zoologicさんの感想
2016年5月21日
著者の小説は大きく二つに分類されるが、本作は”おバカさん”や”ヘチマくん”と同じグループに入る。いわゆる孤哩庵もの。”沈黙”や”海と毒薬”、”王妃マリーアントワネット”を期待して読むとがっかりする。 時代は安土桃山、パードレに連れられ信長に謁見した黒人の話だが、弥助じゃないことに注意。話は本能寺から長久手の戦いと続くが、実は信長は生きていた的な展開。哀しい場面、人間の嫌な面が多く出てくる。あと糞尿屁もよく出てくる。
1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。 「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」