声の網 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 154
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041303191

作品紹介・あらすじ

ある時代、電話がなんでもしてくれた。完璧な説明、セールス、払込に、秘密の相談、音楽に治療。ある日マンションの一階に電話が、「お知らせする。まもなく、そちらの店に強盗が入る……」。傑作連作短篇!

感想・レビュー・書評

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  • この本の中の「電話」を自然と2016年現在の「インターネット」に置き換えて感情移入しました。
    読み替えていると「ありえないことでもないんじゃない?」みたいな感覚になっていって、改めて星新一さんという作家さんのイマジネーションや感性に舌を巻きます。「電話」の表現にこそ古臭い感はありますが、時代を超えて読める作品だと思います。面白くて一気に読んでしまいましたし、色々考えさせられました。

  • 初・星新一です。
    読んで最初の感想は「この人いつの作家?」

    ある時代、電話は単なる通話の道具ではなく、様々な情報とサービスを提供するものだった。
    商売に有益な情報を得る事も病院の診察を受ける事も買い物も、ダイヤル一つで家に居ながらにして済んでしまうのだ。全ては偉大なる機械文明の恩恵……。

    さて、作者である星新一氏は97年までご存命だったそうです。「だからこういう作品なのね」と思いましたが、この『声の網』が発表されたのはなんと1970年!本当に本当に驚きました。
    なんでインターネットがここに?正にそんな感じでした。
    登場人物たちから感じられる、情報への依存・情報に対する危機感の欠如・モラルの欠如・万能感……怖いくらいに現代社会に当てはまり、新鮮で、ぐいぐい引き込まれました。

    知識をエネルギーと定義し、文明の発展・行く末を宇宙の誕生になぞらえた件が興味深かったです。
    ラストはバッドともハッピーともつかない……読み手と言う傍観者の立場から「これでいいの?」って思いながらもあの世界に生きる一人として「何にも問題ないじゃん」とも思ってしまう、というより思わされてしまう迫力がありました。

  • 短編をつなげて構成されるストーリ、内容や結末もだけど、30年以上前にインターネット社会とその問題点を予言している事に戦慄かも。。。星新一が今同じ様な話を書いたらどんな未来になるのだろう???

  • 70年代に書かれた小説だが、作中の「声の網」とはいわばインターネットであり、その予見力は凄まじい。本格は連作短編集の形式を取っているが、一本一本の短編は、いつものショート・ショートに見られる切れ味の鋭さはなく、どれも茫洋とした結末を迎える。だがその背後で進行する徹底した管理社会への変貌と、それによる影響を受けながらも日常の風景が変わらない様は非常に恐ろしいものを感じる。各々の秘密が価値を持ち、受信する側だけでなく発信する側に回りたいという感覚はネット社会の今だとかなりのリアリティを感じる。ネットのインフラや公平性、それに対する依存などをしっかり描き切ったSFの名作である。

  • イメージしやすい

  • 連作形式の長編。電話の進化系のような描写ながらコンピュータも接続され、現在のインターネットを予見していると評判の小説です。相互接続されたコンピュータ群(人工知能)が意識を持ち始め人間を学びつつ徐々に支配していく。著者の凄まじい想像力に畏怖する名作です。

  • コンピュータが神として情報により人間を支配する世界。

    情報銀行と記憶メモというアイデアは,Evernoteと似てる気がする。

  • 1970年、通信手段といえばインターネットは当然存在せず、電話網が唯一の手段であったこの時代において、電話網の向こう側のコンピュータに自らが有する情報を記録させ、必要な時に引き出すという「情報銀行」の概念をハブにしたディストピア小説。

    現在、政府のIT総合戦略本部において、自らのパーソナルデータを預託・信託し、その受益をユーザ自らが獲得するための手段として「情報銀行」構想が議論されているところであるが、本書の概念はそこから一歩下がり、言うなればDropboxやEvernoteのように、クラウド上に自らのデータが管理され、自由に引き出すことができるという点に留まっている。しかしながら、1970年という時代を考えれば、現在では当たり前になっているクラウド上にデータを預託するという概念を、ここまで先見的に描いているというのは、恐ろしくすら感じる。

  • 廻る歳月、辿る階層。無から有へ、有から無へ。円環する世界。電脳と人間の甘やかな蜜月関係。
    完成度が高すぎる。電脳網とメロンの網目をかけてるなどネーミングの妙も心踊る。

  • 角川文庫の星先生のものはほとんどが短編(ショートショートなのは「きまぐれロボット」だけかな…)。
    これもそのひとつです。
    今回はすべてメロン・マンションで起こるある一本の電話
    からストーリーが始まるというもの。
    コンピューターが電話の主の正体なのですが、これが30年前に書かれていたという信じられないということにただただびっくりです。星先生は予言していたのかな…。

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著者プロフィール

星 新一(ほし しんいち)
1926年9月6日 - 1997年12月30日
東京生まれの小説家、SF作家。作品の多さ、質の高さから「ショートショートの神様」と呼ばれており、多くの教科書で収録もされてきた。森鴎外は母方の大伯父にあたる。
主な著作に『ボッコちゃん』、『盗賊会社』、『宇宙のあいさつ』、『気まぐれロボット』などがある。伝記としては最相葉月 『星新一 一〇〇一話をつくった人』が優れている。

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