青衣の人 (角川文庫 緑 216-10)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041216101

感想・レビュー・書評

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  • ――最初から、「おっ」と身を乗り出してしまうような展開でしたが、それは最初だけで中盤はたらたらと。

    しかし、問題はそこではなくてこの本の全ては後半の盛り上がりです。激しく過ぎるような時間の中で、

    向き合う二人の心情を克明に描いています。後半は手が止められません。止めてしまうと、読み進めた時

    との興奮は段違いでしょう。 境道助は、三浦暁子に憧れにも近い恋心を抱いている。そして、暁子の姪

    であるれい子は、叔母をこの上なく尊敬している。この3人の複雑な関係をそれぞれの視点から描いてい

    ます。この作品は主人公は一人ではありません。道助、暁子、れい子、それぞれです。そのため曖昧な想

    像が無く、一人一人の心情が、細かく書かれています。 この作品は、後悔や嫉妬心など暗い感情が強調

    されています。でも、井上靖はやっぱすごい。一秒一秒人物の心の動きが伝わってくる。どの作品にも共

    通した井上靖の心情描写。上手すぎます。 ラストはしりきれとんぼのようですが、締めくくりとして、

    あれがベストだったのでしょう――

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著者プロフィール

井上靖
一九〇七(明治四十)年、北海道生まれ。静岡県に育つ。京都帝国大学哲学科を卒業後、毎日新聞社に入社。五〇年「闘牛」で芥川賞を受賞し、五一年に退社、作家生活に入る。五八年『天平の甍』で芸術選奨文部大臣賞、六〇年『敦煌』『楼蘭』で毎日芸術賞、六四年『風濤』で読売文学賞、六九年『おろしや国酔夢譚』で日本文学大賞、八二年『本覚坊遺文』で日本文学大賞、八九年『孔子』で野間文芸賞など、受賞作多数。その他の著作に、『あすなろ物語』『しろばんば』ほか自伝的小説、『風林火山』『淀どの日記』ほか歴史小説、『氷壁』ほか現代小説など。七六年、文化勲章を受章。六九年にはノーベル文学賞の候補となった。一九九一(平成三)年死去。

「2022年 『殺意 サスペンス小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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