夜歩く (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.65
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本棚登録 : 1185
レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304075

作品紹介・あらすじ

古神家の令嬢八千代に舞い込んだ「我、近く汝のもとに赴きて結婚せん」という奇妙な手紙と佝僂の写真は陰惨な殺人事件の発端であった。卓抜なトリックで推理小説の限界に挑んだ力作。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後間もない頃の、旧家の殺人事件。登場人物がどいつもこいつもどこかしら病んでいて、これだよ~~とわくわくしながら読み進める。金田一は中盤からしか登場しないけど、相変わらずの好人物で和む。
    まったく予想してなかった終章の展開には興奮した。久しぶりに好みにドストライクぶっささる本を読んで、満足です。
    この本、近所のダイエーの本の交換所コーナー(読み終わった本3冊→1冊に交換できる)で手に入れた本です。こういうのに出会えるからやっぱ読書は最高だな。

  • 小谷野敦氏の読後レビューを発見!

    小谷野敦2015年8月22日
    『ひどミス』のレビューで勧められた(?)ので読んでみたが、なるほど一種の叙述トリックではあろう。
    しかしまあ色々ごてごてと猟奇趣味で飾り立てて人物も例によってどたどた出てくるからげんなりしてしまう。
    妖刀村正(なお「伊勢音頭」が出てくるところは、知らない読者のために注をつけたほうがよくはないか)だのくるの男二人だの、ちまちました時間トリックだの首のない死体だの体の傷痕だのまあごちゃごちゃした小説だ。
    まあ『ロートレック荘事件』にヒントを与えたようなところだけが功とみて二点にしておこう。
    しかし金田一耕助って全員死んでからしか解決できないのかい。

    まず、上記の小谷野氏の言葉「しかし金田一耕助って全員死んでからしか解決できないのかい」というのは、直記が殺される前にきちんと解決しているので少なくとも今作品では当たっていません。

    そして、ごちゃごちゃした猟奇趣味に辟易しているようですが、むしろ犯人目線で綴られた事実関係のミスリードこそ非難されるべき筋でしょう。

    実際に小説後半近くまで、本当の犯人なのに直記を犯人だと疑い怖がる場面(P257,P269,P287)などはあざとすぎます。

    とはいえ、こうした遺体交換トリックは島田荘司氏の名作「占星術殺人事件」への布石になっていると思われる点からも、もしこの作品において当該アイディアが初出だとすれば古典トリック発明者としてもっと評価されるべき作品なのかもしれませんね。

  • 完全に引っ掛かりました。やられた!って感じです。

    ところで、“鬼首村”ってどっかで見たな。と思っていたら、7年ほど前に読んだ「悪魔の手毬唄」の舞台と同じ名前でした。時系列的には、「夜歩く」の方が先っぽいですが。地理が一致しない感じなので、名前が同じだけで違う村なのかな・・。と余計な事で気になった次第。

  • 久々の再読。
    タイトルは夢遊病者の夢中遊行のこと。
    いわゆる叙述トリックものなので詳細は黙秘、なんちて(笑)
    そうした性質から、ファンの間でも好き嫌いが分かれそうな作品ですが、
    奇怪な出来事の連続が一人称でジリジリ綴られていくので、
    読んでいてとても引き込まれます。
    で、語り手のモチベーションがガクッと下がった瞬間、
    ついニヤッと笑ってしまうのでした。

  • 登場人物が人間の屑ばっかりだし、首斬りではあるけど残酷さやインパクトは獄門島・犬神家の一族に及ばないし、さっさと金田一来てくれと思っていた。
    金庫と村正の謎解きあたりから目が離せなくなり、『岩頭にて』に突入。やられた。読んでいてうわぁ、と声が出る本は久々。横溝には陰惨さや残虐さを求めていたので、ミステリーらしい騙され方をするとは思わなかった。やっぱりどんでん返しは知らずに読むのが一番。少しも匂わせなかったあらすじがすごい。

  • トリック云々はあるでしょうが、個人的には好きです。刀と金庫の仕掛けが事件解決を遠ざけつつ後半金田一耕助の手で決定打になるという意味合いが変わってくる点など感心しました。
    また舞台装置がまさに横溝といったところで、本陣→獄門島と読んできたのですが、より濃縮された様子で引き込まれました。

  • 奇妙な襲撃事件・何者かに狙われてる美女・歴史ある旧家の異様なキャラクターたち……といつもの金田一ものではあるけれど、金田一が出てくるのは物語のほぼ終盤である。一人称が作家であるパターンは、金田一ものではまああるのだが、この作品は終盤(本当に終盤)で、思いもよらない展開を見せる。

    それに心地よい驚きを覚えるか、アンフェアと感じるかは人それぞれかもしれない。ただ、個人的な感想は「苦しいな」という感じ。
    きっとこのトリックありきで物語を作ろうとしたのだけれど、伏線らしきものがなかった(と思う)。終盤で説明はしてくれているが苦しいのだ。それを見破る金田一の見解もあまり大したことはしていないというか……。そのためミスリードされたというよりは、無理やり引っ張られてきた印象なのだ。

    とはいえ、首のない死体や死んだはずの殺人者など魅力的な謎が畳み掛けるスピードは早く、普通に面白いミステリーとは言える。

  • 横溝さんのセリフの言い回しがすごく好きで、昔風の発音で書いてあるのもよかったです。
    テンポもいいですね。

    ストーリーは序盤はあまり人物的魅力を感じない人が多く出ていたこともあり、いまいちでしたが…舞台が鬼首村に移って金田一が出てきた辺りからなんとなく面白くなってきた印象。
    最後の屋代と直記のシーンが一番よかった。
    屋代と八千代という名前が似ているはずっと気になっていたので、やはり伏線だったんだな、と。

  • 日本版アクロイド殺し

  • 代々近親婚で傴僂などが生まれる古神家。その末裔に当たる仙谷家に招かれた、三流探偵小説家である屋代は、夜中に庭を徘徊する八千代さんを見かけたため着いて行ってみると、せむし男の首無し死体が…。

    話の前半部分は東京の仙谷家、後半はお待ちかねの金田一耕助とともに、岡山の奥地にある古神家の話となる。

    さて、ストーリーの方は前半部分はどうにもハチャメチャなもので、次から次へとトリックではないがネタを仕込んで事件が起こるという部分が多く、どれもこれもが怪しい。

    鋭い人は、「ははーん、そういう方向ね」と気づいてしまうのも前半であろう。

    後半もなっても、金田一が出ては来るものの、あまり活躍しない。というのも、一人邪魔な人がいるわけですよね。そして解決へ向かっていくわけですが、後半はあれこれ動くわけではなく、1つの事件だけを見せるように書かれるので読みやすい。

    ネタバレにならないだろう程度に書いておくと、この小説で徹底的に書かれない、隠されているものは「動機」なわけです。これが功を奏しているのか失敗しているのかは読んでもらうしか無いわけです。ちなみに、タイトルはご存知「夢遊病」であるものの、ちょっとだけトリックにされる以外は、あまりにもダイナミックな使い方をされてしまって意表を突かれた。夢遊病の最中に殺人なんかあったら興ざめしてしまうわけだが、それはありません。

    ハチャメチャな横溝かと、それが長辺で続くのかと危惧していたら、全てちゃんと繋がっていたのはちょっと感心してしまう作品だ。

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著者プロフィール

横溝 正史(よこみぞ せいし)
1902年5月24日 - 1981年12月28日
兵庫県生まれの小説家、推理作家。本名は同名で「よこみぞ まさし」。筆名を誤読した作家仲間にヨコセイと渾名され、セイシをそのまま筆名にするようになった。
1921年『恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)』が雑誌『新青年』の入選作になり、これが処女作とみなされる。 1926年に江戸川乱歩の招きに応じて上京、博文館入社。1927年『新青年』の編集長に就任、その後『文芸倶楽部』『探偵小説』等の編集長を務めながら創作活動を続けたが、1932年に同誌が廃刊となり、会社を退社。専業作家に。
金田一耕助を生む。第1回探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞した『本陣殺人事件』をシリーズ第一作として、以降多くの「金田一耕助」シリーズ作を残す。代表的な作品に、1947年『獄門島』、1949年『八つ墓村』、1950年『犬神家の一族』、1957年『悪魔の手毬唄』など。

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