- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041227572
作品紹介・あらすじ
役所勤めの浅井が、妻の死を知ったのは、出張先の宴会の席であった。外出中、心臓麻痺を起こし急死だったという。発作は、どこでどう起きたのか。義妹によって知らされた死に場所は、妻から一度も聞いたことがなかった地名であった-。死の真相を探るうちに、思わぬ運命に巻き込まれていった男の悲劇を描く復讐サスペンス。
感想・レビュー・書評
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後半は、犯罪が露呈していく。後半では、妻どころじゃなくなって、狼狽するばかりなる。それは前半の話がきっかけになっていて、そのちょうど前半の終わりの、妻の一件の真相がわかったところからそうなるんだね。前半はただ単に、妻についての謎解きなのである。前半の不幸は、夫婦の不和を辿るようで、そこに妻の魅力が垣間見えるのだが、その話から一転させるところがこの話の怖さである。
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聞かなかった場所(角川文庫)
著作者:松本清張
発行者:角川書店
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
ふとしたことから膨らむ心の闇を描くある男の復讐劇。 -
小役人である浅井の妻が死ぬ。心臓麻痺で突然死ぬ。しかしその倒れた場所は、浅井が聞いた覚えもない場所であった。
…という発端は、謎としてなんとも魅力的である。
妻が何故そこにいたのか、を追う部分が、前半。分量的にも、全体のなかほど強あたりまで。
そして、とある人物を追い詰めていこうとするのが後半。
しかし、この前半と後半、トーンがまるで違うのだ。
書いている時期に、時間的な断層があるのかと思うほど。
結末に割かれるページは、意外と少ない。
どんどん追い込んでいく割に、最後はあっさり。それも、無垢・善意によって切り返されるのが、ぴりりと小粒なスパイスになっていると言えるかもしれない。
松本清張得意の断崖は出てこないけれど、列車は登場。
なんとも小心な小ものや小役人を描く筆は闊達。 -
「松本清張」の長篇ミステリー『聞かなかった場所』を読みました。
「松本清張」作品は、今年の4月に読んだ『内海の輪』以来ですね。
-----story-------------
妻の死の真相を追って運命に翻弄される一人の男。
力作長編。
農林省の係長「浅井」が妻の死を知らされたのは、出張先の神戸であった。
外出先での心臓麻痺による急死とのことだったが、妻が倒れた場所は、妻が一度も口にしたことのない町であった…。
一官吏の悲劇を描く力作長編。
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農林省の係長「浅井恒雄」は神戸への出張中に妻「英子」が心臓麻痺で急死した… 元々「英子」には軽度の心筋梗塞があったのだが、倒れた場所に不信感を抱いた「恒雄」は、妻の死の真相を知るために調査を始める、、、
「恒雄」が被害者として真相を探り加害者を追い詰める前半、
一転して脅迫される立場となる中盤、
そして加害者として自ら仕掛けた罠に自ら陥り、農協職員の誠実さにより事実が明るみになる後半… と、それぞれの展開に応じた心理描写が愉しめる作品でした。
自然体でいれば明るみにならなかったかもしれない犯罪が、隠蔽しようと工作を仕掛けた影響で… しかも、悪意のない誠実な農協職員の行動から見破られてしまうという皮肉な展開が面白かったですね。
被害者って、加害者になってしまう要素を持っているもんですよねぇ… 怖い。 -
妻の死から始まる物語。役所勤めの男の妄想が引き起こす事件と隠し通そうとする葛藤が描かれた作品。
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農林省のノンキャリア役人の夫は、出張中に心臓発作で妻が急逝したことを電話連絡で知る。しかし、妻の死に不審を抱く。興信所による再々の調査によって、妻の不貞が明らかになってくる。相手の男をふとした激昂から危めてしまう。
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ラストの滑稽さがとてもよかった。自然と感情移入してしまうのは松本清張ならでは。
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読んだ後の、動悸の激しさがすごい。2-3時間は眠れなかった。心理描写がとても上手。最後50Pは、自分が犯人にでもなったような感覚にさせてくれる。
松本清張さすが!! -
とても高名な作家なのに、松本清張さんの作品を読むのはこれがはじめてのような気がします。ミステリードラマの筋書きみたいで、知らず知らずに避けていたようです。ズバズバと核心に迫るのではなくその辺りをうろうろしながら近づいていくようなじれったい描きかたは好き嫌いがあるでしょう。
ちょっとしたきっかけで殺人を犯したした心弱き犯罪者の心理が、うんうんそうだろな、と思えるほど的確に描かれていました。松本清張さんの小説の終わりかたがいつもこんなかたちなのか、もう一冊、機会があればぜひ確かめてみたいです。
著者プロフィール
松本清張の作品






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