八つ墓村 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 2671
レビュー : 319
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304013

作品紹介・あらすじ

鳥取と岡山の県境の村、かつて戦国の頃、三千両を携えた八人の武士がこの村に落ちのびた。欲に目が眩んだ村人たちは八人を惨殺。以来この村は八つ墓村と呼ばれ、怪異があいついだ……。

感想・レビュー・書評

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  • 横溝正史って昔の人でしょ、読みにくいんじゃない… そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

    昭和のおどろおどろしさが感じられる文章。でも全然読みにくくなんてなかった。すごい。

    八つ墓村は、島根県と岡山県の県境にある山中の一寒村。
    この村で起こる恐ろしい事件。
    語り手は事件に巻き込まれた青年。
    洞窟探検のスリルや、自分が関わった人々が死んでいき精神的に追い詰められる感じ、たまらなかった。

    謎解きよりは、八つ墓村の気持ち悪さを楽しむ、楽しむって言うと変だけど… そういう作品かなと思いました。



    なんとなく怪しい胸騒ぎを感じながら、私は急いで封を切ったが、するとなかから出てきたのは、これまたおとし紙のような安物の便箋で、そこには表書きと同じようにインキのにじんだ下手クソな字で、つぎのようなことが書いてあるのだ。

    八つ墓村へかえってきてはならぬ。おまえがかえってきても、ろくなことは起こらぬぞ。
    八つ墓明神はお怒りじゃ。おまえが村へかえってきたら、おお、血! 血! 血だ! 二十六年まえの大惨事がふたたび繰りかえされ八つ墓村は血の海と化すであろう。



    (ちょっとネタバレになるけど金田一耕助なんもしてなくてひっくりかえりました。えぇあんたもっと活躍するんじゃないの…!)

  • やっぱり原作は面白い!

    映画もドラマも大好きだけど、
    本筋がその都度変わっているので、
    久しぶりにそうだった~っと、
    省かれていた重要人物やエピソードの1つ1つに
    懐かしくなったり、金田一耕助の原点に帰る
    ハラハラドキドキの楽しい陰惨の旅[笑]

    おどろおどろしい事件が進行しつつ、
    鍾乳洞の宝の地図や、
    崖一面から発せられる夜光苔の幻想的な景色、
    天真爛漫な典子ちゃんの恋にわくわく。

    八つ墓村の原作ではほとんど金田一さんの
    活躍がないところもまた面白い。
    モジャモジャ頭で風采の上がらない
    愛すべき人物・金田一さん。
    新しい物語が読めないのがすごく残念だけど
    何度も大切に読んでいこう。

  • 作品名と横溝の代表作という認識からかなり陰鬱な山村を想定していたけど、思ったよりもからりとしていて読みやすかった(いや、どんどん人はいなくなるのだけれども)。

    金田一耕助の登場が遅すぎて、いやそれこそ彼の特徴だけれども、今作は特にといった印象笑

    犯人に結びつく手掛かりは確かにあるけれども、ミステリとしての驚きが凄まじい仕掛けかと言われるとそうでもない。
    それよりも狭い範囲ながらもテンポのよく読ませる物語の筋が大変素晴らしいと思った。

  • 映画もやったが、本だけ読んだ。テレビもやったな。主人公は、金田一耕助探偵。国語辞書を著していた金田一京助から付けたらしい。頭ぼさぼさの不潔系であるが、頭脳明晰。次々と難解な事件を解決する。過去の一族の血筋とかの恨みなど、結構、暗いのが多いこのシリーズ。金田一探偵のおとぼけさに救われる。

  • 祟りじゃ!八つ墓村の祟りじゃ~!ドリフしか知りませんでした(恥)。この夏、洞窟小説にはまり、有名すぎるコレを。池か沼に逆さに刺さって死んでるシーンが衝撃だった『犬神家の一族』は、映画で観ました。小説では初・横溝作品。リーダビリティありすぎて、うっかり仕事に遅れそうに。金田一氏は出てこなくても良かったんじゃないかなー(笑)。長持ちから繋がる抜け孔、さらに続く鍾乳洞…。読んでいるだけでイメージが拡がりました。実際の津山事件が題材になっているとは驚き。夏読了、ギリギリセーフ♪映画も観てみたいです。

  • 映像としては見たことあった作品でしたが、本で読んだのはこれが初めてです。絶対、本のほうが最後までスピードを落とすことなく読むことができます。人物関係がちょっと複雑に感じる部分もありますが、金田一シリーズの中でもめちゃくちゃ面白いものだと感じました。サスペンスではありますが、地域の慣習や祟り、住民の人間関係や社会性なども含まれていて、事件の真相に絡んでくるこれらの要素が興味深いです。

  • ともかく金田一さんが出てこない話だった。
    殺人に複雑なトリックが使われるでもなく
    推理小説とも少し違う気がする。
    個性的な登場人物や、村社会の怖さを楽しむ小説だったのか。

    映画やドラマでは内容や登場人物を省略されがちで
    いまいちな作品が多いのも頷ける。

  • 急にふと読みたくなった横溝正史。
    我が家には横溝正史とアガサ・クリスティは、全部ではないが一部二冊づつある。
    一冊は学生時代に買ったものが実家に、一冊は働きだしてから買ったもの。
    結婚して実家からも運んできたので二冊づつになった。
    こういうところが無頓着なのか、実家にあるから持ってきて読もうと思わず、読みたくなると都度買ってしまう。どうせ買うなら読んでいない横溝正史にすればいいのに、そういうときは記憶に残るオドロオドロシイ場面が読みたくて仕方ない。
    他は几帳面なのに、こういうところは持ってるのに気にせず買っちゃうんだね、本が好きなひとってみんなそうなの?と夫にも訊かれたけれど、多分みんなこんな勿体無いことしないんじゃないと答えた。
    きっとこれはもう癖みたいなもので、もし何か長期間家を離れることがあってまたふと思ったら本屋さんで同じ本を買うのだろう。バカですよね。

    有名すぎる本作は、実際に起きた悲惨な惨殺事件である『津山三十人殺し』をベースにしている。事実は小説より奇なり、きっと横溝正史はそう思ったのじゃないかなと想像したりする。
    映画化やドラマ化も多くされているし、有名なセリフ、「八つ墓村の祟りじゃ〜」だったり、あんな格好のひとが深夜に走り回っているのを見たらそれだけで心臓が止まりかねない奇怪な殺人鬼だったりで、物語自体をきちんと知らなくても、ああ、あれでしょと誰もが知っているだろう作品。

    こちらも金田一耕助シリーズではあるが、読むと金田一耕助って出てた?くらいに存在感がない。主人公は田治見辰弥。この作品は彼の回想のような形で語られるため、金田一耕助の存在が薄いのも仕方ない。
    わたしが観た映画では金田一耕助役は渥美清さんが演じておられ、渥美清さんには申し訳ないけれど、どうしてもフウテンの寅さんにしか見えない。渥美清さんが出てくるたびに、オドロオドロシイ感じから笑いとペーソス溢れる感じになってしまう。ちょっと残念だった。
    わたしは金田一耕助役といったら古谷一行さんがいいかな。石坂浩二さんだと知的で品がありすぎて原作のややオドオドした感じや身なりに構わない感じが足りない。やはり古谷一行さんに豪快に頭をボリボリかいてフケを撒き散らしてもらうのが一番いい。もう少し吃音気味だと更にいいけれど。

    こちらと「犬神家の一族」は数ある横溝正史作品の中でも特に映像化されて生きた作品と言えるのではないだろうか。
    読み返してみると落武者を村人が惨殺する場面も、田治見要蔵の村人惨殺場面もそれ程の衝撃はない。むしろ史実のひとつといった感じで淡々と描かれている。
    これは子供が観ちゃ駄目じゃないか、今だったら間違いなくR-18指定されていそう。そんな作品を昔はお茶の間で気軽に観られたのだから、現代よりも随分ピリピリしていなかったなと思う。

    戦後の混乱した時代、閉鎖された村にありがちな排他的な思想、絶対的な財力を持つ者と持たないものとの差、虐げられるままでしかいられない女性、ひとの心に残る怨みや妬み、いかにもな横溝正史の世界観が味わえる一冊。
    そして読み終えるとやはり映像としても楽しみたくなる。確か最後に崖の上で尼子義久ら八名の落武者が血塗れの顔で笑っている姿が映るところが、とても恐ろしかったと記憶している。
    この記憶を確認するためにビデオレンタル屋さんへ駆け込め。

  • 何度も映画化されている横溝正史の代表作のひとつ。
    尼子の落人8人を惨殺したと言い伝えられる八つ墓村。その後、村の大地主本家の惣領が同じような惨殺事件を起こす。その子供たちの代、またもや閉塞したこの村に次々と起こる連続殺人事件。黄金伝説、男女の恋愛等々も。

  • 再読
    なのだが読み始めるまでそうであることに気付かなかったし犯人も作中で明かされるまでわからなかった
    つまり読んだことしか思い出せなかった
    明治から昭和前期の日本だからこそ成立する冒険ミステリの最高峰であり
    後進の様々な娯楽作品への影響絶大な古典
    探偵が必要ないのでミステリとしてはどうなんだという欠点はあっても
    有り余る長所を持つ傑作

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著者プロフィール

横溝 正史(よこみぞ せいし)
1902年5月24日 - 1981年12月28日
兵庫県生まれの小説家、推理作家。本名は同名で「よこみぞ まさし」。筆名を誤読した作家仲間にヨコセイと渾名され、セイシをそのまま筆名にするようになった。
1921年『恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)』が雑誌『新青年』の入選作になり、これが処女作とみなされる。 1926年に江戸川乱歩の招きに応じて上京、博文館入社。1927年『新青年』の編集長に就任、その後『文芸倶楽部』『探偵小説』等の編集長を務めながら創作活動を続けたが、1932年に同誌が廃刊となり、会社を退社。専業作家に。
金田一耕助を生む。第1回探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞した『本陣殺人事件』をシリーズ第一作として、以降多くの「金田一耕助」シリーズ作を残す。代表的な作品に、1947年『獄門島』、1949年『八つ墓村』、1950年『犬神家の一族』、1957年『悪魔の手毬唄』など。

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