人に定めなし (角川文庫)

  • 角川書店 (2006年1月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784041268636

作品紹介・あらすじ

2003年に79歳で亡くなった著者による自伝エッセイ。生前最後となった単行本の文庫化で、自らの死を意識したかのような独自の運命観と共に、若き日の戦争体験や身近な出来事の中から生きることの不思議と歓びを

感想・レビュー・書評

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  • 著者の壮絶な人生体験を潜り抜けて獲得された言葉の数々はいまの自分を救ってくれました。本当に「人に定めなし」です。

    「オマエ、○○(地元一番の進学校)か?」
    「いいえ、ちがいますよ。」
    とある人と会話になったとき、こういう話題になった。僕の地元では、入った高校で将来が決まる、とみなされる節があった。僕は、高校を卒業してもう10年近くになる。僕の家族、親戚は地元で一番の進学校に入ることが約束されていて、僕だけが入学できなかった。僕が入ったのは俗に2番手校といわれる高校だった。でも、そんなことは社会に出ればどうでもいいことで特に、東京なんかで暮らしていると、どこの高校を卒業したかは、はっきり言って「どうでもいい」ことだった。

    「いい高校やいい大学を出たからって、将来が保障されているわけじゃない。」
    という現実をまざまざと見せ付けられた。そこで僕はいろいろな人が生きていることを知った。なりふりかまわずに生きてきた。自分の卒業した高校のことなんて、当の昔に忘れていた。それはそのまま、僕が地元を離れていたときと重なる。

    僕が地元に帰って、久しぶりにその感覚が戻ってきた。「息苦しいな」と。高校に入学したときに、母にハッキリ言われたことがある
    「“地元で一番の進学校”いかなきゃいい大学にいけないんだ」と
    でも、結局、社会に出てから問われるのは「個人」の資質であって、いい高校、いい大学、もしくはいい会社(上場企業?)ではないような気がする。だから、道行く高校生を見て、なんだかとてもかわいそうな気持ちになる。

    「大人」たちにそうみなされているのを知ってか知らずか、“地元で一番の進学校”以外の高校生は
    どこか諦めムードで無気力か、男の子も女の子も無駄に「はっちゃけて」いる子が多い気がする。
    僕がいたときよりその「空気」は強くなっている、気がする。だから僕は彼らに言いたい。
    「この町を出てみな。親の庇護を離れてみな。この町は息苦しいけど、ここを出たらきっと、大きな海が広がっているから。人に定めはないんだよ」
    と。

  • 死にかけたはなしの中に少し死なせかけた話も混じっている。

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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