蝶々殺人事件 (角川文庫 緑 304-9)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304099

感想・レビュー・書評

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  • オペラ『蝶々夫人』のプリマドンナの失踪。
    銀座を闊歩する、一人称が「ぼく」の美少女(!)
    鳴り響く『アヴェ・マリア』の歌時計と秘密の花園。

    浅黒い肌にしなやかな体躯。
    四十代ながら輝くような銀髪を撫で付け、マドロス・パイプを燻らす由利麟太郎先生。
    そして帝都の花形新聞記者である三津木俊介。

    袴姿でもじゃもじゃ頭の金田一耕助とは好対照の二人。
    彼らのめくるめくスタイリッシュな探偵譚は現代でも充分需要があるのではないだろうか。
    このシリーズ、是非復刊してほしい。

    表題作を含む三篇収録。

    『蝶々殺人事件』
    コントラバスケースのなかに薔薇の花弁に覆われおさまっていた、世界的ソプラノ歌手の死体。

    特上探偵小説トッピング全部乗せ。
    鮮烈なビジュアルに始まり、暗号、アリバイ崩し、密室殺人、それからそれから......
    ありとあらゆるミステリのギミックがたっぷり詰まって「間奏曲」と称した読者への挑戦状まである。
    そして三津木俊介の友人で探偵小説家S・Y氏(横溝正史?)の川柳
    「探偵はみんな集めてさてといい」
    よろしく由利先生の謎解きと大団円。
    予想外の角度からのサプライズもあり最後まで油断できない。

    雰囲気も趣向も異なる金田一ものの第一作『本陣殺人事件』と同時並行で執筆していたというから凄い。
    しかもクオリティも『本陣』と並ぶ横溝ミステリの傑作。


    『蜘蛛と百合』
     夏の宵の恋の冒険を語る美少年の事
      並びに銀座裏にて蜘蛛の怪を見る事

     喪服を着た嘆きの美少女の事
      並びに奇怪な蜘蛛の絵姿の事

    各章のタイトルも雰囲気たっぷり。
    銀座のLady'smanの殺人に端を発する怪しげな事件。


    『薔薇と鬱金香』
    鬱金香とはチューリップのこと。
    マダム・チューリップの異名を持つ上流階級夫人をめぐる耽美で幻想的な事件。


    表題作以外は本格度は低めだが、退廃的で馨しい香り豊かなミステリ。
    横溝正史は金田一耕助ばかりではないことを実感した。
    由利麟太郎シリーズ、もっと読みたい。

    ただ巻末の解説で『夜歩く』の決定的なネタバレがあったのには泣いた。
    楽しみに積んでいたのに......

    • kwosaさん
      九月猫さん!

      花丸とコメントをありがとうございます。

      そうなんですよ。
      おもいっきりネタバレありました。
      他の横溝作品もちょこちょこネタ...
      九月猫さん!

      花丸とコメントをありがとうございます。

      そうなんですよ。
      おもいっきりネタバレありました。
      他の横溝作品もちょこちょこネタバレありましたよ。
      でも『夜歩く』は決定的で......(泣)
      昔のはホント配慮されてませんよねぇ。

      『厭魅』読んでくださってますか。
      怖いですよね。
      でも、楽しんでくださって嬉しいです。
      感想、楽しみにしています!
      2013/07/15
    • 九月猫さん
      kwosaさん、こんばんは!

      やはり、ありましたよね>他の横溝作品でもネタバレ。
      本当に昔の解説は、うかつに読むと危ないですよね(^...
      kwosaさん、こんばんは!

      やはり、ありましたよね>他の横溝作品でもネタバレ。
      本当に昔の解説は、うかつに読むと危ないですよね(^-^;)

      横溝作品は角川文庫の旧版(黒い表紙に緑文字&黄文字のです)を
      エッセイとシナリオ以外はたぶん全作読んでいるのですが、
      読んだのが小学生~中学生の頃だし、再読は数冊だけだしで、いろいろ忘れてて。
      kwosaさんのレビューを読んで、懐かしくてまた読みたくなりました。
      再読したい本リストももうすでに長ーくなっているのに(^-^;)

      金田一少年のほうにいただいたコメントにも書きましたが、
      『厭魅』楽しませていただいてます♪
      手ごろなページ数の2冊分+怖いので夜にはあまり読めない、ので
      なかなか進まないのですが、おもしろいです。
      今からもう『首無』が楽しみだったりしています(* ̄∇ ̄*)
      よいきっかけをありがとうございますーっ!
      2013/07/17
    • kwosaさん
      九月猫さん!

      横溝作品全作読破! 凄すぎます(しかも黄文字の少年向けまで)。

      ちょっと九月猫さんの本棚にお邪魔しまーす。
      九月猫さん!

      横溝作品全作読破! 凄すぎます(しかも黄文字の少年向けまで)。

      ちょっと九月猫さんの本棚にお邪魔しまーす。
      2013/07/17
  • 『蝶々殺人事件』『蜘蛛と百合』『薔薇と鬱金香』の3作収録。由利先生モノ。
    コントラバスケースの中から発見されたプリマドンナ原さくらの死体、東京と大阪にまたがる死体移動の状況が二転三転する様は見事。「探偵はみんな集めてさてといい」の出典元はここなんですね!

    『蜘蛛と百合』まさかの僕っ娘登場に、思わぬところで萌えました。
    『薔薇と鬱金香』はこれまた美しい話。美男美女の心中風景とか萌えますな。

    3作ともに『美』の雰囲気を漂わせる作品が多く、40代なのにロマンスグレーな由利先生格好良かった。惚れるね!

  • 『夜歩く』も好きだったけれど、この作品の方がテンポが良くて好きでした。
    流石、『本陣殺人事件』と並ぶといわれる名作だけあります、

  • 金田一氏が有名すぎて霞んでしまったようですが、表題作は由利先生のシリーズ一作目。物語のつくりが綺麗でドキドキしました。その時代ならではの移動方法も新鮮で楽しめました。たくさんミステリを読んでいるともちろん気になる部分は出てくるのですが、それでも気になっただけで解くところまではとても無理で、最後まで読んでため息が出ました。同時収録の「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」はミステリとして読むと期待外れかもしれませんが、男女の愛憎とおどろおどろしさを堪能しました。好みはあると思いますが私はこの世界観がとても好きです。

  • 2015.08.09

  • 東西ミステリーベスト1985-69。金田一じゃないんです('ε'*)暗号素人じゃ譜面段階がわからないんですΣ(ノд<)素人でもわかるって言ったじゃないかぁ☆鮎川さんの黒いトランク思い出した(^_^;)最後まで読んで気になることがいくつか残る( ̄▽ ̄;)犯人とある人物の運搬を頼んだ連絡方法。推理解説を読むと複数のトランクに囲まれている犯人(笑)。あのトリックだと現場の窓が不自然だと思われる。細かいかもしれないけど挑戦をつけてる以上推理が頓挫する要素は気になるかと(^^;

  • 初めて読んだ横溝作品。オペラ界が舞台で、ロマンチックで劇的で、美しくてしかも素晴らしい推理小説です。探偵由利先生大好きです。金田一作品だけではなく、これ以外の由利先生の作品も再発行して欲しいな〜。

  • 再読。昭和12年、歌劇団の主宰者・原さくらの死体がコントラバスのケースの中から発見される。大阪へ向かった由利先生と三津木俊助だが、さらなる殺人が……。
    由利先生もの三編を収録。やはり表題作「蝶々殺人事件」が素晴らしい。フェアさには疑問もあるものの、クロフツの『樽』を彷彿とさせる死体移動のアリバイトリックは見事の一言。冒頭の”計画的な殺人”談義も時代背景を併せて考えると興味深い。
    有名な「探偵はみんな集めてさてといい」もこの作品が出典だったのかね。

  • 岡山などを舞台とした作品です。

  • 原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然姿を消した。
    数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスのケースの中から発見された。
    次々とおこる殺人事件にはどんな秘密が隠されているのだろうか・・・。
    表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」収録。

    『黒いトランク』を読んで、思い出しついでに再読。
    由利先生と三津木俊助コンビのシリーズデビュー作です。

    横溝作品を貪り読んでいた当時、とにかく金田一シリーズが好きで、この由利先生シリーズはあまり好みではありませんでした。
    なのでこの作品も読んだ回数が少なくてあまり覚えていなかったのです。
    が、今回読んでみてびっくり。面白かったのです。

    金田一モノと違い、怪奇風味は影をひそめ、トリックメインの推理小説となっています。
    しかも間奏曲と銘打って「読者への挑戦」まであったとは!
    全く覚えておりませんでした・・・。

    他の2作品は短編ということで展開が早すぎて物足りないのと、耽美趣味が強すぎて私にはいまいちでしたが、表題作だけなら本4つです。
    これを機に由利先生シリーズも集めてみようかなぁ。

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2022年 『蝋面博士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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