- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041227626
作品紹介・あらすじ
「重大事態発生」。官邸の総理大臣に、防衛省統幕議長がうわずった声で伝えた。Z国から東京に向かって誤射された核弾頭ミサイル5個。到着まで、あと43分! SFに初めて挑戦した松本清張の異色長編。
感想・レビュー・書評
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松本清張の隠れた名作と言ってもいいと思います。
ある国が核ミサイルを誤射してしまって(しかも5発)、
その内3発は迎撃するものの、残りが東京に落ちる、
というパニックもの。
数十分後に核爆弾が落ちるよ、といった時に、
人々はどのような行動に出るのか?
日本国首相、海外の要人、一般のサラリーマン、
獄中の囚人たち・・・
と様々な人間の行動を追っています。
終わり方も映画的で、昭和48年発刊なのに
いま読んでもおもしろいです。
実は状況説明の仕方が
素晴らしいので読んでみなさいと、
櫻井秀勲先生にすすめられて
読んだ本だったのですが
まさにその通りでした。
今後の執筆活動の上で、
参考にしていきたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今でも同じ展開になりそうな気がする
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昭和38年に週刊誌に連載された松本清張には珍しいSF作品。とある同盟国から誤って核を搭載したミサイルが何発か日本に向かって発射された。迎撃でないミサイル2発は、東京都心を直撃するという。この知らせが国民に周知されたのは、ミサイル到達予想時刻の1時間足らず前。首相はじめ主要な政府要人は、すでに飛行機で大阪に飛び立ち、大阪から各部署、国民に指令する。東京都内に残された人びとは、どのような行動を起こすか?
昭和38年に架空のSF小説として連載が始まるも、果たして、現在も仮想現実のことと言えるのかどうか? -
「松本清張」のSF的小説『神と野獣の日』を読みました。
「清水義範」のSF連作集『博士の異常な発明』を読んで、SF作品を読みたくなったんですよね。
「松本清張」作品は、『ゼロの焦点』以来なので約半年振りです。
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「重大事態発生です」―ある早春の午後、官邸の総理大臣にかかってきた、防衛省統幕議長からの緊急電話が伝えた。
Z国から東京に向かって誤射された、5メガトンの核弾頭ミサイル5基。
1発で、東京から半径12キロ以内が全滅するという。
空中爆破も迎撃も不可能。
ミサイルの到着は、あと…43分。
ラジオ・テレビの臨時ニュースによって、真相が全日本国民に知らされた!
SF的小説に初めて挑戦した「松本清張」の隠れた名作。
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日本から2万km離れた太平洋自由条約機構のZ国から誤って発射された核弾頭ミサイル5基が東京に向かっている… 自爆装置は起動せず、日本(自衛隊及び在日米軍)の迎撃能力では3基しか破壊できない、、、
43分後の12時32分(のちに140分後の15時9分に訂正)には東京が被爆することを覚悟した政府の混乱、事実を告げられた住民のパニック等がリアルに描かれています。
東京から逃げるためにパニックとなった住民の蛮行は、ぞっ… とするような身勝手で野蛮な行動なのですが、実際に死の恐怖に直面した人間は、冷静ではいられないんだろうと思いますね。
極限の状態に置かれ、本能に任せ野獣と化した人々、最期まで人間性を失わず神として行動した人々、、、
その両方が描かれていますが、自分が、その場にいたら、どちらの行動を取っただろうか… 考えさせられる物語でしたねぇ。
(多分?)東西の緊張が高まっていた1963年に書かれた作品ですが、原発事故や北朝鮮の人工衛星発射等もあり、なんだか現実味のある物語に感じました。
現実にならないことを祈るばかりですね。
助かった… と思わせたあとの、このエンディングは巧みです。怖いです。
映画化しても面白そうな作品に感じましたね。 -
2021/11/30読了
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神と野獣の日(角川文庫)
著作者:松本清張
発行者:角川パブリッシング
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
40年以上の間根強い人気を誇るSFパニック作品。 -
先日、点と線を読み終わり図書館にあったので借りた本。
間もなくミサイルが飛んできて終わる東京で人々の行動や心理が面白い。もっと深堀りしても読めるんじゃないかな。 -
1973年に発表された作品なのに、全然昔話になっていません。
某国のミサイルの誤射から東京着弾までを書いています。インターネットと携帯電話が出て来ないのを除けば、まるで昨日今日の話のようです。
あと1時間で、今いる場所が壊滅すると言われたら、逃げるのか、残るのか。ライフラインを守る仕事をする人たちが逃げたらどうするのか。
交通機関は動くのか?動かないのか?電気はいつまで供給されるのか?
頭の中で自分ならどうする?という問いを明滅させながら一気読みでした。 -
清張先生のSF。一気に読めた。