化石 (角川文庫)

  • 角川書店 (1969年12月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (768ページ) / ISBN・EAN: 9784041216293

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

生と死について深く考えさせられる内容で、主人公の一鬼太治平は余命宣告を受けた後、心の中で「死の同伴者」との対話を重ねながら、人生の意味を見つめ直します。彼は、周囲の自然や人々との関わりを大切にし、清潔...

感想・レビュー・書評

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  • 「鳥の声を聞いて、ああ、鳥が鳴いていると思い、花が咲いているのを見て、ああ、花が咲いていると思う、そんな生き方がいいですね。」

    なるほど、人間そういうところに最後は行き着くのかもしれない。

    父母の死を経験し、寿命まで精いっぱい生き切ることを思い続けている今の私にじっくり生と死について考える機会を与えてくれる内容だった。

  •  がんで余命一年の宣告を受け、死を覚悟し、心の中に生じた”死の同伴者”との語らいを続けてきた一鬼太治平。しかし、思いもかげず、手術によって、目の前にあった死が遠のいていった。

     -私に、一年の健康な寿命が許されるとしたら。
    そう前置きして、須波耕太は言ったのである。いつも身辺が清潔である生き方をしたいですね。他人のことを、もっと考える生き方をしたいですね。ひとを押しのけて、自分がのしあがろうとするのは厭ですね。金、金、金と、金を追いかけるのも厭ですね。少しでも、えらくなろうと、あくせくするのも厭ですね。鳥の声を聞いて、ああ、鳥が鳴いていると思い、花が咲いているのを見て、ああ、花が咲いていると思う、そんな生き方がいいですね。
     自分には、それができると一鬼は思った。確かに、自分にはそれができる。須波耕太が死の床で語った夢を、自分は生きた人間としてすることができるのである。

     「化石」を読み終え、さすが、井上靖だと思った。主人公・一鬼太治平の死から生へ、絶望から希望への転換劇は、作者自身の体験であり、井上靖自身の深い心的動機があって書かれた作品であることを知った。

  • <再読>先日のMr.サンデーでの竹田圭吾氏の追悼VTRを見ていたときに、竹田氏本人が「癌になったから終わり、ではなくて、いつもとちょっと違う日常が始まるだけ。向かい合い、なだめすかしながら付き合っていく感じ」みたいなことを言っていた映像が流れているのを見て、思いっきり『化石』の世界観だなあと感じて久しぶりに読み返してみた。竹田氏もこんな風に対話を繰り返しながら、毎日を過ごしていたのだろうか。竹田氏の考え方が好きだった自分からすると、できることなら主人公の一鬼と同じように癌から生還してほしかったとつくづく思う。

  • 旅先で十二指腸ガンのために余命1年と宣告された中年実業家の一鬼。死という同伴者とともに残りの命を歩いていく。

    こんなにも達観できるものなのかしら。悩んで悩んで諦めてそれでも生きていく。

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著者プロフィール

井上 靖 (1907~1991)
北海道旭川生まれ。京都帝国大学を卒業後、大阪毎日新聞社に入社。1949(昭和24)年、小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950(昭和25)年43歳デビュー。1951年に退社して以降、「天平の甍」で芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」で日本文学大賞(1969年)、「孔子」で野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章。現代小説、歴史小説、随筆、紀行、詩集など、創作は多岐に及び、次々と名作を産み出す。1971(昭和46)年から、約1年間にわたり、朝日新聞紙面上で連載された『星と祭』の舞台となった滋賀県湖北地域には、連載終了後も度々訪れ、仏像を守る人たちと交流を深めた。長浜市立高月図書館には「井上靖記念室」が設けられ、今も多くの人が訪れている。

「2019年 『星と祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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