三つ首塔 (角川文庫)

著者 : 横溝正史
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (1972年8月22日発売)
3.44
  • (38)
  • (59)
  • (148)
  • (18)
  • (1)
  • 本棚登録 :716
  • レビュー :57
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304068

三つ首塔 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 女子大を出たばかりの若く美しい女性、音禰が語り手。
    ある日、アメリカにいる、曽祖父の弟・玄蔵の使者が音禰の元にやってくる。百億になるという彼の財産を音禰にゆずるというのだ。しかしそれには「高頭俊作」という見知らぬ人物と結婚するという条件があった。ところが、彼女の伯父の還暦パーティーの場で3人が殺される。そのなかの一人がなんと「高頭俊作」であった。
    「三つ首塔」というなんだかおそろしげな名前の塔が出てくるが、ホラー要素はあまりない。それよりも、音禰がいろいろな事件にまきこまれていくうちにだんだん変わっていくのが怖いような。結果良ければすべて良し、でしょうか。相変わらず金田一さんはいいとこどりのような気が。
    目次が優秀すぎて、それだけでなんとなく話がわかっちゃう。

  •  本作は、その昔、古谷一行が金田一耕助を演じたTVドラマ「横溝正史シリーズ」で見ており、犯人が誰かと、音禰と高頭五郎との濃厚ラブシーンだけは鮮明に覚えていた。
     が、それ以外は完全に忘却。
     ここまで音禰が色々な殺人現場に出くわしていたことは素直に驚かされた。

     元より戦後直後、大学まで進学した令嬢がストリップ劇場やSMクラブに出入りし、また闇ブローカーや女(男)ジゴロに危うい目に遭う(一線は超えないが)件は、官能小説ばりだなぁという感慨はないではない。

     ただ、それにも増して高頭五郎とイタしたため官能に狂い、彼とのSEXなしに耐えられない女になった音禰のあり方。意外にも、極端にも見える展開は、一旦は、ストックホルム症候群によるのか?と思わないではなかった。
     しかし、良家の子女が、頼りがいはあるが乱暴な振る舞いをする男、30~40年代には男らしいと規定された男に零落させられ、「女」と化してしまったことは、現実にも物語的にもないではない。
     それは些か型通りのきらいはないではないが…。


     というようにみると、本小説は、ミステリーというよりも、ラブ・アフェアーというべき作品なんだろう。というあたりで個人的には落ち着いたところ。


     ところで、TVドラマ版は、「犯人」の暗く歪な愛惜感情を前面に出して、小説ラストより、犯人最期のシーンを印象づける演出であったと記憶している。
     そういう意味では、本書の読後感とはかなり異質である。
     つまり、仮に展開や筋立てが同じであっても、音禰の一人称で語られる物語と、神の目で語られる作品の印象が違うことになると言えそうだ。
     それはまた、一粒で二度美味しい作であるとも言えそう。


     とはいうものの、高頭五郎とのSEXに狂い、彼がいないと(というよりも、彼とのSEXなしには)生きていけないという描写を混ぜつつ、その五郎に対し「あなた」と呼びかけ、また彼を他者に対し良人であると規定してみせるのは、時代がかっている。
     男女の結びつき・性交渉=結婚の構図をまざまざと見せつける件だ。処女性の強調も同様。このあたりが、本作成立の時代層の反映を色濃く感じさせる。


     ところで、ドラマ版である。金田一=古谷一行は兎も角、記憶している範囲においては、宮本音禰は真野響子、高頭五郎は黒沢年男、上杉教授が佐分利信で、あと殿山泰司とピーターが出ていたような気が…。
     調べると、77年版とされる当該作品だが、その他のキャストは、〇佐竹建彦 - 米倉斉加年、〇法然和尚 - 殿山泰司、〇古坂史郎 - ピーター。古坂史郎をはじめとして、さもありなんのキャストという他はないところ。

  • 良家の令嬢の所へ突如舞い込んだ
    巨額の遺産相続の話。
    条件として見も知らぬ男と
    夫婦になれというものだった。
    この莫大な遺産を巡り、
    血みどろの惨劇が巻き起こる。



    知っている金田一シリーズとは
    全く異なった印象の作品。
    麗しの令嬢が悪漢に惚れ染まり、
    全く関わりの無かった
    裏社会、人間の闇に直面する。
    数々の死体を目の当たりにし、
    挙句、警察に追われるという
    サスペンス色の強い作品で、
    この娘の視点で描かれる事件は
    非常にスリリングで楽しめた。
    メロドラマの様な物語も嫌いでない。
    ただ、このシリーズらしい怪奇的で、
    凄惨な事件に巻き込まれる
    金田一耕助の活躍を楽しみに
    していたので少し不満は残った。

  • 金田一耕助ファイル#13

  • 冒頭50ページで3人が死ぬという、シリーズの中でもハイペースで死体を量産する本作。結局、終わってみれば二桁の人が死んでます。多いな!
    それなのに、今作のジャンル区分に相応しいのは推理小説ではなくハーレクイン小説?官能小説?なんだよなぁ…(笑

    近親相姦よりも同性愛の方に嫌悪感を示すのもよく分からん(笑)。時代だね〜(で済ます笑)。

    今作は終始、主人公であり語り手でもあるヒロイン・音禰の心理描写にツッコミを入れるのが楽しい()内容です。
    自分を××した男に、そんな簡単に惚れるかァ?←
    そんなヒドい男にしか頼れない状況に追い込まれたレディーのめくるめく変貌を描きたかったんでしょうが、うーん、横溝先生、女心の描写がかなり大雑把です!笑。推理小説に感情の機微とか全然求めない、むしろ邪魔!と思ってる私でも突っ込まざるをえません!笑

    死体大量生産の後のヒロイン達のアドベンチャーや驚愕の事実も突っ込みどころ満載です。
    いくら何でもそれ死んでるやろ!
    だったり、
    レディーを××した男が××だなんて、それが一番ホラーだわ!!
    だったり、
    金田一先生活躍しなさすぎィ!
    だったり、
    何かもう男女の情欲渦巻きすぎててKIMOI
    だったり。


    うん、まあ、長く続くシリーズの中ではこういう異色作も必要なんでしょうね←

  • 『ひとり横溝正史フェア』で今回選んだ作品は「三つ首塔」。
    こちらは読んだこともなく映像化されたものもあるようだけれど観たことがない。
    タイトルに惹かれたので読んでみた。

    両親を亡くし伯父宅に引き取られた音禰。
    その音禰の遠縁である玄蔵老人の莫大な遺産を相続する話が持ち上がる。ただ、遺産を相続するためには玄蔵の決めた相手との結婚が条件だった。
    見知らぬ結婚相手とはじめて会おうというホテルで開かれた伯父の還暦祝いで、その相手である男は何者かに殺されてしまう。

    こういう設定は「犬神家の一族」にもあった。
    当然結婚するべき相手は殺されて、そうなると宙ぶらりんとなる遺産を巡って血で血を洗う惨劇が起こるに決まっている。
    ただ本作が少し違うのは、いつもの横溝正史ならひとり、またひとりと殺されていくところを、物語はじまってすぐに三人が殺されてしまう。ちょっと乱暴な幕開け。
    いきなり三人殺されて、その後も勢いついたままドンドン殺される。
    結局十人位殺されてしまう。
    殺されすぎ。
    こんな大量殺人事件が起きているのにたいして進展しない捜査。日本警察大丈夫なのか。

    最初の事件が起きたとき、催し物としてアクロバット・ダンサーの描写などがあるが、江戸川乱歩が好んで用いそうな感じがした。
    作品全体から淫靡な雰囲気が漂っている。

    音禰はホテルで出会った男に強姦される。
    その男はその後も音禰の近くにあり、繰り返し音禰を抱き、音禰を護るナイトのような役割をする。音禰も男にのめり込んでいく。
    この設定がおかしすぎる。
    はじめて会った時点で音禰はその男に一目惚れしてはいるのだが、そうであっても自分を強姦するような男に脅迫されるわけでもなく繰り返し抱かれ、愛するようになどなるだろうか。
    考えられない。あり得ない。
    そもそも大量に殺人事件が起きていて犯人が捕まらない時点で無理があるところに、こんな男性の夢物語のような、売れないアダルトビデオまがいの陳腐な設定があると読む気を無くす。

    また、この男は音禰を強姦して強い男臭い男みたいに装っていたが、実は音禰がはじめての女性で、ひたすら音禰を愛していたという突然の純情設定も強引だと感じる。
    はじめての性行為が強姦って人格に問題があるとしか思えない。
    そこに男の純情みたいなことを絡められると、ただ気持ち悪い。

    更にこの作品のツッコミどころとしては、高いビルから飛び降りても、深い穴の底で落ちてくる音禰を抱き止めてもたいした怪我をしない男というところ。
    不死身すぎる。
    どんだけ丈夫な足腰だ。
    普通なら死んでもおかしくないし、そうでなくても後遺症のある怪我をする状態。
    もう少しきちんと現実的な設定や展開をして欲しい。

    この作品は、今まで読んだ横溝正史の作品の中では最も残念な作品。
    頭で空想するだけでなく、きちんと現実を見据えて物語を作らないといくら小説といってもなんでもありではないはず。
    犯人もかなり序盤でわかったし、理由の見当もついた。
    正直に言って、横溝正史が真剣に書いたかどうかさえ疑わしく思える。
    この残念作品のためにせっかく盛り上がっていた『ひとり横溝正史フェア』が盛り下がってしまう。

  • (^^)

  • 金田一耕助シリーズ長編の作品でしたが、巨額の遺産相続に関連した、横溝正史お得意の複雑な、お家関係が絡み合い、相続候補者が次々と殺されていき、連続殺人犯は一体誰なのか?その動機は?という事件の核心に向かって、どんどん物語が展開していき、最後は金田一耕助が事件の全貌をスッキリ解明するというオチです。
    この人は真の悪人なのか?悪人のようで悪人ではないのではないか?というのがポイントですかね?

  • なんというか、安っぽい官能小説テイストにあふれた珍品という印象。
    調べてみたら1972年の作品だそうで。
    70歳の時の作品になるのかあ。
    あんまり良い出来とは思わないねえ。
    ★2つ。

  • 読後の後味がいい

全57件中 1 - 10件を表示

三つ首塔 (角川文庫)のその他の作品

横溝正史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
横溝 正史
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

三つ首塔 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする