仮面舞踏会 金田一耕助ファイル17 (角川文庫 よ 5-17 金田一耕助ファイル 17)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304389

作品紹介・あらすじ

夏の軽井沢に殺人事件が起きた。被害者は映画女優・鳳三千代の三番目の夫。傍にマッチ棒が楔形文字のように折れて並んでいた。軽井沢に来ていた金田一耕助が早速解明に乗りだしたが……。

感想・レビュー・書評

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  • 夏の軽井沢を脅かす殺人事件。映画女優・鳳千代子の過去の夫たちが毎年一人ずつ変死を遂げる。千代子と恋愛中である財界の大物・飛鳥忠熈は、金田一耕助にその真相を探るよう依頼する。恐るべき悪意の舞踏会で仮面を剥がされたのは誰か。

    霧深き軽井沢で巻き起こる連続殺人事件。手がかりは次第に濃くなる霧に阻まれ、その全貌を掴ませない。犯人の検討もつかないまま後半に差し掛かり、立ち込めた白い霧が一転して黒い闇に裏返った時は思わず声を上げてしまった。予想のさらに上を行くどんでん返しの興奮。まさかそれが伏線?!と一本取られた。

    追撃するのは暴かれた人間の底知れない悪意。金田一シリーズでは大団円となる事件もあるけど、今回は洞窟の奥底へ心中しに落ちるような行き止まり感が凄まじい。重すぎる!軽井沢じゃなくて重井沢だよ!と冗談を飛ばして気を紛らわせるしかなかった。

    これは生き残った人たちが幸せに暮らせる日は来るのかな…と心配になってしまったなあ。10作ほどシリーズを読んだ中でも、純粋な悪意という意味では屈指の作品だと思う。

  • 死に方が地味なので油断していたら、真相がトップクラスに気持ち悪かった。人間の嫌な部分が凝縮されていて、読んでいてものすごくむかついた。美沙が殺されたわけではないのを知って少しほっとしたけど。人間、ああも醜悪になれるのか…。これからのことを考えると、あの結末が最良のような気もする。

  • 再読。
    それでも面白かった。

    長いけれど、後半は事件解決に向けて一気に展開していくので読む価値はあり!

    金田一耕助行くところに、事件あり。
    今回も大活躍。

  • このシリーズの醍醐味と言える
    おどろおどろしい雰囲気もなく、
    爽やかな軽井沢を舞台に
    地味な事件が起こる。
    600ページ近いボリュームもあって
    なかなか読むのに苦労したが、
    終盤ではその苦労が報われる程の
    悍ましい真相が用意されていた。
    横溝正史は流石に凄い作家だ。

  • 正確に書くと星3.8。
    王道の金田一耕助シリーズって感じ。
    やっぱり設定とか、解決までの過程とかが細かく描かれていて良い。
    最後は昔の小説あるあるな気がする。

  • 500ページの読み応えのある長編作品。
    最初に江戸川乱歩に捧ぐとあるが、乱歩作品に影響を受けたものなのだろうか。
    冒頭に登場人物紹介があるので、名前を覚えられない私には助かった。
    土日に一気に読んだので、霧の降る軽井沢の世界にたっぷりひたれた。

    金田一耕助シリーズは、今の時代にはない上流階級の暮らしをする人の世界の中での作品が好きだ。
    御用聞きの小僧、婆や、暮らしが落ちぶれたなんて言いながらいちいち細々としたことを頼む、あの感じが私にとってはファンタジーに近い。

    霧が深く前もよく見えないゴルフ場の描写などはホラー的な雰囲気も楽しめる。
    冒頭の心中に向かうシーンはもの寂しく心に残った。

    美沙に毛糸を拾わせようとして色盲を指摘した時のシーンは思いもかけなかったのでドキっとしたし、ゾッとした。

    個人的には千代子さんのその後や忠熙とどうなったかも知りたかったなぁと思った。

  • かなりのヴォリュームなのに、それを感じさせず、「いつの間にか話が長くなっていた」印象です。
    舞台は軽井沢。そこで起こった殺人事件と、複雑な人間模様・・。
    終盤の犯人の“豹変”ぶりにゾッとしましたが、個人的には、樋口操夫人も怖かったです(こんな人と、ご近所にはなりたくないですな・・)。

  •  戦前戦後を通じて映画界のスターである鳳千代子には四回の離婚経歴があり、そのうち最初と二番目の夫は不可解な死を遂げていた。
    今また三番目と四番目の夫が軽井沢で変死を遂げ、金田一が捜査に乗り出す。

     大女優の派手な男性遍歴を軸にマッチ棒のパズルや不可解な数式、そして奇妙な所で見つかるライター等魅力的な小道具満載の長編。
    ただ長さの割にそれら小道具が活かされているとは言い切れず、事件の解決も金田一の捜査や推理ではなくある人物の独白によって終わってしまうのが味気無かった。
    推理小説とは必ずしも探偵が解決するとは限らないと割り切ればそれなりに楽しめるのだが。

  • 久しぶりに読みごたえのある500ページ超えの金田一耕助ミステリー作品でした!
    ある女性のかつての夫だったことのある男性4人が相次いで亡くなった真相は何か?ということで、複雑な人間模様が絡んでいき、最後に事件の全貌が明らかになるのでした。
    真犯人は中盤あたりで読めたのですが、さすがにその動機までは見抜けませんでした。
    金田一耕助シリーズの終盤作は長編続きのようです。

  • 長い。読むのに凄く時間がかかったが、後半はあっという間でした。私の印象では、一彦はかなりイケメンのイメージです。金田一先生も大活躍でした。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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