三つ首塔 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 814
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304068

作品紹介・あらすじ

華やかな還暦祝いの席が三重殺人現場に変わった! 宮本音禰に課せられた謎の男との結婚を条件とした遺産相続。そのことが巻き起こす事件の裏には……本格推理とメロドラマの融合を試みた傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 音禰の回顧録という形になっているので、終始音禰の視点で物語が進み金田一はちらっとしか出てきません。
    推理がまとまって「皆さんお集まり下さい」みたいなシーンもなく、金田一の活躍シーンがないのは少し寂しい気もしました。

    しかし、逃避行、次々起こる殺人、意外な犯人。
    最後まで犯人がわからないまま、出来事が積み重なっていく展開がとても面白かったです。

    横溝正史シリーズのドラマも見ましたが最後まで原作に忠実でした。黒沢年男さんが「音禰!音禰!」と力強く呼ぶたびに笑ってしまいましたが、そんなところも忠実でした。

  • 女子大を出たばかりの若く美しい女性、音禰が語り手。
    ある日、アメリカにいる、曽祖父の弟・玄蔵の使者が音禰の元にやってくる。百億になるという彼の財産を音禰にゆずるというのだ。しかしそれには「高頭俊作」という見知らぬ人物と結婚するという条件があった。ところが、彼女の伯父の還暦パーティーの場で3人が殺される。そのなかの一人がなんと「高頭俊作」であった。
    「三つ首塔」というなんだかおそろしげな名前の塔が出てくるが、ホラー要素はあまりない。それよりも、音禰がいろいろな事件にまきこまれていくうちにだんだん変わっていくのが怖いような。結果良ければすべて良し、でしょうか。相変わらず金田一さんはいいとこどりのような気が。
    目次が優秀すぎて、それだけでなんとなく話がわかっちゃう。

  • 本書では、金田一耕助はほとんど登場しない。
    冒頭と最後に出てきて、最後は全てお見通しであったことは語られるが、どのように推理したのかは語られないので、シリーズの中では推理要素は少なめに感じた。

    ヒロインの音禰は、今の時代にも通じるモテ要素を持っていると思った(真似したいくらい)。女としてのプライドはあるが、好きになったら情に熱く、便りなげに見えるのに、しっかり自分を持っていていざとなれば大胆な行動もする。でも、好きな男性の前ではか弱い女である。
    音禰の彼も最初はチャラついた男だけど重要人物なんだろうな程度に思っていたが、最初のギャップが激しい!彼もまた情に熱く、ちょっとした折り目にキスを求めるところや後半音禰を励ますところは感動的でさえあった。惚れてまうやろー!と思うくらい。
    最後まで生きているかとっても不安になるくらい尊い愛情を見せてもらった。

    金田一耕助というより、音禰の冒険譚として、世界に入り込んで一気に読むのがおすすめ。

  • 昔読んだ本

  • おもしろかった

  • 音禰の話。男前な旦那さんの話

  •  本作は、その昔、古谷一行が金田一耕助を演じたTVドラマ「横溝正史シリーズ」で見ており、犯人が誰かと、音禰と高頭五郎との濃厚ラブシーンだけは鮮明に覚えていた。
     が、それ以外は完全に忘却。
     ここまで音禰が色々な殺人現場に出くわしていたことは素直に驚かされた。

     元より戦後直後、大学まで進学した令嬢がストリップ劇場やSMクラブに出入りし、また闇ブローカーや女(男)ジゴロに危うい目に遭う(一線は超えないが)件は、官能小説ばりだなぁという感慨はないではない。

     ただ、それにも増して高頭五郎とイタしたため官能に狂い、彼とのSEXなしに耐えられない女になった音禰のあり方。意外にも、極端にも見える展開は、一旦は、ストックホルム症候群によるのか?と思わないではなかった。
     しかし、良家の子女が、頼りがいはあるが乱暴な振る舞いをする男、30~40年代には男らしいと規定された男に零落させられ、「女」と化してしまったことは、現実にも物語的にもないではない。
     それは些か型通りのきらいはないではないが…。


     というようにみると、本小説は、ミステリーというよりも、ラブ・アフェアーというべき作品なんだろう。というあたりで個人的には落ち着いたところ。


     ところで、TVドラマ版は、「犯人」の暗く歪な愛惜感情を前面に出して、小説ラストより、犯人最期のシーンを印象づける演出であったと記憶している。
     そういう意味では、本書の読後感とはかなり異質である。
     つまり、仮に展開や筋立てが同じであっても、音禰の一人称で語られる物語と、神の目で語られる作品の印象が違うことになると言えそうだ。
     それはまた、一粒で二度美味しい作であるとも言えそう。


     とはいうものの、高頭五郎とのSEXに狂い、彼がいないと(というよりも、彼とのSEXなしには)生きていけないという描写を混ぜつつ、その五郎に対し「あなた」と呼びかけ、また彼を他者に対し良人であると規定してみせるのは、時代がかっている。
     男女の結びつき・性交渉=結婚の構図をまざまざと見せつける件だ。処女性の強調も同様。このあたりが、本作成立の時代層の反映を色濃く感じさせる。


     ところで、ドラマ版である。金田一=古谷一行は兎も角、記憶している範囲においては、宮本音禰は真野響子、高頭五郎は黒沢年男、上杉教授が佐分利信で、あと殿山泰司とピーターが出ていたような気が…。
     調べると、77年版とされる当該作品だが、その他のキャストは、〇佐竹建彦 - 米倉斉加年、〇法然和尚 - 殿山泰司、〇古坂史郎 - ピーター。古坂史郎をはじめとして、さもありなんのキャストという他はないところ。

  • 良家の令嬢の所へ突如舞い込んだ
    巨額の遺産相続の話。
    条件として見も知らぬ男と
    夫婦になれというものだった。
    この莫大な遺産を巡り、
    血みどろの惨劇が巻き起こる。



    知っている金田一シリーズとは
    全く異なった印象の作品。
    麗しの令嬢が悪漢に惚れ染まり、
    全く関わりの無かった
    裏社会、人間の闇に直面する。
    数々の死体を目の当たりにし、
    挙句、警察に追われるという
    サスペンス色の強い作品で、
    この娘の視点で描かれる事件は
    非常にスリリングで楽しめた。
    メロドラマの様な物語も嫌いでない。
    ただ、このシリーズらしい怪奇的で、
    凄惨な事件に巻き込まれる
    金田一耕助の活躍を楽しみに
    していたので少し不満は残った。

  • 金田一耕助ファイル#13

  • 冒頭50ページで3人が死ぬという、シリーズの中でもハイペースで死体を量産する本作。結局、終わってみれば二桁の人が死んでます。多いな!
    それなのに、今作のジャンル区分に相応しいのは推理小説ではなくハーレクイン小説?官能小説?なんだよなぁ…(笑

    近親相姦よりも同性愛の方に嫌悪感を示すのもよく分からん(笑)。時代だね〜(で済ます笑)。

    今作は終始、主人公であり語り手でもあるヒロイン・音禰の心理描写にツッコミを入れるのが楽しい()内容です。
    自分を××した男に、そんな簡単に惚れるかァ?←
    そんなヒドい男にしか頼れない状況に追い込まれたレディーのめくるめく変貌を描きたかったんでしょうが、うーん、横溝先生、女心の描写がかなり大雑把です!笑。推理小説に感情の機微とか全然求めない、むしろ邪魔!と思ってる私でも突っ込まざるをえません!笑

    死体大量生産の後のヒロイン達のアドベンチャーや驚愕の事実も突っ込みどころ満載です。
    いくら何でもそれ死んでるやろ!
    だったり、
    レディーを××した男が××だなんて、それが一番ホラーだわ!!
    だったり、
    金田一先生活躍しなさすぎィ!
    だったり、
    何かもう男女の情欲渦巻きすぎててKIMOI
    だったり。


    うん、まあ、長く続くシリーズの中ではこういう異色作も必要なんでしょうね←

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著者プロフィール

横溝 正史(よこみぞ せいし)
1902年5月24日 - 1981年12月28日
兵庫県生まれの小説家、推理作家。本名は同名で「よこみぞ まさし」。筆名を誤読した作家仲間にヨコセイと渾名され、セイシをそのまま筆名にするようになった。
1921年『恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)』が雑誌『新青年』の入選作になり、これが処女作とみなされる。 1926年に江戸川乱歩の招きに応じて上京、博文館入社。1927年『新青年』の編集長に就任、その後『文芸倶楽部』『探偵小説』等の編集長を務めながら創作活動を続けたが、1932年に同誌が廃刊となり、会社を退社。専業作家に。
金田一耕助を生む。第1回探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞した『本陣殺人事件』をシリーズ第一作として、以降多くの「金田一耕助」シリーズ作を残す。代表的な作品に、1947年『獄門島』、1949年『八つ墓村』、1950年『犬神家の一族』、1957年『悪魔の手毬唄』など。

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