- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041268636
感想・レビュー・書評
-
著者の壮絶な人生体験を潜り抜けて獲得された言葉の数々はいまの自分を救ってくれました。本当に「人に定めなし」です。
「オマエ、○○(地元一番の進学校)か?」
「いいえ、ちがいますよ。」
とある人と会話になったとき、こういう話題になった。僕の地元では、入った高校で将来が決まる、とみなされる節があった。僕は、高校を卒業してもう10年近くになる。僕の家族、親戚は地元で一番の進学校に入ることが約束されていて、僕だけが入学できなかった。僕が入ったのは俗に2番手校といわれる高校だった。でも、そんなことは社会に出ればどうでもいいことで特に、東京なんかで暮らしていると、どこの高校を卒業したかは、はっきり言って「どうでもいい」ことだった。
「いい高校やいい大学を出たからって、将来が保障されているわけじゃない。」
という現実をまざまざと見せ付けられた。そこで僕はいろいろな人が生きていることを知った。なりふりかまわずに生きてきた。自分の卒業した高校のことなんて、当の昔に忘れていた。それはそのまま、僕が地元を離れていたときと重なる。
僕が地元に帰って、久しぶりにその感覚が戻ってきた。「息苦しいな」と。高校に入学したときに、母にハッキリ言われたことがある
「“地元で一番の進学校”いかなきゃいい大学にいけないんだ」と
でも、結局、社会に出てから問われるのは「個人」の資質であって、いい高校、いい大学、もしくはいい会社(上場企業?)ではないような気がする。だから、道行く高校生を見て、なんだかとてもかわいそうな気持ちになる。
「大人」たちにそうみなされているのを知ってか知らずか、“地元で一番の進学校”以外の高校生は
どこか諦めムードで無気力か、男の子も女の子も無駄に「はっちゃけて」いる子が多い気がする。
僕がいたときよりその「空気」は強くなっている、気がする。だから僕は彼らに言いたい。
「この町を出てみな。親の庇護を離れてみな。この町は息苦しいけど、ここを出たらきっと、大きな海が広がっているから。人に定めはないんだよ」
と。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死にかけたはなしの中に少し死なせかけた話も混じっている。
著者プロフィール
黒岩重吾の作品





