八つ墓村 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304013

作品紹介・あらすじ

鳥取と岡山の県境の村、かつて戦国の頃、三千両を携えた八人の武士がこの村に落ちのびた。欲に目が眩んだ村人たちは八人を惨殺。以来この村は八つ墓村と呼ばれ、怪異があいついだ……。

感想・レビュー・書評

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  • 初の金田一耕助シリーズでした。

    文章は昭和のものにしてはとても読みやすかったし、かえってそれがこの本の魅力の1つだと感じた。
    金田一耕助ときいて、推理小説をイメージしていたが思ったより登場シーンは少なかった。
    それにサスペンス要素が強かった。
    しかし、見事な描写力で気付けば完全に引き込まれていた。

    後日談なども丁寧に書かれていて、読み終わった後はスッキリしました。

    金田一耕助シリーズどんどん読みたいです。

    • yhyby940さん
      こんばんは。金田一耕助ブームは40年以上前になるんですね。当時は、読み漁りました。八つ墓村は、好きな作品の一つです。津山事件の存在を知ったと...
      こんばんは。金田一耕助ブームは40年以上前になるんですね。当時は、読み漁りました。八つ墓村は、好きな作品の一つです。津山事件の存在を知ったときには、衝撃を受けました。また、シリーズを読み直して見たくなりました、
      2021/04/29
  • 初、横溝正史です。

    『皆様、心してください。
    これが”本家”の凄さです。』

    と、辻村さんの帯コメントがありました。

    さすが本家。
    不気味さの演出もさることながら、一人一人の置かれた立場により伴う行動や心情が入り組んで謎をより複雑な方向へ導いていく。
    主人公辰弥が徐々に疑心暗鬼になっていく様も堪らなく、追い討ちをかけるように真っ暗な鍾乳洞の中で孤独に思い悩む描写はとても恐怖を掻き立てられました。
    面白かったです!(≧∇≦)

    有名な金田一耕助シリーズ、なぜ今まで手に取らなかったのか。
    理由は2つありまして、ひとつは単純に「難しそう」という先入観。
    もうひとつは、昔TVで観たことある気がする…ということ。

    ひとつめですが、全くもって難しいという事はなく、むしろスラスラ快適に読めたくらい。
    登場人物が多いのでそこだけ気を付ければ、すごく頭に浮かびやすい表現で、あっという間に八つ墓村の異質な空間に引き込まれます。

    ふたつめはですねぇ〜、朧げな記憶で、小さい頃からTVで繰り返し流れているものを惰性で観てしまっていた可能性があり、これ知ってる〜ってなっちゃうと残念だなぁと警戒しておりました。

    有名な作品が多いので、どれかはその可能性があるかもしれませんが、やはり原作が1番!!と思っている派のワタクシとしては、正直めっちゃイカしてるイラスト、杉本一文さんの装丁復刻版で集めたいのであります。

    結局心配など無用で、全くもって記憶になく、楽しく読むことが出来ました∩(´∀`)∩♪

    鳥取と岡山の県境にある八つ墓村。
    田治見要蔵が発狂し、32人の村民を虐殺して、行方不明になったと言われている。
    20年後、寺田辰弥の元に弁護士が現れ、自分は田治見家の相続人だと聞かされる。
    そして八つ墓村へ向かう事になるのだが…。

    殺人事件がなければ、冒険モノのような感覚で楽しめる場面が多々あります。
    光苔が不気味な鍾乳洞のシーンが多いのですが、中は幾つもに枝分かれを繰り返し、迷路のように複雑です。
    昔、村民が落人を襲って奪った宝物が隠されているという言い伝えもあります。
    1938年に実際に起きた津山事件という30人大量殺害事件が元になっているようです。

    村という閉鎖されている空間での出来事ですが、その歴史が長いだけにスケールが大きく感じました。

    金田一耕助は…
    私が想像していたより、出番が少なかったように思います。
    出ずっぱりな感じではないのですね。
    それがまたいいかも。
    頭洗ってほしいなぁ。
    そういえば豊川悦司が金田一耕助の役作りで、ずっとお風呂に入らなかったとTVで言っていたような…と思い出しました(^^;;

    映画も観てみたい。
    鍾乳洞の中のシーンを映像で見てみたいなぁ。

    そして次は『犬神家の一族』を読みたいです。

    • ひまわりめろんさん
      kaniさん
      こんにちは!

      そうなんですよ!
      横溝正史読みやすいんですよ!
      たぶん名前が良くないんですよね
      名前からして読みづらいですもん...
      kaniさん
      こんにちは!

      そうなんですよ!
      横溝正史読みやすいんですよ!
      たぶん名前が良くないんですよね
      名前からして読みづらいですもん
      別の名前にすれば良かったのに(本名、本名!)

      横溝正史ファンがまた増えそうでなんか嬉しいです
      名作揃ってますので引き続きご贔屓に
      レビュー楽しみにしてます!
      2022/04/28
    • Kaniさん
      ひまわりめろんさん、こんにちは^ ^
      コメントありがとうございます♪

      とても読みやすかったので、他の作品もさらさら〜と読めてしまいそう(*...
      ひまわりめろんさん、こんにちは^ ^
      コメントありがとうございます♪

      とても読みやすかったので、他の作品もさらさら〜と読めてしまいそう(*´ `)

      他、現在手元に、
      ◯ 獄門島
      ◯ びっくり箱殺人事件
      ◯ 本陣殺人事件
      ◯ 華やかな野獣
      ◯ 迷路の花嫁
      の5冊があります。

      でも『犬神家の一族』が読みたくて、そのうち本屋さんで見つかるといいなぁと思っています。

      横溝正史お好きなんですね!
      昭和ミステリーの醍醐味がぎっしり詰まっていそうで、読むのとても楽しみです(●´ω`●)
      2022/04/28
  • 古い本だけど読みやすい!
    ミステリー要素もバッチリ☆
    もっとグロテスクでホラーな感じかと思ってたとこが個人的には残念だけど、十分楽しめた

  • 映像作品はいくつかみているが、横溝正史の原作はひとつも読んだことがなかった 出てくる主要な三人の女性がそれぞれ違う性格なのにいずれも魅力的で、主人公に癖がないのも読む側としては感情移入しやすく、ミステリーとしても散りばめられた伏線や言動が最終的にぜんぶ回収されているのがすごい

  • これまた数十年ぶりの再読です。
    毒殺のシーンと探検と「祟りじゃ〜っ!」のイメージしか残っていませんでした。
    さすが横溝先生、安定のおどろおどろしさ。
    後半は一気読みです。

    金田一さんの「私は最初から、犯人を知っていたのですよ。・・・・以下略」

    知っとったんかい!
    なんとかならんかったんか?

    名探偵にあるまじき発言。

    これは全く覚えてなかったなぁ。

    色んな意味で名作ですね。

  • タイトルだけ知っていて古い作品ということでなんとなく読んでなかったですが、とても読みやすい!
    登場人物が多く覚えるのが大変ですがたくさん死ぬのでだんだんどうでもよくなります。それよりも辰弥が追い詰められるハラハラ感で終盤とても盛り上がりました。

  • 初めて読んだ横溝正史作品・金田一耕助シリーズのファイル1。ただし、実際の作品発表順や作中時系列的には1作品目という訳ではなく、あくまで角川文庫レーベル内においてのナンバリングに過ぎない模様。

    『八つ墓村』という耳にも目にも強烈なインパクトを与えるワードに、冒頭で語られる忌まわしき26年前の事件、時を経た因縁が首をもたげるかの様に次々と発生する奇妙で不敵な事件、更に物語をタフにする尼子氏落人黄金伝説という冒険要素まで盛り込まれた推理エンタメ作品。
    あれよあれよと結構なペースで発生する殺人は、まさに’本命の殺人を隠すならばその他殺人の中に’という猟奇性と異常性を強く感じさせる。
    手法に毒殺が多い事から犯人は女性だろうなとアタリをつけつつ割と自由に動き回れる人、となると犯人候補はあまりいないので「この人かな?」というのは自然と頭に浮かびつつ決定打は〈第七章 木霊の辻の恐怖〉まで進む必要があった。
    動機と経緯は複雑なのでまともに読んでいる分にはまずわからないだろう。

    ぶっちゃけ本作、金田一耕助はほとんど活躍らしい活躍を見せないのがフラストレーションであったが、p466以降〈その後の事ども(二)〉で耕助が長台詞で事件のあらましを語り明かすが、彼も「私は、この事件に対して、ほとんど匙をなげかけていた」(p472)と述べるあたり実に難事件だったのだと思う。

    「われわれ凡愚の人間は、精神的には始終、人殺しをしているようなものなんです。」(p478)という耕助の言葉は得てして鋭い。

    ゆっくりシリーズを追いかけていきたい。次は『本陣殺人事件』ね。


    本筋とは関係ないけど、Amazonの主書影は現在の新装版に差し替えてはくれないのだろうか、角川さん…。


    改版68刷
    2023.8.7

  • 横溝正史さん読むのこれで2作目。
    冒険小説風で面白いです。
    が、安心して読める系統かと思っていたら意外ととんでもない方向に行ったのでいい意味で裏切られてよかった。
    そしてあれ?金田一耕助って、、やっぱりあまり役に立たない??

  • 映画もやったが、本だけ読んだ。テレビもやったな。主人公は、金田一耕助探偵。国語辞書を著していた金田一京助から付けたらしい。頭ぼさぼさの不潔系であるが、頭脳明晰。次々と難解な事件を解決する。過去の一族の血筋とかの恨みなど、結構、暗いのが多いこのシリーズ。金田一探偵のおとぼけさに救われる。

    • yukimisakeさん
      いえいえ、僕が知らなかっただけです(>_<)
      そして調べたら金田一さんでした!凄い!
      これから見る度に気になりそう笑

      あ、幻想水滸伝、間違...
      いえいえ、僕が知らなかっただけです(>_<)
      そして調べたら金田一さんでした!凄い!
      これから見る度に気になりそう笑

      あ、幻想水滸伝、間違えて新の方を借りてたので明日借り直して来ます笑
      読んでて、ガンダムみたいだな、と思ったら…笑
      2024/01/29
    • yukimisakeさん
      幻想水滸伝ちがう笑。魔界水滸伝ですね笑
      幻想水滸伝ちがう笑。魔界水滸伝ですね笑
      2024/01/29
    • ultraman719さん
      新は、そうか、舞台が宇宙になってましたね。
      それから、どんな展開か!って思ってたら、お亡くなりになって、残念です。
      新でないのは、現代(まぁ...
      新は、そうか、舞台が宇宙になってましたね。
      それから、どんな展開か!って思ってたら、お亡くなりになって、残念です。
      新でないのは、現代(まぁ、昭和 笑)です。
      2024/01/29
  • 私にとって名前こそ知りながら読む機会のない有名作品のひとつだった本作を読むきっかけになったのは、『つけびの村』というノンフィクション作品でした。そこで登場する村が、作品内で"平成の八つ墓村"とも呼ばれていたことで、改めて現実の出来事も形容するような作品の雰囲気を一読しておきたいと思い、目を通しました。

    物語は、岡山の鳥取との県境に近い山中にある八つ墓村にまつわる、村人たちによって惨殺された落ち武者たちの祟りと埋蔵金の伝説と、祟りを証明するかのような二十八年前の連続殺人事件を、プロローグにおいて読者に知らしめることに始まります。母を幼い頃に失くし、昭和二十年代の神戸で孤児同然に会社員生活を送る二十七歳の寺田辰弥は、ある日、八つ墓村からの使者の訪問を受け、自身が実は村内で最も裕福な家系の相続権を持つ人間であり、実質的な家長である双子の老婆によって家督の相続を望まれていることを知ります。使者であった母方の祖父が毒物により突然死する不可解な事件を経て、美しい未亡人に伴われて向かった八つ墓村は、辰弥の到来を歓迎しない村人も含んだ、人びとの思惑の渦巻く不穏な空気に満ちた土地でした。

    作品の特徴として特筆すべきはやはり、山中に隔離された住まう村人たちの排他的な様子を描き、"八つ墓村"の村名の由来ともなる祟りの伝説が、おどろおどろしい雰囲気をより深めている点でしょう。かつてテレビで放映さたドラマ『トリック』シリーズでは、その多くのエピソードで僻地の寒村を舞台として村人たちの姿を滑稽に描いていましたが、本作のようなミステリ作品の影響を受けたパロディーとして作られたものだったのだろうと、今さらながら腹に落ちるところがありました。また、作中では祟りの伝説をなぞるように村人たちから次々と犠牲者が発生することや、落ち武者たちによる埋蔵金とそれを示す宝の地図の存在、そして主人公である辰弥のロマンスなど、娯楽作としてサービス精神旺盛であることも言えます。同時に、多数の人死にが描かれるにも関わらずグロテスクさがないことや、エピローグが章名どおり"大団円"となっていることも、読み手を選ばない間口の広さと言えるでしょう。もう一点、通読して意外だったのは、探偵・金田一耕助シリーズのうちのひとつとして、その名を広く知られている本作でありながら、肝心の金田一耕助の活躍がかなり限定的だったことも挙げておきたいと思います。

    読了後の感想としては、作品の雰囲気そのものは事前に予期したものと近いものでした。次に、良し悪しに関わらず予想を裏切られた点としては、前述の通り名探偵の活躍の機会が少ないこと。そして、村が醸し出す独特の雰囲気のなかで立て続けに起こる殺人事件だけでなく、ロマンスや落ち武者の埋蔵金探しをも含むサービス精神の豊富さと表裏するように、重厚な本格派ミステリ作品というわけではなく、どちらかと言えばドラマチックな展開をお手軽にを楽しむべきものだと感じました。

    余談ですが、冒頭で触れた『つけびの村』については、そこで取り扱う事件の関連として昭和十三年に起きた「津山三十人殺し」が参照されますが、本作も同じ岡山県を舞台として同事件から着想を得ているという点でリンクする部分がありました。

    • kuma0504さん
      こんばんは。
      このレビュー見て、ハッと気がついたことをやると、長年の疑問が解けました。関係ないかもしれませんが、ちょっと書かせてください。
      ...
      こんばんは。
      このレビュー見て、ハッと気がついたことをやると、長年の疑問が解けました。関係ないかもしれませんが、ちょっと書かせてください。
      かつて30年以上前ですが、津山市に2年間住んでいたことがあり、津山市加茂町の知り合いも居て、何度も彼の家に行ったこともあるので、津山30人殺しの場所に一度行ってみたいとずっと思っていました。けれども、知り合いは、はっきりした場所を教えてくれなかったし、文庫本には場所を書いているけど、そこに至る道はなくて、相当詳しい地図がなければそこに至ることば無理でした。結局、地形だけを見て、あそこかな?あそこな?と想像して終わっていました。

      今回、ふと思いついてスマホで調べれる!とやってみました。wikiに現住所まで書いている!
      現住所がわかればマップで検索出来る!
      30年前では決して出来なかったことでした。

      そしたら、出てきました!
      これは、普通ならば絶対辿り着けない場所です。
      知り合いの家もかなり山奥なのですが、それよりも更に山奥の、どうしてこんなところに家があるのが、というところでした。

      なるほど、これはかなり世間から隔絶されたところだ!

      現在は、ここに行こうとしたら、おそらく3時間半はかかると思えます。うーむ、一度は行ってみたい。
      2020/09/23
    • ikawa.ariseさん
      コメントをありがとうございます。
      津山の事件があった村がそこまで山深い場所に存在するとは知りませんでした。お話を伺うと、バス停からある程度...
      コメントをありがとうございます。
      津山の事件があった村がそこまで山深い場所に存在するとは知りませんでした。お話を伺うと、バス停からある程度歩けばたどり着けるように描写されていた八つ墓村を超える僻地かもしれませんね。
      解説によると著者は直接的に事件があった津山とは限定できないように舞台を鳥取県境に移動したようです。
      ご自身の調査も踏まえた詳しい情報をありがとうございます。おかげ様で作品の印象が一層深くなりました。
      2020/09/23
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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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