首 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 538
感想 : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304433

作品紹介・あらすじ

滝の途中に突き出た獄門岩にちょこんと載せられた生首。まさに三百年前の事件を真似たかのような凄惨な村人殺害の真相を探る金田一耕助に挑戦するように、また岩の上に生首が……事件の裏の真実とは?

感想・レビュー・書評

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  • 金田一が静養に訪れた村で起きた首切り殺人。しかも首は獄門岩なるいわくつきの場所へ載せられていた!表題作を含む4編収録の短編集。どの話も一捻りあって読み応えがあった。意外性なら『生ける死仮面』、話は『首』が一番好き。

    『生ける死仮面』
    落ちぶれた彫刻家・古川小六のアトリエで警官が見つけたのは、腐った青年の死体と寄り添う彼の姿だった。石膏のデスマスクから、捜索願いが出されていた緒方辰男だと特定されたかと思いきや、事態は思わぬ方向に。

    『睡れる花嫁』を彷彿とさせる導入。まぶたに焼きつく凄惨な場面から始まるが、その後は短編とは思えないほどどんでん返しが続いて驚かされた。ぼくも読んでて思わず珍妙な声を上げてしまった。狂気の犯罪がひっくり返っていく鮮やかさ。人の腐ったおぞましい臭いが鼻に残る。

    『花園の悪魔』
    旅館の隣にある花園。チューリップの花壇の真ん中で女性の死体が発見された。一緒に泊ったはずの男を指名手配するも、足取りは掴めないまま時間が過ぎていく。消えた荷物と男の消息に潜む真実とは。

    花壇と死体の取り合わせも不気味ながら、証言を追いながら進んでいくも、謎だけが色濃くなっていく展開がいい。金田一と等々力警部のハラハラ推理デートも楽しめる作品。そこからのあのオチに戦慄。犯人の冷淡な表情を崩したのは、恐怖という名の愛情だった。後を引くラストになっている。

    『蠟美人』
    法医学で名が知られた畔柳博士が試みた顔の復元実験。実験に選んだのは、軽井沢で見つかった自殺と思われる女性の遺体。復元されたその姿は、なんと夫殺しの容疑で失踪し世間を騒がせている立花マリだった!

    顔のない死体の顔を復元するというセンセーショナルなアプローチで始まるミステリ。復元された顔は真実なのか。そもそも自殺だったのか。掘り起こされたのは顔だけではない。疑惑が疑惑を呼ぶ世論の中で、金田一が現場で見たものを積み上げて、隠された人々の顔を暴いていくのが見事。

    『首』
    金田一が磯川警部と静養に訪れた村で発生した殺人。滝に突き出た獄門岩に載せられた生首。それは300年前の殺人の模倣か、それともクニシン様の祟りなのか。昨年にも起きた首切り殺人が今年も繰り返される!

    静養にいい場所はないかって話なのに、未解決事件がある村へ誘う磯川警部よ(笑) 生首をいわくつきの岩に置くという見立て殺人。去年と今年、まるで接点のない人間が同じ方法で殺される。なぜ犯人は首を切って見せしめにする必要があったのか。二重に流れる事件の川を、人情味ある推理で解く金田一が素敵。

  • 金田一ファンというより、杉本画伯の描く横溝世界に惹かれて古本屋さんを歩き回って集め、事件年代順に読むという金田一祭りを一人開催中。やっぱり、寝苦しい夜は横溝だなぁ。

    読んだ本は、昭和51年発行の杉本画伯が表紙を飾る文庫版でタイトルは「花園の悪魔」。表紙絵は表題作の犠牲者がおどろおどろしく描かれています。
    収録作は同じです。

    死体陵辱等異常者による猟奇的な事件など、都会においてのおどろおどろしさを出そうとすると、こういう要素が必要になるか。田舎の因習に縛られた一種閉鎖環境での異常性と対比すると興味深い。

    金田一は吃音癖があって地方訛りも少し残っているという設定ではなかったっけ?表題作中での口調が「・・・でさぁ。」って。他ともまったく違う感じになっていて、これはこれで謎・・・

  • 「獄門岩」なので繋がりがあるかと思ったら別になかった。
    『生ける死仮面』『蠟美人』は二転三転するところが好き。でもやっぱり長編の方がおどろおどろしくていい。

  • 短編集

    とりたてて感想はなく、よくある横溝話。
    標題の首は、過去の事件ともう少し捻った繋がりがあるのかと思ってたが、参考にしただけだったので残念。

  • イマイチ

  • 金田一耕助が登場する短編小説4つが収められています。
    時代が戦前ということで、犯罪を隠すにも暴くにも限りがある中、真相は驚きで楽しめました。猟奇事件なのに読後感がさらっとしているのは金田一という人物のおかげでしょうか。

  • 四篇からなる短編集。
    こちらも今回の『ひとり横溝正史フェア』ではじめて読む作品。

    横溝正史はどちらかというと長編でこそ本領発揮する作家のようで、短編の出来はいささか物足りない。
    この短編集でもそうで、横溝正史らしい世界観の構築が不足しているように思う。「生ける死仮面」では死体愛好、「蝋美人」では復顔といった、それなりのものを題材にしているが、踏み込みが足りないというかなんというか。

    「首」では、また金田一耕助の粋な計らい、いわゆる人道的配慮といったことを行うのだが、ちっとも粋じゃない。
    でも、金田一耕助は魅力がある。
    磯川警部もまた然り。

    「花園の悪魔」改題。

  • 金田一耕助シリーズのタイトルにもなっている「首」他、「生ける死仮面」「蝋美人」「花園の悪魔」の計4編の短編からなる作品です。どの話も、なかなか秀逸な犯行の動機やトリックが隠されており、面白かったですね!
    個人的には「生ける死仮面」が中でも一番秀逸な話だったと思います。

  • 個人的には「花園の悪魔」がいちばんゾクゾクする結末でしたね。久しぶりに手を伸ばした横溝作品を、なんと驚愕の1時間20分で読了。

  • 長編、殊に映像化作品においては、金田一は単独の探偵で、ホームズに対するワトソンのような所謂「助手」はいないと感じられる。
    ところが、本書のような短編においては、バディとしての磯川警部や等々力警部の姿が、鮮やかに浮かび上がってくるのである。

    長編においても(読み直してみれば)彼らの協力が、事件の解明に不可欠であることが分かるのだが、短編においてはそれが際立っている。
    特に磯川警部の如きは、遠方まで静養に来た金田一を何くれとなく世話する様子が、じつに微笑ましい。

    事件の内容自体は、金田一の短編においては定番の、ネクロフィリア、首無し、男女入れ替えと若干マンネリ気味である。

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2022年 『蝋面博士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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