わが人生の歌がたり 昭和の哀歓 (角川文庫)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041294451

作品紹介・あらすじ

南北潮鮮で過ごした子ども時代、敗戦で家を失い、教師の父は酒に逃げた。病の母をリヤカーに乗せた逃亡生活、明日をも知れぬ引揚の恐怖、ロシア人兵士との闇取引。激動の少年期を経て筑豊に帰国した少年は、極貧の中、早稲田大学に入学し、青春の日々を売血で食いつないだ。つらい時、かなしい時、常に歌がともにあった。-私は、歌が、人間の肉声が好きなのです。命をつないだ魂と涙の昭和歌謡史。今こそ声をあげて歌いたい。

感想・レビュー・書評

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  • お母さんの死について書いてある箇所が、ギュウっとなった。夢見た新天地で、骨と皮だけの小さな体になっていく…「人生って」と思わずつぶやいちゃうけど、後に言葉が続かない。

    五木さんの本は初めてだったけど、読みやすく、これからチャレンジしたいと思いました。

    戦争中にも、人々が歌を歌っていたのが、まずびっくりで。声も発せられない、聞こえるのは悲鳴や怒声や泣き声だけの時代と思っていたから。
    生きるって、無感情ではできないことなのかも。

    異国の地で、父親が日本刀をコレクションしていたとか、写真の中の若かりし母親はモダンガールだったとか、子どもながらに親の気持ちを察する様子に、私は共感しました。

    戦争中の人々の心と、戦争なんて全く知らない私の心とに通じるものがあるなんて不思議。
    言葉はやっぱり古いから、歌詞だけ見てても心動かされないけど、その歌を拠り所にしていた人の気持ちは、現代っ子も現代っ子なりに経験しているもので…

    今の私の仕事って、常に新しい(新しく見える)価値観を見つけなきゃいけなくて、それが苦痛なんだと最近気づいた。
    コピーを考える時も、常に普遍的なこと言おうとしちゃって、やるべきことが違うと呆れられてばっか。
    でも、私は、時代を超えても通じ合える心理・真理の方に興味があるんだなぁ。それに出会えたときが一番うれしいし、心が動くから。
    今、コミュニケーション・デザイン!と叫ばれてるのは、でも、そうじゃないみたいなんだよね。私の技量と思考不足な面はあるかもしれませんが。

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著者プロフィール

作家。1932年、福岡県生まれ。朝鮮半島で幼少期を送り、引き揚げ後、52年に上京して早稲田大学文学部露文科に入学。57年に中退後、編集者、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞など受賞多数。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『下山の思想』『百寺巡礼』『生きるヒント』『孤独のすすめ』など。

「2023年 『人生のレシピ 疲れた心の癒し方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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