- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041304280
作品紹介・あらすじ
若い女と少年の死体が相次いで車のトランクから発見された。この連続殺人が未解決の男性歌手殺害事件の秘密に関連があるのを知った時、名探偵金田一耕助は激しい興奮に取りつかれた……。
感想・レビュー・書評
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深夜の高級住宅街に停まっていた車。そのトランクの中には胸を抉られ、血溜まりにトランプの“ハートのクイーン”を浮かべた女の死体が詰め込まれていた!捜査が進むにつれ、関係した女たちの性癖を記した“百唇譜”が発見された未解決殺人事件へと繋がっていく。金田一耕助は悪魔のような犯人を捕まえることができるのか?!
旅行の前に等々力警部へ顔を見せようと立ち寄った義理堅い金田一。それを渡りに船とこの事件の謎へと誘う等々力警部よ。鬼かよ?!と思いきや、事件解決後の金田一の孤独感を知るがゆえの行動なんだよね。人の罪を暴くことを生業にする仕事に罪悪感を覚える金田一を慮る等々力警部のやさしさがいいよね。まあ、事件解決を手伝わせることに間違いはないのだけど(笑)
トランクから発見される死体と意味ありげなトランプ!百唇譜という悪趣味極まりない記録!盗難された車にエンストした車の意味とは。露悪的でシンプルな事件かと思いきや、想像以上に複雑に絡み合った事件と人間関係の描き方はさすが。
金田一は活躍するもそこまで目立たない印象。ホームズ大好き女中の古川ナツ子や、他のキャラの方が爪痕を残していて意外だった。あと、いい感じの時間帯に塀へシャーシャーする目撃者が出てきたり、後出し情報が多かったり、結末がピリッとしないのは残念。李泰順のその後の話とかがあると嬉しかったなあと。練られた事件だっただけに惜しい一作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「金田一耕助」シリーズの『悪魔の百唇譜』を読みました。
最近「ホームズ」シリーズを立て続けに読んで、ミステリーを読むことに嵌っちゃってますねぇ。
半世紀前の東京が舞台なのですが、、、
それでも一世紀前のロンドンと比べると、舞台の背景が想像しやすいので読みやすかったですね。
勿論、頭の中で描いている場面の「金田一耕助」役は「古谷一行」です。
さてさて、物語の方ですが、、、
蒸し暑い6月、深夜の東京成城の高級住宅街。
不審駐車の外車、その後部トランクから発見されたのは、胸をひと突きに殺された美女の死体。
添えられた"ハートのクィーン"のカードは何かの符号か?
やがて似た手口の男の刺殺死体が発見される。不倫と嫉妬の果ての惨劇、それとも…。
という相変わらず怖ろしそうな始まりでしたね。
最後は、容疑者が二転三転して、意外な人が犯人でしたねぇ。
「金田一耕助」の推理力が、ちょっと情けなくて、、、
女中の推理に驚いたり、ブツの隠し場所は知り合いの中国人の推理に任せたりと、少し残念でしたが… まっ、「金田一耕助」が人間らしく描かれているといえば、そうなのかなと、無理やり納得。
被害者宅の女中「古川ナツ子」が「ホームズ」シリーズの愛読者という設定で、「ホームズ」が引き合いに出されるところはご愛嬌か。
思わずニンマリする場面でした。 -
停まっていた外車のトランクに、女性の死体。
これが一体誰なのか、というのも問題でしたが
車に関しての謎、人に関しての謎。
どうつながっていくのか、というのもありましたが
何が動機なのか、というのも謎でした。
そして犯人。
登場人物に当然いるわけですが、予想外、でした。 -
悪魔の百唇譜
東京文芸社「悪魔の百唇譜」 1962年10月
(原型 「百唇譜」 推理ストーリー 1962年1月) -
どれが誰の車なのか分からなくなってくる。アリバイや死亡時刻が入り組んでいて楽しかったのに、解決編がかなりあっさり。もはや後日談。