潜在光景 (角川ホラー文庫 33-1)

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  • 角川書店 (1994年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041227541

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  • 松本清張の恐い話を寄せ集めた短編集。
    7話収録。

    「潜在光景」
    妻がいるのに、昔の知人女性と男女の関係になった男。
    彼女には幼い一人息子がいるが、男はその子に嫌われていて自分に殺意があるのでは?と危惧する。

     自分がそうだから相手もそうだと思う。幼い子どもは本当に殺意があったのか・・・。

    「八十通の遺書」
    八十通の遺書を遺し自殺した知人男性のことを回顧する主人公。

    「発作」
    公私共に鬱々した日々を過ごす男。
    男は電車で居合わせた乗客のある行動に腹を立ててー。

     最初の方の何気ない場面に伏線が張られている。こういう事はあると思う。それは本人にしか分からない。

    「黒い血の女」
    実家のため、妹のためと言いながら、妹夫婦の仲を壊した姉。
    その後も女の陰湿で狂暴な血は周囲をまきこみながら、さらなる悲劇をまねく。

    「鉢植を買う女」
    不細工で男に相手にされない女の頼りにするものはお金。お金をためこんだ彼女は金貸しをするようになり、借金を返せない男と懇ろになるがー。

    「鬼畜」
    気の強い嫁に頭の上がらない男。
    自営の印刷業が好調な時に男は愛人をつくり、子供を3人もうける。
    やがて、事業が傾いた時、女は子供を男に預け姿をくらます。
    妻は見えない圧力により、男に子供を始末するようにしむける。

     映画にもなった有名な話。何度も実父に殺されかける男の子は何を考えていたんだろう。映画では大竹しのぶの演技が印象的だった。

    「雀一羽」
    徳川綱吉が将軍の時代。
    生類憐みの令の発令により、動物をいためる事はご法度とされていた。
    真面目に仕事をこなし周囲から認められていた家臣は、自分の家来が雀一羽を殺した事により閑職に追いやられる。

     人は順調な時、環境が整っている時なら誠実な人でいられるのはたやすいのかもしれない。
    そうでない時、その人の本質が表れる。本当の強さが問われるのかもしれないと、この話を読んで思った。


    どの話も時代が時代だけに素朴さを感じた。
    ストーリーもいたってシンプルで読みやすい。
    登場人物たちも今の人間ならこうはいかないというものがある。
    だけど、そのシンプルさの中に人間の本質をついた感性がキラッと光っている。
    私は山歩きしている時、霊に遭遇するより生きている人間に会うのが一番恐い。
    この世で一番恐いのは人間の心だと思う。
    これは、そういう短編集だと思う。

  • 日常にからまる犯罪や心理を描いたホラー。

    些細な怒りの爆発を描いた「発作」や愛人の子供に抱くかつての自分の影、出世コースから外れて自分の心を自制出来なくなる旗本や莫大な数の遺書が意味する人間的狂気など

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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