迷路荘の惨劇 金田一耕助ファイル 8 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 772
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304341

作品紹介・あらすじ

複雑怪奇な設計のために迷路荘と呼ばれる豪邸を建てた明治の元勲古館伯爵の孫が何者かに殺された。事件解明に乗り出した金田一耕助。二十年前に起きた因縁の血の惨劇とは?

感想・レビュー・書評

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  • 金田一耕助シリーズ。過去に横恋慕の末、妻を殺害、間男の左腕を切り落とし、自ら命を絶った古館伯爵。その建物を手に入れた男が、建物に縁のあった人たちを集めて、ホテルとしてのオープンを祝うはずだった。縁やいわくのある、一癖も二癖もある連中が集まったことで、当然のごとく起こる殺人事件…。

    うわ、5月半ばだというのにまだ1冊目か。休みが長かったとはいえ、結構読むのに時間がかかったものだ。

    紹介するなら「いつもの金田一」である。登場人物の全て、怪しく活躍する老刑事を含め、すべての人間が怪しい。で、金田一が目を離したすきに、一人また一人と殺人が起こってしまう。また、迷路荘というタイトルは、地下道に鍾乳洞が縦横無尽と走っている建物であり、最初に紹介された「どんでん返しなどのある」というのは、結構あっさりと否定されてしまう。

    横溝正史は、洞窟や鍾乳洞が非常にお好みのようで、建物内の描写は相当投げやりなくせに、洞窟となると嬉々として筆が進む(読みやすい)のであるが、一方でディテイルは適当なもんで、まったく風景が想像できない。

    また、その洞窟も、毎度ながら使い捨てという風合いが強く、すぐに補強したレンガは崩れてしまうし、よくもまあ、その上に立っている家が大丈夫なもんだと感心する。何度も繰り返されるレンガの崩落は、今回一番気が散るシーンである。

    事件の真相については、あんまり本気で犯人を探そうとすると、完全に肩透かしを食うので、軽く流して読むのが正しいのであろう。

    ボリュームもあり、事件と事件の間の時間の割に、ああでもないこうでもないと時間稼ぎが多い印象で、内容の割に読むのに時間がかかり、印象もうすいという作品である。

    まあ、金田一シリーズの代表的な立地、トリック、残忍性などを含む作品としては、人気があるのも解らなくもないが。

  • 金田一耕介の長編の中でも、特に怪奇色が 強かったと感じる作品だった。
    いつもは犯人に同情的な探偵が、今回はあからさまに嫌悪と侮蔑を放つ珍しい一面を見せている。

    相変わらず何人も死ぬし、殺人のトリックも単純なもの。
    謎解き重視で読むと疑問符がつくが、昭和5年の事件から始まった怨念、執念の行き着く先を見届ける物語として十二分に楽しめた。

    惜しいのは館のイメージを想像しにくい点。
    一部の部屋の見取図だけでなく、館とその敷地全体の地図を最終章あたりに入れて欲しかった。

  • 金田一シリーズって、人間の業炸裂しすぎな有象無象がこれでもかってくらい跋扈するよな〜という思いを読むたび新たにします(褒めてる)。

    旧家で権勢を欲しいままにする刀自。
    地元有力者である夫と美しすぎる妻。
    その周囲に群がり恩恵に預かろうとする人々。
    清涼剤ポジションの、若いアベック(古)。
    そんな人々を脅かす、肉体的・精神的に「何かが欠損している」人間。

    本作の登場人物も、そんなシリーズ読了本のテンプレをしっかり踏襲しています。何とかの一つ覚えかっていうくらい、他作品と代わり映えなさすぎィ(褒めてる。

    強いて違いを挙げるなら、いつもより刑事勢がいい味出してるってことでしょうか。その中の1人のベテラン刑事なんて、キャラ立ちすぎてて一瞬疑っちゃったくらいですよ。

    かつて悲劇の起こった山奥の山荘・迷路荘に集結した関係者達。ホテルになる前の屋敷の最後の姿を偲び、かつて惨禍に散った命を弔おう…。そんな意図で集まった筈の男女は、しかしかつて結婚相手を奪い奪われ・振り振られという痴情のもつれを経てきた人ばかり。
    曰くありげな人々が集い、金田一探偵が現地に到着したその日、果たして第一の惨劇が幕を開けた!!

    って感じですかね。
    うーん、何てテンプr(略

    それにしても、いつもは真犯人に同情の余地を残す金田一シリーズにあって、今作は少ーし異色ですね。いつも少なからぬ憐憫の情を示す金田一探偵が、今回は一顧だに値しないと言わんばかりの素っ気なさで犯人の犯行を推理します。

    なーんか今回はイマイチだな〜と終章まで読み進めると、どっこいその後に語られる真相がヤバかった。もうその犯行シーンの絵面の恐ろしさときたら…想像するだに背筋が凍ります。
    積年の恨み・妄執の果てを描かせたら、横溝御大の右に出る推理作家はいませんね!(褒めてる

  • 金田一シリーズにしては普通の事件。全員が何かを隠してるので、ギリギリまで分からなかった。
    最後の金田一の優しさが沁みる。

  • 昔読んだ本

  • トリックや登場人物の魅力は勿論のこと、舞台のレトロ感が好きでやめられない。館ものはやっぱり面白い。

  • かつて読んだものを再読。なかなか面白いよ。昔たくさんよんだなぁ、角川の黒背。

  • 明治の元老、種館種人が建てた迷路荘でかつて残虐な殺人事件が起きた。
    種人の息子一人が妻の加奈子と当時下宿していた尾形静馬の不貞を疑って二人を殺害しようとした。
    加奈子は殺されたが一人は静馬に反撃を受けて殺害された。片腕を切り落とされた静馬は裏山の洞窟に逃げてそれ以来消息が分からなくなった。彼が生きてるのか死んでいるのか誰にも分からなかったが、そんな静馬の影が現代になって現れた…

    迷路荘の隠し扉などの仕方を上手く使っていたのと種館家に恨みを持った静馬を思わせる変装した片腕の男が現れたり読書の想像を膨らませてくれる様々な要素があって面白かったです。

  • 読んだとは思うがほぼ覚えていなかった。何とも怖いが、面白かった。

  • 昭和5年。隠し扉やどんでん返しが
    ふんだんに施された通称迷路荘で、
    主人やその妻が殺害される事件が
    起こった。真相ははっりしないまま。
    昭和25年。
    迷路荘にかつての惨劇の時と同じ
    左腕のない男が姿を現し、
    家人達は不安を募らせ、
    現在の館の主人は金田一に調査を依頼。
    そして発生する連続殺人。


    綾辻行人の館シリーズに登場しそうな
    仕掛けだらけの館。
    更に館の下には地下道が通っている。
    ボリュームがあって読み応えは抜群。
    複雑な人間関係が事件をややこしい
    ものにしていて、それも魅力的。
    迷路のような地下道でくり広げられる
    捜査は、冒険小説の様で面白かった。
    戦後すぐの時代設定、
    街から離れた豪勢な館、
    謎の片腕の男、かつて起こった惨劇、
    没落貴族等、
    このシリーズらしい要素が満載。
    金田一の活躍も見事で、
    ラストは好みの締め方だった。
    知名度は低いがもっと読んで貰いたい作品。

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著者プロフィール

横溝 正史(よこみぞ せいし)
1902年5月24日 - 1981年12月28日
兵庫県生まれの小説家、推理作家。本名は同名で「よこみぞ まさし」。筆名を誤読した作家仲間にヨコセイと渾名され、セイシをそのまま筆名にするようになった。
1921年『恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)』が雑誌『新青年』の入選作になり、これが処女作とみなされる。 1926年に江戸川乱歩の招きに応じて上京、博文館入社。1927年『新青年』の編集長に就任、その後『文芸倶楽部』『探偵小説』等の編集長を務めながら創作活動を続けたが、1932年に同誌が廃刊となり、会社を退社。専業作家に。
金田一耕助を生む。第1回探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞した『本陣殺人事件』をシリーズ第一作として、以降多くの「金田一耕助」シリーズ作を残す。代表的な作品に、1947年『獄門島』、1949年『八つ墓村』、1950年『犬神家の一族』、1957年『悪魔の手毬唄』など。

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