獄門島 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 2230
レビュー : 250
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304037

感想・レビュー・書評

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  • 私の中で不定期で、無性に横溝作品が読みたくなる時がある。

    今回もその不定期期間がやってきたらしく、まだ読んでいなかった獄門島を読んだ。

    金田一さんのシリーズって本当に、地方の閉塞感満載の島や村、事件が起こる名家の因縁、伝説等がよく似合う。

    今回もそのご多分に漏れずで物語が展開していくのだが、犬神家や八つ墓村のようにおどろおどろしい感じではなくて、
    結末がなんとも寂しく、そして切ない。
    時代のせいで皆の思考が少しずつズレた結果の、悲劇。

    面白かったのでラスト1/3は一気に読破。
    まだ読んでいない人は、是非!

  • [艶なる故殺]「三人の妹たちが殺される」と復員船の中で死に際に男が放った言葉を胸に、名探偵の金田一耕助は瀬戸内海に浮かぶ獄門島へ降り立った。外の者しか気づかない気狂いの空気がその島には立ちこめていたのであるが、金田一が到着するやいなや、島を取り仕切る網元の三姉妹たちが次々と猟奇的な方法で殺害されていく......。数ある金田一シリーズの中でも、その完成度の高さから出色と言われるミステリーの金字塔。著者はもちろん、横溝正史。


    謎解きと同時に、その謎の解決があわせて犯人の人間性や時代の空気感までをも浮かび上がらせていくところが妙。戦後間もない頃を舞台としているのですが、まさにその設定でなければ成り立たないストーリーに陶然としてしまいました(そしてそういうストーリーはなぜか一様にある種の特異性が絡まって面白い)。横溝正史の金田一シリーズは本書が初めてだったのですが、よく知られる『八つ墓村』などから次第に手を伸ばしていこうと思います。


    また、会話文の巧みさも本書の素晴らしさを際立たせる一要因になっているのではないでしょうか。立て板に水のごとく読む者を次に誘うだけでなく、感情の波の満ち引きまでをも自由自在にコントロールしてしまうかのようなやり取りの数々に魅了されること間違いなしです。特に、ところどころでキーパーソンとして出てくる床屋の清公と金田一の会話なんてまさに「声に出して読みたい日本語」です。

    〜気ちがいじゃが仕方がない。〜

    比較的最近にDVD作品も発売されてるんですね☆5つ

  • H30.03.08 読了。

    一言で言うと、とてつもない傑作を読んでしまった。
    何この話。
    横溝正史、天才かよ。

    おどろおどろしさ。
    そして後味の悪さ。
    それも含めて美しい。
    言い回しなど、時代を感じるところはあるものの、めちゃくちゃ面白い。

  •  戦友の死の間際の願いを聞き入れ「獄門島」にやってきた金田一耕助が、島で起こった連続殺人に挑むミステリー小説。

     なんとなくあらすじは知っていた作品ですが、今回ようやく読了。ミステリーの金字塔と言われるだけあって、見立て殺人、前近代的で排他的な集団、印象の強い三姉妹と怪しげかつ、不気味なケレン味たっぷりの作品です。

     そうしたいろんな要素を推理で一つにまとめていくさまもお見事! 連続殺人なのに一つ一つの事件の謎解きの趣向が分かれているのも、ミステリ好きにはうれしいところです(そうした趣向は解決まで気付けませんでしたが……)。

     前回読んだ『八つ墓村』では金田一の人物像がつかみきれなかったのですが、おどろおどろしい雰囲気を和ませてくれる、なんとも愛らしい名探偵だったのですね。横溝作品はタイトルからして恐ろしげなのですが、金田一はそうした中で一種の清涼剤になっているのかもしれない、とも思いました。

     ある意味では時代が生んだ悲劇ともいえるこの事件。金田一の推理披露からエピローグまでの流れは、運命の恐ろしさを感じさせるとともに、もの悲しさが漂っていて、単なる推理小説を読み終えた以上の余韻が残りました。これもまたこの作品が「名作」として現在も残り続けている理由かもしれません。

  • 古典ミステリーの金字塔と名高い本書。
    ミステリー好きとしては一読しなければと思い、購入しました。

    トリックの秀逸さ、真犯人の意外性、
    そしてあまりに日本的な見立て殺人。

    くわえて、戦後まもなくという時代背景や本土とは隔離された瀬戸内海の小島が舞台であること、獄門島ならではの権力図や宗教観など、設定のほとんどが事件の真相に多かれ少なかれ結び付いている。

    確かに日本の古典ミステリーとして非常に完成度の高い作品だと思います。

    期待していたよりもインパクトは大きくありませんでしたが、密度の濃い読書ができました。

  • 時代の経過を感じさせるが、やっぱり名作は名作です。

  • 芭蕉の俳句を「見立て殺人」の鍵として使っている。
    この作品の後も「悪魔の手毬唄」でも同じように、古くから伝わる童歌を事件の鍵として物語を書いている。
    文句なく面白い。
    独特の雰囲気に加え、閉鎖的な島で起きる連続殺人。
    陰惨な事件の背後に隠された、驚くべき犯人の動機・・・。
    あまりにも有名になりすぎた伏線のひと言。
    複雑に絡み合った人間関係を、金田一がひとつずつ読み解いていく。
    運命に翻弄される人たちの哀しさが、事件の悲惨さと相まって余韻として残る。
    この作品のおかげで芭蕉の句を覚えてしまった。
    何回も映像化されたことでも知られているが、やはり小説として読んだほうが作品の良さを堪能できるような気がする。

  • 非常に傑作品です。最初から最後まで本当に面白い作品です。
    終戦直後の日本だからこそ起こりうる事件を時代背景と、島という限られた範囲の中で暮らしてきた人々の歴史が生み出した事件のお話でした。
    また、金田一耕介の人物像が読み手の想像を裏切らない形で事件にかかわっていくところが、次のページをめくる手を早める1つになっていると思いました。

    事件の結末部分にきて、この時代設定だからこそできる殺し方と関係する人々の気持ちの動きが作品として成り立つのだなぁとも思いました。現代では考えにくいかもしれないと思う部分もありました。

    それでも、時代を超えて、時間を重ねても横溝正史さんの作品はずっと読み続けていける、興味深さが減らない作品が多いのではないかと改めて感じました。

  • 獄門島......タイトルからして何やら不吉な匂い満点である。横溝さんの作品だし、きっとおどろおどろしい話なんだよね、と勝手に敬遠していた本書。
    あるサイトで調べモノをしていた時に、"『週刊文春』が推理作家や推理小説の愛好者ら約500名のアンケートにより選出した「東西ミステリーベスト100」の国内編で、本作品は1985年版と2012年版のいずれにおいても1位に選出されている"との記事を発見。
    2012年でも1位!?4年前のアンケートでも1位って、すごいじゃないか。1947年に書かれたものが、いまだに1位って、どんだけ凄い小説なんだ?
    ってことで、さっそく読んでみた。

    文体はさすがに古臭いけど、なるほどね、たしかに面白い。
    日本の推理小説界でも屈指の"有名"探偵、金田一耕助が戦友の遺言を託されて獄門島にやって来るところから物語が始まる。その遺言とは、戦友の3人の妹を守ること・・・。
    ところがこの3人の妹が連続殺人の犠牲者になってしまう、というのが大まかなストーリーである。

    このストーリーを進めていくえでの肉付けが上手いんだよなぁ。島の支配階級である本鬼頭家とそれに対立する分鬼頭家。どこか古い因習に囚われているような住人。情景描写も昭和21年の様子が伝わってくるほどの湿った筆致。第一の事件が起きる前に、すでに物語に引き込まれていた。

    A・クリスティの「そして誰もいなくなった」なんかで有名な"見立て殺人"を本書でも使っている。本書では俳句を使った"見立て殺人"である。
    本書は犯人を捜すだけの推理小説じゃなくて、小さな謎もいろいろと配置されている。動機は?犯人は誰か?という謎の他に、島に住む人たちの言動にも謎があるのだ。
    マニアの間では有名な一節らしいけど、
    「気ちがいじゃが仕方がない。」の言葉・・・。
    ある人物の言葉なんだけど、この言葉に金田一耕助は悩まされることになる。
    あ~、そういう事だったのか!と納得するのは、物語の最終盤になってからだけど、上手いよなぁ。

    読んでいる間、怪しい人物だらけで犯人を推理するどころじゃなかった。金田一耕助の他は、みな怪しく思えてくる。

    この小説を読んで一番のお気に入りは、最後の最後の場面だ。犯人もわかり、動機もわかった後の描写なんだが、「復員詐欺」についてサラリと書かれている。
    ここの場面だけで、犯行の意義が根底から崩れてしまう。
    ダメ押しを食らった気分だ。この短い場面が有るのと無いのとでは読後の印象もかなり変わるハズ。
    期待して読み始めたけど、期待に応えるだけの作品だった。

    ☆4個

    背表紙~

    獄門島-江戸三百年を通じて流刑の地とされてきた子の島へ金田一耕助が渡ったのは復員船の中で死んだ戦友、鬼頭千万太に遺言を託されたためであった。「三人の妹たちが殺される...おれの代わりに獄門島へ行ってくれ...」瀬戸内海に浮かぶ小島で金田一は、美しい三姉妹に会った。だがその後、遺言通り悪夢のような連続殺人事件が!後世の推理作家に多大な影響を与え、今なお燦然と輝く、ミステリーの金字塔!!

    なんていうか、この"ひっくり返される"感覚があるから、ミステリー読みは止められないんだよなぁ。

  • 旧版(緑304)で読了。本格ミステリーの歴代トップに推される横溝正史の代表作。久しぶりの再読だけど何度読んでも名作だ。閉鎖的な島、島を牛耳る網元、お馬鹿な三姉妹、座敷牢のき○○い、妖艶な美女、と横溝ワールド全開。俳句の見立てによる殺人トリックも秀逸だが、その犯行動機がなんとも切ない。それと和尚がいい!金田一が優秀な探偵と知って、フェアに勝負しようと見立ての俳句が書かれている屏風を金田一の部屋に最初から置いておくなんて。。。読後は何とも切ない余韻が残る。横溝正史のストーリーテラーぶりが発揮された色褪せない名作。

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