司馬遼太郎の日本史探訪 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041290057

作品紹介・あらすじ

歴史の転換期に直面して彼らは何を考えたのか。動乱の世の名将、維新の立役者、いち早く海を渡った人物など、源義経、織田信長ら時代を駆け抜けた男たちの夢と野心を、司馬遼太郎が解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬のほか歴史研究家などが歴史的人物について考察を加えた一冊。NHKの特集を本にそのまま移行したもので、映像がないと補足しづらい部分はあるが、司馬のひらめきの秘密をかいま見えて面白かった。特徴は、ある人物がとった言動から、その人の本質的な部分を見ぬくということ。
    例えば、義経が騎馬隊の指揮に優れていたことについて、当時の1対1の戦いを否定しないと出てこない戦術と評し、それをもって彼を時代の制約から逃れた稀有な軍事家と位置づける。こうした読みは、あるいは誤謬も生む(三段撃ちを論拠として近代精神あふれる信長像を展開している)だろうが、歴史をあざやかに蘇らせる。小林秀雄の西行などに通じるものがある。
    また、家康のような政治屋よりも、義経や信長など、どうしようもなく個性的・独創的な人間をひいきにしていて、そこにも共感してしまう。
    文学的感受性も素晴らしい。楠木正成の最後について、歴史書では「にわかに没した」と表現してあり、ここから、正成を中心とした運動がにわかに勃興し、綺羅星のように輝き、一瞬にして消えていったという、全体の美しいイメージにつなげている。

  • ※購入@Book Off、角川書店の謹呈のしおり付
     2017.5.6売却@Book Off

  • 歴史小説の第一人者とも言える著者が、当代を代表する作家や研究者とともに、日本史を彩る事件や人物について語り尽くす「日本史探訪」。
    源義経、織田信長、新撰組、坂本龍馬など僕がとても興味のある人物が取り上げられているので、とても楽しく読んだ。

    義経と頼朝の確執について、巷間言われるような「嫉妬」や「猜疑心」がその理由ではなく「頼朝の事情や時勢を把握していなかった義経に責任がある」とする考え方はとても面白いと思った。
    ただ、個人的にはやっぱり頼朝には弟に対する複雑な感情があったと思う。
    そうでなければ、義経を中央から切り離して奥州に追いやったところでお終いにしてもいいはずだ。
    追い討ちをかけるように藤原氏に義経討伐を命じたのは、多少なりとも義経許すまじの心があったからだと僕は思う。
    (もちろん、奥州が目障りだったという大きな理由もあったろうが)

    僕には歴史的知識が少ないから司馬遼太郎さんとまともに論議をする権利もないけれども、本を通じてこういう対話ができるのは楽しいと感じる。

    ところで、僕は常々歴史にその名を残すような人物にはある共通点があると考えている。
    たとえば、本書の中では、著者は義経を「世界で初めて騎兵を騎兵として使った武将」と評し、信長の三段構えの鉄砲隊に対しては「一斉射撃の方法は当時欧州でもまだ発見されていなかった」と誉め、龍馬については「日本という概念すらはっきりしていなかった時代に世界を視野に入れていた」と書いている。
    これらのことからわかるのは、やはりひとかどの人物には、時間も時空も飛び越えるような新しい発想や考え方があるということだ。
    彼らは時として、まるで未来からやってきた人間のように、時代の趨勢を完全に無視した行動を見せる。
    そして彼らのそういう行動が時代を切り開いていくのだ。
    ただし、そういう発想を持つことだけで彼らは時代の先駆者となったわけではない。
    たとえば僕が今、戦国時代にタイムスリップしたとしても彼らと同じことはできない。
    僕にはたくさんの知識があるにもかかわらず、だ。
    時代に逆らって新しい発想をするということは、とても難しい。
    それを貫き通すためにはたくさんの障害がある。
    いつ、どんな国においても時代というのは保守的なものなのだ。
    だから義経は兄に追われ、信長は「うつけ者」と言われ、龍馬は暗殺された。
    そういう多くの障害を乗り越えて新しい発想を貫き通すことができた者だけが、歴史に名を残す人物となるのだろう。

  • 〝司馬史観〟が愉しめるのは、歴史小説の中の〝余談〟にあるが、本文庫『織田信長』の章では、海音寺潮五郎が司馬遼太郎と対立した人物評価をされており、一番の読みどころと感じた。次点は、松本清張 対 司馬遼太郎の『関ケ原』の章での対談が目を引いた。

  • 歴史小説で「司馬史観」なる言葉すら生んだ作家の司馬遼太郎さんが源義経さんなど歴史上の偉人さんたちをゲストと語る本。

    内容が古いなぁ…と思いながら読んでいたら、昭和45年あたりにNHKで放送された番組を再構成したものみたい。
    なるほど。

    歴史の「偉人」さんたちを司馬さんの価値感で語っているので、好きな「偉人」さんは持ち上げ、そうでない人は程々といった感じ。

    司馬さんの歴史小説同様、程々に読むのが良いと思いました。
    自分でキャラクターを創造しやすい人ほど面白いのかもしれません。
    ひとつの見方として、参考にします。

  • NHK人気番組の書籍化から司馬出演の代表的13回を抜き出し。判官贔屓があっても、鎌倉幕府を開いた(すなわち耕作者の土地所有権を確定した)頼朝の功績は認めざるを得ない。楠木正成は遺墨を見ると相当の教養人で最期も西から巻き返してくる足利尊氏の迫力が分かっていたがイデオロギーに殉じたのだろう、など。共演の海音寺潮五郎が織田信長の奇矯や比叡山焼き討ちは「狂人だったのではないか」と人格的に捉えるのに対し、司馬は信長の刀の鍔が銭の文様であることなどから経済力重視の合理性を見る、作風の違いか。あと茶道の国際文物採用指摘

  • なるほど、北海道開拓のフロンティアスピリットの影には武士の意地があったのか。司馬遼好きには楽しめるかな。

  • 本書は、昭和四十五年~四十八年にかけて、NHKで放映された「日本史探訪」等を再構成したもの。源義経、楠正成、斎藤道三、織田信長、関ヶ原、朱印船、シーボルト、緒方洪庵、新選組、坂本竜馬、幕末遣欧使節団、大村益次郎、新世界゛蝦夷地開拓史゛をテーマとしている。コンパクトに纏まっていて、分かりやすい。蝦夷地開拓史については、知らないことが多かった。

  • 小説読むのはめんどくさいけど、これくらい短いと飽きずに読めていいね。

  • 義経から始まる日本史上の有名人・出来事を概観できる。全部で13のトピックスで構成されており、興味を抱いたものは別に深掘りする必要があろう。印象的だったのは「朱印船」の船中規約……およそ貿易は人と己を利するものなり。異国は我が国と風俗言語を異にするも、天賦の理はいさかも変わらず。ここには今で言うWin-Winの関係の重要性の認識や、日本人がコスモポリタンの資質を備えていたという素晴らしさがあった。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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