小説帝銀事件 新装版 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 111
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041227695

作品紹介・あらすじ

昭和23年1月26日、帝国銀行椎名町支店に東京都の腕章をした男が現れ、占領軍の命令で赤痢の予防薬を飲むよう告げると、行員らに毒物を飲ませ、現金と小切手を奪い逃走する事件が発生した。捜査本部は旧陸軍関係者を疑うが、やがて画家・平沢の名が浮上、自白だけで死刑判決が下る。膨大な資料をもとに、占領期に起こった事件の背後に潜む謀略を考察し、清張史観の出発点となった記念碑的名作。文字が読みやすい新装版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後の米国占領下時代に起こった実際の事件。
    小説の中身の事はほぼ事実であろうし、松本清張は実際に
    平沢氏の釈放運動を行っている。

    当時の闇の部分が垣間見える事件ではあった。
    小説は平沢・検事・弁護士のすべての3方面での主観を
    記しているが、どれもが納得いくものであり、どれもが納得
    いかない部分もある。

    が、個人的な意見として、やはり平沢氏なる画家が、
    手早く薬品を、威厳持ちながら堂々と扱えるとも
    思えないというのが正直な感想。
    あくまで、松本清張氏の小説、及び他から仕入れた資料による、
    勝手な想像につきないが。

    死刑宣告されながらも、執行されずに、最後は病で亡くなった
    平沢氏が本当に無罪だとしたら、どんなに悔しいだろうか。


    国家が人を食い潰す。
    許されない事実だが、これもまた事実なのだと、思わざるえない1冊でした。

  • P280

  • 戦後間もなくの混乱期の事件だけに、この結果は致し方ないのかな。日本人には基本的にお上のやることは間違いないとか、黙って従うべきだという考え方が未だにあるように感じる。

    おまけに、当時は旧刑事訴訟法。平沢氏はその法律の下の犠牲者と言って良いかもしれない。清張の筆致は非常に合理的で、平沢貞通の冤罪を強く印象づけてる。結局死刑が執行されなかったのも、当局が一抹の不安を抱えてた証拠だろう。

    本来ならば、恩赦でもなんでも釈放すべきだった。

  • 松本清張作品になかでは自分的に辛口批評

  • 「帝銀事件は旧訴訟法による最後の事件であった。旧訴訟法によると、自白重点主義である。」清張が一番言いたかったのは、この点であると感じた。 時を同じくして、東電OL殺人事件の真実も怪しくなってきた。事件のあらましを確認するために、佐野眞一氏の著書を読み返してみようかしら。

  • 昭和23年、米軍占領下の日本で起きた毒物による大量殺人事件。当初の警察捜査は毒物の専門知識を持つ軍関係者に向けられていたが、結局、逮捕されたのは毒物とも軍ともかけ離れた画家、平沢。

    医学的知識のない市井の画家がこんな大胆な事件を実行できるのか。背後にGHQの陰謀を感じた松本清張は、架空の新聞記者に事件を推理させる小説スタイルで事件の真相に迫ろうとした。

    小説?
    ノンフィクション?
    大作家の自己満足?

    と、いろんな読み方ができる作品。

    帝銀事件について、本当に松本清張の意見を知りたければ、「黒い霧」をどうぞ。

  • すべて知っている情報ばかりなのに、なぜこんなにドキドキできるのか。新装版なので、文字も読みやすく、また思いのほか松本清張が平沢に肩入れしていない書き方だったので(もちろんまったくしてないわけじゃないが)、どう結末づけるんだろう、と単純に読み手としておもしろがれて嬉しかった。
    みなまでは書いていないけど、犯人を追い詰めたら軍の関係だった、というところを随所に散りばめて書いてある。でも追求はしきれないで終わった感じで、これは「日本の黒い霧」で充分に書いてあるからいいのかもしれない。「小説」とつけたところに、松本清張も小説では勝てない「事実」を悔しく思い、挑戦してみたんだと思う。いや、おもしろかった。

  •  2009年12月25日購入

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著者プロフィール

●1909年、福岡県に生まれる。印刷工、新聞社社員を経て42歳で作家の道へ。「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。『点と線』『眼の壁』『砂の器』『ガラスの城』『黒革の手帖』など推理小説の第一人者として多くの作品を発表する一方、『日本の黒い霧』『昭和史発掘』などノンフィクション分野でも活躍。日本ジャーナリスト会議賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、朝日賞など受賞多数。1992年死去

「2017年 『徳川家康 (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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