声の網 (角川文庫)

著者 : 星新一
  • 角川書店 (2006年1月25日発売)
3.74
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041303191

声の網 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この本の中の「電話」を自然と2016年現在の「インターネット」に置き換えて感情移入しました。
    読み替えていると「ありえないことでもないんじゃない?」みたいな感覚になっていって、改めて星新一さんという作家さんのイマジネーションや感性に舌を巻きます。「電話」の表現にこそ古臭い感はありますが、時代を超えて読める作品だと思います。面白くて一気に読んでしまいましたし、色々考えさせられました。

  • 初・星新一です。
    読んで最初の感想は「この人いつの作家?」

    ある時代、電話は単なる通話の道具ではなく、様々な情報とサービスを提供するものだった。
    商売に有益な情報を得る事も病院の診察を受ける事も買い物も、ダイヤル一つで家に居ながらにして済んでしまうのだ。全ては偉大なる機械文明の恩恵……。

    さて、作者である星新一氏は97年までご存命だったそうです。「だからこういう作品なのね」と思いましたが、この『声の網』が発表されたのはなんと1970年!本当に本当に驚きました。
    なんでインターネットがここに?正にそんな感じでした。
    登場人物たちから感じられる、情報への依存・情報に対する危機感の欠如・モラルの欠如・万能感……怖いくらいに現代社会に当てはまり、新鮮で、ぐいぐい引き込まれました。

    知識をエネルギーと定義し、文明の発展・行く末を宇宙の誕生になぞらえた件が興味深かったです。
    ラストはバッドともハッピーともつかない……読み手と言う傍観者の立場から「これでいいの?」って思いながらもあの世界に生きる一人として「何にも問題ないじゃん」とも思ってしまう、というより思わされてしまう迫力がありました。

  • 短編をつなげて構成されるストーリ、内容や結末もだけど、30年以上前にインターネット社会とその問題点を予言している事に戦慄かも。。。星新一が今同じ様な話を書いたらどんな未来になるのだろう???

  • 連作形式の長編。電話の進化系のような描写ながらコンピュータも接続され、現在のインターネットを予見していると評判の小説です。相互接続されたコンピュータ群(人工知能)が意識を持ち始め人間を学びつつ徐々に支配していく。著者の凄まじい想像力に畏怖する名作です。

  • コンピュータが神として情報により人間を支配する世界。

    情報銀行と記憶メモというアイデアは,Evernoteと似てる気がする。

  • 1970年、通信手段といえばインターネットは当然存在せず、電話網が唯一の手段であったこの時代において、電話網の向こう側のコンピュータに自らが有する情報を記録させ、必要な時に引き出すという「情報銀行」の概念をハブにしたディストピア小説。

    現在、政府のIT総合戦略本部において、自らのパーソナルデータを預託・信託し、その受益をユーザ自らが獲得するための手段として「情報銀行」構想が議論されているところであるが、本書の概念はそこから一歩下がり、言うなればDropboxやEvernoteのように、クラウド上に自らのデータが管理され、自由に引き出すことができるという点に留まっている。しかしながら、1970年という時代を考えれば、現在では当たり前になっているクラウド上にデータを預託するという概念を、ここまで先見的に描いているというのは、恐ろしくすら感じる。

  • 廻る歳月、辿る階層。無から有へ、有から無へ。円環する世界。電脳と人間の甘やかな蜜月関係。
    完成度が高すぎる。電脳網とメロンの網目をかけてるなどネーミングの妙も心踊る。

  • 角川文庫の星先生のものはほとんどが短編(ショートショートなのは「きまぐれロボット」だけかな…)。
    これもそのひとつです。
    今回はすべてメロン・マンションで起こるある一本の電話
    からストーリーが始まるというもの。
    コンピューターが電話の主の正体なのですが、これが30年前に書かれていたという信じられないということにただただびっくりです。星先生は予言していたのかな…。

  • 近未来SF、あるいは現在の世界の真実。

  • 星新一の中~長編。長編といえど、章ごとに完結するショートストーリーのアンソロジーになっているので、短篇集という読みも出来そう。

    突然かかってくる謎の電話から起こる事件、誰も知らない秘密をネタに脅され、市民が萎縮していく社会は、コンピューターのネットワークに操られて…。

    電話の向こうの誰かに秘密を握られており、それによって恐怖をもたらされるという意味で、ジャンルとしてはSFというよりもホラーになろうかと思う。

    ホラーといえど星新一なので、ドロドロと湿った感じではなく、あくまでもドライ。そこが救いのない怖さを増強しているといえる。そして、いかにして解決するかを期待して読み進めていくが…。

    1970年に、今では当たり前に使われている、電話とコンピューターネットワークを「声の網」という言葉で現していることは非常に興味深い。現在の人工知能に対する懸念なども、そのまま含まれている。

    難しい話ではないので、中学生くらいの読書感想文の題材として、一度読んでみてはいかがかな?

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