悪霊島(下) 金田一耕助ファイル19 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 517
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304686

作品紹介・あらすじ

あの島には悪霊がとりついている――額から血膿の吹き出した凄まじい形相の男は、そう呟いて息絶えた。尋ね人の仕事で岡山へ来た金田一耕助。絶海の孤島を舞台に妖美な世界を構築!

感想・レビュー・書評

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  • 金田一が挑むのは、二十二年前に引き裂かれた男女の悲劇を発端に島で起こる怪奇な失踪&殺人事件。
    愛し合う相手との仲を裂かれ、待望の出産も精神的ショックに見舞われ、別れた恋人の体つきに似た若者を次々と誘惑し貪る巴御寮人には同情しかけたが、激しい魔性が暴走した挙句の殺しのエグさにドン引き。でも、一途に狂える女の性に密かに共鳴するのも否定できない。
    吉太郎の男の嫉妬も加わった愛憎の嵐。
    成仏して下さいと言わんばかりのこの決着は彼女に一番相応しかったな。内容のおどろおどろしさに比べて幕を引くべき人が引いた最後はすっきり。

  • 探偵防御力が低いと言われる金田一だが、今回はけっこう被害を防いだのではないだろうか。犯人は…まあ順当な結末。

  • 下巻読了。

    広大な洞窟内に作られた、おぞましい“骨細工”の前での緊迫したやりとりは、謎の解明への期待も伴い、手に汗しながら読みました。
    結局は、全てが明らかになるわけではなく、真犯人は“雲隠れ”してしまい、片帆が殺された理由も謎のままでした。
    そして、今回は磯川警部の過去も絡んできたのですが、“彼”との関係が判明したときは、思わずグッときました。

  • アメリカ帰りの富豪に依頼された人探しのために、金田一耕助は久しぶりに岡山県へ行く。そこで磯川警部と旧交を暖めたのも束の間、警部の話から探していた人物が怪死したらしいことを知る。

    こういった物語が、上巻にあるような恐ろしく謎めいた言葉の書き出しで始まる。
    こういう、今から恐ろしい物語が始まるよ、と自然に読者を横溝正史の世界に引きずりこむ盛り上げの上手さが横溝正史作品の魅力だと思う。

    横溝正史の作品には「平家物語」や平家の落人といったものがよくあり、岡山県と平家は深く繋がっているのだなと感じる。「平家物語」も読むと更に愉しめるのだろうが、ちょっと読めそうにない。

    この作品では、蒸発という出来事が頻発する。
    蒸発という表現に時代を感じる。今なら失踪というところだが、昭和の時代では確かに蒸発とよく表現された。
    こぼした湯が蒸発して姿を消す様と、人がある時忽然と姿を消す様が似ているために使われたのだと思うが、これも死語になるのだろうか。

    また、シャム双生児という言葉も出てくる。
    腰の部分で結合した双子。こういう気の毒な状況で生まれた子供を、恐ろしさを高めるために使うのは現代にはそぐわない気もするが、昭和の時代は障害のあるひとを差別語を用いて悪意なく呼ぶひとは普通にいた。横溝正史の作品を読むと時代の流れを感じる。

    どの作品にも共通の殺人事件がドンドン起き、大概殺されたあと金田一耕助が推理という、もっと早く解決してよとツッコミたくなるところは同じであり、洞窟を探検するところなどの冒険のあるのも横溝作品には暫しある定番の面白さだ。

    この作品の魅力は、金田一耕助シリーズにおいて金田一耕助と人気を二分するのではという磯川警部について多く描かれているところだ。わたし自身が金田一耕助よりも磯川警部がお気に入りだ。
    「悪魔の手毬唄」においても磯川警部の切なさが印象に残ったが、金田一耕助も磯川警部も年を取り、老いが感じられるときに「悪霊島」で綴られる内容は、本当に辛く哀しい。磯川警部ファンには、益々磯川警部が好きにならざるを得ない。

    若い頃の叶わぬ恋が忘れられず、富豪となって故郷へ帰ってくる男。これが金田一耕助の依頼人なのだが、まるっきりギャツビーではないか。

    犯人は誰かなと推理小説本来の愉しみは勿論あり、そこに「平家物語」が絡んだり、昭和の時代を窺ったり、磯川警部の気持ちを読んで哀しくなったりと様々に愉しめる。

    最後はまた金田一耕助が真相について沈黙するというわたしには異議ありな形であるけれど、今回は愉しめたので文句なしにしたい。

    最近だらけ気味だった『ひとり横溝正史フェア』であったけれど、これだよ、こういうのを待ってたよと嬉しくなる作品だった。
    おかげで最後まで『ひとり横溝正史フェア』を続けられそうだ。

  • 金田一耕助ファイル#19

  • 2016.8.19

  • 金田一耕助シリーズ終盤のまさに大作でしたね!刑部島を舞台にした連続殺人事件の謎を金田一耕助が見事解明する訳ですが、事件の背景に複雑な人間関係が絡んでいるところも見事でしたし、最後のオチもなかなか秀逸でした!
    ビートルズの「Let it be」を主題歌にした「鵺の鳴く夜は恐ろしい!」というCMでも話題になった映画も観てみたくなりました!
    さあ残すところ壮大だった金田一耕助シリーズも「病院坂の首縊りの家」を残すのみとなりました。心して読みたいと思います。

  • 旧版(緑304)で読了

  • クライマックスへ向けて怒涛の展開と謎解明はスッキリした!
    読み終わってみると、やっぱり金田一さんは素晴らしい。

  • 映画の宣伝では「ぬえの鳴く夜は恐ろしい」だったと思うけど小説では「ぬえの鳴く夜に気をつけろ」。ちょっと変えてたらしい。

    さて「悪霊島」。
    おもしろかったー
    猟奇的でいいよ。洞窟も出てくるし。
    ただ矛盾というか、それおかしいんじゃない?とかあそこ説明ないよね?というのがいくつか。
    例えば、懲役3年執行猶予2年、って判決はありえるのか?
    まあその辺も含め、先生のりのりって感じで良かった。

    ただしエピローグの一番最後。
    証拠はない(というか金田一も警察もまともに調べたのか?)というのもあるかもしれないけど、犯罪を見てみぬふりってのはいかがなものか。
    クライアントには弱いのか? 金持ちには弱いのか?
    金田一、しっかりせい。

    エピローグがなければ★4つなんだけどなあ。
    どうしようかなあ…

    こっちも見てみぬふりで(>_<)、★4つ。

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著者プロフィール

横溝 正史(よこみぞ せいし)
1902年5月24日 - 1981年12月28日
兵庫県生まれの小説家、推理作家。本名は同名で「よこみぞ まさし」。筆名を誤読した作家仲間にヨコセイと渾名され、セイシをそのまま筆名にするようになった。
1921年『恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)』が雑誌『新青年』の入選作になり、これが処女作とみなされる。 1926年に江戸川乱歩の招きに応じて上京、博文館入社。1927年『新青年』の編集長に就任、その後『文芸倶楽部』『探偵小説』等の編集長を務めながら創作活動を続けたが、1932年に同誌が廃刊となり、会社を退社。専業作家に。
金田一耕助を生む。第1回探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞した『本陣殺人事件』をシリーズ第一作として、以降多くの「金田一耕助」シリーズ作を残す。代表的な作品に、1947年『獄門島』、1949年『八つ墓村』、1950年『犬神家の一族』、1957年『悪魔の手毬唄』など。

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