭丸の名前があります。万城目学の「ホルモー六景」の『長持ちの恋』を読んで以来、あの立て札の前で大鍋小鍋の名前を見たら涙が出てきてしまうのですが、今度は森蘭丸の名前を見てもグッときてしまいそうです。

  • 真田家の物語が周囲の人々が主人公になることで語られている。本多忠勝の娘はよかった。昌幸の人間味と姫の正直さ。

  • 本棚整理のため再読。
    ()内は著者あとがきより、依拠した文書です。

    『真田軍記』
     海野能登守自刃 (羽尾記)
     本田忠勝の女 (鶴丸夜話、真武内伝)
     むしろの差物 (武功聞書)
     真田影武者 (真武内伝追加、落穂雑談一言集、慶長見聞書)
    『篝火』 (常山紀談、甲斐国志)
    『高嶺の花』 (熊谷家伝記)
    『犬坊狂乱』 (関伝記、熊谷家伝記)
    『森蘭丸』

    あとがきによると、ほとんどは元ネタとなる文書に数行の記述しかないものだそうです。そこから作品に出来るのか、と驚きました。

    以下は、感想というより自分のためのメモです。


    『真田軍記』のうち『むしろの差物』
    関が原の戦いの際、二手に分かれた主家のために、父祖代々仕えてきた城を攻めた間嶋杢と、籠城した杉角兵衛。落城後に二人とも脱走。大坂夏の陣の際、旧主幸村の陣中見舞いに行き、そのまま守り方として戦に巻き込まれる。大車輪の働きをした後、幸村の最期を攻め方の信之に伝えて行方をくらます。
    ”幸村は杢と角兵衛という日本一の百姓を知人に持って倖せだったと思う”

    『真田軍記』のうち『真田影武者』
    諸説ある幸村の嫡子幸綱の最期。幸綱の影武者を騙った男の正体は、最後まで分からないまま。

    『篝火』
    長篠の戦で、歴戦の武将たちが三段構えの鉄砲隊に蹂躙されるのを目の当たりにして、呆然としたまま織田方にとらわれた多田新蔵。「暇だったから山県昌景を狙撃した」とのたまう織田方の雑兵に、たった一人で斬りかかる。全編通して彼の慟哭が痛い。
     ”今日はいったい何が行われたというのだ!”
     ”あのようにして、騎馬長槍をもって鳴る武田の全軍が潰え去っていいものか”
     ”あそこで行われたものは一体何なのだ? あれは何であったか?”
     ”俺がなぜ裸になったか、貴様は知っているか”
     ”ばからしいのだ。こんな合戦は裸でたくさんなのだ”

    『森蘭丸』
    甲州遠征直前~本能寺まで。合戦に出たがる蘭丸、光秀の愛人との出会い。

  • 井上靖氏の真田物の8つの短編集。動乱の時代の人間の悲劇と戦国時代独特の人間の個性が描かれる。

  • 2016年2月再読。

  • しっかりとした筆致で読みごたえがある。真田ものが、殆ど資料のない中で語り継がれているのは、初めて知った。2015.12.12

  • 1989 読了

  • 井上靖さんの戦国物です。
    この本を読むまで、井上さんが戦国時代を書かれていたとは知りませんでした。
    私にとっては、とても珍しかったので、手にとって見ました。
    有名の周りにいる無名に焦点を当てていて、ストーリーはフッと沸いてフワっと消える感じの、”昭和な”感じの小説でした。
    本多忠勝の娘と森蘭丸は、とても良かったです。

    以上です。

  • 歴史的に参考文献が少ないと言われている真田家について、作者さんがちょっとした記述をもとに創作した(たぶん)小話をまとめたもの。

    真田家に関する4編
     ・海野能登守自刃
     ・本多忠勝の女(むすめ)
     ・むしろの差物
     ・真田影武者   と
    そのほかやはり創作っぽい歴史小話
     ・篝火
     ・高嶺の花
     ・犬坊狂乱
     ・森蘭丸      が入っていました。

    歴史的な勉強の一環には多少なったけど(人間関係とか)、はっきり言って好みのお話はなかったです。
    女性はどうでもよさそうなお話ばっかりだったしね。

    あえて言えば、『本多忠勝の女』が、真田昌幸さんの長男が徳川方についた理由の一説を提示していて、ふ~ん…と思ったけどね。

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著者プロフィール

井上靖
一九〇七(明治四十)年、北海道生まれ。静岡県に育つ。京都帝国大学哲学科を卒業後、毎日新聞社に入社。五〇年「闘牛」で芥川賞を受賞し、五一年に退社、作家生活に入る。五八年『天平の甍』で芸術選奨文部大臣賞、六〇年『敦煌』『楼蘭』で毎日芸術賞、六四年『風濤』で読売文学賞、六九年『おろしや国酔夢譚』で日本文学大賞、八二年『本覚坊遺文』で日本文学大賞、八九年『孔子』で野間文芸賞など、受賞作多数。その他の著作に、『あすなろ物語』『しろばんば』ほか自伝的小説、『風林火山』『淀どの日記』ほか歴史小説、『氷壁』ほか現代小説など。七六年、文化勲章を受章。六九年にはノーベル文学賞の候補となった。一九九一(平成三)年死去。

「2022年 『殺意 サスペンス小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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