犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

  • KADOKAWA (1972年6月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784041304051

作品紹介・あらすじ

信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような条件を課した遺言状を残して他界した。血の系譜をめぐるスリルとサスペンスにみちた長編推理。

みんなの感想まとめ

血で血を洗う葛藤を描いた本作は、犬神財閥の遺言を巡るサスペンスとミステリーが織り交ぜられた物語です。主人公の金田一耕助が、次々と起こる殺人事件に挑む中で、個性的なキャラクターたちと共に複雑な人間関係が...

感想・レビュー・書評

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  • 尊敬するひまわりめろん師匠におすすめ頂き、速攻ポチった一冊。

    きっと私以外の人はみなさんご存知なんだろうなぁ。。。

    こんなに有名な作品なのに、私は一度も読んだこともなければ、一度も映像も見たことが無かった(⌒-⌒; )

    数ヶ月前、ミステリという勿れの映画を観ていたが、犬神家という台詞があったのも頷ける。
    なるほどこう言う設定だったのか!

    映画のCMくらいは目にしたことがあり、白い不気味な仮面、水面に突き刺さる両足のイメージ。

    絶対怖いよなぁ、、、となかなか読めずにいた作品だったが、やっと読むことが出来た(*^▽^*)

    私の大好きな世界。
    限られた範囲の中で、人が次から次へと死ぬヤツ。
    バッタバッタ死ぬヤツ、最高でんがな!言うとりますさかいに(笑)

    しかも殺され方が、菊、琴、斧と犬神家の家宝になぞらえていた。

    こういうオマージュ最高じゃないですか!


    色々ミステリを読み漁っているので、仮面は最初からめっちゃ疑ってかかっていたが、いやこっちがミスリードか??と疑いながら楽しく読ませて頂きました!

    横溝先生、凄い語彙力だけどめっちゃ読みやすい!ひま師匠も天才だけど、横溝先生も天才だな!
    またシリーズ絶対読むぞ!!

    • bmakiさん
      くまさん

      佐清といったら、あおい輝彦なんですね!?何となく時代を感じてしまいます(笑)

      くまさんが、そのいい具合の池だと仰るのな...
      くまさん

      佐清といったら、あおい輝彦なんですね!?何となく時代を感じてしまいます(笑)

      くまさんが、そのいい具合の池だと仰るのなら、間違いなくその池なのだろうと思ってしまうくらい、くまさんの言葉には信頼感があります(^o^)
      2024/05/07
    • しなこさん
      ついに横溝正史きましたね( ^∀^)
      私も1番好きな作家です!角川文庫全巻コンプ!
      犬神家がやっぱり最高です!松子が格好良い!
      私の中では高...
      ついに横溝正史きましたね( ^∀^)
      私も1番好きな作家です!角川文庫全巻コンプ!
      犬神家がやっぱり最高です!松子が格好良い!
      私の中では高峰三枝子!最高です!!
      2024/05/13
    • bmakiさん
      しなこさん

      横溝先生は、これ以外にはまだ一冊しか読んだことがなかったので、まだまだ楽しめそうですo(^▽^)o

      犬神家最高ですか...
      しなこさん

      横溝先生は、これ以外にはまだ一冊しか読んだことがなかったので、まだまだ楽しめそうですo(^▽^)o

      犬神家最高ですか!
      確かにゾワゾワしました(笑)

      松子がかっこいいんですね。映像でも見たいなぁ。佐清が見たい(笑)
      2024/05/14
  • ミステリーの金字塔!!

    これが、かの有名な犬神家っ!!
    流石です…♡⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝



    有名な、湖に頭からさかさまに突っ込み、足が飛び出てるシーン、とうとう読みましたヽ(´▽`)ノ♡

    これだけ有名だと知らぬ方が貴重で、憧れみたいなものがありました。
    ようやく知ることができた!みたいな笑

    古館法律事務所の若林豊一郎という弁護士に依頼され、金田一耕助は犬神家へと向かっていた。

    事情を聞こうと宿で待ち合わせしていた若林が、死体となって発見される。

    犬神財閥の佐兵衛が残した遺言が原因で起こる一族のお家騒動。

    この遺言の内容が、ミステリーあるあるの酷い代物。

    佐兵衛の恩人の孫である|珠世《たまよ》に、自分の孫3人の中から婿を取らぬと財産は受け取れないというもの。

    長女の子、佐清《すけきよ》は、戦争で顔に酷い怪我を負ってしまい、やむなく仮面を付けているのですが、以前はとても美少年だったよう。

    次女の子、佐武《すけたけ》は、小太りで偉そうな青年。

    三女の子、佐智《すけとも》は、ほっそりしている、狡猾そうな青年。

    ちなみに珠世はとても美人である。

    こんなん、何も起きない方がおかしい。


    犬神家は、信州の那須湖畔という、とても珍しい立地に建っている。
    ボートに乗って往復するの、すごい。
    頭の中で正解を想像できているのか不安なので、機会があったら映画を視聴したい。

    殺人の方法にもきちんと意味を関連付け、アリバイやトリックとは別の視点から犯人を想定させる方法に痺れる。

    そして、なんと言っても金田一シリーズの見どころの1つである、芸術とも言うべき死体。

    生首でそそられ、逆立ちで強烈なインパクト。
    流石です。


    どの作品を読んでもおもしろい金田一シリーズ。

    あと気になっている作品は『夜歩く』です。
    書店で復刻表紙を見つけたら、即買いします(ღ*ˇ ˇ*)。o♡

  • 作曲家大野雄二氏の訃報に触れ、映画「犬神家の一族」のテーマ曲を久しぶりに聴いた。怪しげで物悲しく、壮大かつ美しい曲。聴くだけで犬神家の世界観に惹き込まれる大好きな曲だった。
    思い出して原作を手に取った。ホラー味の強い横溝正史ワールド、戦後間もない日本の山村で起こる連続猟奇殺人事件。大財閥の犬神佐兵衛翁の遺言を巡る血みどろの争いである。死体遺棄の仕方が強烈。(あの頃、プールで子ども達が真似てたよね。)
    単なるミステリーの域を超え、情愛が溢れる。母の悲哀が胸を打ち、強く印象に残る。小説を読んでいても、映画の場面が鮮やかに甦ってくる。高峰三枝子が素晴らしかった。小説は75年前、映画は50年前に作られたが、いまだに色褪せない。私の中で金田一耕助ブームが再燃したので、久しぶりにその世界に浸ってみよう、と思う。

  • 数多の賞賛を受けてきたこの作品、スケキヨの見立て殺人とマスク姿はいったいどれ程の認知度があるのだろうか。
    で、原作は中学以来の再読、うん十年ぶりでした。
    個人的な意見ですが、やはりこの作品が私の中では「悪魔の手毬唄」と並び“THE 金田一耕助“です。
    防御率の低さや、恐ろしいまでの偶然の重なりなどはこのシリーズならではですね。

    映画を観ていたからスケキヨの斧は完全に忘れていました。いま考えると、おそらくはこの言葉のトリックの凄さが理解出来ずさらっと流していたのでしょう。
    複雑に絡み合った血縁や関わった人の因縁、様々な欲望、年齢を重ねてこそ判る物語の深淵が有るのですね。横溝先生、ありがとうございました。

  • 素敵なご縁(※後述)があっておよそ10年ぶりに再読。
    はーーーーー面白い。こんなに面白かったなんて!
    読んだ横溝作品も12冊目となりましたが、格段に楽しい。自分の中で、ミステリーベスト5に入るぶっちぎりの面白さでした!

    まあ、すでに語り尽くされた感のある「犬神家」ですけども、これでもかと詰め込まれた要素を前にしたら、それを心ゆくまで堪能せねば損というもの。
    莫大な遺産相続による親族争い、絶世の美女、恐ろしき見立て、連続殺人、凄惨な殺害方法、狂信的な犯人、復員風の男……。
    人間のおぞましい欲望をこれでもかと描きつつ、かつそれと対比されるように自然はどこまでも雄大で美しい。物語に合わせて嵐になったりしんしんと雪が降り積もったりする様子に、物語への没入感が高まりました(涼しそうだなぁ、という羨ましさも……)。

    また、映画のイメージもあってどうしても佐清の印象が一人歩きしがちですが、再読して改めて、珠世さんとの美しい純愛にハッとしました。
    普段はミステリーの中で描かれるロマンスにはあまり夢中になれないのですけど、この二人については「生きて!」と願ったし無事結ばれたらいいのにと応援しちゃいましたね〜。
    懐中時計のエピソードとか、本当に素敵です。

    一大ブームを巻き起こすのも納得な面白さ。
    折に触れ読み返してはワクワクしたいなと思います!




    ※余談
    ここから先は本の感想を離れて、再読のきっかけとなったエピソードをば。完全に日記ですのであしからず。

    先日、山梨県を旅行してまいりました。
    東京から近く、お酒も食べ物も空気も美味しいということで、何度か訪れている山梨。今回はまず山梨市にある「笛吹川フルーツ公園」という場所を訪れたんです。
    お目当ては敷地内にある、「フルーツパーク富士屋ホテル」にあるカフェのパフェ!山梨の美味しいフルーツをふんだんに使った一品です。
    せっかくだからと敷地内を散策していると……地図に「横溝正史館」の文字が。これは気になる。

    歩いて5分ほどの坂道を登っていくと、そこには小ぢんまりとした和風家屋が建っていました。
    なんでもこちら、世田谷にあった横溝先生の別宅を、縁あって移築したものとのこと。
    長野へ静養に向かう際に山梨に立ち寄ることが多かったとのことで、世田谷から移築して以来、この見晴らしの良い高台でそっと開放しているのだそうです。
    中はというと、経歴を並べた年表の他、映画『犬神家の一族』が公開された際のポスターや直筆原稿、横溝先生が実際に使用した座布団や文机が展示されていました(実際に机の前に座ることもできます!)。
    六畳ほどの和室が三室並んだ家屋はなんだか昔懐かしく、景色の良さも相まって、ここで横溝作品を読めたらどんなに素敵か……と妄想しただけでもうっとりしてしまいました。

    そして、旅ならではの思わぬ出会いも。
    こちらの施設を管理されているボランティアスタッフの方がいらっしゃるのですが、その方とミステリー談義ですっかり意気投合してしまったんです(⁠*⁠´⁠∀`⁠*⁠)
    『夜歩く』の二人の関係性に始まり、横溝作品に同居するおぞましさと温かさ、ドラマチックな舞台設定etc...
    さらにさらに海外ミステリーもお好きとのことで、クリスティーからスーシェ版ポワロまで、時間を忘れて語り合うことができました。

    今でこそブクログでたくさんの方と感想を交換することができますが、やはり対面となると別。直接熱い思いをぶつけたり共感したりすることには、格別の嬉しさがありますね。
    この方とのお喋りで横溝欲がむくむくと頭をもたげてきて、帰り道いそいそと書店に寄って『犬神家の一族』を購入したわけです。実家にあるのに。笑

    山梨は、なんだかすごく惹かれる場所です。
    なので、そう遠くないうちにまた訪れたいですし、未読の横溝作品を読み込んでまたあのスタッフさんとお喋りしたい!
    読書は、一人でも十分楽しいです。
    ただ、それを誰かと分かち合うことの楽しさもまたあるのだと、そんなことを改めて実感した旅行になったのでした。

    • 111108さん
      ゆのまるさん♪

      素敵なご縁ですねー!てっきり岡山県に記念館があるのかと思ってました笑 自分の好きなジャンルのミステリーを語り合えるのはとて...
      ゆのまるさん♪

      素敵なご縁ですねー!てっきり岡山県に記念館があるのかと思ってました笑 自分の好きなジャンルのミステリーを語り合えるのはとてもうらやましいです。これを機にまた横溝作品いろいろ開拓されるのかな?レビュー楽しみにしてますね♪
      2025/08/26
    • ゆのまるさん
      111108さん

      やっぱり岡山のイメージが強いですよね!実際、横溝正史が疎開していたお宅が記念館になっているそうですよ。
      山梨のこちらは、...
      111108さん

      やっぱり岡山のイメージが強いですよね!実際、横溝正史が疎開していたお宅が記念館になっているそうですよ。
      山梨のこちらは、「知る人ぞ知る……」な雰囲気でした。高台にあるので眺めも素敵なんです♪

      111108さんはじめ、ブクログで目にするレビューは本当に刺激になります。読みたい本ばかり増えていく……!笑
      横溝作品も開拓していきますので、どうぞお付き合いくださいませ(⁠*^⁠^⁠*)
      2025/08/26
    • 111108さん
      あ、やっぱり岡山にもあるんですね。山梨のは本当に当時をよく知る方々が作った「知る人ぞ知る」記念館でいい感じですね!
      私もゆのまるさんの本棚参...
      あ、やっぱり岡山にもあるんですね。山梨のは本当に当時をよく知る方々が作った「知る人ぞ知る」記念館でいい感じですね!
      私もゆのまるさんの本棚参考に、ぼちぼちですが横溝正史追いかけていきます♪
      2025/08/27
  • 犬神家の戸籍 | 新宿教室 | 朝日カルチャーセンター
    https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/a4c46c46-2e1d-0846-7c7f-61baa216d941

    「犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5」 横溝 正史[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/199999130405/

  • 池から足だけ出てることで有名なスケキヨですが、わたしはなんとなくしか知りませんでした。初めて詳細を知ってとても面白かったです。
    トリックというかWHYとWHOがとてもきれいでした。映像化されまくるのも納得です。

  • 再々再々…読。何回読んでも面白い。犯人が分かっていても一気読みできる。素晴らしい。

    横溝正史は大好きな作家。
    章の出だしの季節を伝えている文章だったりの導入の部分が、情景を思い浮かべられて、映画を見ているみたいに物語に入っていける。そこがいつも素晴らしいと思う。

    松子のキャラクターは、最初に読んだ中学生の頃と今とでは、息子がいる分、より共感度が高く、切なさと格好良さを感じる。
    腹の括れる強い女性に憧れている今日この頃である。

  • 何十年ぶりか、横溝正史、金田一耕助シリーズを読み始めた。ストーリーをわずかながら覚えているだけで、とても新鮮な気分で読みました。古谷一行氏の金田一探偵が、脳裏にちらつきながらでした。太平洋戦争の直後くらいの設定で、電話、電報などしか通信方法のない時代で、推理力のある金田一探偵がウロウロしているうちに、次々と殺人事件が、連続していくという恐ろしい物語です。次は何を読みましょうか。

  • 犬神家当主が残した遺書から、莫大な遺産を巡り孫たちが疑心暗鬼になる中で連続殺人が起こってしまう話。
    ドロドロした人間関係がお好きな方はおすすめな感じ。
    作品自体は古いですが非常に読みやすく、展開も早いので読みだすと止まらない系。
    次は獄門島を読みたい。

  • 2週間前『八つ墓村』を読了したので、次はこちらを...。いやぁ凄かった...。こちらも映像化されたものを観た事が有りませんでした。それでも『スケキヨ』という名前くらいは聞いた事があったのですが、作中で『スケキヨ』が出てきた時は感動と、まさか『佐清』という漢字が使われる人だとは驚きました。物語の運び方や目線が立体的で楽しめました。(当事者や金田一目線に作家目線。時間の流れの表現も)また、畳み掛ける犯罪とその裏にある実情...。怨念や積年の恨み辛み...。いやぁ...凄い(恐ろしい)作品を読みました。これから映像を観たいと思います。次も横溝作品読もうかな...。

  • またまた横溝正史の金田一ものを一気に読んでしまった。1951(昭和26)年刊。読み始めたら止まらないといった感じで、どんどん先に進んでしまう。
     この「取り憑かれたように夢中になって読んでしまうミステリ」と言えば、アガサ・クリスティの作品がそうだった。他の古典ミステリとは一線を画す面白さで、一時期は十何冊も次々に読んでいったが、読み終えて数年も経つと、このタイトルの本はどんな話だったか、思い出そうとしても思い出せない。引きずり込まれるようにジェットコースターに乗せられて突っ走り、読み終える時は非常に満足しているのに、長期記憶には残らない。やはりその辺は、苦労しながら・味わいながらじっくり読んでいく芸術系の小説とは異なる点なのかもしれない。果たして横溝正史もそうなのだろうか。
     クリティティに比較すると、横溝正史作品はずっと情動豊かである。作者の怪奇趣味による恐怖のエレメント(本作では殺害された被害者の「生首」や、戦場で大きく負傷したという復員者の、凄まじく爛れ肉塊を覗かせる顔貌の描写など)。憧れやスケベ心(?)を喚起するエレメント(本作に登場する「絶世の美女」珠世)。それぞれの場を満たす、憎しみ・怒り・激情といいた振幅の大きな感情のエレメント(犬神家の一族内の、相互の愛憎や呪い、復讐のモティーフなど)。
     こう並べてみると確かに「サービス満点」である。様々な要素が次から次へと織りなされ、適宜緊張感が高まり、息もつかせぬ展開になる。もちろん、殺人は一度きりでなく、連続殺人となってゆくから、それだけでもサスペンスとして盛り上がる。
     そしてミステリの常套というか、たとえば最初の方のある章の終わりにこう書かれている

    「読者諸君よ、いままで述べてきたところが、このもの恐ろしい、なんともえたいの知れぬ犬神家の一族に起こった、連続殺人事件の発端なのである。
     そして、いままさに血なまぐさい惨劇の第一幕は、切って落とされようとしている。」(P.90)

     本作は雑誌に連載されたものなので、章の終わりにこういう緊迫した「予告」的な宣言を入れてやることで、次回が待ち遠しくなる。こういうのはもはや完全にありふれてはいる。連続テレビドラマや、連載マンガなどでも「いいところで終わる」のは定石である。そうしたエンターテイメントの常用手段が、戦後間もない年の横溝正史作品においても既に、完全に確立されているのである。
     予告された不在(上記例では、今後の物語の展開)が、読者の心を前へ前へとつんのめらせる。「不在」への欲望がみなぎり、ページを繰る手がはやる。
     とりわけて横溝正史作品の長所は、色濃い情動が絶えず惹起されてゆくことだ。常に読者は、言葉・描写・想像・共感に導かれて巧みに情動を操られてゆく。この意味では、音楽的だとも言える。
     勢いよくほぼ1日で読んでしまい、更に別の作品が読みたくなってしまう。そのように欲望を惹き付ける装置として、よく出来ている。

  • 犬神財閥の創始者・佐兵衛の遺言状。それは遺産相続争いを生む火種だった。それを予期した弁護士事務所の若林は金田一耕助に協力を要請するも殺害されてしまう。見立て連続殺人の中で、一族の悲劇が紐解かれていく。

    ぼくが初めて読んだ横溝正史作品。1950年の作品とは思えない読みやすさ。単語は少し難しいものがあるものの流れで意味を汲み取れる範囲。文章は情報が整理されていて、展開もサクサク進んでいく。人間関係がドロドロしてて読み辛いかなという不安は、読んでみると表現のドライな読み心地が良かった。金田一のキャラも効いてる。まあドロドロはすごくしてるけど(笑)

    ミステリとしての仕掛けも丁寧。いわゆるトリックを暴く系のロジカルな作品というよりは、一族の心情が事件によってさらけ出されていく描写が巧み。誰かのためを思った行動がジレンマを呼び起こしていく連鎖に唸った。仮面を被っているのは佐清だけではない。一族すべてが本当の顔を隠している。仮面が剥がれ本音が明かされる時、事件もまた自然とほどけていく。

    それにしても佐兵衛が諸悪の根源すぎる。一族が屈折するのもやむなしという感じだし、本人は筋を通したつもりだろうが巻き込まれた人たちもいい迷惑。最後が「大団円」ってあるんだけど、イイハナシカナー?ってなる。納得できない一族の人いるよなあ。ひと悶着ありそうだけど、孫の代からは血統の呪いから解き放たれて幸せになってほしいね。

    余談だけど、『ファミコン探偵俱楽部 消えた後継者』はこの作品からかなり影響を受けて制作されていて、比較してみると面白い。ファミコン時代ながら謎解きもドラマも魅せてくれる作品になっているのでそちらもお薦め(5月にはリメイク版が発売予定)。

  • とにかく、莫大な遺産と地位に対しての執着が恐ろしすぎて怖い。松子、竹子、梅子の三姉妹にしろ、その子供達にしろ、いつもこの手の遺産相続が絡んだ本を読むと思うんだけど、自分で稼ごうという気は起きないのか。
    それはさておき、最初の導入から雰囲気に引き込まれて夢中で読んだ。珠世の旦那候補の3人、あの状況では選べなそう。究極の選択。
    でも…なんだか金田一耕助さん、振り回されてる感があって、そんなに名探偵っていう感じはしなかった。結局目の前で起こる連続殺人が止めれず、最後の最後に真相を知るっていう。。

  • 映画では何度か観ているが、原作を読むのは初めて。古い作品なので読むのに手こずるかと思いきや、とても読みやすい文章、読み手をどんどん引き込んでいく展開で、あっという間に読了。

    シリーズ全作を知っているわけではないので、全てがそうではないかもしれないが、金田一耕助はやっぱり「推理小説」じゃなくて「事件簿」なんだよね。巧妙な仕掛けやトリックがあるわけではない。あえて言うなら「人間(関係・思惑)」の絡み合いこそが事件の歯車。全ての事象に意味があるわけではない。世の中には「意図したもの」と「偶然の産物」が溢れている。事件だってそう。人間が引き起こすものなのだから。

  • 知人から借りた本

    映画やドラマではよく観ていた犬神家の一族

    原作ははじめて読みました

    佐清の仮面が白いやつじゃない!
    佐清の足も生足じゃなくてネルのパジャマって書いてあるー!
    驚きました

  • 文体が段々と現代風になっていて、今までの横溝作品の中では1番読みやすい。

    大金持ちの遺産は、とある美人が婿に選んだ人がすべて継ぐというところからスタートするので、バチェロレッテが始まるのかと思った。

    ミステリーで絶世の美人が出てくるだけで、その後の展開が気になりますね。

    ミステリーとしての出来もすごく良く、読み終わる直前まで最高評価だったんだけど、なにぶん終わり方が...。

    ほとんど自己中の犯罪者の思惑通りだったので、後味は悪い。その点では獄門島のほうが好みだった。

  • 市川崑の映画はもう何度も見ているが、原作を読むのは初めて。映画は原作をほぼ忠実に踏襲しており、当然犯人もわかっているのに面白い。戦中、戦後の家父長制の舞台設定が海外ミステリーにはない独特の世界観を醸し出している。この雰囲気に浸るのが好きなので結末がわかっているミステリーでも何度でも楽しめてしまうのだろう。

  • 読んだのは、もう50年も前。子供にとっては恐ろしくて不気味、おどろおどろしていてこんな小説があるのかと思いながら読みましたが、横溝正史の金田一シリーズこの後もたくさん読んだのですから、怖いと思いながら覗き込んでみたかったのでしょう。日常では接することのないお金持ちの家で繰り広げられる現実離れした家族関係、
    驚愕の事件。子供には刺激が強すぎたけど、こういうあり得ない世界に浸れるのが読書の醍醐味です。

  • 金田一耕介のシリーズの中でも傑作。
    「犬神家」という言葉は聞いたことがあったり、池から突き出した足や不気味な白マスクのイメージはなんとなく見たことがあるかも知れないが、どんなストーリーか知らないという人も少なくないのでは。原作を大人になってから真面目に読むと、こんなミステリだったのかと驚いたホラーミステリーの金字塔。

    この時代に、見立て殺人にここまで面白い描写をしたのは流石の一言。もちろん古めかしい表現はあるが、令和の今でも間違いなく楽しめる内容であり、古い、よくわからないという理由で横溝正史の金田一耕介シリーズに手を出していない人がいたら、ぜひ本作から手にとってほしい。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

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