或る「小倉日記」伝 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041227015

作品紹介・あらすじ

森鴎外の小倉在住時代の足跡を、十年の歳月をかけてひたすら調査する田上耕作とその母。はかばかしい成果は得られず、病、貧困に一層落ち込んでいく-「或る『小倉日記』伝」。自らの美貌と才気をもてあまし日々エキセントリックになる、ぬい。夫にも俳句にも見放され、死だけが彼女をむかえてくれた-「菊枕」。人間の孤独を主題にした、巨匠の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 或る「小倉日記」伝 第28回芥川賞受賞作品
    書評アイドル 渡辺小春が読む芥川賞
    読書人WEB
    https://dokushojin.com/review.html?id=7840

    或る「小倉日記」伝 松本 清張:文庫 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/199999122701/

  • まだ狭い世界の、松本清張。 「或る「小倉日記」伝」
    松本清張さんの本を読む際に、プロフィール欄に必ず書いてある本。
    この作品で、芥川賞を受賞されたからですね。

    読んでみると、文章に関しては、もう松本清張さんだな、と
    思うのですが、世界観が今まで読んできた作品に比べて狭いですね。
    登場人物の数だけでなく、独善的な主人公の意識がメインになって
    短編が終わっていくからでしょうか。

    自分の信念にまっすぐに、夢中になって、でも認められない、
    報われないといった人の話が5つ6つ続くのですが、
    そんな主人公の独善に、周囲の嘲笑に同調する際に
    「はっ」とすることはありました。
    自分の言動、行動に主人公と等しいものはないか?
    独善的な振る舞いはないのか?

    こういったところに、本の素晴らしさはありますね。
    生意気な若手にさりげなく薦めてみてはいかがでしょうか。

    松本清張氏の作家人生の中でかなり初期の作品ですから、
    ここから数々の著作を経て、社会的な作品が生まれていくんですね。
    次の本も読み始め、それが20年以上後に発刊されたものですので、
    時期による違いも楽しめたらと思います。

  • 松本清張の小説とはいえ、事件や時刻表が出てくるわけではない。
    しかしこの初期の掌編にこそ、後に続く不朽の名作『点と線』の
    老刑事の捜査への執念や、『砂の器』の
    犯罪者の不遇な身の上が生む悲劇など、
    氏の推理小説の原点を垣間見ることができる。

    森鴎外の小倉滞在時の日記のゆくえを、長い歳月をかけて追いかけた、
    田上耕作という男の話である。
    彼は生まれながらにして歩行と言語に重い障害がある。
    不自由な身体で差別にあい、孤独に押しつぶされそうになりながらも
    小倉日記のゆくえを探して東奔西走する。
    「小倉日記」は現存するのだろうか?
    彼の調査は価値のあるものなのか?
    最後の一文にせつないリアルがこもる。

    再読。昭和27年芥川賞受賞作。

  • 全体的に、才能はあれど、境遇の不備や人間性の問題などで評価されないまたは没後に評価された人たちの話だった。

    著者自身が民俗学をやっていることもあって、民俗学や俳句など日本の文化研究と芸術活動がおおく、また専門を極めた人にたまにいる人間性の登場人物が出てきて楽しかった。少し昔の文章なこともあって、読むのは大変だったが、心の機微や情景など、丁寧な描写が多くて読後感がよかった。

    当時の男女観や金銭感覚など、文化的方面でも興味深い描写が多かった。小中高の教員でも、研究できたのはとてもいいと思った。

  • 桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
    https://web.d-library.jp/momoyama1040/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD201701000679

    M-Portで事前登録が必要です。
    ◆学認からログインしてください。

  • これとは違うのだけどバーコードの上から図書館のシールが貼られていて読み込めないから仕方なく。
    父系の指
    菊枕
    笛壺
    石の骨
    断碑
    が収録されている。 
    学問(あるいは趣味)に打ち込み過ぎて周囲を顧みない人たち。
    断碑の途中で飽きた。

  • 初期の作品。
    女性が虐げられていた時代という印象。
    良くも悪くも男はとにかく勝手気ままだ。

  • 4

  • 松本清張氏初期の短編集。大衆向け、推理小説のイメージが強い著者だったのでいい意味で驚いた。

    切ないやるせない結末が多い。人は皆孤独と向き合ってその人生の歩みを進めていく。だが自分次第でいかようにもできることを自戒すべきだ。

  • 表題作は昭和27年度の芥川賞を受賞
    純文学にカテゴライズされ、芸術的な評価を受けたものだが
    今にしてみれば「天城越え」の原型的作品であり
    社会派ミステリーの嚆矢として、日本のホワイダニット…
    高村薫や天童荒太、宮部みゆきあたりまで影響を及ぼしていることは
    顧みられるべきだろう
    どんなつまらない人間にも人生の物語がある
    その点を掬い上げようとする方向性は、自然主義~プロレタリアに続く
    日本近代文学の正統とも呼べるものだ
    まあ、「市民ケーン」の焼き直しと言われればそれまでだが

    その他には
    経済事情などで進学をあきらめるしかなかった人々の
    それでもなお学問への情熱たちきれず
    必死に努力を重ねはするが
    結局はその情熱が仇となって、同学者に恐れられ嫉妬され
    疎外されて偏屈になり
    誰にも理解されぬまま孤独に朽ちてゆく姿を書いた
    そんなような短編ばかり集めている
    低学歴を補うため渡仏して、おのれに箔をつけようともくろむ
    在野研究者のありようは
    あるいは、「破戒」や「新生」に書かれた藤村の独善を
    非難するものなのかもしれない

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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