昨日と明日の間 (角川文庫)

  • 角川グループパブリッシング (1983年10月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784041216255

感想・レビュー・書評

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  • この小説は、夫への嬢悪感から“愛の巡礼”する女の物語だ。
    『女と言うものは、どんな善人でも、一生に何度か悪魔になる瞬間があるそうだが、自分はいまその瞬間にいるのかも知れない。何事も起こらないより、何事かが起こった方がいい。ひどく退屈で平穏だった自分の明け暮れに、いま波乱を巡こすために、何事かがやって来つつあるようだ」
    渡辺橋を渡りながら「昨日と明日の間』の主人公陶子の告白を思い浮かべた。 ひどく持って回った言い方だが、ここでいう悪魔になるとは、自分の本当にしたいことをするということでしかない。それは、自我、あるいは
    女の自立ということにつながる行難かも知れないが、当時ではそうした行動をとることがとても難しかったのかも知れない。
     市人公陶子と、四村は淀屋橋のレストランで食事をし、B新開社のホールで開かれたコンサートに来て、冒頭に書いたような状況、つまり愛する男である四村の家に泊まるはめになるのだがー。
     陶子は関西でも屈指の実業家彩田周平と見台い結婚をした。が、夫の周平が嫌いで、生活にも不満だった。なんとか生き甲斐のある世界に脱出したいという願いを持っていた時に、大学濃師の四村乙彦と知り合い、コンサートや食事をするという関係だけで八年開付き合ってきた。陶子は
    四村の、夫にない何もかもが好きだった。
     「八年間、四村を恋い慕ってきた。ある時は色濃く、ある時はあるかないかの薄さで。併し、常に必ず回付乙彦の面影は、八年の瞬月を通して、心のどこかに魔を持ち続けていた』
     

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著者プロフィール

井上 靖 (1907~1991)
北海道旭川生まれ。京都帝国大学を卒業後、大阪毎日新聞社に入社。1949(昭和24)年、小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950(昭和25)年43歳デビュー。1951年に退社して以降、「天平の甍」で芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」で日本文学大賞(1969年)、「孔子」で野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章。現代小説、歴史小説、随筆、紀行、詩集など、創作は多岐に及び、次々と名作を産み出す。1971(昭和46)年から、約1年間にわたり、朝日新聞紙面上で連載された『星と祭』の舞台となった滋賀県湖北地域には、連載終了後も度々訪れ、仏像を守る人たちと交流を深めた。長浜市立高月図書館には「井上靖記念室」が設けられ、今も多くの人が訪れている。

「2019年 『星と祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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