犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.91
  • (367)
  • (432)
  • (434)
  • (20)
  • (2)
本棚登録 : 3542
感想 : 323
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304051

作品紹介・あらすじ

信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような条件を課した遺言状を残して他界した。血の系譜をめぐるスリルとサスペンスにみちた長編推理。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ミステリーの金字塔!!

    これが、かの有名な犬神家っ!!
    流石です…♡⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝



    有名な、湖に頭からさかさまに突っ込み、足が飛び出てるシーン、とうとう読みましたヽ(´▽`)ノ♡

    これだけ有名だと知らぬ方が貴重で、憧れみたいなものがありました。
    ようやく知ることができた!みたいな笑

    古館法律事務所の若林豊一郎という弁護士に依頼され、金田一耕助は犬神家へと向かっていた。

    事情を聞こうと宿で待ち合わせしていた若林が、死体となって発見される。

    犬神財閥の佐兵衛が残した遺言が原因で起こる一族のお家騒動。

    この遺言の内容が、ミステリーあるあるの酷い代物。

    佐兵衛の恩人の孫である|珠世《たまよ》に、自分の孫3人の中から婿を取らぬと財産は受け取れないというもの。

    長女の子、佐清《すけきよ》は、戦争で顔に酷い怪我を負ってしまい、やむなく仮面を付けているのですが、以前はとても美少年だったよう。

    次女の子、佐武《すけたけ》は、小太りで偉そうな青年。

    三女の子、佐智《すけとも》は、ほっそりしている、狡猾そうな青年。

    ちなみに珠世はとても美人である。

    こんなん、何も起きない方がおかしい。


    犬神家は、信州の那須湖畔という、とても珍しい立地に建っている。
    ボートに乗って往復するの、すごい。
    頭の中で正解を想像できているのか不安なので、機会があったら映画を視聴したい。

    殺人の方法にもきちんと意味を関連付け、アリバイやトリックとは別の視点から犯人を想定させる方法に痺れる。

    そして、なんと言っても金田一シリーズの見どころの1つである、芸術とも言うべき死体。

    生首でそそられ、逆立ちで強烈なインパクト。
    流石です。


    どの作品を読んでもおもしろい金田一シリーズ。

    あと気になっている作品は『夜歩く』です。
    書店で復刻表紙を見つけたら、即買いします(ღ*ˇ ˇ*)。o♡

  • 数多の賞賛を受けてきたこの作品、スケキヨの見立て殺人とマスク姿はいったいどれ程の認知度があるのだろうか。
    で、原作は中学以来の再読、うん十年ぶりでした。
    個人的な意見ですが、やはりこの作品が私の中では「悪魔の手毬唄」と並び“THE 金田一耕助“です。
    防御率の低さや、恐ろしいまでの偶然の重なりなどはこのシリーズならではですね。

    映画を観ていたからスケキヨの斧は完全に忘れていました。いま考えると、おそらくはこの言葉のトリックの凄さが理解出来ずさらっと流していたのでしょう。
    複雑に絡み合った血縁や関わった人の因縁、様々な欲望、年齢を重ねてこそ判る物語の深淵が有るのですね。横溝先生、ありがとうございました。

  • 犬神家の戸籍 | 新宿教室 | 朝日カルチャーセンター
    https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/a4c46c46-2e1d-0846-7c7f-61baa216d941

    「犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5」 横溝 正史[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/199999130405/

  • 再々再々…読。何回読んでも面白い。犯人が分かっていても一気読みできる。素晴らしい。

    横溝正史は大好きな作家。
    章の出だしの季節を伝えている文章だったりの導入の部分が、情景を思い浮かべられて、映画を見ているみたいに物語に入っていける。そこがいつも素晴らしいと思う。

    松子のキャラクターは、最初に読んだ中学生の頃と今とでは、息子がいる分、より共感度が高く、切なさと格好良さを感じる。
    腹の括れる強い女性に憧れている今日この頃である。

  • 池から足だけ出てることで有名なスケキヨですが、わたしはなんとなくしか知りませんでした。初めて詳細を知ってとても面白かったです。
    トリックというかWHYとWHOがとてもきれいでした。映像化されまくるのも納得です。

  • 犬神財閥の創始者・佐兵衛の遺言状。それは遺産相続争いを生む火種だった。それを予期した弁護士事務所の若林は金田一耕助に協力を要請するも殺害されてしまう。見立て連続殺人の中で、一族の悲劇が紐解かれていく。

    ぼくが初めて読んだ横溝正史作品。1950年の作品とは思えない読みやすさ。単語は少し難しいものがあるものの流れで意味を汲み取れる範囲。文章は情報が整理されていて、展開もサクサク進んでいく。人間関係がドロドロしてて読み辛いかなという不安は、読んでみると表現のドライな読み心地が良かった。金田一のキャラも効いてる。まあドロドロはすごくしてるけど(笑)

    ミステリとしての仕掛けも丁寧。いわゆるトリックを暴く系のロジカルな作品というよりは、一族の心情が事件によってさらけ出されていく描写が巧み。誰かのためを思った行動がジレンマを呼び起こしていく連鎖に唸った。仮面を被っているのは佐清だけではない。一族すべてが本当の顔を隠している。仮面が剥がれ本音が明かされる時、事件もまた自然とほどけていく。

    それにしても佐兵衛が諸悪の根源すぎる。一族が屈折するのもやむなしという感じだし、本人は筋を通したつもりだろうが巻き込まれた人たちもいい迷惑。最後が「大団円」ってあるんだけど、イイハナシカナー?ってなる。納得できない一族の人いるよなあ。ひと悶着ありそうだけど、孫の代からは血統の呪いから解き放たれて幸せになってほしいね。

    余談だけど、『ファミコン探偵俱楽部 消えた後継者』はこの作品からかなり影響を受けて制作されていて、比較してみると面白い。ファミコン時代ながら謎解きもドラマも魅せてくれる作品になっているのでそちらもお薦め(5月にはリメイク版が発売予定)。

  • とにかく、莫大な遺産と地位に対しての執着が恐ろしすぎて怖い。松子、竹子、梅子の三姉妹にしろ、その子供達にしろ、いつもこの手の遺産相続が絡んだ本を読むと思うんだけど、自分で稼ごうという気は起きないのか。
    それはさておき、最初の導入から雰囲気に引き込まれて夢中で読んだ。珠世の旦那候補の3人、あの状況では選べなそう。究極の選択。
    でも…なんだか金田一耕助さん、振り回されてる感があって、そんなに名探偵っていう感じはしなかった。結局目の前で起こる連続殺人が止めれず、最後の最後に真相を知るっていう。。

  • 映画では何度か観ているが、原作を読むのは初めて。古い作品なので読むのに手こずるかと思いきや、とても読みやすい文章、読み手をどんどん引き込んでいく展開で、あっという間に読了。

    シリーズ全作を知っているわけではないので、全てがそうではないかもしれないが、金田一耕助はやっぱり「推理小説」じゃなくて「事件簿」なんだよね。巧妙な仕掛けやトリックがあるわけではない。あえて言うなら「人間(関係・思惑)」の絡み合いこそが事件の歯車。全ての事象に意味があるわけではない。世の中には「意図したもの」と「偶然の産物」が溢れている。事件だってそう。人間が引き起こすものなのだから。

  • またまた横溝正史の金田一ものを一気に読んでしまった。1951(昭和26)年刊。読み始めたら止まらないといった感じで、どんどん先に進んでしまう。
     この「取り憑かれたように夢中になって読んでしまうミステリ」と言えば、アガサ・クリスティの作品がそうだった。他の古典ミステリとは一線を画す面白さで、一時期は十何冊も次々に読んでいったが、読み終えて数年も経つと、このタイトルの本はどんな話だったか、思い出そうとしても思い出せない。引きずり込まれるようにジェットコースターに乗せられて突っ走り、読み終える時は非常に満足しているのに、長期記憶には残らない。やはりその辺は、苦労しながら・味わいながらじっくり読んでいく芸術系の小説とは異なる点なのかもしれない。果たして横溝正史もそうなのだろうか。
     クリティティに比較すると、横溝正史作品はずっと情動豊かである。作者の怪奇趣味による恐怖のエレメント(本作では殺害された被害者の「生首」や、戦場で大きく負傷したという復員者の、凄まじく爛れ肉塊を覗かせる顔貌の描写など)。憧れやスケベ心(?)を喚起するエレメント(本作に登場する「絶世の美女」珠世)。それぞれの場を満たす、憎しみ・怒り・激情といいた振幅の大きな感情のエレメント(犬神家の一族内の、相互の愛憎や呪い、復讐のモティーフなど)。
     こう並べてみると確かに「サービス満点」である。様々な要素が次から次へと織りなされ、適宜緊張感が高まり、息もつかせぬ展開になる。もちろん、殺人は一度きりでなく、連続殺人となってゆくから、それだけでもサスペンスとして盛り上がる。
     そしてミステリの常套というか、たとえば最初の方のある章の終わりにこう書かれている

    「読者諸君よ、いままで述べてきたところが、このもの恐ろしい、なんともえたいの知れぬ犬神家の一族に起こった、連続殺人事件の発端なのである。
     そして、いままさに血なまぐさい惨劇の第一幕は、切って落とされようとしている。」(P.90)

     本作は雑誌に連載されたものなので、章の終わりにこういう緊迫した「予告」的な宣言を入れてやることで、次回が待ち遠しくなる。こういうのはもはや完全にありふれてはいる。連続テレビドラマや、連載マンガなどでも「いいところで終わる」のは定石である。そうしたエンターテイメントの常用手段が、戦後間もない年の横溝正史作品においても既に、完全に確立されているのである。
     予告された不在(上記例では、今後の物語の展開)が、読者の心を前へ前へとつんのめらせる。「不在」への欲望がみなぎり、ページを繰る手がはやる。
     とりわけて横溝正史作品の長所は、色濃い情動が絶えず惹起されてゆくことだ。常に読者は、言葉・描写・想像・共感に導かれて巧みに情動を操られてゆく。この意味では、音楽的だとも言える。
     勢いよくほぼ1日で読んでしまい、更に別の作品が読みたくなってしまう。そのように欲望を惹き付ける装置として、よく出来ている。

  • 文体が段々と現代風になっていて、今までの横溝作品の中では1番読みやすい。

    大金持ちの遺産は、とある美人が婿に選んだ人がすべて継ぐというところからスタートするので、バチェロレッテが始まるのかと思った。

    ミステリーで絶世の美人が出てくるだけで、その後の展開が気になりますね。

    ミステリーとしての出来もすごく良く、読み終わる直前まで最高評価だったんだけど、なにぶん終わり方が...。

    ほとんど自己中の犯罪者の思惑通りだったので、後味は悪い。その点では獄門島のほうが好みだった。

全323件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×