七つの仮面 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 459
感想 : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304662

作品紹介・あらすじ

あたしが聖女? 娼婦になり下がり、殺人犯の烙印を押されたこのあたしが。でも聖女と呼ばれるにふさわしい時期もあった。上級生りん子に迫られて結んだ忌わしい関係が一生を狂わせたのだ――。

感想・レビュー・書評

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  • 『七つの仮面』
    聖女と呼ばれて無邪気に育った美沙。彼女が上級生・りん子に迫られて結んだ関係が人生を大きく変える。心に仮面を被りながら、男たちを弄んでいく美沙の身に起きた事件とは?!

    タイトルの意味を知った時のぞわっと来る感じがすごい。七つの大罪と重ねたテーマを、仮面というモチーフで短編ミステリとして描くのが上手い。見抜いていると確信している時ほど、見抜かれている。仮面では本性までは隠せないのだから。

    『猫館』
    元々はいかがわしい写真館だった家を借りた女占い師。ある時、血に濡れた猫が彼女の死を知らせる。警察の調査に同行した金田一耕助はさらなる死体を発見して──。

    死体発見時の状況が悲劇的でそれが一番つらかった。子どもや猫という何の罪もない存在が巻き込まれるのが悲しい。いかにも怪しい女占い師に、館にまつわる忌まわしい歴史。うず高く積み上がった罪が連鎖する恐ろしさが味わえる。

    『雌蛭』
    「聚楽荘の一室に行き、ハンドバッグを取ってきてほしい」謎の女からの電話依頼によって、金田一は変装して部屋へ赴く。するとそこには顔と体を硫酸で焼かれた男女の死体があって──。

    変装をした金田一が謎の渦中へと飛び込むドキドキ感が味わえる。事件発生を知っているのに、何食わぬ顔で警察と合流するのは笑った。今回は他シリーズにも登場する多門六平太(修と同一人物?)が活躍する話になっている。ちなみに、蛭は雌雄同体っぽい。

    『日時計の中の女』
    いわくつきの邸宅を購入した作家の田代裕三。妻の啓子はそこで起こった過去の事件に端を発し、現在の人間関係に病んでいく。そんなある日、庭の日時計の中から見つかった女の死体によって日常はさらに壊されていく。

    どこかで見た覚えがあるアトリエの造り(壺中美人?)でドキッとする。他にもこれは!というキーワードが飛び出すのが面白い。と言いつつ、日時計の中の女のインパクトよ!事故物件がすぎる。これは何もなくても精神を病んじゃう。物件を売り抜けた鶴代が一番ラッキーだったのでは?それにしても、ある人物がとった行動の動機。真相はどちらなのか──すべては闇の中。

    『猟奇の始末書』
    昔馴染みの画家・三井参吾の招待で別荘を訪れた金田一。三井はそこから見える天井のない洞窟を覗いては、訪れるカップルを射かけて驚かすという猟奇的な趣味を持っていた。すると、その洞窟から胸に矢が刺さった女の死体が見つかって──。

    三井が射た矢が殺したのか?!しかし、矢は下側から突き刺さっている。不可解な状況から導き出される無情な結論。中学の同窓生が集まる別荘で起きた猟奇事件の始末は切ない。

    『蝙蝠男』
    受験生の由紀子は向かいに建つ日月荘の部屋の窓に不審な影を見た。蝙蝠男が女性を刺し殺したのだ。その後、その部屋に住む女性がナイト・クラブへ届けられたトランクの中で死んでいるのが発見されて──。

    受験勉強中にこんな現場を目撃したら勉強どころじゃない!あと、夏場の刺激的な風景もよろしくない(笑) 彼女の証言で一気呵成に事件解決へと進むのが鮮やか。さらに金田一の粋な計らいも素敵だった。

    『薔薇の別荘』
    女傑・吉村鶴子の“薔薇の別荘”に集められた関係者たち。鶴子は何かを発表しようとしていたが、密室で扼殺されて発見された!その近くには怪しげな男の姿が──。謎の手紙で呼び出された児玉健の正体とは?!

    人間という薔薇には棘がある。美しいと思って触れれば傷ついたり、傷つけてしまったり…。そんな中で心の棘を抜いてくれる誠実な存在もいるのだ。そのことがやさしさを連鎖させていく。ミステリの仕掛けもありながら、人情味あふれる読後感がいい物語。幸せになってほしい。
    それにしても、短編なのに登場人物が多いのにびっくり!あと、「妻のやす子も夫と似たりよったりの女で、数珠でももたせておけば似合いそうである」は書き手の悪意を感じる(笑)

  • 金田一耕助シリーズ。
    「七つの仮面」聖女の首(胸像)モデルの人生の転落。
    「猫館」「日時計の中の女」も良い。

  • 短編集なので読みやすかった。
    どれも女性が関連している、ドロドロした話だった。
    面白かったけど、もやもやする話もいくつかあった。
    数年に一回読みたい小説かもです(笑)。

  • 表題作を含めて、7編を収録した短編集。

    各篇、ドロドロした痴情の縺れが展開されて、毒気にあてられながら読んだ感じです。
    ただ謎解きが、ラストで唐突に解決。というパターンが多い印象でした。

  • 金田一耕助シリーズの短編集で、タイトルの「七つの仮面」を含む計7編のミステリー作品から構成されておりました。
    どの作品も結末が尻切れ的で、若干スッキリしない結末の作品が多かった感じがします。
    やはり金田一耕助シリーズは中長編が読みごたえがあるような気がします。

  • どの話も女が怖い。事件解決は大体最後の1ページ。事件周辺の描写が多いので、陰惨さと取り巻く人の動きを楽しむもの。金田一はトリックを暴いて帰るいつものパターン。

  • 本書で一番驚いたことは、金田一耕助がちゃんと歳をとっていること。このまえまで30半ばと表現されていたが、本書では40半ばとなっていた。そういえば、本陣殺人事件あたりでは探偵で身を立てていこうと思った描写があったから、ちゃんと時間を重ねているのだと認識した。居所も友人の旅館へ居候ではなく、渋谷区の緑ヶ丘荘という高級なアパートに住んでいた。
    短編集。
    七つの仮面は、りん子の執念の描写がとてもおぞましく頭から離れなかった。
    最後の薔薇の別荘は対して心が温かくなる。殺人起きたけど。これは私もトリックがわかったぞ。

  • 短編集。
    そこまでおどろおどろしくはない殺人事件たち。
    推理パートが短くなんか決定打にかける終わり方が多い。
    本格ではあるが、他の人が犯人でもよさそうな事件ばかりな気がする。

  • 2016.10.30

  • 途中まで短編だと知らずに読んでいた。

    七つの仮面、猫舘、雌蛭、日時計の中の女、猟奇の始末書、蝙蝠男、薔薇の別荘の短編集でした。

    短編なので、横溝作品のおどろおどろしさやひっくりかえす躍動感はないですが、まぁまぁ楽しめました。

    金田一が洋服を着ます!!

    今まで読んできた八ツ墓村や夜歩くは地方を舞台にした作品で、
    田舎の因習や血縁の因縁を軸としたものだったので、
    世界観ががらりと変わりこういう作品も書くのだなと 思いました。

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2022年 『蝋面博士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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